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脱原発そして再生可能エネルギー社会へ 電力は独占ではない(K)

2012-07-26 | 再生可能エネルギー社会
 自治体学校2日目は、「脱原発、再生可能エネルギー社会へ」分科会に出た。再生可能エネルギー社会への具体像は?そのためのより多くの情報を期待して参加した。新しく気づいたところだけを掲載する。

掛川市・・・金融機機関の支援が特徴的
 創エネ、省エネ、節電部門で日本一になろう
 ごみを出すのが一番少ないことから、環境先進自治体にが出発点
 企業、NPOなど掛川ストップ温暖化パートナー協定で推進。
 金融機関が支援 低利の信用。掛川信用金庫。

太陽光発電
 「中部環境先進5市サミット」で太陽光、風力発電、まちの中でも省エネを推進したこと。
 太陽光発電:5年後を個人住宅目途に2割の設置を目標(21年度、6.6% 5800戸)
 「中部環境先進5市共同宣言」でさらに太陽光発電の普及でエネルギーの分散化、再生可能エネルギー普及を推進
 「太陽と風 市民企業の力プロジェクト」 企業は三菱電機。市内設置業者に国内のものを使って設置
掛川モデル
 3.98KW 130万円 34万円でできる。補助金出ると103万円でできる。余剰電力の売却で8年で回収。屋根が広いなどモデルの条件が厳しいので、モデルの見直し。

風力発電
 遠州掛川風力発電所(遠州灘の海岸線)1基あたり500万kwh(1200)現在8基9600世帯分。
 現在、NPOが市民発電で2000kwhを作ろうと進めている。市が協力。市内で制作から運転管理まで回るようにしたい。

飯田市・・・ラウンドアバウトそして、太陽光発電30%の目標への接近、環境がまちおこしに

飯田市は、環境がすべての行政より優先とすることを決めた。それは、あらゆる分野にも及ぶ。
その例として、信号がない5差路に「ラウンドアバウト」(写真)を導入した。

車は左折進行のみで目的の方向に行ける。信号待ちがない、信号ないので災害時にも使える。パリの凱旋門のロータリーと同じだ。

企業ISO14001研究会
 97年6社発足から、現在31社7000人と拡大

2005年平成のまほろば
 太陽光発電の市民出資。家庭用太陽光設置率30%にしよう。
 メガソーラーいいだ:飯田市と中部電力(株)が共同で建設、運転を開始。18,000m2の市有地に設置された太陽光パネルは4,704枚。出力は1メガワットで、想定年間発電量は一般家庭300世帯分の使用電力に相当。
 様々なメニューで10%を超えたところ。出資金の配当金は2%。出資金なので元本保証ではないが、できるだけ安定的に運用している。詳しくは飯田市のHPを。

環境優先が起業に
 地元からの街灯の要求に、LEDを導入した。電気代が削減できることと、球切の回数が少なくなり経費節減になることで、導入しようとした。ところが、LED用の街灯は非常に高価だった。そこで、行政は考えた。市内の業者にLED用の街灯ができないかを相談した。それに応え、業者は安価なものを開発した。現在、市外からも注文があるほどだという。
 同様に、小水力発電機をモーターを使って開発したが、現在、効率のいい発電の実用化に向け検証中という。

助言者の問題提起・・・電力は独占という呪縛からの解放、エネルギーは地域分散型で、身近なモノの見直しで省エネ
1. 脱原発のための最大の問題「原発立地地域での雇用、原発補助金に頼らない地域経済の自立問題」に向かい合う必要性
2. 原発に頼らない、再生可能エネルギー型日本経済の構築
3. 省エネ社会への産業
にあったと思う。

1について
 一次産業→二次産業→三次産業への産業構造への発展への疑問⇒工業化のために農村を利用し尽くす(農業人口の労働者への追い出し、農地の工業地化、廃棄物処理場・原発などの押し付けなど)⇒生活が成り立たない農林業収入。水源・生態系保存地域としての山間地・農地の崩壊。こうしたことに都市部が農林業の再生に当面ファンドで支援すべき、との提案であった。そして、農林業の収入や山里の保全=生態系の保全で、その対価を支払う社会とすべき=都市と農村の共生を目指す、というものであったと思う。いわゆる農山村へのフェアトレードだ。

