映画鑑賞感想文

濫観っていうか、乱観っていうか・・・ポリシーないですけど(^^;

『予兆 散歩する侵略者』

2018-08-22 16:31:59 | Weblog
2017年 日本
監督:黒沢清
出演:夏帆、染谷将太、東出昌大、中村映里子、岸井ゆきの、安井順平、石橋けい、吉岡睦雄、大塚ヒロタ、千葉哲也、諏訪太朗、渡辺真起子、中村まこと、大杉漣

悦子は、とつぜん父親を拒絶し一緒に暮らせないと怯える同僚のみゆきを、夫の辰雄が勤める病院の心療内科へ連れて行った。すると医師は、みゆきは「家族」という概念を失っているという。戸惑う悦子だったが、この頃から、悦子の周りで奇妙なことが次々に起こり始める。夫の様子にも違和感を感じた悦子は・・・

WOWOWで放送したドラマを先に見ました。細部に変更があるということですが、わたしのように漫然としか見てないものには、そのまんまって感じでしたね(^^;。本編である『散歩する侵略者』とは、基本設定は同じでも、持っている雰囲気が全然違っていて・・・原作のある『散歩する侵略者』では、なかなか修正できなかったんだろうなと思える矛盾部分が、かなり整えられていた気がします。人情味的な部分は亡くなってしまいましたが、SF的な部分は格段に良くなっていて見やすかったです。別物と思って、それぞれを楽しむべきですね。わたしはどちらも嫌いじゃないです、はい(^^)。

『散歩する侵略者』

2018-08-22 16:08:47 | Weblog
2017年 日本
監督:黒沢清
出演:長澤まさみ、松田龍平、高杉真宙、恒松祐里、長谷川博己、前田敦子、満島真之介、児嶋一哉、光石研、東出昌大、小泉今日子、笹野高史

行方不明だった夫の真治が戻ってきた時、彼はすでに妻の鳴海が知っている夫ではなく、地球を侵略しようとしている宇宙人のだった。真治を支配している宇宙人を含めて三人の宇宙人が地球に先発隊としてやってきており、彼らは地球人からさまざまな概念を収集していく。概念を奪われた人間は、その概念を失ってしまうため、あるものは痴呆のようになり、あるもの解き放たれて自由になり・・・

概念を奪うっていうのは、ものすごく面白い視点だけど、それをもとにドラマを作るには、あまりにも無理があったみたいですね。厳しいことを言い始めたら無数にあって、映画をたのしむどころじゃなくなっちやうので、「すんごい発送じゃん!楽しまなきゃ損だね!」っていうスタンスで、変だなって思うことが出てきてもそれは全部無視して、全てを肯定的に、楽しんでやるんだっ!て気持ちを貫いてみれば、ちゃんと楽しめますよ!!松竹新喜劇張りに、最後は一気に人情ものになるのも、うんうんステキやんっ!!って受け入れてしまえば、最高の観後感になります(^^;。

『海よりもまだ深く』

2018-08-09 09:47:07 | Weblog
2016年 日本
監督:是枝裕和
出演:阿部寛、真木よう子、小林聡美、リリー・フランキー、池松壮亮、吉澤太陽、橋爪功、樹木希林、中村ゆり、高橋和也、小澤征悦、峯村リエ、古舘寛治、葉山奨之、ミッキー・カーチス

随分前にマイナーな文学賞を一度受賞したきり鳴かず飛ばずで、今は探偵事務所でもっぱら浮気調査をしている良多は、分かれた妻の響子に払う養育費もギャンブルですってしまうようなダメ男。しかも、響子への未練タラタラで、彼女を尾行して新しい恋人の存在にヤキモキする。月に一回の息子との面会日に、団地で一人暮らしをしている母親のところに息子を連れていき、響子をそこに迎えに来させ、おりしもやってきた台風にかこつけ、元家族一緒に団地で一泊することに成功したのだが・・・

