映画鑑賞感想文

濫観っていうか、乱観っていうか・・・ポリシーないですけど(^^;

『海を飛ぶ夢』

2010-02-25 14:59:39 | Weblog
2004年 スペイン
監督: アレハンドロ・アメナーバル
出演: ハビエル・バルデム、ベレン・ルエダ、ロラ・ドゥエニャス、マベル・リベラ、クララ・セグラ

25歳の時に頸椎を損傷し、30年近く首から下の感覚を失ったまま生活することを余儀なくされたラモン・サンペドロさんの『レターズ・フロム・ヘル』が原作だということですが・・・尊厳死がテーマなので、どうしても映画の感想というよりは、尊厳死をどう思うのかっていう話になってしまいます。けど・・・こればっかりは、自分がその立場になってみないと分からないと言わざるを得ない事柄の一つですよね。

ただ・・・映画の中のラモンさんは、とっても幸せに見えるのですよ。だって、ものすごくものすごく素敵な人たちに囲まれているんですもの。五体満足であっても、人の悪意の沼の中で喘ぎながら生きている人よりは、はるかに幸せそうに見えるんです。それに、彼の中には表現したものが確かにあるし、それを表す力も持っている・・・むしろ、羨ましいとさえ言いたいものが、彼にはあるんですよね。だから、ついつい「死にたいなんて言わないで」って、そう言ってしまいたくはなるんですよね。

特に、家族が、むちゃくちゃ素敵です。物語的には、ラモンさんに心を寄せる全く違ったタイプの二人の女性がクローズアップされていると思うのですが、女性の中ではラモンさんを世話している兄嫁さんが一番彼を理解してくれていると思いますね。それから、お父さんやお兄さんも、理解してくれているというのとは違うけど、すごく愛してくれている。だから、ついつい「死にたいなんて言わないで」って、そう言ってしまいたくはなるんですよね。

あっ、ラモンさんの心が海へと飛ぶシーン・・・あれ、わたしも、よくやります。以前に、意識を横(地面に沿って地球上)に飛ばすのは比較的簡単だけど、上(宇宙)や下(地中)に飛ばすのは苦手って話したことがあると思うのですが、その横に飛ばす感じを映像にすると、映画のそれに似ているんです。

とにかく、映画を楽しむというよりは、各自が自分のこととして生きるということや尊厳死について考えるための作品なんだと思います。でも、そう出来るように、映像の美しさや音楽にも拘り、物語も部分もしっかりと描いているのが好いですね。

ところで・・・よく似た映画、なかったですかね。「これ見た」とは思わなかったのですが、「似たような設定は体験した気が・・・」という気になりました。なんだか、一昨日に見た芝居のような話ですけど(^^;。
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『奇術師フーディーニ~妖しき幻想~』

2010-02-23 12:28:11 | Weblog
2007年 イギリス/オーストラリア
監督: ジリアン・アームストロング
出演: キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ガイ・ピアース、ティモシー・スポール、シアーシャ・ローナン

タイトル通り、フーディーニのお話です。ガイ・ピアーズがフーディーニです。

最愛の母を亡くしたフーディーニは、以前から興味をもっていた心霊現象に夢中になります。とはいっても、世に溢れる霊能力者のほとんどがインチキ詐欺師であることも知っています。そこで、母の最期の言葉を言い当てられる霊能力者には多額の報奨金を与えると宣言し、本物の霊能力者を探そうとします。それに乗ったのが、霊感ショーで日銭を稼いでいるメアリーと娘のベンジーでした。フーディーニは、メアリーに会った瞬間、彼女に亡き母の面影を見て惹かれてしまいます。メアリーもまた、騙すつもりが、心に闇をかかえたフーディーニに惹かれていきます。そんな二人を見つめるベンジー・・・そんな感じのお話です。

わたし、この映画、すごく好きですね(^^)。キャストは豪華な方だと思うのですが、そんなに派手な映画ではありません。だから、それほど話題にもなっていませんでしたよね・・・そんなことないですか?でも、これは、とっても好いですよ。ほんと、わたしは好きです。

