☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属。
『君がいる幸せ』 Artemisia編 一章「夢の在り処」 六話「真実」
※前回はセクハラ+パワハラ発言をしていますね^^;
今回もちょっとそんな感じが…。
僕らはジムへと戻った。
そのまま午後は授業に出なかった。
ジムの端末を使い、ジムの予定と一緒に簡単な説明を書いたメールをミアに送ったジョミー。
その間ずっと後ろから僕らを見つめる少年がいた。
彼は同じ一年で同じクラスだった。
僕が作業を終えたのを見て彼はこう言った。
「ジョミー。側で見ると、柔らかそうできれいな髪ですね」
「そう?君の髪の方がキレイだと思うんだけど」
僕が振り返った先には、薄く淡い色合いの金髪の少年が微笑んでいた。
「僕の髪はとても弱くて…すぐ切れてしまって…」
「伸ばしたいの?」
「あと少し伸ばせたらと…」
少年の髪はとても短髪だった。
それはそれで少年の髪の明るさを消すものでは無かったし、とても似合っていた。
「短いのが、とても似合っていると思うよ」
と思ったままの感想を言うと少年は顔を赤らめて俯いてしまった。
僕は彼をキリアンたちの所へ連れて行く事にした。
「……」
そんな少年の髪を見て、僕は記憶を巡らせていた。
ある女性の顔と、その兄の顔が浮かんだ。
僕は少年の顔を横から覗くように見ながら話しかけた。
「僕の髪はね。これ以上伸ばすとくるくるになってしまうんだ。あちこち跳ねて大変なんだよ」と言って僕らは笑った。
少年の名は、エイドリアン。
クラスではエディと呼ばれていた。
彼とキリアンとマックスは同じ地方都市の出身だった。
三人はここに来てからの知り合いだったが、やはり話は合うようだった。
「僕は、本当の両親を知らないけど、君たちはどうなの?」
会話の頃合いを見てジョミーが質問をした。
「俺は知らない。養父母なら居るけど」
キリアンが答えた。
「僕は居る。だけど、育てられてはいない。養子で育った」
とマックス。
「僕は、母親がいる。ずっと二人で暮らしてた」
とエディ。
「へぇぇ、エディは本当の母親なの?」
僕は彼を珍しそうに称えると母親の映像を見せてくれた。
「キレイな人だね。良く似ている」
確定か…。
彼の髪は母親譲りだ…。
父親が誰であるのかを彼は知っているのだろうか?
そして、彼は伯父を知っているのだろうか?
それと、良く見ると上級生のブロックよりこのブロックの方が軍の人間が入って来ていた。
僕らは午後の授業をエスケープした事の処罰が決まるまで、各自謹慎となった。
部屋に戻った僕は、シドに呼ばれた。
「軍の目的は、エイドリアンか?」
「彼を見つけましたか?」
「偶然、友人になった」
「セルジュからの情報を送信してもいいですか?」
暗号化されたその文を見て、ジョミーは立ち上がった。
「事はそうも時間をくれないようだ。管理部の職員に協力を要請しよう」
「了解」
僕らはセンターの管理施設に向かった。
シドはソルジャーズのジョミーとブルーも呼び出した。
もちろん、ミアも一緒だった。
「僕はジョミー。ここは軍の管理下に置かれる事となった。協力をして欲しい」
「僕の情報とそちらの情報を交換出来ませんか?」
僕はここに入って来ている軍人に話をした。
「エイドリアンの身辺を守れというもので私達は詳しくは知りません」
「監視ではなく守れというのなら、何故。ここに放置しているのです。軍らしく何か問題を作って彼を拘束すればいいでしょう?このままでは守りきれませんよ。」
「それは…拘束せよとは言われていませんので…」
多分、彼は何者かを呼ぶ為のエサなんだな…。
「……」
僕はため息をついた。
「ジョミー。これはどういう事なの?」
「僕達は、海賊がここを狙っている可能性があるとしか聞いていない」
ミアとジョミーとブルーが口々に聞いてきた。
「僕が説明します」
シドが言った。
