さんでんじです。

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見かけなくなった、おじいさん。

2011-01-20 01:45:17 | Weblog
夕方の散歩で、その家の前を通ると、ときどきおじいさんが玄関前に立っていて、私たちが通ると「陸ちゃん、これから散歩かい。いってらっしゃい」と声を掛けてくださっていた。そのおじいさんをプッツリと見かけなくなった。先日、家の人を見かけたので「おじいさんは、元気ですか」とたずねた。すると「寒いので、家の中にいます。元気です」と。以前は、冬の寒いときでも、庭木を眺めたり、植木鉢を動かしたりしていたのに、ね。ま、元気です、というんだから、こちらからはうかがい知れないが。本当にお元気なら、なによりですが。でも、このおじいちゃんは、ちょうど一年前から、顔の表情が変わってきた。急に目つきがきつくなり、顔がむくんでいた。妻は、きっと腎臓が悪いんだろうという。心配しても、よその家のことだから、どうしようもないが。

そういえば、去年の夏頃に、とある場所で、いつも決まった時間に、決まったコースを、娘さんかに付き添われて、たどたどしく歩いているおじいさんがいた。まるで、退院後のリハビリのような感じだった。それが、暑い夏を境に見かけなくなった。また、もう16歳です、という老犬も見かけなくなっている。夕方の散歩で、何気なく見ている光景。人が行き交ったり、犬を散歩させたり。自動車が通り、バイクが唸りを上げて走り去る。家や、マンションは無表情に佇んでいる。そうそう、人気のない家で、ある時、突然、内装工事かなにかの車が駐車場に入り、玄関から何かものを運び出していた家があった。年が明けると、不動産のチラシに、その家が売りに出されていた。いつも見ている景色のその裏側でも、何かが変わっている。いつも見ている光景でも、その中で何かが消えている。それが世の移ろいなんだろうな。虚しくも、寂しくもあり、しかし新しい何かが生まれてきていればいいのだけど。

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