2、3について・・・産業の方向について
2について
 いつの間にか、国民自身が電力は電力会社が作り、価格を決めるものと、その独占体制に洗脳されていた。電力は自分でも作ることができる。デンマークでは自分たちで風力で発電している。電力は他の商品と同じで、作れるし、売買もできるものであったはず。
 また、大企業によるメガソーラーではやはり、農山村は自立できないままになる。地域の資源は地域に戻してこそ、農林業とエネルギー産業によって、農林業の正当な価格保証とともに、自立できる道が開ける。
3について
 「アルミサッシ」と「トリプルガラス」で、大量電気消費で熱伝導率のいいアルミを外気との接点で使うもので、「ムダ」の極み。大量のエネルギーを使うことしか考えない「ノー天気性」と特徴づけた。「トリプルガラス」の方がずっと、気密性が高い。
 また、スイスの自治体では年間の電力消費量を何年後までに1/3にすることを決めて、そこに向けて新たな仕組みや技術を開発しているという。
 脱原発と温暖化など環境問題の解決のために新たな産業構築が進められている。

視点の整理、新たな具体的進展 再生可能エネルギー社会への歩みが力強く進められている

生活保護率 諸外国に比べて低いというのが実態 自治体学校から(K)

2012-07-26 | 税と社会保障の一体改革
 第54回自治体学校が、7月21日から23日にかけて、浜松市で開かれた。3回に分けて報告したい。

生活保護の報告(第一日目のパネル討論会から)

 マスコミも動員された、生活保護バッシングの中で、生活保護費が削られようとしている。相次ぐ報道に、テレビの街頭インタビューで「2~3割くらい」と答えた人が多いという。報道されているような不正受給は一体どれくらいあるのか、生活保護の職場から実態が訴えられた。

実態は
 大田区役所生活保護面接員の渡辺氏は次のように語った。
 「2010年度の統計によると、「不正」受給額の合計は総額の0.38%。この中には高校生のアルバイトは申告しなくていいとの誤解からのものも多い。悪いことと知っていてやっている人はごく少数。根拠のない生活保護バッシングを口実とした生活保護切り捨ては、全国で問題となっている餓死・孤立死・自殺・心中事件を広げる恐れがある。」
と警鐘を鳴らした。
 そして、生活保護を受ける人が多過ぎるというような印象を与えるマスコミ報道が多いが、日本の生活保護受給額・率は先進諸国の中でも異常に低い、と数字をあげて言った。

メモが間に合わなかったので、私は具体的に調べてみた。以下のような数字だった。

公的扶助支出額のGDP比は、日本0.3%、イギリス4.1%、フランス2.0%、ドイツ2.0%、イタリア3.3%、アメリカ3.7%、カナダ2.5%。(表1参照)

しかも、年々下がっているのは日本だけ。(表2参照)

また、公的扶助を受けている人数の人口比(1992年)は、日本0.7%(今は205万人なので1.6%になっている。)、イギリス15.9%、フランス2.3%、ドイツ5.2%、イタリア4.6%、アメリカ10.0%、カナダ15.0%。

以上、「公的扶助制度の国際比較―OECD 24カ国のなかの日本の位置―」(海外社会保障研究1999年 埋橋 孝文)
 この数字は各国の定義が異なるので差があり、調査時点も古いが、これ以降の調査の数字は見当たらない。それにしてもあまりにも少ない日本の扶助額だ。これを見る限り、生活保護費が財政を圧迫するとは言えない。

渡辺氏は
 生活保護率は年々増えている原因について、
• 終身雇用制度の崩壊=非正規の拡大による、失業者の拡大。
• 低水準の年金制度
が最大の問題と指摘していた。

大田区の実例も紹介された
 「非正規で簡単に首を切られて雇用保険を受けられず、仕事も見つけられなくてうつ病になってしまう人が非常に多い。相談に来る人には新しい業種も。具体的にはマスコミ関係、番組スタッフ、週刊誌の専属カメラマン、音楽家としてバンドまで持っていた人。
 マスコミでは安易に来る人が強調されているが、生活保護でない方法はあるか、と最初に聞いてくる。しかし、実際に話を聞くと公共料金が数十万円、家賃も3か月6か月たまっていて、引っ越し費用もない、ホームレスになるのではという危機感から相談に来ている。貸し付けも返済能力がないと社会福祉協議会も貸さない。
 本人は生活保護になりたくない、と言うが、所持金がなくては生活もできないでしょうと説得して申請してもらうのが実態だ。」

札幌市白石区の姉妹「病死・餓死」事件はどのように起こったか
 白石区の事件についても触れた。
 「今年1月、白石区のアパートの一室で40代姉妹の遺体が発見された。42歳の姉は昨年末に病死、知的障害のある40歳の妹は姉の死後に凍死したと見られる。アパートは若い人の居住者が多いと思われるモダンな建物。そのアパートのすぐそばには病院があった。失業中の姉は3回も白石区の福祉事務所に相談に行っては追い返され、最後の相談の半年後に遺体で発見された。本当の絆が地域・行政にあればと思う」と。
 最後に自分で作詞作曲した、「傷名」(きずな)を歌って、必死に生きてきた2人がなぜ死ななければならなかったのか、会場の参加者に問いかけた。