「セルジュが教えてくれました。ここにはエイドリアンと言う一年生が入って来ました。それと同時に軍人の姿が増えました。軍人が増えたのは、海賊がここを狙うのでは?と僕らは探っていましたね。海賊の目的は彼だったのです。公表されていませんが、彼は将軍の実の息子で壊滅させられた恨みを晴らす為の標的ではないかと思われています」
「だから、守るには軍で拘束すれば良いって、ジョミーは…言ったのね」
とミアは言った。
それだけでは、納得がいかない。とソルジャーズの二人は思っていた。
「ステーション全体に警戒命令を、そしてすぐ避難をするようにして下さい」
ジョミーが管理棟全体に届くような声で言った。
「避難?」
声を上げたのは、ここでの全てを任されている管理長だった。
「ええ、逃げて下さい」
「そんな指示は受けていません」兵士が言った。
「ならば、海賊の襲撃を受けたら、彼を引き渡せば済むとでも言われていたのですか?」
「え、いえ、そんな事は。軍が守るからと…」教授たちが答えた。
「ここに居るこの人数で、彼だけでなく、五千人もの生徒をどうやって守ると?それが本当に出来ると思っているのですか?」
「…ここにも迎撃システムはあります」
「ここのシステムなんて…数秒もてば良いほうです。そして、それを誰が動かせますか?この管理棟からだけでは無理があります。銃座に座って敵を撃てと生徒に言うのですか?」
「数秒とは…そんな…」
「なんなら、この二人と模擬戦でもしてみますか?」
と、そう名指しされた二人。
ソルジャーズのジョミーとブルーがジョミーと管理長の間に割って入った。
「待って、ジョミー」
ジョミーが言った。
「俺だけで落とせますよ。十秒もかからない」
ブルーが付け加えた。
「ともかく、戦うのは無謀です」
と、シドが言った。
「ジョミー」
シドがジョミーに耳打ちをする。
「このままでは。最悪、エイドリアンだけでも逃がすべきかと」
少し考えてからジョミーは答えた。
「彼だけでも…か…わかった。そうしよう。シド、もし、見つかっても君の腕なら逃げ切れる」
「わかりました」
ジョミーはミアに側に来るように呼んだ。
「ミア。君もエディと一緒にシャトルで逃げてくれ」
「え、私が?」
「ああ、この状況を正しくエディに話せるのは君しかいない。僕が知っている彼についてのデータはここにまとめてあるから、目を通しておいて…」
ジョミーはデータを表示させ、ミアに送った。
「あの、私が行きたくないと言ったら?」
「ごめんね…今はそんな自由は許されない」
「……側に……」
「ミア。君の彼らの監視役の任を解く。替わりにエディの彼の命を守ってくれないか」
「……」
「この役目の方が君に合っている気がするし、君にしか頼めない」
「ジョミー…」
「彼は何も知らない子供だ。事実はきっと彼には酷だ。やさしくしてあげて欲しい」
ジョミーは優しく静かに微笑んだ。
「センターの管理者と教授の方々、エイドリアンについては、この僕に任せてもらう事にした。それでよろしいか?」
人間達の中でジョミーの言葉にホッとしてような空気が流れた。
それを不快な眼差しで一瞥して、ジョミーは宇宙(そら)を振り返った。
さっきまで、十四~五歳の子供の言う事など、と思える空気が流れていた。彼らは強力なミュウを引き連れて強引に物事を進めようとする僕を全く信じていなかった。それでも、エイドリアンを守りきれなかった場合の問題が彼らに聞く耳を持たせた。そして彼らの都合よく、その危機を僕が保護すると申し出た訳だ。
だが、安心するのはまだ早い。ここの危機はまだこれからだ。
「シドを欠くのは、痛手かもしれない…」
「僕らがいるよ」
とブルーが言った。
小型艇はミアとエイドリアンを乗せて飛び立った。
続く
<人物>
ジョミー キースの警護をしていたが今は教育ステーションに在学中 ジュピターは宇宙の軍を動かせる権限を持っている
