映画鑑賞感想文

濫観っていうか、乱観っていうか・・・ポリシーないですけど(^^;

『ナイロビの蜂』 '05 英

2006-05-25 17:43:21 | Weblog
【スタッフ】
監督:フェルナンド・メイレレス Fernando Meirelles
製作:サイモン・チャニング・ウィリアムズ Simon Channing Williams
製作総指揮:ジェフ・アッバリー Jeff Abberley
ジュリア・ブラックマン Julia Blackman
ゲイル・イーガン Gail Egan
ロバート・ジョーンズ Robert Jones
ドナルド・ランヴォ Donald Ranvaud
原作:ジョン・ル・カレ John Le Carre
脚本:ジェフリー・ケイン Jeffrey Caine
撮影:セザール・シャローン Cesar Charlone
プロダクションデザイン:マーク・ティルデスリー Mark Tildesley
衣装デザイン:オディール・ディックス=ミロー Odile Dicks-Mireaux
編集:クレア・シンプソン Claire Simpson
音楽:アルベルト・イグレシアス Alberto Iglesias
【スタッフ】
レイフ・ファインズ Ralph Fiennes 
レイチェル・ワイズ Rachel Weisz
ユベール・クンデ Hubert Kounde
ダニー・ヒューストン Danny Huston
ビル・ナイ Bill Nighy
ピート・ポスルスウェイト Pete Postlethwaite
ジェラルド・マクソーリー Gerard McSorley
ジュリエット・オーブリー Juliet Aubrey
リチャード・マッケーブ Richard McCabe
アーチー・パンジャビ Archie Panjabi
【ストーリー】
英国外務省一等書記官のジャスティンは、代理で出席した講演会で、猛烈に噛み付いてきた弁護士のテッサと惹かれあい、結婚する。そして二人は、ケニアのナイロビに行く。ガーデニングが趣味である事なかれ主義のジャスティンと、問題意識が強く行動派のテッサは、お互いに相手の仕事に干渉しないことで良好な関係を維持していた。が、ある日、テッサは救援活動の為に出向いた土地で何者かに殺されてしまう。警察は同行していた黒人医師アーノルドを疑うが、ジャスティンにはそれが信じられなかった。とはいえ、妻とアーノルドとの間に、自分には立ち入れない強い絆があることを感じていたジャスティンは、真実を求めて事件を調べ始める。すると、たちまち彼の捜査に妨害が入り、テッサの突き止めたものが巨大製薬会社とボランティア活動に関わった国際的陰謀であったことを知る。当然、ジャスティンの身にも、テッサと同じ危険が迫ってきた・・・
公式ホームページ http://www.nairobi.jp/

【個人的感想(多少、ネタバレあり)】
う~ん・・・微妙(^^;。悪くはなかった・・・全然、悪くはなかった。ル・カレ原作だから、あまり華やかなエンターティメントは期待してなかったけれど、その点においては期待以上だったし・・・アフリカ大陸を疾走するレンジ・ローバーに見惚れたし(^^;。
じゃぁ、何が微妙だったかと言うと・・・テッサのジャスティンへの愛情が、本当らしく見えなかった点かな。ラストで、テッサは本当にジャスティンを愛していたんだってことを、作り手側が強く訴えてくるのを感じたけれど・・・それでも、今ひとつ、それが信じられなかった。ジャスティンがテッサに惹かれていくのは、よく分かった。好きだけど彼女に立ち入っていけない躊躇いや淋しさ、自分の知らない妻を知っている人たちへの嫉妬、だからこそ彼女の死の原因を自分の手で突き止めたかった気持ちなど、とても良く理解できた。けど、テッサが何故ジャスティンを選んだのか・・・彼が彼女の活動にとって最高に都合がいい男だったという以上のものを感じられなかったので、とても美しいラブストーリーだとは受け止められなかった。それならそれで、愛した女に利用され取り残された男としてジャスティンを描ききってしまえば、潔くて面白かったかもと思う。
それでも、一箇所、涙が零れてしまったシーンがある。それは、証人となる医師を追ってジャスティンが難民キャンプに行ったとき、盗賊団が現れて、キャンプの人たちが逃げ惑うシーンだった。ジャスティンは、一人の少年を自分が乗って来た支援グループの飛行機に逃げ込ませるのだけれど、支援団のパイロットが少年は乗せられないと言うのだ。「今、この子を降ろしたら、この子は死ぬ」と怒るジャスティンに、パイロットは静かに「外には何千もの難民がいる。皆は助けられない。だから、例外は作れない。これが、ここの現実だ」と言うんです。すると、二人の言い争いをジッと聞いていた少年が、自ら飛行機を降りて、走り出すんです・・・これには、参りました。今、書いてても、涙が出てきます。現実・・・そう、現実は、あまりにも厳しい。それを、子どもたちが受けいれている。一方では、セレブじゃなんじゃと、馬鹿みたいな金の使い方をしている連中を、持て囃しいてる国もあるというのに。
というわけで(どういうわけだろ(^^;)、ル・カレの原作ですから、プロットは、めちゃくちゃシッカリしてます。役者さんも固いところを使ってきています。個人的には、主演のお二人は苦手なのですが、一般的には良い配役と言えるでしょう。悪役ペレグリン役のガイも、好い味を出してました。映像もキレイで、展開もスタイリッシュってやつだったし・・・トータルでは、とても良い作品と言ってよいのではないでしょうか(^^;。

