さんでんじです。

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君が、生きた日々。

2008-12-14 13:59:56 | Weblog
パソコンの中に取り込んだ、古い写真をパラパラと振り返ってみると、かつて住んだ杉並の写真が懐かしい。そんな中で、1枚のこの写真に目が止まった。8年前の写真だ。新しいコンパクトデジカメに買い換えたばかりで、パシャパシャとご近所を撮りまくった中の1枚だ。

門扉の下から、顔を覗かせる1匹の犬。眼の周りだけが黒くって、いつも寝そべっていた。なにか恨めしそうに眼だけをこちらに向ける。ちょうどアパートから善福寺川緑地公園に向かう、通り道の住宅街にその犬はいた。公園に行くたびに、通りがかると気になって、今日はいるかな、と。

時々、玄関の扉の前にいて、おいで、呼びかけると、のそりとカラダを動かして、また門扉の下で寝そべる。そして、いつもの眼の表情をこちらに投げかける。どうして欲しいんだろうと、私は考えるが、その当時は犬の相手の仕方も知らなかった。ビスケットのクズのようなモノが、時々、散らばっていた。ご近所さんが与えた、残りかもしれないと。

そして、ある時から、通りがかっても全く見かけなくなった。どうしたんだろ。なんの面識もない家だから、見ず知らずの私が聞くわけにもいかない。ひょっとして、と。それからしばらくして、玄関脇の犬小屋も消えていた。家人と思われる人が、庭で日向ぼっこをしている。やっぱり、そうだったんだ。

君が生きた日々を思う。その向こうの広い公園を、ご主人とのんびり歩いたかもしてない。見ず知らずの人が、門扉の向こうから声を掛けたかもしてない。そして、愛嬌のある姿を見せてくれた君。この写真があったから、また思い出せた。名前も知らない君を。

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