キース・アニアン ノアの首相 人類の評議会議長を兼任
ソルジャーズ 人類が作ったブルージョミーのクローン(タイプブルー)
シド ミュウの優秀なパイロット 今はジョミーの専属。
『君がいる幸せ』 Artemisia編 一章「夢の在り処」 六話「真実」
※前回はセクハラ+パワハラ発言をしていますね^^;
今回もちょっとそんな感じが…。
僕らはジムへと戻った。
そのまま午後は授業に出なかった。
ジムの端末を使い、ジムの予定と一緒に簡単な説明を書いたメールをミアに送ったジョミー。
その間ずっと後ろから僕らを見つめる少年がいた。
彼は同じ一年で同じクラスだった。
僕が作業を終えたのを見て彼はこう言った。
「ジョミー。側で見ると、柔らかそうできれいな髪ですね」
「そう?君の髪の方がキレイだと思うんだけど」
僕が振り返った先には、薄く淡い色合いの金髪の少年が微笑んでいた。
「僕の髪はとても弱くて…すぐ切れてしまって…」
「伸ばしたいの?」
「あと少し伸ばせたらと…」
少年の髪はとても短髪だった。
それはそれで少年の髪の明るさを消すものでは無かったし、とても似合っていた。
「短いのが、とても似合っていると思うよ」
と思ったままの感想を言うと少年は顔を赤らめて俯いてしまった。
僕は彼をキリアンたちの所へ連れて行く事にした。
「……」
そんな少年の髪を見て、僕は記憶を巡らせていた。
ある女性の顔と、その兄の顔が浮かんだ。
僕は少年の顔を横から覗くように見ながら話しかけた。
「僕の髪はね。これ以上伸ばすとくるくるになってしまうんだ。あちこち跳ねて大変なんだよ」と言って僕らは笑った。
少年の名は、エイドリアン。
クラスではエディと呼ばれていた。
彼とキリアンとマックスは同じ地方都市の出身だった。
三人はここに来てからの知り合いだったが、やはり話は合うようだった。
「僕は、本当の両親を知らないけど、君たちはどうなの?」
会話の頃合いを見てジョミーが質問をした。
「俺は知らない。養父母なら居るけど」
キリアンが答えた。
「僕は居る。だけど、育てられてはいない。養子で育った」
とマックス。
「僕は、母親がいる。ずっと二人で暮らしてた」
とエディ。
「へぇぇ、エディは本当の母親なの?」
僕は彼を珍しそうに称えると母親の映像を見せてくれた。
「キレイな人だね。良く似ている」
確定か…。
彼の髪は母親譲りだ…。
父親が誰であるのかを彼は知っているのだろうか?
そして、彼は伯父を知っているのだろうか?
それと、良く見ると上級生のブロックよりこのブロックの方が軍の人間が入って来ていた。
僕らは午後の授業をエスケープした事の処罰が決まるまで、各自謹慎となった。
部屋に戻った僕は、シドに呼ばれた。
「軍の目的は、エイドリアンか?」
「彼を見つけましたか?」
「偶然、友人になった」
「セルジュからの情報を送信してもいいですか?」
暗号化されたその文を見て、ジョミーは立ち上がった。
「事はそうも時間をくれないようだ。管理部の職員に協力を要請しよう」
「了解」
僕らはセンターの管理施設に向かった。
シドはソルジャーズのジョミーとブルーも呼び出した。
もちろん、ミアも一緒だった。
「僕はジョミー。ここは軍の管理下に置かれる事となった。協力をして欲しい」
「僕の情報とそちらの情報を交換出来ませんか?」
僕はここに入って来ている軍人に話をした。
「エイドリアンの身辺を守れというもので私達は詳しくは知りません」
「監視ではなく守れというのなら、何故。ここに放置しているのです。軍らしく何か問題を作って彼を拘束すればいいでしょう?このままでは守りきれませんよ。」
「それは…拘束せよとは言われていませんので…」
多分、彼は何者かを呼ぶ為のエサなんだな…。
「……」
僕はため息をついた。
「ジョミー。これはどういう事なの?」
「僕達は、海賊がここを狙っている可能性があるとしか聞いていない」
ミアとジョミーとブルーが口々に聞いてきた。