『リバティーン』 '05 英

2006-05-23 18:04:21 | Weblog
【スタッフ】
監督:ローレンス・ダンモア Laurence Dunmore
製作:リアンヌ・ハルフォン Lianne Halfon
   ジョン・マルコヴィッチ John Malkovich
   ラッセル・スミス Russell Smith
製作総指揮:チェイス・ベイリー Chase Bailey
   スティーヴ・クリスチャン Steve Christian
   マーク・サミュエルソン Marc Samuelson
   ピーター・サミュエルソン Peter Samuelson
   ラルフ・カンプ Ralph Kamp
   ルイーズ・グッドシル Louise Goodsill
原作戯曲&脚本:スティーヴン・ジェフリーズ Stephen Jeffreys
撮影:アレクサンダー・メルマン Alexander Melman
プロダクションデザイン:ベン・ヴァン・オズ Ben van Os
衣装デザイン:ディーン・ヴァン・ストラーレン Dien van Straalen
編集:ジル・ビルコック Jill Bilcock
音楽:マイケル・ナイマン Michael Nyman
【キャスト】
ジョニー・デップ Johnny Depp
サマンサ・モートン Samantha Morton
ジョン・マルコヴィッチ John Malkovich
ロザムンド・パイク Rosamund Pike
トム・ホランダー Tom Hollander
ジョニー・ヴェガス Johnny Vegas
ケリー・ライリー Kelly Reilly
ジャック・ダヴェンポート Jack Davenport
リチャード・コイル Richard Coyle
フランチェスカ・アニス Francesca Annis
ルパート・フレンド Rupert Friend
ポール・リッター Paul Ritter
スタンリー・タウンゼント Stanley Townsend
【ストーリー(若干、ネタバレあり)】
1660年代、科学技術や芸術が急速に発達し、性の自由に対する考え方も大きく発展していった王政復古のイギリスが舞台。国王チャールズ二世の妻の親族の前で無作法な振る舞いをした為に追放されて三ヶ月、ジョン・ウィルモットは恩赦を受け、妻と共にロンドンに戻ることになる。彼女が十八歳の時、待ち伏せし浚い我がモノにした妻と共に。
ロンドンに戻った彼は、悪友たちがたむろするバーと、劇場と、馴染みの娼婦ジェーンのところに入り浸る生活。そんな中で、彼は一人の女優と出会う。舞台の上で、素人顔負けの下手な台詞回しを聞かせる彼女に、観客は容赦ない罵倒を浴びせかけるが、彼だけは彼女に何か特別なものを感じたのだ。彼は、その女優エリザベスに演技指導を申し出る。彼の真意を測りかね、最初は拒絶していたエリザベスだったが、彼女も彼の中に何かを感じ、二人の個人レッスンが始まった。
二人のレッスンに、熱が入り、彼女の芝居が良くなっていくにつれて、彼の思いは女を思う男のそれへと変化していく。普段は放蕩な彼だが、何故だかエリザベスに対してだけは、安易に手を出せず苦悩する。
が、エリザベスの方は、彼への強い思いを抱きながらも、女優としての野心を燃やす。そして、政治に彼の才能を利用しようとしている国王の密偵になることも引き受ける。エリザベスが、彼の行動を監視していたにも関わらず、彼は見事に国王に恥をかかせ、姿を消す。が、国王の追っ手からは逃れても、病は確実に彼を捕らえていた。放蕩のツケ、梅毒が彼を蝕んでいたのだ・・・
公式ホームページ http://www.libertine.jp/

