君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

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『君がいる幸せ』 Artemisia編 番外 「夢の続き 雪月花」(前編)

2012-09-05 02:35:20 | 『君がいる幸せ』Artemisia編 夢の在り処
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。

   『君がいる幸せ』 Artemisia編 番外「夢の続き 雪月花」(前編)

※話に絡んでいない。全くの番外です;
 先日、ブルームーンだなぁ~と思っていたら…なんか、急に書きたくなって…
 閑話として挟むような内容でもなく、挟む場所もなく、
 六話「真実」から展開が変わるのでここで入れてみました。
 はい。
 恋愛要素が全然ないので、恋ばなが書きたくなっただけです;
 でも、どうも思っていたより長くなりそうな感じになってきました。
 ステーションで一章。
 次回の七話「襲撃」以降は戦闘シーンになるから、
 少し時間を下さい。
 その間、この番外の閑話を楽しんで頂ければ幸いです。

 深く考えないで一気に書いたので本筋と違うかも。。汗
 あ、書き忘れましたが、ギャグ風味のちょいBLです。
 それでは、どうぞ。


  「夢の続き 雪月花」(前編)
※時間軸 本編『君がいる幸せ』 惑星メサイア襲撃事件後

 白く淡い意識体、それは、人の思いの残り火
 僕はそんな存在だった…
 でも、それでも、まだ…側に居たいと…思う。

「で?だからって、何故、俺の所に来る?」
 僕の目の前には不機嫌を通り越して怒っている男がいた。
 彼の名は、キース・アニアン。
 僕を殺した男だ。
 僕は、またこの男に殺されるのか?

「大した事じゃない。ジョミーがブルーにキスしただけだ」
「はぁ?あのクローンにか?だからどうだと言うんだ」
「気にならない?」
「ならないな…お前が戻れないと言うのなら、どこでも空いてる部屋を使え」
 と出ていってしまった。
 実体の無い僕に部屋なんて必要はない。
 あいつが言いたいのは、どこかに閉じ込めたいが無理なら、好きにしろと言う事だろうな。
 別に来たくて来たんじゃない…。
 他に行く所が無くて、出たらここだっただけだ…。
 ジョミーはイグドラシルで彼を助けた。
 その意味を、その結果を知りたくて人類と生きる道を選んだ。
 いつしかそれが興味から変化して、自分という存在を理解出来る相手は彼だけだと思うようになった。
 そして、今は、彼を好きだと認識した。
 だから、クローンの僕にキスをした…。
 それで、僕は逃げ出した。
 ジョミー。
 君の心をこんな風に引っ張り出したら…君は僕とキースのどちらを追うのだろうか。

  数日後
「ブルー」
「ソルジャー・ブルー!」
 僕がいる部屋のドアを怒鳴りながらノックしているのは、僕の宿敵で恋敵のキース。
「開けた」
 そう返事をするとキースが部屋に飛び込んで来た。
「五月蝿いな」
「お前、実体じゃないくせに、そうやって放電するのは止めろ!」
「は?」
「だから、もう一時間近くここから変な電気が流れっぱなしなんだ。止めろ」
 そういえば、何かがスパークしている。
「あ、あれ?」
 実体が無い僕の力は現実にはそんな影響は出ないはず…。
「電気でも作って暮らすつもりか?」
「え…君でも、そんな冗談を言うんだな」
「幽霊なら幽霊らしくしていろ」
「は、わかったよ。了解…」
 薄く笑いながら答えて、ひらひらと手を振ってキースを見送った。
 ドアから出てゆこうとしたキースが言った。
「お前、身体が欲しいのか?」
 ドアが閉まった。
 そこをすり抜けて僕はキースについていった。
 ノアの官邸を地下に向かって降りてゆくエレベーター。
「俺はお前のような意識の塊を見たのは、シロエが初めてだった。次は、お前が俺の前に現れた。二人共、ジョミーの力であいつの身体を使って実体化したな」
「彼が僕らを救おうと思うからだ…」
「お前はあいつの前に現れた事がないのか?」
「…見せたくないんだ」
「……」
 どうして見せたくないと思うのかが、少しだけ解るような気がするキースだった。
「だが…」
「?」
「ジョミーを呼んだ。連れて帰ってもらう」
「そんな事だろうと思った」
 諦めたようなブルーを見て、もう今更だが、本当は何があって出て来たのかを突き止めないとジョミーに会わせられないような気がしたキースはジョミーが待つ部屋の前でブルーに聞いた。
「何があって出て来た?何故、姿が見せられないんだ?」
「…この中に…キース。君にはわかると思う…。僕はもう一人のジョミーの所へ現れる程の悪では無いって事だ」
 そう言うとブルーはキースの体とドアをすり抜けて中に入って行った。
 ブルーが通った時にある種の冷たさを感じてキースは後悔した。
 ジョミーに会わせてはいけない。
「オイ!待て!」
 キースはドアを開けた。
「だから、僕が何をしたって言うんだ」
 ジョミーが叫ぶ。
「君は何もしていない」
「ブルーなんでしょ?どうして…こんな…なんで…嫌だ…入ってこないで」
「ジョミー!」
 青い光と青い光がスパークして一瞬世界が見えなくなった。
「ジョミー!無事か?」
 目を開けた先には、白いブルーとジョミーが二人いた。
「二人?」
 さっきまではブルーの姿が見えていなかったジョミーがブルーを睨んでいた。二人で。