みんなダメなところもあるけど、みんな愛すべき人間たちだ・・・みたいに、みなさんは観るのかな、この映画。わたしはね・・・嫌だったな、この人たち。フィクションだから、映画だからと、あり得ない悪人の悪行を娯楽として楽しめるほど振り切れてない、ほんとうにそこここに居そうなしょうもない人間なんだもん、主人公が。でもって、元奥さんも優しい心根の人だとは思うけどハッキリしないし、新しい男もしょうもないでしょ。お母さんは、どこといって悪くはないんだけど、全体的になんか好きになれないし・・・。そうそう、ちょっとだけ出てくる、良多たちに浮気調査された関西人の若い奥さん、彼女は気持ちよかったな、うん(^^;。この居心地の悪さを狙って作られているなら、それは成功してますけど・・・成功でも失敗でも、わたしは観た後、気持ちよくはなかったです。まっ、今、是枝監督、ハードルあがっちやって、期待が大きくなる分、評価が厳しくなっちゃうからなぁ~・・・それでなのかもしれませんが。

『未来を花束にして』

2018-08-09 09:27:50 | Weblog
2015年 英
監督:サラ・ガブロン
出演: キャリー・マリガン、ヘレナ・ボナム・カーター、ブレンダン・グリーソン、アンヌ=マリー・ダフ、ベン・ウィショー、メリル・ストリープ、ナタリー・プレス

1910年代、イギリスで女性の参政権を求めたWSPU(女性社会政治同盟)の運動を、洗濯工場で働く24歳の女性モードの視線から描いた。モードに同じ工場で働く夫と幼い息子がいた。夫婦仲もよく、家庭に不満はないが、工場でのセクハラには苦しんでおり、ある日目にした女性参政権運動活動家たちの行動に興味をもつ。同僚の活動家に誘われてて会合や演説会に参加するようになり、今の生活には不満があっても仕方がないとあきらめていた彼女の気持ちが少しずつ変化していく。けれど、抗議行動に参加して警察に拘束され、夫から家を追い出されて息子にも会えなくなるなど、彼女の気持ちを砕くようなことがいくつも起こってきて・・・

普通に暮らしている普通の女性が、活動に参加することで、警察に掴まって尋問されたり殴られたり、怯えて心が挫けそうになって、でも、それでも闘うことを選んでどんどん強くなっていく様が、とても分かりやすく描かれていて、モードという一人の女性の成長物語としては面白かったですが・・・実話に即しているからとはいえ、最後の収め方は唐突でしたよね。え?この人どんな人だっけ?って思っちゃいました。彼女とモードの関わりくとか、彼女の人柄とかを事前にもっと丁寧に描いててくれないと、これで終わられたんじゃ、ちょっとビックリしてしまいますね。というわけで、ラストへの展開以外は面白かったです(^^)。

『危険なプロット』

2018-08-09 09:05:33 | Weblog
2012年 仏
監督:フランソワ・オゾン
出演:ファブリス・ルキーニ、クリスティン・スコット・トーマス、エマニュエル・セニエ、エルンスト・ウンハウワー、ドゥニ・メノーシェ、ジャン=フランソワ・バルメール、パスティアン・ウゲット

生徒たちのやる気のなさに失望している高校の文学の教師のジェルマンは、宿題の作文の中に、面白いものを見つける。書いたのは数学が得意だというクロード。家庭に恵まれない彼は、見るからに幸せそうな同級生の家に入り込み、中産階級の人間たちの生活として皮肉たっぷりに描写していた。ジェルマンは、彼に自分にはなかった作家としての才能を感じ、彼を指導し育てることに喜びを感じ始める。しかし、ジェルマンとクロードの関係は、しだいに彼らの感覚を麻痺させ、行動をエスカレートさせることになり・・・

途中まではリアルだなって共感しながら見てたんですよ。キラッと光る他にはない個性を持った生徒に出会い、自分の才能にも今の仕事にも希望を失っていた教師が、自分の手で彼を育て世に出したいと思うようになる感じとかね。クロード役のエマニュエル・セニエには『ベニスに死す』的な妖しい美少年感もあるから、色んな方向への発展の可能性も感じさせて、その辺は面白いなって思うんだけど、最終的にはふわっと中途半端に終わっちゃったかなって思います。いや、だからこそリアルなんだともいえるんだけど・・・だからこそリアルの場合は、それでむしろゾッとできなくちゃって思うんですけど、この映画の場合は肩透かしに感じられたので・・・うむ、ちょっと残念かな。