『ブルーマーダー』 誉田哲也

2015年07月14日 20時43分19秒 | 誉田哲也
久しぶりに誉田先生です。


「池袋の繁華街。雑居ビルの空き室で、全身二十カ所近くを骨折した暴力団組長の死体が見つかった。さらに半グレ集団のOBと不良中国人が同じ手口で殺害される。池袋署の形事・姫川玲子は、裏社会を恐怖で支配する怪物の存在に気づく―。圧倒的な戦闘力で夜の街を震撼させる連続殺人鬼の正体とその目的とは?超弩級のスリルと興奮!大ヒットシリーズ第六弾。 」

姫川玲子シリーズは
ストロベリーナイト」、「ソウルケイジ」、「インビジブルレイン」、「感染遊戯」「インデックス」と紹介してきましたが、あと紹介していませんが「シンメトリー」もありますね。

インデックスのほうが7作目になりますが、今回のが6作目です。

今回は怪物です。
両鎖骨をへし折り、抵抗できない形にしたうえで
殴り殺す。
恐ろしい殺人鬼対姫川ら警察のスリリングにあふれる作品。
ただ、それだけじゃなくがんてつの人情味あふれる部分も。
まあ、ながいことこの作品読んでると、
いろんな人に感情移入することになりますね。

もちろん、菊田もがんばってます。

僕は菊田の味方です。

『彼女の時効』 新津きよみ

2015年07月14日 20時30分17秒 | 読書
初めて紹介する作家さんです。


「夫をひき逃げで失った浅井久子。夫の命日に事故現場を訪れた彼女の前に現れたのは、交通事故がきっかけで殺された内海政子の幽霊だった。奇妙な幽霊との同居が始まり、次第にわかってきた政子の過去。久子は政子が気になっている娘探しを始めるが、2人の奇妙な接点から事件の真相が明らかに!サスペンスの名手が挑んだ社会派ミステリーの傑作が待望の文庫化。 」(BOOKデータベースより)

久子は幽霊が見える。
普通の人のように存在する幽霊たちに、普段は何もせずに通り過ぎているところ、
たまたま出会った政子の幽霊に話しかけることになった。

政子は交通事故に会い、さらに車に乗せられて首を絞められ、捨てられた。
犯人は見つかっておらず、未解決のまま時効を迎えたのだった。

一方、政子の娘の加奈子は薬剤師として働いていた。
そんな加奈子に接近してきたのが、新聞記者の矢野である。
矢野はたまたま情報提供があり、違うひき逃げ事件の犯人を知っているという電話を受けていた。
加奈子の状況を知っていた矢野は、何かわかるかもしれないと加奈子と話し、
会いに行ったのが久子だった。

その久子のもとには幽霊の政子。
久子と政子と加奈子は、偶然ながらも運命に立ち向かっていくことに。

という作品です。
○子が多くて名前がごちゃごちゃになりそうでした。笑

『コインロッカー・ベイビーズ』 村上龍

2015年07月14日 20時15分13秒 | 読書
大変ご無沙汰しております。



「一九七二年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の孤島から消えたハシを追い、東京へとやって来たキクは、鰐のガリバーと暮らすアネモネに出会う。キクは小笠原の深海に眠るダチュラの力で街を破壊し、絶対の解放を希求する。毒薬のようで清清しい衝撃の現代文学の傑作が新装版に。 」(BOOKデータベースより)

なんとカタカナが多い説明のこと。

キクとハシはコインロッカーで生まれた。
兄弟のように育った彼らは孤児院から九州の孤島の里親に引き取られることに。
孤島には廃墟のような街があり、そこに迷い込み、吸い込まれ、深く浸透していく。
ここでの体験が、二人を形作っていく。

キクとハシは同じように育てられながらも、それぞれ個性を発揮していくようになる。
決してまともではない。
狂ったかのような思考に引き込まれ、突き放されを繰り返す作品でした。


『ぼくたちの家族』 早見和真

2015年04月25日 10時34分03秒 | 読書
もうすぐGW!