「僕が説明します」
シドが言った。
「セルジュが教えてくれました。ここにはエイドリアンと言う一年生が入って来ました。それと同時に軍人の姿が増えました。軍人が増えたのは、海賊がここを狙うのでは?と僕らは探っていましたね。海賊の目的は彼だったのです。公表されていませんが、彼は将軍の実の息子で壊滅させられた恨みを晴らす為の標的ではないかと思われています」
「だから、守るには軍で拘束すれば良いって、ジョミーは…言ったのね」
とミアは言った。
それだけでは、納得がいかない。とソルジャーズの二人は思っていた。
「ステーション全体に警戒命令を、そしてすぐ避難をするようにして下さい」
ジョミーが管理棟全体に届くような声で言った。
「避難?」
声を上げたのは、ここでの全てを任されている管理長だった。
「ええ、逃げて下さい」
「そんな指示は受けていません」兵士が言った。
「ならば、海賊の襲撃を受けたら、彼を引き渡せば済むとでも言われていたのですか?」
「え、いえ、そんな事は。軍が守るからと…」教授たちが答えた。
「ここに居るこの人数で、彼だけでなく、五千人もの生徒をどうやって守ると?それが本当に出来ると思っているのですか?」
「…ここにも迎撃システムはあります」
「ここのシステムなんて…数秒もてば良いほうです。そして、それを誰が動かせますか?この管理棟からだけでは無理があります。銃座に座って敵を撃てと生徒に言うのですか?」
「数秒とは…そんな…」
「なんなら、この二人と模擬戦でもしてみますか?」
と、そう名指しされた二人。
ソルジャーズのジョミーとブルーがジョミーと管理長の間に割って入った。
「待って、ジョミー」
ジョミーが言った。
「俺だけで落とせますよ。十秒もかからない」
ブルーが付け加えた。
「ともかく、戦うのは無謀です」
と、シドが言った。
「ジョミー」
シドがジョミーに耳打ちをする。
「このままでは。最悪、エイドリアンだけでも逃がすべきかと」
少し考えてからジョミーは答えた。
「彼だけでも…か…わかった。そうしよう。シド、もし、見つかっても君の腕なら逃げ切れる」
「わかりました」
ジョミーはミアに側に来るように呼んだ。
「ミア。君もエディと一緒にシャトルで逃げてくれ」
「え、私が?」
「ああ、この状況を正しくエディに話せるのは君しかいない。僕が知っている彼についてのデータはここにまとめてあるから、目を通しておいて…」
ジョミーはデータを表示させ、ミアに送った。
「あの、私が行きたくないと言ったら?」
「ごめんね…今はそんな自由は許されない」
「……側に……」
「ミア。君の彼らの監視役の任を解く。替わりにエディの彼の命を守ってくれないか」
「……」
「この役目の方が君に合っている気がするし、君にしか頼めない」
「ジョミー…」
「彼は何も知らない子供だ。事実はきっと彼には酷だ。やさしくしてあげて欲しい」
ジョミーは優しく静かに微笑んだ。
「センターの管理者と教授の方々、エイドリアンについては、この僕に任せてもらう事にした。それでよろしいか?」
人間達の中でジョミーの言葉にホッとしてような空気が流れた。
それを不快な眼差しで一瞥して、ジョミーは宇宙(そら)を振り返った。
さっきまで、十四~五歳の子供の言う事など、と思える空気が流れていた。彼らは強力なミュウを引き連れて強引に物事を進めようとする僕を全く信じていなかった。それでも、エイドリアンを守りきれなかった場合の問題が彼らに聞く耳を持たせた。そして彼らの都合よく、その危機を僕が保護すると申し出た訳だ。
だが、安心するのはまだ早い。ここの危機はまだこれからだ。
「シドを欠くのは、痛手かもしれない…」
「僕らがいるよ」
とブルーが言った。
小型艇はミアとエイドリアンを乗せて飛び立った。
続く
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