第54回自治体学校が、7月21日から23日にかけて、浜松市で開かれた。3回に分けて報告したい。
生活保護の報告(第一日目のパネル討論会から)
マスコミも動員された、生活保護バッシングの中で、生活保護費が削られようとしている。相次ぐ報道に、テレビの街頭インタビューで「2~3割くらい」と答えた人が多いという。報道されているような不正受給は一体どれくらいあるのか、生活保護の職場から実態が訴えられた。
実態は
大田区役所生活保護面接員の渡辺氏は次のように語った。
「2010年度の統計によると、「不正」受給額の合計は総額の0.38%。この中には高校生のアルバイトは申告しなくていいとの誤解からのものも多い。悪いことと知っていてやっている人はごく少数。根拠のない生活保護バッシングを口実とした生活保護切り捨ては、全国で問題となっている餓死・孤立死・自殺・心中事件を広げる恐れがある。」
と警鐘を鳴らした。
そして、生活保護を受ける人が多過ぎるというような印象を与えるマスコミ報道が多いが、日本の生活保護受給額・率は先進諸国の中でも異常に低い、と数字をあげて言った。
メモが間に合わなかったので、私は具体的に調べてみた。以下のような数字だった。
公的扶助支出額のGDP比は、日本0.3%、イギリス4.1%、フランス2.0%、ドイツ2.0%、イタリア3.3%、アメリカ3.7%、カナダ2.5%。(表1参照)
しかも、年々下がっているのは日本だけ。(表2参照)
また、公的扶助を受けている人数の人口比(1992年)は、日本0.7%(今は205万人なので1.6%になっている。)、イギリス15.9%、フランス2.3%、ドイツ5.2%、イタリア4.6%、アメリカ10.0%、カナダ15.0%。
以上、「公的扶助制度の国際比較―OECD 24カ国のなかの日本の位置―」(海外社会保障研究1999年 埋橋 孝文)
この数字は各国の定義が異なるので差があり、調査時点も古いが、これ以降の調査の数字は見当たらない。それにしてもあまりにも少ない日本の扶助額だ。これを見る限り、生活保護費が財政を圧迫するとは言えない。
渡辺氏は
生活保護率は年々増えている原因について、
• 終身雇用制度の崩壊=非正規の拡大による、失業者の拡大。
• 低水準の年金制度
が最大の問題と指摘していた。
大田区の実例も紹介された
「非正規で簡単に首を切られて雇用保険を受けられず、仕事も見つけられなくてうつ病になってしまう人が非常に多い。相談に来る人には新しい業種も。具体的にはマスコミ関係、番組スタッフ、週刊誌の専属カメラマン、音楽家としてバンドまで持っていた人。
マスコミでは安易に来る人が強調されているが、生活保護でない方法はあるか、と最初に聞いてくる。しかし、実際に話を聞くと公共料金が数十万円、家賃も3か月6か月たまっていて、引っ越し費用もない、ホームレスになるのではという危機感から相談に来ている。貸し付けも返済能力がないと社会福祉協議会も貸さない。
本人は生活保護になりたくない、と言うが、所持金がなくては生活もできないでしょうと説得して申請してもらうのが実態だ。」
札幌市白石区の姉妹「病死・餓死」事件はどのように起こったか
白石区の事件についても触れた。
「今年1月、白石区のアパートの一室で40代姉妹の遺体が発見された。42歳の姉は昨年末に病死、知的障害のある40歳の妹は姉の死後に凍死したと見られる。アパートは若い人の居住者が多いと思われるモダンな建物。そのアパートのすぐそばには病院があった。失業中の姉は3回も白石区の福祉事務所に相談に行っては追い返され、最後の相談の半年後に遺体で発見された。本当の絆が地域・行政にあればと思う」と。
最後に自分で作詞作曲した、「傷名」(きずな)を歌って、必死に生きてきた2人がなぜ死ななければならなかったのか、会場の参加者に問いかけた。
