「問題生徒」ってなに?(2)
「ラベリング」という危険性
私は、「安易にリストアップすべきではない」と思っています。
誰がリストを作成するのか。
作成者によってリストアップされる「問題生徒」が異なる可能性もあり、
慎重に検討することが重要です。
今回の事例では、「生活指導の先生」が資料として作成したということです。
報道には詳しい経緯は報告されていませんが、
こんな大切なことを生活指導の先生に任せてしまっていいのでしょうか。
たとえば、リストアップされた生徒を職員会議の場で精査し、
共通認識することが必要なのではないか。
それでも、「ラベリング」という問題が残ってしまう。
どういうことか。
『この生徒は「問題生徒」です』、
と特定の「マイナス要因のラベル」を貼ってしまうことは、
その生徒の真の姿を見誤らせて、貼られたラベルを通して見てしまう。
これを、「ラベリング」と言い、心理学の基礎講座で習う大切な項目です。
教育に携わる人間として、これは絶対にしてはいけないことです。
「いじめ・非行防止ネットワーク会議」は、種々雑多の分野人が参加しています。
失礼ながら、成り行きや順番で選ばれメンバーに加わった人も予想されます。
現に、今回配布された資料を持ち帰ったメンバーから、或いはその周辺から
ネットに流されたようです。
どうして情報の中に、住所や顔写真まで載せなければならなかったのでしょう。
明らかに、無配慮でいきすぎた好意で、「個人情報」の尊重から逸脱しています。
情報管理
資料には、『取扱注意』と明示してあったが、
出席者17人中13人が持ち帰ってしまった。
回収箱もなければ、回収の呼びかけもなかった。
通常、こうした「個人情報」等、極秘文書は、会議開催前に回収する旨を伝え、
出席者が多い場合には、配布資料に№を打ち、
未回収があった場合、誰の資料が未回収か分かるようにしないと
情報の流失は避けられません。
管理不足というよりも、
資料の重大性に配慮を欠いた行為と言われても仕方がないでしょう。
学校の役割は生徒を育て、守ることではないのか。
事件の概要を俯瞰すれば、学校が「問題生徒」として外部組織に
丸投げしてしまったかに見える事件です。
学校は生徒を育て、守る姿勢が問われています。
「問題生徒」として外部団体に資料提出したことにより、
学校の「生徒を守り育てる」という基本姿勢から、
最も大切なものを放棄したように思います。
学力の低い生徒や問題のある生徒を切り捨てる、「足きり行為」と
学校の「自己保身」に走ったことが、
根底にあるような気がしてとても残念です。
(つれづれに……心もよう№58)
(2017.04.01記)
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