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官邸前 行ってきました(K)

2012-07-14 | 事務局のつぶやき・研究所では
 警視庁は、車道での事故やトラブルを防ぐためとして、国会周辺に7つのエリアを設けたようだ。すでに6時を過ぎていたので官邸前に最短距離で行ける道は交通規制されて通れず、内堀通りに沿って迂回して官邸前に向かった。近づくと鐘の音や交互に叫ぶ「再稼働反対」の声が聞こえた。中心と思われるところへ向かうが歩道は「再稼働反対」を叫ぶ人でいっぱい。プラカードやうちわを持ったり、鐘やタンバリンを鳴らしたり、シュプレヒコールなんていらない。みんな自分の声で訴えたい、そこに来た人はすべて叫んでいる。その気持ちにあっているのが「再稼働反対」。それをベースに、「原発いらない」「どこにもいらない」「子どもを守れ」が混じる。時折、マイクを握って訴える人もいるが、また、みんなの叫び声にかき消される。長いフレーズは流行らない。とにかく、いますぐ再稼働をやめてほしいという思いで「再稼働反対」を自分が訴えたい。
 夜8時ごろまで、ずっと叫び続ける。何度言っても再稼働をやめるまで終わることはない。若い青年、現役世代、中年もみんな一緒に。





 集会に参加しようと、地下鉄から官邸前に向かうとき、降りた駅が離れていたようで官邸前がわからない。何人もの人が、出口近くのある地図の表示板を見た。私も見ていると、若者が来て地図を見た。私は若者に声をかけ、一緒に会場まで行った。
 道々、若者が渋谷の学生であること、学生は参加者の気持ちを聞き来たことを話した。そして、私に質問をした。原発がなくなって電気料金が高くなることにどう思うか、と。すでに電気料金が高くなることを想定しているらしいので、原発は立地自治体への交付金や廃炉の費用、さらに、災害への賠償を入れたら風力発電よりも高いこと。現在が成り立っているのなら、値上げになる必要はないと答えた。
 立地自治体の雇用がなくなることにどう思うか、の質問も。そもそも一次産業が成り立たない仕組みが問題、若者の雇用と同じように日本の働き方がおかしい、働いて生活できる所得の保障が第一。そのためにどうするか、長い時間がかかるかもしれないが、それを考えるのが学生のテーマではないのか、と私は言った。とにかく、これからの時代は若者が大人になり、生きる時代。

 若者こそ傍観者ではなく、デモに参加してほしいと思いながらも、官邸前に来て参加者の意見を聞いて、自分の生き方を決める素材としようとしていることに協力しようと感じた。自分の足で調べ、自分で考え判断する、これは民主主義の社会をつくる土台だ。

 今度は16日。集会を広げ、理不尽な社会を変える。

「自然エネルギーが生み出す地域の雇用」(大友詔雄 編著)を読んだ(K)

2012-07-11 | 事務局のつぶやき・研究所では
 ようやく「自然エネルギーが生み出す地域の雇用」(大友詔雄 編著)を読むことができた。ドイツ・オーストリア・デンマークそして北海道の4つの町で取り組まれている自然エネルギーの利活用ですすむ産業振興と地域づくりの実践例が紹介されている。自然エネルギーの技術的到達点も触れられている。自然エネルギーは各地にあまねくあり、それでいて地域の自然特性で現れ方が違う。自然エネルギーは、小水力であったり、バイオマスであったり、太陽光でも、太陽熱でも小規模分散的に存在している。従って、そのもっとも効率的な活用は画一的でなく地域独特の方式とならざるを得ない。ここに大型プラント以外、メンテナンス、管理運転には大企業が入り込む余地はない。

 木材の自由化によって国産材が成り立たなくなっていたが、今は原油高騰で木質チップなどバイオマスがコスト面でも有利になった。

 自然エネルギーを普及させれば人間らしい暮らしができる社会になるのかというと、そうはならない、むしろ逆の方向に向くこともある。
 大量に発生するごみ処理、石油への依存からくる価格高騰や環境ホルモン問題、原発依存、農村の疲弊と都市への集中、これらは日本が加工貿易で国を豊かにしようとしてきたことが原因と指摘している。そして、これを推し進めた力は、人間の安全や暮らしよりも効率と利潤を優先させた社会にあった。まずは自分たちの社会がどんなひずみを持っているのか、徹底的に考えること。たとえ長い時間がかかっても、新しい価値観の醸成が必要なのです、としている。