【個人的感想(ネタバレあり)】
観る前から「これぞ、デップの映画って感じじゃない?!」と思っていたが、間違いなかった(爆)。始まってすぐ、デップ自身が大いに気に入って、気分良く演じているなと感じたから、その時点で、わたし的にはOKな映画になった(^^)。
それとは別に、個人的にハマッタ台詞が冒頭にあったから、もう「お気に入り度」はウナギノボリさ(笑)。その台詞は、最初の独白シーンのラスト「どうか私を好きにならないでくれ」ってやつ。これは、わたしにとってはツボもツボ・・・切ない、痛い、愛しい・・・そして居たたまれない。
けど、まるで不満がないわけでもない。前宣では「前半の美男なデップと、後半の堕ちたデップをお楽しみあれ」って話だったから、後半を中心に凄く期待していたのだけど、あれじゃぁ、堕ち方が足りないっしょ(爆)。もっと、みんなに背かれ捨てられ、心も体もボロボロになって陋巷でボロ布のようになって野垂れ死ぬのかと思ったら、思いっきり皆に愛されちゃってるじゃないかぁ。たしかに、容姿は崩れたメイクになってたけど、めちゃくちゃ美しいラストだと、わたしは感じたよ。
奥さんの愛情なんて、もうこれ以上望めない深くて美しい愛だったし、ずっと付いてきてくれた召使もいるし、お母さんだって、国王だって、彼のことを本当は全然見捨ててないもん。一番きついダメージを与えてくれることを期待した女優のエリザベスだって、裏切りはしたけど本当は愛してくれてる感じだったでしょ。苦悩の末に女優の道を選んだけど、押さえ込んでいる彼への想いが滲み出てるって感じのお芝居だったもん。あれじゃぁ、まったく惨めじゃないっすよ。
そう言えば・・・彼の放蕩さとか、非常識さも、足りなかったなぁ。どの行動も心理も、とてもよく理解できたし、共感すらできたよ(爆)。女関係は、奥さんと、女優のエリザベスと、誰よりも彼を理解してくれていた娼婦との、三人分しか描かれてなくて・・・実際には、ハードな濡れ場のシーンもなく、正直、まったく放蕩をしているように見えなかった。奥さんに対しては「優しくしたいけど・・・」なんて辛そうな表情で言っちゃうし、娼婦との関わりは結構好い感じの友情も含まれてるし、才能や感性の部分で結びついた女優とは最初なかなか肉体関係が持てなかったりとか・・・放蕩とは逆の真面目で繊細な愛情を感じちゃったもん。
王に逆らって露骨な性表現や国政批判をして自分自身を追い詰めるようなことをする自虐的ニヒリズムも、そんなことをしながらも結局は王を庇うところも、詩や舞台に対してみせる高揚も、他人が見ないものを見、他人が感じようとしないものを感じようとする人間の切なさにしか見えなかったしね。
って・・・だから、結局何が言いたいかと言うと・・・この程度の堕ち方なら、巧い役者さんなら、デップじゃなくて他の人でも出来るということが、何よりも不満だということなわけです。つまり、デップなら、もう一歩、いやもう三歩は踏み込んだ崩れ方が出来る・・・もったいないってことです、はい(^^;。
最後になりましたけど・・・脇キャラ、とっても好かったです。ロチェスターに拾われてから最後まで彼の側に居たオールコック、梅毒の彼を支え逃亡を助けた娼婦のジェーン、それから劇場の裏方のオバサン・・・それぞれに、邪魔にならない存在感で光ってました。こういうところが、映画の深みになりますよねぇ~、はい(^^)。

『日曜が待ち遠しい』 ’85 仏

2006-05-20 17:03:29 | Weblog
【スタッフ】
監督:フランソワ・トリュフォー Francois Truffaut
製作:アルマン・バルボール Armand Barbault
原作:チャールズ・ウィリアムズ Charles Williams
脚本:フランソワ・トリュフォー Francois Truffaut
   シュザンヌ・シフマン Suzanne Schiffman
   ジャン・オーレル Jean Aurel
撮影:ネストール・アルメンドロス Nestor Almendros
   フロラン・バザン
   テッサ・ラシーヌ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue
【キャスト】
ファニー・アルダン Fanny Ardant
ジャン=ルイ・トランティニャン Jean-Louis Trintignant
カロリーヌ・シホール Caroline Sihol
ジャン=ピエール・カルフォン Jean-Pierre Kalfon
フィリップ・モリエ=ジュヌー Philippe Morier-Genoud
フィリップ・ローデンバック Philippe Laudenbach
【ストーリー】
南仏の小さな町で不動産屋の秘書をしている女性(アルダン)は、妻殺しの疑いをかけられたオーナー(トランティニャン)の疑いを晴らそうと奔走する話。

【感想】
なんと、トリュフォーの遺作だそうです。それにしては、軽快で爽やか(^^;。ちょっと、もっさりしている部分は、わざとじゃないかと思う。白黒で撮っていることもだけれど、今風を避けて、往年のお洒落さを出したかったのでは。アルダンの、茶目っ気とカッコ好さが混在している感じも、それと合っているし。アルダンは、トリュフォー晩年の恋人だという話だけど、主演に自分の女を使う場合の、好い方の効果が出ている気がする(^^;。
あのトリュフォーの遺作だと思うと構えてしまうけれど、気楽に楽しむのが好いと思う。監督も、気楽に思いっきり楽しみながら撮ったのではないかと思える映画です。

