映画鑑賞感想文

濫観っていうか、乱観っていうか・・・ポリシーないですけど(^^;

『ブーリン家の姉妹』

2010-01-24 15:22:02 | Weblog
2008年 英
監督:ジャスティン・チャドウィック
出演:ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソン、エリック・バナ、ジム・スタージェス、マーク・ライアンス

言わずと知れた、イングランド国王ヘンリー8世の妻、アン・ブーリンのお話。ただし、姉妹と銘打ってあるように、アンの姉妹であるメアリーを中心に、その目線から描かれてますね。

アン・ブーリン、エリザベス一世のお母さん。王妃のいるヘンリー8世に離婚を迫り、離婚を許さないローマカトリック教会と決別させ、英国国教会を作らせることになった女。でも結局、不義密通を理由に斬首された女。英国史の中では、超有名人のアンですが、メアリーのことは知らなかったなあ。

だから、メアリーをスカーレット・ヨハンソンが演じると聞いて、メアリーはアン以上の妖婦なのかと思ったら、実に誠実で控えめな女性でした。

みんなが知っている物語をドラマにするのって、すごく難しいと思うのですが、このメアリーに注目したのは正解だったのではないかと思います。でも、それでも、各登場人物の個性が、いま一つ曖昧だったかな。エリック・バナもナタリー・ポートマンも、好演していたとは思うんですが、ヘンリー8世もアン・ブーリンもそれを上回る強烈な個性の持ち主だと思うので、実際の人物の灰汁に役者が太刀打ちできなかったような気がします。いえ、ヘンリー8世ともアン・ブーリンとも、親しく付き合ったわほけじゃないですが、そう思います。ほら、いくら物まね芸人さんが粘っこく大げさに演じても、河村隆一さんやチャゲアスの飛鳥さんの粘りには敵わないみたいな(^^;。
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『グラスハウス』

2010-01-24 14:24:54 | Weblog
2001年 米
監督: ダニエル・サックハイム
出演: リリー・ソビエスキー、ダイアン・レイン、ステラン・スカルスゲールド、トレヴァー・モーガン、ブルース・ダーン

B級サスペンスなんだろうなと思って見たんですが、これがけっこう楽しめたんですよね。まっ、もともとB級映画好きなので意外でもないことなんですが。が、この映画、けっしてB級ではなく、アメリカ本国では、かなり良い興行成績を残したのだとか・・・ふむ、まぁ、納得です。

物語は・・・突然、交通事故で両親を亡くした姉弟が、隣人だった夫婦に引き取られた。両親は多くの遺産を二人に残しており、引き取ってくれた夫婦も裕福で優しく、二人は不幸を乗り越えて幸せになれそうに見えたが、姉は少しずつ奇妙な感覚に襲われ始める。些細なことではあるが、何かが変。そんな彼女の気持ちを誰も理解してはくれず、彼女は孤立していく。やがて・・・みたいな感じ。要するに、典型的な少女主人公のサスペンスですね。

そんな、ともすれば平凡な作りのサスペンス映画なのに、なぜ楽しめたかっていうと、たぶん主演のリリー・ソビエスキーの雰囲気の力が大きいかな。リリー・ソビエスキーちゃん、奇麗は奇麗だけど、ちょっと今時ではないんですよね。ちょっとレトロな美しさ、それゆえのおっとり感があって、彼女が真ん中にいると画面が浮つかないんですよね。しかも、脇にダイアン・レインを配しちゃう。軽快なサスペンスに、彼女たちのもつ雰囲気で奥行きが生まれたって気がします。もちろん、他の俳優さんや脚本も良いんだと思いますけど、わたしはそんな風に感じました。まったく期待していなかった分、得した気分で楽しめました。
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『余命』

2010-01-09 12:09:21 | Weblog
2008年 日本
監督: 生野慈朗
出演: 松雪泰子、椎名桔平、奥貫薫、市川実和子、林遣都、二階堂智、かとうかず子、宮崎美子、橋爪功

今どきの出来る女って感じの女医さん。医者をやめてカメラマンをしている夫。二人は結婚10年目にして子どもを授かる。けれど、妊娠が分かってから暫くして、彼女は自分の乳がんの再発に気付く。その癌は、完治不能の癌だった。彼女の選択肢は二つ。子どもを諦めて癌の治療に専念し延命を図るか、寿命を縮めても子どもを産むか。彼女は夫に内緒で後者を選ぶ。彼女を深く愛している夫に相談すけば、子どもを諦めろと言うに決まっていたから。自分の内側にある恐怖心や不安感を誰にも相談できないまま、彼女の癌は進行し、お腹の子どもは育っていく・・・みたいなお話です。要するに、感動ものです。

となると・・・冷血なワタシは「めんどくせぇ~」とか思っちゃいます(爆)。そもそも、登場人物の設定がオシャレすぎるんですよね。綺麗で優しくて賢くてオシャレでカッコイイ女医さんと、医師の仕事を捨ててまで自分の夢を追うカメラマンの夫。二人の住まいは、ちょっとレトロ感覚のあるセンスフルな空間。近くには、二人のことを良く理解してくれる夫婦が営む、これまたオシャレなレストランあり。趣味はバイク。気が向けば、二人でツーリング。唯一の問題点は、夫に経済力がないってことなんですが、もともとはお医者さんだという予防線を張った設定で、いざとなれば、どうとでもなるようにしてありますし・・・もう「勝手にしてくれ」って感じです(爆)。

それにね・・・彼女の選択も、どうも納得いかなくて・・・子どもを産むということ、育てるということが、どうも軽く扱われている気がするんですよね。自分の余命を縮めても子どもを産むということで美談にしたいのだと思うのですが、それは違うだろうって思ってしまいました。