主要キャストが、フーディーニと彼のマネージャー、インチキ霊能者メアリーと娘のベンジー、この四人なのですが、四人が四人とも愛すべき人物なのですよ。みんな、とってもチャーミング。丸まんまの善人は誰もいないのだけど、みんな根っこが優しいんだなぁ。騙しあいや駆け引きをしているんだけど・・・哀しさも知っているし、思いやりももっている・・・だから、見ていて、とても気持ちが良いのです。たまには、こういう映画もいいなぁ~、なんて思ったのでありました(^^)。
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『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』

2010-02-18 15:29:59 | Weblog
2007年 仏
監督:ホウ・シャオシェン(侯孝賢)
出演:ジュリエット・ビノシュ、イポリット・ジラルド、シモン・イテアニュ、ソン・ファン、ルイーズ・マルゴラン

ラモリス監督の『赤い風船』へのオマージュ作品だそうです。企画ものですね(^^;。内容は・・・まさしく、どうってことない日常ってやつです。ビノシュが人形劇の作家&演者で、一人で七歳になる息子を育てていて・・・その息子のために、映画学校の生徒の台湾人の女の子をベビーシッターとして雇って・・・友人である下宿人が家賃を払わないのでどうにかしたいっていうのが唯一のトラブルらしいトラブルでっていう・・・そんな感じです(^^;。

はっきり言って、何も面白くありません(爆)。だって、ほんと、ただの日常で・・・エピソードは、どれを取っても、それでなくてはならいものが何もなく・・・何の引っ掛かりもない映画なんですもん。

ただ、この堪え性のないワタシが、二時間という上映時間を、なんとなく過ごせてしまった・・・その不思議を解明したいなと、そういう思いは沸きました(^^;。ほんと、どうして何となくでも見続けられるんだろう・・・何も特別なことが起こらない二時間。

一つ思いついたのは、居心地のわるいところが何もなかった・・・いや、一つしかなかった点かもしれません。えっと・・・唯一、気持ち悪かったのは、赤い風船で・・・どう見ても、ラモリス監督の『赤い風船』へのオマージュ作品にするために無理やり引っ付けただろうってところでした(爆)。

感想らしい感想がなくて申し訳ないのですが・・・まっ、これが正直な感想なので、勘弁願います。
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『悲夢』

2010-02-16 13:42:54 | Weblog
2008年 韓国
監督: キム・ギドク
出演: オダギリジョー、イ・ナヨン、パク・チア、キム・テヒョン、チャン・ミヒ

男が夢を見ると、彼とはエンもユカリもない女が、男の知らない場所で、夢遊病状態のまま男の夢通りの行動しているって話です。簡単に言うと、男が夢の中で誰かを殴ったら、男の知らないところで女が夢遊病状態のまま誰かを殴っているということになります。それだけでも十分に厄介なんですが、男は夢の中で、別れても忘れられない女性への思いを行動であらわすんですね。でも、女の方はそれを嫌いで別れた男に対して行ってしまう。つまり、女としては、男の夢に操られて、ものすごく納得できない行動を取らされてしまうわけです。男が夢で起こした交通事故が切っ掛けになって、そんな男と女が実際に出会い、自分たちの状況を知ります。で、すったもんだしているうちに・・・と、そういう話なんですが・・・

設定がヤヤコシイので、いろいろと消化されないまま放置されている部分があるような気がします。なんでも、基はキム・ギドク監督が実際に見た交通事故の夢で、それに“胡蝶の夢”を重ねたらしいのですが・・・やっぱり、本物の夢を可視化するのって難しいですよね(^^;。

未消化の部分の最たるものは、言語の問題です。オダギリ君だけが日本語で、周りの人はみんな韓国語・・・聞いている側は、やっぱり気持ち悪いです。たしかに次第に慣れはするんですが、慣れなければならないというのが、観客に余計なストレスをかけていると思います。『ブレス』のチャン・チェンみたいに、喋らない設定にしてしまえなかったんでしょうか。その手は一度使っているので、使えなかったんでしょうか(^^;。

精神科医なのか占い師なのか、ちょっと怪しい女性が、映画の初期段階で、物語の方向付けになる台詞を言うんですが・・・かえってそれが邪魔な気もしました。そこで宣言してしまうなら、いっそその方向を突き詰めてくれれば、それはそれで面白かったのかと思うのですが、意外に中途半端な放置プレイで終わりますしね。

