『カシオペアの丘で』 重松清

2010年06月16日 20時04分11秒 | 重松清


丘の上の遊園地は、俺たちの夢だった――。肺の悪性腫瘍を告知された三十九歳の秋、俊介は二度と帰らないと決めていたふるさとへ向かう。そこには、かつて傷つけてしまった友がいる。初恋の人がいる。「王」と呼ばれた祖父がいる。満天の星がまたたくカシオペアの丘で、再開と贖罪の物語が、静かに始まる。(講談社文庫より引用。下巻は略)

ヒューマンストーリー。


久しぶりに涙した。
39歳という若さで癌に侵された俊介。
余命半年と診断された男を中心とした、人情味あふれるものがたり。


なぜ俊介は故郷である北都を離れなければならなかったのか。
なぜ俊介は親友を傷つけてしまったのか。
王と呼ばれた祖父はなぜ冷徹な対応をし続けているのか。


「命」というものを、これほどに胸に訴えかけてくる作品はなかなかない。

これは、俺の憧れでもあるかもしれない。

故郷を捨て、家を捨て、親友を捨て、やってきた東京。
死にゆくことは、とても悲しい。つらい。
けど、それと向き合うことで、今まで許せなかったことに立ち向かう勇気を得られたのかもしれない。


★★★★☆