「家族の気持ちがバラバラな若菜家。その仲を取り持ってきた母の玲子の脳にガンが見つかった。突然の出来事に狼狽しつつも玲子のために動き出す父と息子たち。だがそんなとき、父が借金まみれだったことや、息子たちが抱いてきた家族への不満が露になる…。近くにいながら最悪の事態でも救ってくれない人って何?家族の存在意義を問う傑作長編。 」(BOOKデータベースより)

よくある闘病系!?の話ではありません。
たしかに闘病ではありますが、メインはそこではなくて、病気を機にバラバラになっていた家族が一つになっていくヒューマンドラマですね。

家族であっても本音で語り合えなかったり、隠し事があったり、それぞれの事情があるのが家族。
そんな家族の母の脳にガンが見つかって、余命1週間と告げられたり。
なんとかならないかと奔走する息子や、抱えた借金に絶望する父親、
本音で語り合うことで家族が結集し、家族が復活する、といったお話。

いい題材ではあるけど、もうちょっとです。笑

『船を編む』 三浦しをん

2015年04月19日 14時57分09秒 | 三浦しをん
2012年の話題作がついに文庫化です!



「玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか──。言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげる三浦しをんの最新長編小説。 」(BOOKデータベースより)

私が読んでいい話だなあと思ったら、最後に表紙を見るんですよ。
いい話を読んだ後に、いい表紙を見ると、そこにすべてが凝縮されていて、すべてが丸く収まるみたいな。

この作品の表紙は、「用例採集カード」を中心に、鳥やら魚やら貝やら、いろんなものが書かれています。
これをみてどう感じるかは人それぞれかと思いますが、私はいい表紙だなと感じたわけです。

さて、この作品はある出版社の辞書編集部で新しい辞書を出版するために奔走する人たちのお話。
主人公はまじめ君こと馬締光也。
自他ともに認める変人だった馬締は営業部から辞書編集部に異動することで、めきめきと実力を発揮するようになる。
そもそも言葉に対する感性が鋭い人なんです。
そんな馬締たちが新しい辞書「大渡海」を編纂するまでの10年を超す月日の物語です。

私が勝手にいい物語の条件と言っているのが
(1)必要最小限の登場人物
(2)意味のないうんちくが書かれていない
の二つなんです。
登場人物が多すぎると、視点が増えすぎて物語に集中できないし
意味のないうんちくは、自分のためになっても、作品の邪魔ものにしかならない。

この「削る」作業というのが、作品をより良いものへと変えていくことだと思います。
削ることで、シンプルかつ的確な表現となって読者を引き込む。
これは辞書でも同じことかなと。

そういったことができる三浦先生が辞書編纂を題材にした作品を書かれたということで、
とても締りのあるよい作品になっているのかと、勝手に思っていたしだいでございます。

『スイングアウト・ブラザーズ』 石田衣良

2015年04月19日 14時45分42秒 | 石田衣良
今日は2冊行きます!



「ほぼ同時に彼女に振られて失意のどん底にある三人は、大学時代の同級生。あこがれていた先輩・河島美紗子と再会し、彼女がはじめた男性向けエステの第一期特待生になった。見た目だけでなく内面も磨き上げ、目指すはずばり、モテ男。空振り三人組は美紗子が揃えた腕利き講師たちが用意する課題の数々をクリアし、見事モテ男になれるのか。 」(BOOKデータベースより)

もてない男でよく言われるのが、①デブ、②ハゲ、③オタク。
そんな①デブのホリブこと堀部、②ハゲのコバこと小林、③オタクのヤノッチこと矢野の3人が、
振られたことを契機にモテ男になるべく男磨きをする物語。

なんとも石田先生らしい作品です。
ルックスと経済力と性格と教養、努力で身に着けられるものは?
詳しいことは作中に譲ることとして、男がモテるためにすべきことを面白く表現されております。

モテたい人は、参考になるかはわかりませんが、ぜひどうぞ。
ただ、読んだからどうこうなるわけではありませんので、あしからず笑
(実行するか否かですね)

『くちびるに歌を』 中田永一

2015年04月04日 16時38分10秒 | 読書
あったかいですね。



「東京でピアニストとして活躍していた柏木ユリが音楽教師として長崎にある中五島中学校へ赴任してきた。悲しい出来事をきっかけにピアノが弾けなくなったユリ。ピアノを弾かないことを条件に、合唱部の顧問を引き受ける。最初はしかたなく始めた顧問だったが、それぞれが抱えた誰にも言えない悩み、それでもひたむきに生きている生徒達とふれあううちに、ユリ自身も前へと進み始める。いよいよコンクール本番。合唱部は、県大会を突破できるのか…?映画『くちびるに歌を』をノベライズ。」(BOOKデータベースより)

がっきーの映画です。
見たいなーって思ってたけど、なかなかみれずで先に小説を読んでしまいました。

中学生の合唱部のお話。
スポコン系ではなく、学園ものですかね。
青春です。

合唱部の顧問の先生が産休で休みに入ったことで、代理でやってきた柏木先生。
がっきーが演じるほどの美人です。
ちょっとキャラクターが違うかも?と思うところもあるけど。