『天国の本屋 恋火』 '04 日本

2006-05-15 14:57:55 | Weblog
【スタッフ】
監督: 篠原哲雄
原作: 松久淳/田中渉
脚本: 狗飼恭子/篠原哲雄
音楽: 松任谷正隆
【キャスト】
竹内結子、玉山鉄ニ、香里奈、新井浩文、香川照之、原田芳雄
【公開時コピー】
完成しなかったピアノ組曲…。
2度と上がらなくなった“恋する花火”…。
地上と天国が出逢うとき、
結ばれなかった恋人たちに、奇跡がおこる。
願いはかなう。
想いは伝わる。
【ストーリー】
健太はピアニスト。が、あまりにも自由な演奏をするため、リストラされてしまう。何故だと不満を口にしながら飲んだくれて眠り込み、目が覚めたら、生きたまま天国に連れてこられていた。天国の本屋で、無理やり短期アルバイトをさせられることになった健太は、そこで彼がピアニストになる切っ掛けを作ってくれた憧れの女性に出会う。が、彼女は生前の悲しみから、ピアノが弾けなくなっていた。健太は、彼女を励まし、一緒に未完成の組曲の創作に取り組む。
一方、地上では、下町の菓子屋の娘・香夏子が、商店街の青年会の仲間と一緒に、十数年間途絶えていた花火大会を再開させようと奔走していた。街の人たちから花火大会の最後を飾っていた「恋する花火」という和火のとを聞いて、是非、それを打ち上げたいと思い、その花火を作ったという職人に出会うのだが、彼は自分が起こした火薬事故でピアニストだった恋人の片耳を聞こえなくしてしまった過去に苦しみ、花火作ることを自らに禁じてしまっていた。そして、その花火師の恋人とは、すでに病で他界した香夏子の叔母だった。香夏子は、叔母のためにも、もう一度花火を作って欲しいと懇願するのだが・・・。
公式ホームページ http://movie.www.infoseek.co.jp/feature/tengokunohonya/

【個人的感想】
ありていに言えば「ありえない話」なわけですよね、こういうストーリーって。それを、キレイに言えばファンタジーってことになるんでしょうが・・・この映画の場合は、完全ファンタージーではなく、普通な部分もあって・・・そうなると、まるままのファンタジーより、さらに興ざめの危険が増しますよね。
けど・・・何故か、それが受け入れられたっていうか・・・ありえないよなぁ~と思うところが許せちゃったんですよね。どうしてかなぁ~・・・スタッフ&キャストの腕だといえば、そりゃぁそうなんでしょうが・・・観ながら「我ながら、なんで楽しめてるのか不思議だなぁ~」って、ずっと思ってたんですよ。少しは、邪悪な性根が、真っ直ぐになってきたのかな(爆)。
具体的に原因を探れば、吉田日出子さんと、原田芳雄さんのおかげかな。現実の世界の方では吉田さんが、天国のほうでは原田さんが、飛んでいってしまいそうな風船のような物語の重石になってくださっていたのかも・・・よく分からないけど。
とにかく、ストーリーのツジツマみたいなことだけじゃなく、粗探しをすれば山ほど言いたいことが出てきちゃうんですけど、「止そう!止そう!そんなこと、いいじゃないか!」って気分にさせてくれたのが、一番気に入ったところですね。だって、実は、本物の私たちの現実の生活だって、そういうもんじゃないですか?いっぱいの不思議と、いっぱいの不条理と・・・そんなことだらけだけど、まぁいいじゃないかと生きていく・・・そういうことですよ、きっと(^^;。