だから、思わず「監督!監督の頭の中で、ストーリーはちゃんと整理されていますか?」って聞きたくなりました。どんなに複雑な筋立てでも、監督の中でスッキリ筋道がたっていれば、見る側はなんとなく感性で理解できちゃうものですが、監督の中でも混沌としていたとしたら、絶対に観客には理解できませんものね。

悪くはない・・・ほんと、悪くはないんです。けど、もう少し寝かせて、さらに練り上げて、それから見せてもらえますかって、そう言いたくなるような主題の未消化感あふれる作品なのでした(^^;。
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『三国志』

2010-02-16 12:41:56 | Weblog
2008年 
監督: ダニエル・リー(李仁港)
出演: アンディ・ラウ(劉徳華)、サモ・ハン(洪金寶)、マギー・Q(李美)、プー・ツンシン(濮存)、アンディ・オン(安志杰)、ユー・ロングァン(于榮光)、ゴッ・ワー(岳華)、ティ・ロン(狄龍)、チェン・チーフイ(陳之輝)、ヴァネス・ウー(呉建豪)、ティン・ハイフォン(丁海峰)、ダミアン・ラウ(劉松仁)

『三国志』ってタイトルですが、三国志の中から、蜀の武将・趙雲をピックアップして描いた物語ですね。ちなみに趙雲は、『レッドクリフ』ではフー・ジュン(胡軍)が演じてました。ほら、劉備の息子を救出した人です。

比較的近い時期の公開なので、ついつい『レッドクリフ』と比較してしまいますが、『三国志』の方が、意味無く“女”に逃げたりしていない点で好感がもてます。一応、敵役の曹操の孫娘とやらに、やけに美しいマギー・Qを配置していますが、痴情を絡ませていないので許します(笑)。

そして、男臭い世界を描くとき、義とか友情とかだけでなく、嫉妬を絡ませる・・・しかも女がらみの嫉妬ではなく、男同士の出世欲的な嫉妬を横糸にしたのは、とっても良かったと思います。でも、それを伏線にしたため、サモ・ハン兄さん演じる平安の気持ちを察するのに、彼の微妙な視線のみが頼りになってしまったのが惜しい気がします。そこを、もっと掘り下げて、時間も手間もフィルムも費やしてくれたなら、もっと血肉のあるドラマになった気がします。

ただ血気盛んであればいいわけではなく、飲み込みたくないものも飲み込んでいかなくちゃいけない現実が、ちょっと切なく悲しい・・・そういう部分に、少しは足を踏み入れてくれている映画なので、端折りすぎや駆け足しすぎにも目をつぶろうという気になります。完璧な作品って、そうそう出来ないので、観客にそう思わせる映画は、きっと良い映画なのだと思います(^^;。
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『寝ずの番』

2010-02-16 11:42:47 | Weblog
2006年 日本
監督: マキノ雅彦
出演: 中井貴一、木村佳乃、長門裕之、富司純子、笹野高史、岸部一徳、堺正章、高岡早紀、木下ほうか、田中章、土屋久美子、真由子、石田太郎、蛭子能収

中島らもさんの短編集が原作だそうです。長門裕之さんと富司純子さんが演じる関西落語会の重鎮・笑満亭橋鶴夫妻は、六代目笑福亭松鶴ご夫妻がモデルだそうですが、ある程度の年齢の関西人なら、そこは言われなくても分かるくらい“ぽい”ですよね(^^;。

で、「寝ずの番」というのは、亡くなった人が寂しくないように、夜通し誰かが起きて遺体の傍にいることですが・・・映画では、橋鶴師匠、ついで一番弟子の橋次、ついで師匠の奥さんが次々に無くなり、一門のものたちが寝ずの番をしつつ、故人との思い出を賑やかに楽しく振り返っています。

まったく湿っぽいところがなく、主に猥談中心にバカ騒ぎする通夜は、故人への思いに溢れています。形式にのっとって皆が悲しさを演じるイベントより、よほど生きた情に溢れています。オリンピック代表選手がお仕着せの衣装を自分なりに着こなしたら、不謹慎だと大騒ぎしている人たちに、ぜひとも見ていただきたいものだと思っちゃいました。

