父の病院に行くと「食事の前にオムツを換えますのでお待ちください」と言われた。
カンチョウをしたらしい。
ベッドのカーテンの向こうで父は男性の介護士さんにオムツを換えてもらっている。
「あぁ・・背中まで・・・」と言う声が聞こえ、汚れてしまって服も着替える事になったようだ。
父は大腿骨の骨折をしてから、体をちょっとでも動かそうものなら「イタイイタイ」と大騒ぎになる。カーテン越しから声を聞くだけでも、着替え一つで相当な苦労になっているようである。介護士さんは「ボクがついてます。大丈夫です。」と繰り返すが父は「痛い痛い」「助けてくれ」と繰り返すばかりだ。
「そこはつかまらないでくださいね」と言われているようなので、激しく抵抗しているのだろう。
私はここでぼんやり立ってるだけで良いものだろうか・・と思いもよぎるが、下手にシャシャリ出ても格闘先はウ○コ。。。。何もできないあげくに一度出てしまったら引っ込む事さえできなくなるという最悪のパターンが怖いので、カーテンの向こうで待つことにした。
介護士さんは少しでも気をそらせようと「お好きな食べ物はなんですか?」と関係ない話題に持っていこうとするが、父は相変わらず「痛い痛い」「助けてください」しか言わない。もしかしたら、もうそれ以外の言葉を忘れてしまっているのかも。。。。イタイイタイは毎日こうして使っているから口から出るのだろう。
父のイタイイタイを聞きながら、何十年後自分もこうなるのか・・・と思うと、いつもいつも何とも言えない気持になる。背中までウ○コがついてしまったのは、父が悪いわけではない。
でも、自分で始末もできず人に換えてもらうしかない恥かしさ。コントロール不能。
虚しい。
考える。
この先20年したら、もっと医学は発達して、病気は治る方法が見つかるかもしれない。
でも、果たしてそれで人は幸せになるのだろうか。
その間にも相変わらずカーテンの向こうからは「イタイイタイイタイ!」「助けてくれ!」と声が聞えてくる。さながら、私で言えばあの歯医者のイスに腰掛けて、ガガガガガ!とむし歯を削られている気分に近いのだろうか。あれこそ「助けてくれ」と言う気分である。
言葉もほとんどすっ飛んでしまって、体を動かすたびにあの気分になるのなら、何のために病気を治し、何のために生き続けているのだろう。痛い思いをするためなのか。
でも幸い父は、あっと言う間に記憶がなくなってしまう。
この痛みは、いつまでもは続かない。
そうやって格闘の後、父は車椅子に座らされ(その時も痛い痛いを連呼)、やっと食事をすることになった。
今日は細かく切ってとろみがついたマーボー豆腐、サラダも細かく離乳食のような感じ、それからおかゆ、とろみがついたお吸い物、デザートのプリン。
食べっぷりはよい。
アーンと大きな口を開けて食べる。
こうしていると、さっきの痛い痛いもどこかに消えてしまったようだ。
特にデザートは大好きなようで、すすりっぷりも良い。
そして今はとても穏やかで安らいででいるように見えた。
カンチョウをしたらしい。
ベッドのカーテンの向こうで父は男性の介護士さんにオムツを換えてもらっている。
「あぁ・・背中まで・・・」と言う声が聞こえ、汚れてしまって服も着替える事になったようだ。
父は大腿骨の骨折をしてから、体をちょっとでも動かそうものなら「イタイイタイ」と大騒ぎになる。カーテン越しから声を聞くだけでも、着替え一つで相当な苦労になっているようである。介護士さんは「ボクがついてます。大丈夫です。」と繰り返すが父は「痛い痛い」「助けてくれ」と繰り返すばかりだ。
「そこはつかまらないでくださいね」と言われているようなので、激しく抵抗しているのだろう。
私はここでぼんやり立ってるだけで良いものだろうか・・と思いもよぎるが、下手にシャシャリ出ても格闘先はウ○コ。。。。何もできないあげくに一度出てしまったら引っ込む事さえできなくなるという最悪のパターンが怖いので、カーテンの向こうで待つことにした。
介護士さんは少しでも気をそらせようと「お好きな食べ物はなんですか?」と関係ない話題に持っていこうとするが、父は相変わらず「痛い痛い」「助けてください」しか言わない。もしかしたら、もうそれ以外の言葉を忘れてしまっているのかも。。。。イタイイタイは毎日こうして使っているから口から出るのだろう。
父のイタイイタイを聞きながら、何十年後自分もこうなるのか・・・と思うと、いつもいつも何とも言えない気持になる。背中までウ○コがついてしまったのは、父が悪いわけではない。
でも、自分で始末もできず人に換えてもらうしかない恥かしさ。コントロール不能。
虚しい。
考える。
この先20年したら、もっと医学は発達して、病気は治る方法が見つかるかもしれない。
でも、果たしてそれで人は幸せになるのだろうか。
その間にも相変わらずカーテンの向こうからは「イタイイタイイタイ!」「助けてくれ!」と声が聞えてくる。さながら、私で言えばあの歯医者のイスに腰掛けて、ガガガガガ!とむし歯を削られている気分に近いのだろうか。あれこそ「助けてくれ」と言う気分である。
言葉もほとんどすっ飛んでしまって、体を動かすたびにあの気分になるのなら、何のために病気を治し、何のために生き続けているのだろう。痛い思いをするためなのか。
でも幸い父は、あっと言う間に記憶がなくなってしまう。
この痛みは、いつまでもは続かない。
そうやって格闘の後、父は車椅子に座らされ(その時も痛い痛いを連呼)、やっと食事をすることになった。
今日は細かく切ってとろみがついたマーボー豆腐、サラダも細かく離乳食のような感じ、それからおかゆ、とろみがついたお吸い物、デザートのプリン。
食べっぷりはよい。
アーンと大きな口を開けて食べる。
こうしていると、さっきの痛い痛いもどこかに消えてしまったようだ。
特にデザートは大好きなようで、すすりっぷりも良い。
そして今はとても穏やかで安らいででいるように見えた。