世界は緊張の糸で結ばれている。
(風の行方№39)
あわただしい日程の中、広島滞在1時間。
メディアの見方は大統領の言動を好意的に捉えている。
「原爆ドーム近辺のビルから大統領の狙撃を阻止できない」
という理由で原爆ドーム訪問はできなかった。
まるで「ゴルゴ13」の世界だ。
もっともこれは、「ケネディ大統領暗殺」という苦い経験を持つ
アメリカの影の部分なのだろう。
銃による狙撃や乱射事件が珍しくないアメリカだが、
銃社会の撲滅は遅々として進まない。
むしろ自分の身は自分で守る、という意見と経済優先の根強く残るアメリカだ。
暗躍するスパイたちの熾烈な闘いも想像され、
こちらは「007」の世界を彷彿とさせる。
緊張を強いられる要人警護体制の中、
世界の核撲滅を詠うオバマ氏は広島に何を持ってきたのか?
オバマ氏が広島で「世界平和」を願うスピーチを行っている瞬間、
北朝鮮や中国、ロシアがその留守をねらって
抑止力の鎖を断ち切ってアメリカ本土に向かって、核のボタンを押したら
間違いなくこの世界は破滅してしまうだろう。
「核の抑止力」という制御は1年365日、24時間機能しなければ意味がない。
例外なしの最優先事項だ。
核超大国のトップの大統領が「核なき世界」を訴える一方、
平和記念公園に、核攻撃の承認に使う機密装置を(一般的には核のボタンと言われている)持った
軍人を同行させた。
抑止力という核の自縛から逃れられず、
オバマ大統領は、平和都市広島に「核のボタン」を持ち込まざるを得なかった。
何とも皮肉な顛末騒動記だった。