ただ・・・短編集の中の短編を三本ピックアップして一本の映画にされたんでしょうか。オムニバスというには関連性がありすぎるし、かといって普通の一つの物語として見るにはプッツンプッツンしているし・・・師匠だけ、百歩譲っても師匠と奥さんだけで作れなかったのかなと、それが残念でありました。
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『 野良猫ロック / マシン・アニマル』

2010-02-16 11:25:08 | Weblog
1970年 日本
監督:長谷部安春
出演:梶芽衣子、藤竜也、岡崎二郎、范文雀、大橋由香、高野沙理、黒沢のり子、牧まさみ、市川魔胡、青山ミチ、郷治、ズーニーブー、山野俊也、沢村和子とピーターパン、太田とも子、亀山靖弘、市村博、杉山元

梶芽衣子さんの『野良猫ロック』シリーズ第4弾。特に筋を説明するほどでもない内容ですが・・・いいのです、梶芽衣子さんと范文雀さんが見られるなら、それで・・・だって、そういう映画なんですもん(爆)。

そりゃぁ、できればもっとお二人にはギラギラしていて欲しいし、多少は色っぽいシーンもあって欲しいけど・・・まっ、いいんです、お顔がみられればそれで。しかも、梶芽衣子さん、ちゃんと歌ってくれていますからね。梶さんの歌は、決して歌手のそれではなく、いつだって所詮女優さんの歌なんですが・・・そこがむしろ味わい深いっていうか・・・クールだけどキュートで、とにかく素敵なんですもん。梶さん以外にも、全体的に音楽がいいですね・・・この映画の見所は歌なのかもしれませんねぇ~。
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『ブラッド・ブラザーズ 天堂口』

2010-02-15 15:21:39 | Weblog
2007年
製作総指揮 : ジョン・ウー(呉宇森)
監督 : アレクシ・タン
出演 : ダニエル・ウー(呉彦祖)、スー・チー(舒淇)、チャン・チェン(張震)、リウ・イエ(劉)、トニー・ヤン(楊祐寧)

老上海を舞台にしたノアールですが・・・ジョン・ウーには、もう香港ノアールの臭いは出せないのかも。まっ、監督はジョン・ウーではなく、アレクシ・タンさんですが・・・やっぱり、期待しちゃいましたからね(^^;。

キャストもいいんですよ。けど、ダニエル・ウーもチャン・チェンも、輝いてなかったなぁ。スー・チーは可愛きれいし、リウ・イエは一人気を吐いている感じでしたけど・・・なんだろう、この中途半端な感じは。エッジが効いていないというか、フォーカスが絞れてないっていうか・・・全体的に、ぼやぁ~っとしているんです。映像美でいくのか、アイドル映画でいくのか、本格的ノアールでいくのか、気持ちを定めて撮ってほしいですね、はい。

で、ほんと、リウ・イエは良いですね。『山の郵便配達』や『藍宇』では、こんな感じは予想してなかったんですが、この作品や『王妃の紋章』を見ていると、いい感じの曲者役者さんになりそうで嬉しいです(^^)。
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『小森生活向上クラブ』

2010-02-15 15:14:31 | Weblog
2008年 日本
監督:片嶋一貴
出演:古田新太、栗山千明、忍成修吾、佐野史郎、有森也実、豊原功補、前田公輝、斉藤光香、福田勝洋

古田新太さんの初主演映画ってことで、期待してたんですが・・・ん~・・・(^^;。キャストも悪くないし、原作も面白そうなんですがねぇ・・・(^^;。
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『八月の鯨』

2010-02-15 14:58:09 | Weblog
1987年 米
監督: リンゼイ・アンダーソン
出演: ベディ・ディヴィス、リリアン・ギッシュ、ヴィンセント・プライス、アン・サザーン、ハリー・ケリー・ジュニア

これも前に見てました。途中で気づきましたが、そのまま最後まで見ちゃいました。特に、面白いとか楽しいとか、そういう映画ではないんですよね。小さな島で暮らす老姉妹の、特に何の起伏もない日常生活を描いただけだし・・・他の登場人物も老人ばかりだし・・・なのに、なんで見ちゃうんだろう。

それにしても、撮影時、老姉妹を演じたリリアン・ギッシュ93歳、ベティ・デイビス79歳・・・彼女たちの生きてきた年月が、この映画に何かを注入してるのかなぁ~。
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