君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

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『君がいる幸せ』 Artemisia編 一章「夢の在り処」 八話「変装それともコスプレ?」

2012-09-16 01:47:35 | 『君がいる幸せ』Artemisia編 夢の在り処
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット シャングリラのキャプテン。今はジョミーの専属。

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 一章「夢の在り処」 八話「変装それともコスプレ?」

「諦めろよ。ミアのデータ持ってるのジョミーだし…」
「ウイッグもあるぞ」
 と二人は楽しんでいる。
「……」
 マックスのお陰で簡単に衣装部屋はすぐに見つかった。
 衣装はきれいにウィンドウに並べられていて側に行くとスポットライトが点いてとても探しやすかった。
 肝心の制服は自分達のを使っていたのか少なかった。
 グレーの上級生の服は四着あるには、あったのだが、男子二着。女子二着だった。
 十四歳にしては小さい僕は、身体のサイズ的にも女子の制服を着る事になりそうなのは…「当然」って感じだった。
 二人とも金髪のウィッグをつけていた。
「ジョミーはウィッグなんていらないな。こっちで十分じゃないか?」
「何?」
「リボン」
「…もう、何でもいいよ…」
 彼らは軍人でもない普通の子供だ。
 こうしている事が怖くない訳がない、茶化していないと不安なんだ。
 何度も戦ってる僕にも不安はあった。
 それは二人とは違う物である事もわかっていた。


 先に出る事にした僕はここの位置と、目標の上級生のいるセンターまでの地図や監視モニターが復帰している場合の対処方を相談して、再びの合流を約束した。
「じゃ、行くね」
 と廊下を走って行こうとすると、キリアンが声をかけた。
「待った」
「何?」
「走らない方がいい」
「え、なぜ?」
「お前、女らしく走るって出来ないだろ?」
「それは、そんな風に走れなくたって良いんだよ。見つからなきゃいいんだから…」
「あっはは。そうだな。頑張れ」
 顔を見ると一人で行く僕を心配して声をかけてきたのだと言う事がわかった。
「うん。二人とも、気をつけて」
 僕は廊下に出て生徒の私室を抜けて管制塔へ向かった。
 それは、センタールートの方が早いけれど、私室の方にはもう生徒が居ないので、監視も少なく見つかる危険が低いと思ったからだった。
 でも、それは甘かった。
「誰かを探しているのは、当然か…」
 多分エディが一年の中に居ない事がわかり、センターとここで探しているのだろう。
 さっき、キリアンが「見つかりそうになったら」と渡してきた物があった。
 その黒い物を拡げて見ると、それは、魔法使いのようなマントだった。
「……」
 これを着て、あーはっはっはっは。と高笑いをしている自分が浮かんだ。
 ミュウを魔法使いとでも思っているのだろうか…。
「キリアン…。これ着て。パッと消えろって?…ちょっと前なら出来たんだけどね」
 僕は廊下の角から次の廊下を覗っていた。
 だが、海賊達が生徒の部屋を見て回っているなら、好都合かもしれない。
 部屋に入れたらネットが使えるかもしれない。
 他のブロックまでは無理だが、ここなら「僕の力を加えれば」ソルジャーズ達がどこに居るのかがわかるはずだ。
「まず、彼らを見つけないと…」
「誰だ!」
「!」
 僕は走り出した。
 廊下を二つ行った所で、前を塞がれた。
 僕は身を翻し、後ろからくるのに飛びかかった。が、前から来た男の反応がとても早く、僕は背後から殴られて気を失った。
  暗闇の中
「手短にしろよ」
「ああ」
「つっ…」
 どうやら気を失っていた時間はほんの数分だったようだ。
 僕は生徒の部屋の床に倒れていた。
 どこも縛られてはいなかった。
「さて、お嬢さん。何でここにいるのかな?」
「……」
「監視で入ってる軍人か?」
「……」
「まぁ、後で吐いてもらう。捕まえるのに手強かったって事で、殺しゃあしないからな」
 と、倒れたままの僕に覆いかぶさるように寄ってくる。
 僕は男を見たまま、手で後ろに下がった。
 男が動くタイミングに合わせて男の腹に足を思い切り蹴り上げた。
 男の運動能力の高さと鍛え方から蹴りは思ったより入っていないようだ。
 蹴りいれた右足を掴まれた。
「このっ」
 僕は足を引いてもう一度蹴った。
 もちろん、威力なんてない。
 だが、男は少しよろめいた。
「こいつ、子供だと思って手加減してやったのに」
「子供だと思うやつに悪戯しようとしたくせに」
「お前、女じゃないのか?」
 と同時に足を振り回され僕は部屋を転がった。
 僕がぶつかった先にあったデスクの上の物が落ちて音をたてた。
「騙しやがって…」
 男が唸る。 
「このクズやろう。ヤレなくて残念だったな…」
 そう言いながら僕は後ろ手で、力を溜めて剣を作ろうとしていた。
 男と僕が睨みあっている部屋のドアの外で人の声と音がしてドアが開いた。
「!」
 男が音も無く倒れた。
 死んではいなかったが意識は無かった。
「ケガはしていないか?」
 薄明かりの中、歩いてくるその人は途中に落ちている髪飾りを拾った。
 そして、僕に近づき髪に付けようとして
「これは付けなくてもいいね」
 と言った。
 僕は見上げて、
「貴女の方が似合うでしょうね」
 と言った。

