今日は比較的穏やかな天候だったので、
ふわふわした気持ちで、銀行に向かって歩いていたら、
いきなり目の前で、おばあさんが頭から前に倒れた。
目の錯覚というよりも、あまりにも現実感がない光景で、
反射的に駆け寄って声をかけたんだけど、
自分の行動も含めて、なんだか違うところから眺めているような気分だった。
おばあさんはすぐに顔を上げて、会話ができるようになった。
さいわい、倒れた衝撃は、すべて眼鏡が吸収してくれていて、
眼鏡は壊れたけど、怪我ひとつしていなくて、立ち上がることもできた。
聞くと100メートルくらい先の団地に住んでいるということだったので、
家まで送って行くことにした。
うるさいだろうけど、変化がわかるから、道中はずっと話しかけていた。
どうやら一人暮らしのようだった。
でも、指には結婚指輪をしていたから、きっとご主人に先立たれたのだろう。
結婚指輪は、いまでもキラキラ輝いていて、
すごく大切にしているようだった。
玄関先まで行くと、ちょっと待っててと言われた。
少しだけ見えた部屋の中は、きちんと片付けられていて、
掃除も行き届いているようだった。
物は少ないけれど、丁寧に使われている清潔な家、という雰囲気。
きっと、なでるようにやさしく掃除をしているのだろう。
そして、ありがとう、と、りんごをひとついただいた。
ひとつしかないけどね、と。
今日は一日中、カバンを開けるとりんごの香りがして、
とてもやさしい気持ちになった。
私が70歳くらいになったとき、
あんな生活ができていたらいいな、と思った。
普段はひとりぼっちなのだろうし、
物は少ないし、とても裕福という雰囲気ではなかったけれど、
家の中に、感謝というか、あたたかさというか、
なんともいえない、ゆたかな空気が流れていた。
時代からは忘れられた存在かもしれないけど、
あんな年齢の重ね方は、とてもいいと思う。
ふわふわした気持ちで、銀行に向かって歩いていたら、
いきなり目の前で、おばあさんが頭から前に倒れた。
目の錯覚というよりも、あまりにも現実感がない光景で、
反射的に駆け寄って声をかけたんだけど、
自分の行動も含めて、なんだか違うところから眺めているような気分だった。
おばあさんはすぐに顔を上げて、会話ができるようになった。
さいわい、倒れた衝撃は、すべて眼鏡が吸収してくれていて、
眼鏡は壊れたけど、怪我ひとつしていなくて、立ち上がることもできた。
聞くと100メートルくらい先の団地に住んでいるということだったので、
家まで送って行くことにした。
うるさいだろうけど、変化がわかるから、道中はずっと話しかけていた。
どうやら一人暮らしのようだった。
でも、指には結婚指輪をしていたから、きっとご主人に先立たれたのだろう。
結婚指輪は、いまでもキラキラ輝いていて、
すごく大切にしているようだった。
玄関先まで行くと、ちょっと待っててと言われた。
少しだけ見えた部屋の中は、きちんと片付けられていて、
掃除も行き届いているようだった。
物は少ないけれど、丁寧に使われている清潔な家、という雰囲気。
きっと、なでるようにやさしく掃除をしているのだろう。
そして、ありがとう、と、りんごをひとついただいた。
ひとつしかないけどね、と。
今日は一日中、カバンを開けるとりんごの香りがして、
とてもやさしい気持ちになった。
私が70歳くらいになったとき、
あんな生活ができていたらいいな、と思った。
普段はひとりぼっちなのだろうし、
物は少ないし、とても裕福という雰囲気ではなかったけれど、
家の中に、感謝というか、あたたかさというか、
なんともいえない、ゆたかな空気が流れていた。
時代からは忘れられた存在かもしれないけど、
あんな年齢の重ね方は、とてもいいと思う。