生活保護の報告(第一日目のパネル討論会から)
マスコミも動員された、生活保護バッシングの中で、生活保護費が削られようとしている。相次ぐ報道に、テレビの街頭インタビューで「2~3割くらい」と答えた人が多いという。報道されているような不正受給は一体どれくらいあるのか、生活保護の職場から実態が訴えられた。
実態は
大田区役所生活保護面接員の渡辺氏は次のように語った。
「2010年度の統計によると、「不正」受給額の合計は総額の0.38%。この中には高校生のアルバイトは申告しなくていいとの誤解からのものも多い。悪いことと知っていてやっている人はごく少数。根拠のない生活保護バッシングを口実とした生活保護切り捨ては、全国で問題となっている餓死・孤立死・自殺・心中事件を広げる恐れがある。」
と警鐘を鳴らした。
そして、生活保護を受ける人が多過ぎるというような印象を与えるマスコミ報道が多いが、日本の生活保護受給額・率は先進諸国の中でも異常に低い、と数字をあげて言った。
メモが間に合わなかったので、私は具体的に調べてみた。以下のような数字だった。
公的扶助支出額のGDP比は、日本0.3%、イギリス4.1%、フランス2.0%、ドイツ2.0%、イタリア3.3%、アメリカ3.7%、カナダ2.5%。(表1参照)
しかも、年々下がっているのは日本だけ。(表2参照)
また、公的扶助を受けている人数の人口比(1992年)は、日本0.7%(今は205万人なので1.6%になっている。)、イギリス15.9%、フランス2.3%、ドイツ5.2%、イタリア4.6%、アメリカ10.0%、カナダ15.0%。
以上、「公的扶助制度の国際比較―OECD 24カ国のなかの日本の位置―」(海外社会保障研究1999年 埋橋 孝文)
この数字は各国の定義が異なるので差があり、調査時点も古いが、これ以降の調査の数字は見当たらない。それにしてもあまりにも少ない日本の扶助額だ。これを見る限り、生活保護費が財政を圧迫するとは言えない。
渡辺氏は
生活保護率は年々増えている原因について、
• 終身雇用制度の崩壊=非正規の拡大による、失業者の拡大。
• 低水準の年金制度
が最大の問題と指摘していた。
大田区の実例も紹介された
「非正規で簡単に首を切られて雇用保険を受けられず、仕事も見つけられなくてうつ病になってしまう人が非常に多い。相談に来る人には新しい業種も。具体的にはマスコミ関係、番組スタッフ、週刊誌の専属カメラマン、音楽家としてバンドまで持っていた人。
マスコミでは安易に来る人が強調されているが、生活保護でない方法はあるか、と最初に聞いてくる。しかし、実際に話を聞くと公共料金が数十万円、家賃も3か月6か月たまっていて、引っ越し費用もない、ホームレスになるのではという危機感から相談に来ている。貸し付けも返済能力がないと社会福祉協議会も貸さない。
本人は生活保護になりたくない、と言うが、所持金がなくては生活もできないでしょうと説得して申請してもらうのが実態だ。」
札幌市白石区の姉妹「病死・餓死」事件はどのように起こったか
白石区の事件についても触れた。
「今年1月、白石区のアパートの一室で40代姉妹の遺体が発見された。42歳の姉は昨年末に病死、知的障害のある40歳の妹は姉の死後に凍死したと見られる。アパートは若い人の居住者が多いと思われるモダンな建物。そのアパートのすぐそばには病院があった。失業中の姉は3回も白石区の福祉事務所に相談に行っては追い返され、最後の相談の半年後に遺体で発見された。本当の絆が地域・行政にあればと思う」と。
最後に自分で作詞作曲した、「傷名」(きずな)を歌って、必死に生きてきた2人がなぜ死ななければならなかったのか、会場の参加者に問いかけた。
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