『亡国のイージス』 '05 日本

2006-05-14 14:32:38 | Weblog
【スタッフ】
原作:福井晴敏(講談社刊)
脚本:長谷川康夫 飯田健三郎
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
編集:ウィリアム・アンダーソン
監督:阪本順治
【キャスト】
真田広之 寺尾聰 佐藤浩市 中井貴一 勝地涼 吉田栄作 谷原章介 豊原功補 安藤政信 チェ・ミンソ 岸部一徳 原田美枝子 原田芳雄
【イントロダクション】
「イージス」とはギリシャ神話に登場する最高神ゼウスが娘アテナに与えた、あらゆる邪悪を払う「無敵の盾」のこと。同時に、最新鋭の防空システムを搭載し、専守防衛の象徴ともいえる海上自衛隊の護衛艦も指し示す。だが、語るべき未来も見えず、守るべき国家の顔さえも失った「亡国の盾」に果たして意味などあるのか。この国に生きる者すべてに関わりながら、その誰もが真剣に考えることを避けてきたテーマを第一級のエンタテインメントへ昇華させた福井晴敏の110万部を超えるベストセラー「亡国のイージス」。ここに待望の完全映画化が実現された。
日本アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞の、まさに頂点を極める“本物”の俳優たちが一同に集結。撮影は、防衛庁、海上自衛隊、航空自衛隊の全面協力のもと実物のイージス艦、戦闘機という全てが空前のリアリティの中で敢行。さらに多様なカメラ・アングルを実現するため、実物大のイージス艦の全長の約3分の2となる長さ77メートル、高さ27メートル、幅21メートルの大きさのオープンセットを建造。最高潮の緊張と興奮の中、“本物”の俳優たちがぶつかり合う。監督は人間ドラマで高い評価を受ける阪本順治。彼のメガフォンのもと、トレヴァー・ジョーンズ(音楽:「13デイズ」)やウィリアム・アンダーソン(編集:「トゥルーマン・ショー」)といった世界の第一線で活躍するハリウッド・スタッフも参加。まさに日本映画界の精鋭×ハリウッドの最高峰=世界スケールのスペクタクルが誕生した。
http://aegis.goo.ne.jp/

【個人的感想】
本来、この手の日本映画は、あまり見ないんですよね。ストイックなの、苦手ですから(爆)。けど、なんか、見ちゃった。そしたら、なかなか楽しめました(^^;。『ダイ・ハード』とか『エアフォース・ワン』は好きだから・・・日本映画も、娯楽性を出すことが巧くなったということかな(笑)。
それから、対立の図式が『逆襲のシャー』みたいだったから・・・という理由は、即、却下されるかな。けど、真面目で本気だからこそ、視野が狭くなって、何もかも許せなくなって、絶望から破壊に向かうって気持ちは、分からなくはないのですよ。そんな過激な方法に対して、主人公側に「人類は(あるいは日本は)、いっぱい駄目なところはあるけれど、それでも愛するに足りるよ。信じてみようよ」という立場で、立ち向かわせるっていうのは必然だと思うし。
けど・・・真面目な話、日本人としては、かなり耳の痛い台詞も多かったですよ。実際、自衛隊の存在は、かなり不自然ですからね。無くしてガンジー方式を貫くのか、軍隊に昇格させてスイス方式、あるいは新たな日本方式にするのか、選択肢は一つではないと思いますが、今が不自然なのは確かですからね。そういうことも、考えさせられます。
一つ、不満を言うなら・・・両陣営とも、トップと若手はかなり良かったのに、真ん中層が今ひとつ活かされてなかったのが残念。けっこう、面白いキャスティングもしてたのにね。

『隣人13号』 '04 日本

2006-05-09 17:11:50 | Weblog
【スタッフ】
製作:メディア・スーツ アミューズソフトエンタテインメント
制作:ピクス
原作:井上三太(幻冬舎コミックス刊)
監督:井上靖雄
脚本:門肇
助監督:岩井水男
撮影監督:河津太郎
アニメーション監督:井上卓
製作総指揮:木幡久美/宮下昌幸
エンディングテーマ:「はがれた夜」平川地一丁目(DefSTAR RECORDS)
【キャスト】
13号:中村獅童
十三:小栗旬
新井浩文
吉村由美
石井智也
松本実
劇団ひとり
村田充(特別出演)
三池崇史(友情出演)
【公式ホームページ】 http://www.rinjin13.com/
【ストーリー】
井上三太の人気コミックを実写映画化したサイコサスペンス。小学校の頃、ひどいイジメにあっていた村崎十三は、一見穏やかな青年に成長していたが、心の中には酷い傷を抱えたままだった。そんな十三が、建築現場の仕事に就き、とあるボロアパートに引っ越した。建築現場には、彼を苛めていた赤井トールが働いており、アパートの二階には赤井が家族と暮らし始めた。さぁ、いよいよ十三の中に巣くう凶暴な別人格“13号”が目覚め、赤井への復讐を開始する。

【感想】
予告を見たとき、これは絶対に劇場で見るぞ!!と、心に誓った。つまり、それほど好みだったんだな。けれど・・・実際に見てみると「あぁ~、やっちった」ってのが感想。わたしが、一番失敗しやすいパターンに、見事にハマッてたんだ(^^;。
難しいことは分からないけど、非現実の映像化とか、かなり良く出来てるんじゃないかと思う。役者さんも、それぞれ大ハマリで、大したもんだと思う。だから、お好きな方は、ものすごくお好きなんじゃないかと思う。でも、わたしは駄目なんだなぁ・・・このスタイリッシュさが(爆)。こういう話は大好きなんだけど、どこかに心理的もっさり加減が欲しいっていうか、根っこの泥臭さが必需品というか・・・この映画の、ある種の浮遊感が苦手だというか。
というわけで、わたしは駄目だったんですけど、客観的にはイケル映画だと思います。マニアな方は、是非ご覧下さい(^^)。