 こうしたものの考え方や、スウェーデンの原発は高くつくという現実的計算に基づく判断、レスターブラウンの新エネルギーの紹介などにも及ぶ。

 放射能汚染問題についても、薄めて拡散するのではなく、吸収効率のいい植物を汚染地区の田畑で栽培し、海洋汚染の魚介類と一緒にバイオガス化し、残った消化液や残渣は太陽光で蒸発・濃縮して減容し、放射性廃棄物として貯蔵管理することを提案している。

 そして、すべてが町内の雇用創出と所得の確保、町の収入増をもたらすよう検討される。なぜ、自然エネルギーとまちづくりが大切なのか。あとがきで著者は次のように述べている。


 思い返せば30数年前、北海道泊原発の建設に反対する学習会が終わった時に、最後まで反対の意思を持ちながら「容認」という苦渋の選択をした1人の老漁師が、30代半ばに差し掛かったばかりの私に、涙ながらに語った、「原発は危険なものだということはよくわかっているけれど、それを拒否したら自分たちの未来は今のまま貧しいだけだ」、という言葉が、昨日のことのように胸を突く。その時の「地域を豊かにしなければ原発は止められない」という思いが、今日までの35年間の私の支えとなった。



 大飯町も福井県もこの老漁師と同じ思いかもしれない。この本で紹介されている北海道の町は困難な中でも、まちづくりに挑戦している。5月に訪問した葛巻町も住田町も困難な中から今がある。自分のまちが今までまちであったのだから何かがあるに違いない。エネルギー発見ツアーをはじめ、もう一度見直してみたい。

地域にどんなエネルギーがどのくらいあるかを調査することは、小さな自治体にとって負担を考えれば難しい。そこで、国は「地域新エネルギー策定等事業」を作り、新エネルギー全般の調査を100%補助してきた。事業を思いつきや感覚で行うのは危険であり、とてもありがたい制度でこれがなければ現在のような低炭素社会への取り組みがなかったかもしれない。現在この制度がなくなったことは大変残念であると、下川町職員はこの本の中で言っている。政府も原発再稼働に精力を注ぐ前に、この1年以上、新エネルギー転換への施策にどれだけ力を注いできたのか。国の姿勢も見直さなければならない。

大飯原発再稼働で節電が緩和というが、元々再稼働は必要ではない2(K)

2012-07-11 | 震災と原発
前回、次回で掲載とした省エネについて

エコロジカル・フットプリント
 原発に替わるエネルギーを考えるとき、同時に環境問題も考えなければならい。人間の経済活動に関わる根本的環境問題は、温暖化そして、資源の大量消費によって引き起こされる生態系破壊が主要な問題ととらえている。

 資源の大量消費はどの程度環境に負荷をかけているかを見るとき、エコロジカルフットプリントという尺度がある。WWF(world wild fund)とグローバルフットプリントネットワークが共同で、「エコロジカル・フットプリント・レポート 日本 2009 限りある資源で幸せに暮らすために」で定義と2006年の現状を次のように述べている。

定義
 エコロジカルフットプリント(消費EFc)とは「国内で消費された資源量」を指す。正確には、「ある国の国境内で発生する全需要を満たすために必要な耕作地・牧草地・漁場・森林地・生産能力阻害地に更に排出された二酸化炭素の吸収に必要な土地を加えた合計面積(エコロジカルフットプリント・生産EFp)」+「国内で生産された資源の輸出」-「国内消費のために輸入された資源」
 バイオキャパシティ(BC)とはその土地の生産力を考慮した「供給できる再生可能な資源生産量と廃棄物吸収量」と定義されている。
 単位はグローバルヘクタール(gha)で表す。

2006年の現状
 2006年、地球の総バイオキャパシティは119億gha(1人当たり1.8 gha)であった。一方、世界のエコロジカル・フットプリントは171億グローバル・ヘクタール(1人当たり2.6gha)であった。人類による需要は、地球が1年5カ月かかって再生産する資源と廃棄物吸収能力に等しい。

2008年の状況をグローバルフットプリントネットワークから見る
 グローバルフットプリントネットワークの2011 Data Tablesから、日本を含むアジア太平洋地域、EU,そして北米を見ると、2008年の状況は次のようです。

アジア太平洋地域




日本のどこが問題
日本の消費は日本の国土の再生産可能量(バイオキャパシティ:BC)のどれくらいを消費しているか。グローパルフットプリントは次の数値も試算している。