 彼女の背後、ドアの外に銃を持った海賊がいる。
 彼女は倒れた男を連れて行くように指示をしていた。
 その指示が終わると僕の方に戻ってきてこう言った。
「そこ、血が出てる。診せてみろ」
 見ると左腕が出血していた。
「……」
 最初の廊下か、部屋へ投げ込まれた時か投げ飛ばされた時かわからなかった。
 左腕を触ると刃物のような物で切ったように制服が切れていた。
 廊下で切られていたのだろうと思いつつ上着とシャツを脱いだ。
「出血の割に浅い。だから気がつかなかったのだろう」
 僕はベッドに座り彼女は手早く処置をした。
「貴女は何者ですか?」
「それは、こちらも聞きたい。お前は何をしていた」
「今、助けてもらった事と治療してくれた事の、礼は言う。だけど、貴女が何者かわからない内は、僕は何一つ答えられない」
「そう?」
 彼女はしゃがみこんで僕をじっと見つめた後、いきなりキスをしてきた。
 僕は慌てて引き離した。
「な、何を…」
「生意気な子にはこうするのがいいのよ」と薄く笑っていた。
 身体に違和感が起きた。
 中心から痺れがくる気がする。
「何か…したな…」
「ちょっと口を滑らかにしただけ」
 と自分の唇を人差し指で触っていた。
「自白剤か…?」
 僕は胸を押さえたままベッドに横になった。
「…戻ってから…薬に過剰反応するんだ…もう…何もするなよ…」
「しないよ。君がちゃんと答えてくれればね」
 胸の動悸がだんだん治まってきた。
 落ち着いたのを見計らって彼女が質問を始めた。
「君の名前は、ミア・マクレーン?」
「…ミアではない」
 僕はゆっくりと答えた。
「ミアの正体は?学生じゃないな」
「学生じゃない。軍人…」
「どこから?所属は?」
「ペセトラから…諜報部、ただの監視要員」
「ペセトラ?正規軍?」
「ああ」
「君とミアは同僚とかか?」
「…違う」
「じゃあ、どういう関係なんだ?」
「…先輩と後輩…」
「それだけじゃないな。ミアのデータを持っているのは何故だ」
「身代わりになる為に」
「身代わり?では、ミアは何をしている?」
「ここには居ない…襲撃前に逃がした…」
「……」
「軍人が居たのでもわかるだろう?ここへの襲撃は予測されていた」
「それでは、エイドリアンが居ないのも君の所為か?」
「僕も探しているんだ」
「彼を?」
「僕の大事な人たちを」
「人たち?」
「そう」
「君は、何者なんだ?」
「僕はジョミー・マーキス・シン」
 淡く青い光が二人を包んでいた。
「思ったより時間がかかってしまったな…キリアン達は無事だろうか…」
 僕はこの部屋のネットが生きている事を祈りつつ、デスクに噛り付いた。
 ネットは動いた。
 僕はそこに自分の力を加えて彼らを探す。
 海賊に気付かれる前に…そして、予定通りに一度ステーションの機能を三秒程止めた。
 再起動後、三十秒でもう一度、機能が落ちるように操作した。
 センターの上級生がいる部屋の近くでキリアン達が隠れている。
 その彼らを次のダウン時に潜入させる計画だった。
 時間は三十秒。
「起きてください」
「……」
「貴女は何者なんです?」
「……」
「答えて」
「クリスティナ・デュッセルドルフ」
「!」
「デュッセルドルフ?グライムの何なんだ?」
「婚約者」
 その言葉に動揺した僕は彼女が銃を取った事に気付くのが遅れた。
 銃声が響く。
 それは、機能停止と同時だった。




  続く






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