「だから、ブルーが僕の意識と交代しようとするから、こんな事になっちゃったんだ」
「…まさか…分裂するとは…」
 とブルーが驚いていた。
「人を細胞分裂したみたいに言わないでくれる」
「分裂じゃないのか?」
「僕は貴方の力に引っ張られた。だけど、抗った。その結果こうなった。ブルー。僕は惑星スメールでカナリアの攻撃を受けて分かれているんだ。その二つって事」
「ジョミー、じゃあ、二人は同じなのかい?」
「そう。だけ…ど…なに…」
「あれは、どう説明するんだ?」
 ブルーが指さす先には、もつれ合うようにキスするキースとジョミーがいた。
「うわぁ!?」
 駆け寄ったジョミーがキースを引き離した。
「ど、どういう事?」
「なんで大人しくキスされてんだ。キース。まさか、魅惑?」
 何?何で?と振り返ると、。
 引き剥がしたジョミーが今度は意識体のブルーとキスしていた。
「ブルーまで、呑まれないでよ!」
 と、今度はジョミーを掴んで引き剥がした。
 触った手から何かが流れ込んでくる。
「…!」
 「キース。こいつを閉じ込めて!」
 ジョミーが叫んだ。

 対ミュウ用に作られた格子の付いた部屋へ一人のジョミーを閉じ込めた。
「しかし、ブルー。どうして今まで僕の前に現れてくれなかったのですか?」
「出られないよ。僕にもプライドがある」
「冷たいな…僕が一番会いたいと思ってるのに…」
「そうだね」
「それで、どうしてさっき僕と入れ替わろうとしたの?」
「君が受け入れるか、意識が無い時でないと僕は君に入れない。僕はジョミーの本心が知りたかったんだ」
「僕に入ればわかるの?」
「…君が思いの塊になれば、言うと思って」
 歯切れが悪く言いよどむブルーを救ったのはキースだった。
「ジョミー。もういいだろう。そろそろ、あっちのをお前に戻した方がいいんじゃないか?」
 と、キースが言った。
「あっちのジョミーはまだ、一緒になりたくないらしいよ…」

 そうジョミーが言った瞬間。
 世界が一変した。
 力が抑え込まれる重さがある。
 格子がある部屋の中だ。
 入れ替わった!?
 さっきまで僕が居た場所にもう一人の僕がいる。

 目の前には何年も何年も求め続けたブルーがいる。
 そして、好きだと自覚したばかりのキースがいる。
 僕が彼らに何か話していた。
 ダメだ!
「やめろーーーーーー!」

 時間よ。止まって。
 僕を戻して…。
 僕がいけないんだ。
 わかっている。



     つづく







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