2021年 英
監督:ウィル・シャープ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、クレア・フォイ、アンドレア・ライズボロー、トビー・ジョーンズ、タイカ・ワイティティ、ニック・ケイブ
猫をモチーフにしたイラストで有名な画家ルイス・ウェインは、父を早くに亡くし、一家の大黒柱として、母や妹たちを養わなければならなかった。イギリスの上流階級に属する一家は、その体面を守らなければならないのだが、いささか常識はずれで経済観念に乏しい彼は、イラストレーターとして働くものの、決して楽な生活ではなく、母に代わって一家を仕切る妹のキャロラインに、いつも叱られてばかりいた。そんな彼が恋をしたのは、妹の家庭教師として雇ったエミリー。家族の反対や周りの白い目をものともせず、二人は新たな生活を始めるのだが、まもなくエミリーの末期ガンが見つかる。ルイスは、エミリーの慰めになればと、庭に迷いこんだ子猫を飼い始め、ピーターと名づけてその姿を描いた・・・
イギリスの上流階級が、馬と犬を大切にするというのはよく言われていることだけど、猫の地位が犬とは比べ物にならないほど低かったとは知りませんでした。"猫の地位が向上したのはルイスのおかげ"というのは、誇張なのか真実なのか分かりませんが・・・とにかく、ニャンコたちが愛されるようになったのは喜ばしいことですね(^^)。
原題が『The Electrical Life of Louis Wain』で、映画の中でも、しきりに"電気"というのが出てくるのですが、どういうことがずっとよく分かりませんでした。最後の方で説明されてて、ああそういう意味で、このタイトルなのねって分かりましたが、日本語タイトルをつけた方も、この観客の感じ方を予想できたので、タイトルを変えたのかな、って思いました。もう少し上手く、物語の中に織り込めたら理解しやすかったかも。
でも、日本語のタイトルでクローズアップされている妻との愛も、エミリーさんが早くに亡くなってしまうので、描く場面が少なくなってしまって、どうも物足りないんですよ。仕方ないのかな、こればっかりは。
どうも観客として未消化な部分が多くはあるんですが・・・とにかく、ベネディクト・カンバーバッチが流石なもので、すべてOKです(^^)。きっと、ルイス・ウェインという人を、ありきたりの感覚で理解しようとしても無理なんでしょう。だから、物語の部分で納得しようとしても無駄・・・カンバーバッチにまかせて、彼の生み出す世界に身を任せればいいってことでしょうかね。