『ティラミス』 '02 香港

2006-05-09 17:11:09 | Weblog
【スタッフ】
製作総指揮/製作 ・・・ダニエル・ラム
製作/監督 ・・・ダンテ・ラム
脚本 ・・・チャン・ヤンマウ
・・・ロス・リー
撮影 ・・・チャン・チーイン
編集 ・・・チャン・ケイホップ
美術 ・・・ペーター・ウォン
衣装 ・・・ドラ・ン
音楽 ・・・トミー・ワイ
主題歌 ・・・ニコラス・ツェー『戀愛行星』
【キャスト】
コー・ファン ・・・ニコラス・ツェー
ジェーン ・・・カリーナ・ラム
バド ・・・イーソン・チャン
ティナ ・・・キャンディ・ロー
スー ・・・チャン・キッレン
電車の中の男 ・・・ヴィンセント・コク

【ストーリー(公式ホームページから)】
 父親の死をきっかけに聴覚を失った郵便配達員のコウ・フォン(ニコラス・ツェー)は、ある日、仕事中の電車内で見知らぬ中年男性(ヴィンセント・コク)に他人と間違えられ、更に、たまたま隣に乗り合わせた、ダンサーを目指す女性と恋人同士なのかと絡まれる。コウはおもわず彼女の手を取り、電車を飛び降りた。これがジェーン(カリーナ・ラム)との運命的な出会いだった。
そしてその日のうちに、郵便を届けに行ったダンススタジオで彼女を見かけ、そして交差点でも擦れ違う。そのときジェーンが落とした本に挟まっていた写真を眺めるコウは、本を返そうと彼女の家に向かう。ジェーンの家の庭をうろうろしていたコウは、突然目の前に現われたジェーンにびっくりしてプールに落ちてしまう。だが、その時彼の脳裏に映った映像は、交差点に立っていたジェーンに車が突っ込んできた映像だった。彼女は事故死しゴーストとなってコウの前に現れたのだった。ジェーンは、ダンスオーディションの最終選考を目前に控えて事故死したことでこの世に未練が残っていた。彼女はダンス仲間がファイナルまでに行く7日間、コウの家に置いてほしいと頼みこむのだった……

【感想】
なんか、いまさらなんだけど、ニコにハマッタかな(爆)。前にも話したけど、理由は至極単純・・・陳凱歌(チェン・カイコー)監督の一言に呪縛されたわけで・・・でも、こうして理由が分かっていても、その呪縛が振り払えないや。以前は、ほとんど興味がない若手俳優さんの一人だったのになぁ(爆)。まっ、いっか・・・それならそれで・・・居直って応援しようと思う、今日この頃です。
カレーナは逆に、本当は好きなタイプの女優さんなのに、逆呪縛がかかっちゃって、ついつい避けてしまっていたのだけど、その呪縛からは、この映画で抜け出したかも。すごく可愛くて、好かったもん(^^)。
とにかく、可愛い映画だったよ。主演の二人が、素直に可愛いのはもちろんポイントが高いのだけど、それぞれの親友役が、良かったね。まっ、役者も揃えてきたって感じだし、期待通りではあるけどね(^^)。
ストーリーも、とってもファンタジーなんだけど、それがバカバカしくなくて、捻くれ者の私でも、すぅ~っと入っていけたから、それは良い出来だったって事じゃないかな(笑)。
個人的には、ニヒルに決めてるニコより、今回のように引いた感じで控えめなニコの方が、よりハンサムに感じられたけどなぁ。
というわけで、この映画は、可愛いファンタジーなアイドル映画だけど、物事を斜めにしかみられない捻くれたオバサンでも楽しめる映画に仕上がってると思います。かなり、お薦めです。

『鉄拳高 同級生はケンカ王』 香港 '01年

2006-05-09 17:10:38 | Weblog
【スタッフ・キャスト】
監督*バリー・ウォン
出演*ニコラス・ツェー、スティーヴン・フォン、ジョイ・ヨン、サミュエル・パン、ケン・チョン
【ストーリー】
有名私立進学校に通う秀才でお金持ちのお坊ちゃまエドワード(スティーブン・フォン)は、元カノの嘘のせいで退学処分になってしまった。統一試験も近いということで、慌てて転校先が手配されたが、手違いから超荒れまくりのTBS高校に行く羽目になる。転入当日から因縁をふっかけられ、TBS伝統の放課後机上デスマッチを強要されるエド。当然、あっというまに気絶してしまう。が、そんな彼にも友人が出来る。かつてTBSのケンカ王だったストーン(ニコラス・ツェー)たち。ストーンはエドに身の守り方を教え、エドはストーンに統一試験合格の為の勉強を教える。が、そんな彼らを、周りがそのまま放っておくはずがなかった・・・

