読書案内「わたしを わすれないで-forget me not-」
角野栄子訳 ナンシー・ヴァン・ラーン文
2018.3.10初版 マイクロマガジン社
私のおばあちゃん。
やさしくて おりょうりやケーキづくりが とっても上手です。
わたしの だいすきなおばあちゃん。
おばあちゃんは ひとりでくらしています。
みんなで おばあちゃんの家にあそびに行くと わたしのだいすきな フライドチキンやサラダをつくってくれた。
おばあちゃんに えほんをよんでもらうのがすき。
おばあちゃんは シナモンとライラックのようないいにおいがする。
でも、このごろおばあちゃんはちょっとへん
とっても わすれんぼになってしまった おばあちゃん
いっぱいいっぱいわすれて わたしたちのなまえまでわすれてしまつた
おばあちゃん わたしのなまえは ジュリアよっていうと
「おや まあ、うっかりしちゃった!」ってわらったおばあちゃん
わたしといっしょに どうぶつえんにいったことも イチゴつみにいったことも
どんどんわすれていく……
認知症の症状がだんだん進んできて、大切なことを全部忘れてしまう。
買い物に行ったおばあちゃんは迷子になってしまう。
もう一人での生活は無理な段階にきている。
やさしいジュリアは、
「かあさん、おばあちゃんは どうしちやったの」とお母さんに聞いた。
「ジュリア、としをとるとね、めや、みみが わるくなるのはしっているでしょ?
なかには いろいろなこと おぼえていられなくなる ひともいるの。あなたのおばあちゃんのようにね。」
悲しく辛い現実をジュリアに説明するおかあさんです。
老人ホームにいったおばあちゃん。
ジュリアのことも分からなくなってしまったおばあちゃんに、ジュリアは考えます。
「かがやくような たのしいこと おもいださせてあげたいなあ」
ジュリアは、おばあちゃんのために あることを計画します。
春になったら……
やさしい孫のジュリアちゃんの目を通して、
認知症のおばあちゃんをみつめる姿がいじらしく、
ほっこりする絵本です。
(2020.12.5記) (読書案内№160)
介護の難しさは、当たり前のことができなくなる。
記憶が飛んでいるから、会話が成り立たない。
同じことを繰り返される会話に、
いい加減に対応してしまう。
つい、上から目線になってしまう。
認知症介護が難しいと言われる所以ですね。
解消する方法はただ一つ。
相手の言葉を真剣にとらえることだと、
私が母や姉たちの介護を通じて、学ばせていただいたことです。