• CO2の排出は吸収量の10倍を排出。全体の2/3を占める。
• 耕作地はBCの4.5倍を消費しているが、しかし消費量は発展途上国並み
• 放牧地の製品は再生可能量の約20倍の消費
• 森林資源は3分の2しか使っていない
• 漁獲可能量の5倍を消費。他国と比較した場合上位10%に位置する。輸入量も多いが、日本の大陸棚でも再生可能量の3倍を獲っているので、このままでは漁獲資源は枯渇する。

 再生可能エネルギーへの転換と大量消費を改めること、森林の活用が必要だ。

大飯原発再稼働で節電が緩和というが、元々再稼働は必要ではない(K)

2012-07-10 | 震災と原発
 大飯原発再稼働で節電が緩和されたという報道が相次いでいる。節電を緩和していいのか、疑問を感じている。

 第一に、節電そのものが本当はそんなにも影響が大きいものではなかったので、原発再稼働も必要なかった。従って、再稼働によって緩めるということも茶番劇だということ。
 第二に、脱原発のために省エネと再生可能エネルギーへの転換が言われてきた。省エネは大量消費社会と決別し持続可能な社会への一歩ともなるものだった。日本は地球の生物再生能力の2.3倍の消費をし、日本国内の再生能力の7倍の消費をしているのだから、持続可能な社会のためには大量消費を早急にやめなければならない。(次回で掲載)

節電、電力需要について
需給検証委員会報告書(平成24年5月)では今年の電力の需給について次の報告をしている。


(注1)経済影響等、定着節電については上位3日分の電力需要平均値(H3)をベースに算出しているため、過去のH1/H3比率の実績から、最大電力需要(H1)に割り戻した際に生じた差分。
(注2)随時調整契約:電気料金を割り引く代わりに電力需給が窮迫した際は電気の使用を控えてもらう契約。抑制の度合いや通知から実行までの時間により、割引率は変わる。電力会社は契約相手に1〜3時間前に通知、ピーク時に抑制してもらう形が一般的。今回発動したのは、通知と同時に控えてもらう形のもの。
 90年は、バブル経済で急増した電力需要に発電設備の増強が追いつかず、契約履行を求める事態になった。
 2011 年の夏は、発動されておらず、随時調整契約はゼロ
ー朝日新聞掲載「キーワード」の解説ー
(注3)予備率:通常必要とされる7~8%の予備率から、気温上昇を除いた4~5%の予備率を残した上で融通を実施。需要期が近づいた段階で3%超分の融通量を段階的に見直し。

 検証委員会でも、2010年の猛暑を想定しても、25万kwの余力はあるとみていた。しかし、電源トラブルなどへの対応としての予備力を想定すると、2.9%の不足になるとしていた。

 一方、関西電力管内の需要について、過大ではないのかという疑問もあった。
―需要想定について(需要検証委員会平成24年5月2日配布資料)―

(図をクリックすると拡大します)
 東電や九電が昨年行った節電を今年も電力を70%以上継続できるとしているのに、関電は54%としていた。この根拠としたのが、「電力会社による需要家別のアンケートの分析」(同上配布資料)だった。

(図をクリックすると拡大します)
 東京電力管内は福島原発の事故を受けて、昨年は企業も家庭も18%と、できるだけの節電をし、今年も継続しようというのが東電管内の企業、住民の姿勢だ。しかし、関電や九電は同じような節電の呼びかけはなかったので、関電は10%だった。それを基準にしかも、関電の大口需要者は今年は節電は無理という。それを基準にした54%を節電という想定が妥当なのか、努力していると言えるのか。それを許す計画でいいのか。結局、何も変わらないという需給計画であったとも言える。

 今回の、節電緩和は節電の努力が必要ないというに等しく、一体、福島の原発事故を一切、教訓としていないと思える。デンマークもドイツもオイルショックやチェルノブイリの事故を受けて原発から再生可能エネルギーへとシフトした。それによって、いまや風力発電の輸出国になっている。イタリアもスイスも福島の事故を受けて同様にシフトした。当の日本は何で何も変わらないのか。持続可能な社会への転換は否応なくやってくる。官邸前のデモのように、子どもに生き続けられる環境を残せるよう、今、日本の若者は立ち上がっている。市民運動は熱しやすく冷めやすいと揶揄する人もいるが、一体、その人は持続可能な社会のため、子どものために何をするというのか。
市民運動が冷めても、福島原発事故や放射能汚染の危険は収束もしていないし、温暖化や生態系破壊は止まらない。だから、市民運動は冷められないのだ。