子どもって、産んだら育てなきゃ駄目なんですよ。自分で育てられないなら、育ててもらえるようにしておかなきゃいけないんですよ。それを肝心の夫にも話さない、親友にも話さない、親類縁者にも相談しない・・・それでは単なる自己満足でしょ。特に、出産後、自宅に帰ってきてからの様子なんて、赤ちゃんを殺す気がって腹が立ちましたもん。

それにね・・・彼女の決断は、彼女の人生より、彼女の夫の人生を大きく変えるものなんですよね。死を前にした人に、酷い言い方ですが、彼女の場合は、どちらを選択しても近い将来の死からは逃れられなくて、余命をいくら伸ばせるかってことだけなんですよね。でも、彼女の夫の場合は、彼女の死後も、赤ちゃんが居るか居ないかで、まったく生き方が違ってくるんですよね。なのに、何の相談もしないって、それは駄目ですよ。

というわけで、感動しなくちゃいけない映画だとは思いつつ、なんだかイライラしてしまった、冷血なわたしなのでした(^^;。
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『壬生義士伝』

2010-01-08 08:06:45 | Weblog
監督:滝田洋二郎
原作:浅田次郎
出演:中井貴一、三宅裕司、夏川結衣、塩見省三、堺雅人、野村祐人、山田辰夫

一言で言うと家族を養うため、その家族を残し藩を抜け、新撰組に入隊した南部藩(盛岡)出身の吉村貫一郎の生涯を描いた映画ってことになりますかね。原作は浅田次郎さんですが、その浅田次郎さんの設定の基になったのは子母澤寛の作品のようですね。

我が家では夫も娘も浅田次郎さんの作品が好きなので、わたしも読む機会はあるのですが、実はあまり好みではないんですよね、浅田さんの時代小説。なんていうか・・・実在の人物を、あまりにも自由自在に、自分の作品の素材として変形しすぎるところが、わたしは好きではないのですよ。娯楽読み物として面白くはあるのですが、どうも居心地悪く感じてしまうのですよねぇ~。なので、この映画も、なんとなく避けていたのですが・・・何故かタイミングが合ってしまって、見てしまいました(^^;。

で・・・ふむ、前半は文句なしに面白かったです。斉藤さんの描き方が、どうしたものかとは思いつつ、それでも面白かったです。でも、鳥羽伏見のシーンが終わってからは、やけに冗長に感じられました。じっくり描かれる感動シーンが目白押しになるので、お好きな方にはたまらないかと思うんですが、淡白な質のわたしは、もっとテンポ良く撮ってくれよと思わずにいられませんでした。

それに・・・肝心の吉村貫一郎という人物が、最後まで、どういう人か分からなかったんですよね。中井貴一さんの芝居がスゴク好かったので、各シーンを別々に見れば、どこも良いシーンばかりなんですが・・・全体を通してみるなら「吉村君、君の一番大切なものは、家族なの、義なの、どっちなの。はっきりさせてほしいな」って、ずっとイライラしてしまいました。

前半は、武士としての体面も意地も何もかも全てを捨て去り、ただ家族の為だけに生きることを決意したって感じだったんですが、後半になるとやたらと「義」ってことに拘り始め、なのに最終的に選んだ行動にも納得がいかないし・・・

いえね・・・人なんて、感情にも行動にも統一性が無い生き物だと思うので、一人の人物の中に色んな要素があってもいいし、コロコロと変化してもいいと思うんですが、映画として描くなら何かしらの関連付けは必要だと思うんですが、それが全くなくて変化が唐突なので白けるんですよね。

吉村貫一郎さんという方は、たしかに実在しておられて、新選組の撃剣師範も務められた腕の立つ人物だったようですよね。剣の腕だけではなく、文武両道の人であったとも言われているようです。家族思いであったのも確かで、新撰組への入隊は家族を養うためであったようですが、脱藩はご自身の思想的なものであったように聞いていますし、映画で描かれているような最期は小説家子母澤寛の全くの創作だとも聞きました。つまり・・・事実の部分と創作の部分が、映画では巧く噛み合わなかったということではないのかなと思います。子母澤寛さんの小説や、それを叩き台にした浅田次郎さんの小説では、そのあたりが巧く処理されていたのかもしれませんが、映画では巧く混ざり合わなかったのではと・・・。

でも、中井さんをはじめ役者さんが皆さん素晴らしくて、それだけでも見る価値はある映画だと思うのですが、やっぱり、実在の人物を主人公に描く際の難しさは残ったなと、そう感じさせられたのでありました。
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『転々』

2010-01-04 15:21:52 | Weblog
2007年 日本
監督&脚本: 三木聡
原作: 藤田宜永
出演: オダギリジョー、三浦友和、小泉今日子、吉高由里子、ふせえり、松重豊、岸部一徳、笹野高史、石原良純、広田レオナ

主人公が、借金取りに、逆に100万円やるから散歩に付き合えって言われ、一緒に東京を転々とする話。『時効警察』ファンは好きだと思いますよ。で、意外に良かったのが三浦友和さん。わたし世代だと、今だに三浦さんをアイドル俳優さんだと思っちゃう傾向があるんですが、なかなか良い味を出しておられました。
ラストも、当然のごとく、こう納めるんだろうなって思っていたところに落とし込まず、さらっと終わったのが、さすが三木聡監督だなって感じでしたね。
脱力派って言われているように、けっして正統派の映画作りじゃないのだけど、別に世の中を斜めに見ていないっていうか・・・逆にむしろシンプルで素直っていうか・・・自己主張や気負いが表立っていないのが素敵です。
好き嫌いはあると思いますが、わたしは好きですね、はい(^^)。
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