【感想】
もう、やだぁ~っ!!面白い(爆)。やっぱり、王晶(バリー・ウォン)は、観客が何を見たいか心得まくってるね。ニコ&ステを揃えたんだから、当然、彼らを美しく見せるシーンは必須。でもって、彼らが痛めつけられるシーンも超必須(爆)。でも、それだけでは香港映画ファンは納得しない。ご都合主義や突飛な展開をフンダンに盛り込んで、突っ込み所には事欠かないように配慮されている。観客は「おいおい」「なんでやねん」と突っ込みつつ、合間合間に「ステ、可愛い!!」「ニコ、そぉ~くーるよん!!」とモダエル(笑)。これぞ、バリー・ウォンのアイドル娯楽映画の世界。理屈抜きで楽しいって表現は、バリー・ウォンの映画の為にある言葉なのだ!!

『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』 ‘03年 イタリア

2006-05-09 17:10:09 | Weblog
【スタッフ】
監督&脚本:ジャンニ・ミナ
【キャスト】
アルベルト・グラナード/ガエル・ガルシア・ベルナル/ロドリゴ・デ・ラ・セルナ/ウォルター・サレス
【ストーリー】
23歳のエルネスト・ゲバラ(後のチェ・ゲバラ)が、親友のアルベルト・グラナードと共にバイクで旅した8ヶ月間・1万キロを映画にしたウォルター・サレス監督の『モーターサイクル・ダイアリーズ』の撮影に、82歳になるアルベルト本人が同行した6ヶ月を撮ったドキュメンタリー。

【感想】
ガエル・ガルシア・ベルナルのファンの友人に薦められて『モーターサイクル・ダイアリーズ』を見た。なかなかに好かった。それで、そのメイキングである『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』が、WOWOWで放送されるというので、それも見てみた。これも、なかなかに面白かった。
とにかく、82歳になったアルベルトが魅力的な人で、それが画面の隅々にまで反映されていた。『モーターサイクル・ダイアリーズ』のサレス監督が、細かくアルベルトに台本を見せ、シーンの説明をして、了解を得たりしているのだけれど、それが面倒そうではなく、微笑ましく見えたんだなぁ。口うるさい人だから報告して了解を求めているという感じは全くなく、かといって頼り切っているという風でもなく・・・どちらかというとアルベルトの反応や、彼が思い出す実際の旅の話を楽しんでいる様子で、楽しそうですらあった。
というのも、アルベルトは撮影に対して当事者面して「それは違う」とか「そんなんじゃなかった」というようなことは殆ど言わず、監督やスタッフ・出演者の意思を尊重して、彼らが納得できるものを作る手伝いをするというスタンスを取り続けていたんだもん、そりゃぁ創り手にとっては、有難い存在だったと思う。それが、もっとも象徴的に現われていたのは、エルネスト役のガエル・ガルシアに「エルネストの演説を聴いたことがあるか?彼の声は独特だ。けど、君はエルネストの真似をする必要はない。自分の声で話すといい。その方が伝わる」といった言葉だったんじゃないかな。少なくても、わたしは感銘をうけたなぁ。エルネストが、チェ・ゲバラになっても、アルベルトを親友として大切にしたのが、よく分かる気がした。
なので、このドキュメンタリーは『モーターサイクル・ダイアリーズ』のメイキングとしてというより、アルベルト氏の人柄を感じつつ彼らの旅に思いを馳せることのできるフィルムだったと思う。とても、好かったです。

『2046』 '04 香港

2006-05-09 17:09:34 | Weblog
【スタッフ】
監督: ウォン・カーウァイ
美術&編集: ウィリアム・チョン
撮影: クリストファー・ドイル
音楽: 梅林茂
【キャスト】
トニー・レオン/木村拓哉/フェイ・ウォン/チャン・ツィイー/カリーナ・ラウ/チャン・チェン/マギー・チャン
【ストーリー】
記者崩れの作家チャウ(トニー・レオン)は、自らが関わった女性達の思い出を、SF仕立ての小説にした。それが『2046』。その『2046』の映像を、現実の回想映像に所々差し込みながら、物語は進行する。失ったかつての恋。逃げ出した先のシンガポールでで出会った、恋したその女と同じ名前を持つ賭博師の女。戻ってきた香港で、すべてを忘れようとするかのように賑やかに軽薄に暮らす中で出会って別れた女。親の許さぬ恋をしている若い女と、小説を通じて育む恋愛にはできない情のやり取り。チャウの心の漂流は続いていく・・・

