雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

秋色に染まる

2017-11-06 18:00:00 | 季節の香り

秋色に染まる
  妻と来て山ぶどう買う道の駅嗅げば蔵王の秋かおりたつ …… (仙台市) 沼沢 修
          温泉もよかった、小旅行の帰路立ち寄った道の駅。お土産にぶどうを手に取ると、
          今くぐって来た錦秋の蔵王の秋の名残りが匂い立っていた。

          熟年夫婦の仲睦まじい姿が目に浮かびます。
  
  夕方の塩尻駅を吹き抜けるぶどう色の風かすかに甘い …… (富士市) 松田梨子
        
小旅行の帰りなのだろうか。夕方の塩尻駅のプラットホームに風が通りすぎる。
          ぶどう色した風で、かすかに甘い香りを乗せて私の鼻先を掠めて消えていく。

  少年の心となりて木通(あけび)採る気づけば妻も少女のこころ …… (仙台市)沼沢 修
          こんなときの妻は、いっそう可愛く思われる。同じように木通採りに夢中になっている
          夫も可愛く映っているに違いない。木通採りに夢中になっている少年と少女。

   萩の咲く浄土寺真如町あたり静かな二人の時間を歩く …… (西宮市)佐竹由利子
          若いっていいなー……
          ふたりだけの時間よ止まれ。
   

   黒塚に芭蕉も子規も詣でしと安達ケ原を秋の雲過ぐ …… (福島市)美原凍子
         安達ケ原の鬼婆の墓といわれている伝説の黒塚に手を合わせ、
         偉大な先人たちもこうして、ここで手を合わせたのだろうと感慨に浸る。
         この安達ケ原の黒塚の上を秋の雲がゆっくりと流れていく。
         雲の模様は晩秋の訪れを知らせている。

  華やかに山や谷を染めて、樹々たちは間もなく訪れる厳しい冬の前の短い時間に
  ひと時の安らぎを醸し出している。
  この大自然の摂理に身を置いたとき人は、俗世のしがらみから解放され、
  無垢な自分に還ることができる。

     (朝日歌壇2017.10.22付から選びました)
      
    (季節の香り№31)  (2017.11.5記)


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