そんな先生を目当てに今まで一人もいなかった男子学生が続々と合唱部に入部し、部の雰囲気が乱れ始めていた。
練習をさぼる男子。
それを非難する女子。
どこにでもある学校のお話です。
だが、ある事件によって部が一つにまとまり、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)に向けて一致団結するお話。

なんだかんだ、青春物はほっこり感動できていいですね。

『ラブソファに、ひとり』 石田衣良

2015年03月24日 20時28分04秒 | 石田衣良
「今すぐ、誰とでもいいから、結婚したい―身体を内側から焼くような強烈な願望。でも、相手がもっている数字や条件をいくら積みあげても、人を好きになることはできない―予期せぬときにふと落ちる恋の感覚、加速度をつけて誰かに惹かれていく目が覚めるようなよろこび。運命は、わからないからこそ、素晴らしい。臆病の殻を一枚脱ぎ捨て、あなたもきっと、恋に踏みだしたくなる―当代一の名手が紡ぐ、極上恋愛短篇集! 」(BOOKデータベースより)

石田衣良さんの短編恋愛小説です。
全9作品で、どれも説明するとすぐに全部書いてしまいそうなくらいさくっと読める作品。
石田衣良さんの恋愛小説を読んでいると、よくよく女性のほうからセ○○スを誘っているのですが、世の中の女子たちはそうなんですかね?

それはさておき、石田さんの作品のすごいところは色の形容の仕方でしょう。
「熟れた果実のように深みのある赤」(12ページ)
「マフラーは萌えるようなグリーン」(137ページ)

石田さんに色のネーミングをしてもらえば、世の中の色は100万種類を超えるでしょう。

そんな小説を、ラブソファに、ひとり、寝そべって読みました。
さみしいなんて、言わせないよ絶対。

『インデックス』 誉田哲也

2015年03月21日 21時43分39秒 | 誉田哲也
久しぶりの姫川玲子シリーズ(ストロベリーナイトシリーズ)だったので、単行本だけど買いました。



「池袋署強行犯捜査係担当係長・姫川玲子。所轄に異動したことで、扱う事件の幅は拡がった。行方不明の暴力団関係者。巧妙に正体を隠す詐欺犯。売春疑惑。路上での刺殺事件…。終わることのない事件捜査の日々のなか、玲子は、本部復帰のチャンスを掴む。気になるのは、あの頃の仲間たちのうち、誰を引っ張り上げられるのか―。 」(BOOKデータベースより)

久しぶりにジャケットも載せてみた。
誉田さんのジャケットきれいなんですよ。


さて、この作品は全8作からなる短編集です。
一つ一つは短くて20~30分程度で読めます。
短編はどうしても展開が早いんでね、紹介しずらいところがあります。
ま、姫川さんなんで、小さな事件から大きな事件を引っ張り出すのがうまかったり。
いろんなヒューマンドラマが見れたり。

さくっと読めますので、気になる方はどうぞ!

『青い約束』 田村優之

2015年03月21日 17時35分12秒 | 読書
春ですね。

「アナリストとして活躍する修一は、高校時代の親友・有賀と再会する。二人の仲を引き裂き、恋人を永遠に奪った“あの事件”からすでに二十年以上の歳月が流れていた…。現役新聞記者ならではの経済問題への鋭い切り込みと、骨太なストーリーで話題を呼んだ傑作が遂に文庫化。 」(BOOKデータベースより)

悲しい作品はあまり読みたくないんです。
辛いから、泣けるから。

この作品は3分の2くらいは全然そんな感じじゃなかったのに、とつぜん悲しい話になるんだから。
いや、予兆はあったけど笑

主人公は東邦証券の債券部門のチーフアナリストの修一。
アナリストランキングで上位に入る人気アナリストの一人だ。
そんな修一は、高校時代に辛い失恋を経験していた。
親友だった有賀に付き合っていた彼女を奪われ、結果として彼女が自殺してしまったのだ。
有賀はそのことに関して口を閉ざし、その後高校をやめ、修一と有賀はその後20年以上出会うことがなかった。

そんな修一がある日財務省へ取材に向かうと、そこで有賀と出会うことに。
修一は有賀を許すことができるのか。
そして20年前の真実は!?
青い約束がつむぐ、感動の物語です。


債権のことを詳しく知らなくてもある程度はわかるように丁寧に書かれていますが、
比較的知っている方はより面白く読めると思います。
国の財政のことも書かれていて、勉強になります。

最近はあんまり★を書きませんでしたが、
★4つです。