【感想】
相変わらずのウォン・カーウァイですなぁ(^^;。まっ、自分の世界を、ここまで確立しているのが凄いっちゃあ凄い。だから、彼の世界に慣れていない人にとっては不可解で苛立つようなところも、好きな人には逆に慣れ親しんだ安心できる時空間になっているんだろうな。今回に関しては、わたしにとっちゃ、逆に神経を逆撫でされるような部分は多かったけど・・・それは、まっ、わたしの個人的な事情でしかない。けど、それにしてもなんでこんなに過去の作品とリンクさせる必要があるのか・・・それが王監督の衰えとは思いたくないけど・・・正直、ちょっと恨みに思うな。
よく、彼に批判的な人は、王作品は、ドイルの撮影と、ウィリアム・チョンの美術&編集で成り立っているという・・・たしかに、本当にそれはそうで、きっと二人のうち、どちらかが欠けても王作品は生まれない。けれど、言うまでもなく王監督がいなければ基点がないわけだから、結局、王作品は三人のチーム作品なんだろうな。あっ、それとトニー・レオンと4人の作品かな(爆)。この作品でもトニーは、独特な王撮影に翻弄されて苛立つ木村さんを、ずっと宥めていたとか。役者として王映画の主役を張るだけでも大変なのに、毎度、他の役者の精神的フォローまでさせられて、それでも王監督に愛想をつかさないトニーは、良い人過ぎるんだよね。
それにしても、トニー以外の有名&実力俳優への依存率も加速してるね。今回は、これだけ女優陣を揃えて変なものを撮れる人がいたら、その方が凄いってくらいのもんだよね。初手から、王監督はスターを使いたがる傾向にあったけど、スターさんが既に構築している魅力とは別のものを、彼ならではの手法で引き出すという得意技を持っていたのに、最近は、ただただスター大集合になりさがっているのが寂しい。これは、皮肉ではなく、本気でさびしい。今回だと、木村さんを呼んでおいて、この放置プレイは何なんだよってことでしょ。これじゃぁ、日本市場を意識したキャスティングってだけじゃん。この出演は、木村さんにはむしろマイナスになった気さえするもん。それに、チャン・チェンの使い方もなに?どうせ、没にしたフィルムが山のようにあるんだろうけど、使わないなら私にくれよって思うぞ!! SF部分なんて、相当に無駄にしたものがあるはず。いらないなら、くれよってんだ、まったく!! 駄目なら、ウィリアム・チョンに、そのフィルムで、三本くらい新作を編集してもらえよぉ~、絶対に出来る素材を無駄にしているはずだし。フィルムって、決して安くないはずなのに・・・王監督は、資金潤沢だなぁ・・・。資金といえば・・・LGは、そうとう出資してるのかな。タイトルロールのところで、ずっとLGマークが輝き続けてるんだもん、違和感あったわ(^^;。
ん? 内容に関してはどうかって? 王映画は、あまりそういうことを考えないのが楽しむコツなんですよ(爆)。だってね・・・たとえば、カリーナやコン・リー、フェイやチャン・ツィイーの切ない表情を見て、観客はぐっと胸にくる・・・彼女達の切ない恋に胸が痛くなる・・・けど、現場で彼女達が何を思って泣いていたか・・・決して、わたしたちが見ているストーリーではない設定の芝居で涙を流しているんだと思うと、マジで興ざめもいいところなわけですよ。せっかく、役者さんが演じている役に共感してウルウルしてるのに、実はドイルのカメラワークと、ウィリアム・チョンの編集の技で泣かされてるのかと思うと、悔しくなっちゃうわけです。だから、もう、最初から王映像だと・・・その映像美を楽しむのだと・・・そう割り切るのが、王映画の見方なわけです。そうすると、確かに王映画は大したものですからね。女優撮り、アップもだけど彼女達のウエストショットなんて、悔しいけど分かっていてもやられますよ。他の方は分かりませんが、わたしはそんな風に見ないと、腹がたって、中期以降の彼の映画は見られないもの(爆爆)。
あっ、そうだ!! トニーのニヒルなイヤラシ~イい笑いは、残念ながら似合わない。可哀想なのとか、切ないのとか、偉仔は、そういう方が断然似合うのだ。だから、マギーとのシーン、コン・リーとのシーンなんか絶品だけど、チャン・ツィイーとの関わりは、ちょい悪男のトニーが背伸びしてる感じに見えて今一だった。エピソードとしては一番描きこまれているのにな。意外に良かったのは、フェイとのエピソードで、元祖のアジアの不思議少女のフェイに、どこかスカされてる感じが情けなくて好かったわ(^^)。
それにしても、かーりん・・・あなたがベッドで泣くシーン、わたしゃ、一緒に号泣したよ・・・。