映画鑑賞感想文

濫観っていうか、乱観っていうか・・・ポリシーないですけど(^^;

『リバティーン』 '05 英

2006-05-23 18:04:21 | Weblog
【スタッフ】
監督:ローレンス・ダンモア Laurence Dunmore
製作:リアンヌ・ハルフォン Lianne Halfon
   ジョン・マルコヴィッチ John Malkovich
   ラッセル・スミス Russell Smith
製作総指揮:チェイス・ベイリー Chase Bailey
   スティーヴ・クリスチャン Steve Christian
   マーク・サミュエルソン Marc Samuelson
   ピーター・サミュエルソン Peter Samuelson
   ラルフ・カンプ Ralph Kamp
   ルイーズ・グッドシル Louise Goodsill
原作戯曲&脚本:スティーヴン・ジェフリーズ Stephen Jeffreys
撮影:アレクサンダー・メルマン Alexander Melman
プロダクションデザイン:ベン・ヴァン・オズ Ben van Os
衣装デザイン:ディーン・ヴァン・ストラーレン Dien van Straalen
編集:ジル・ビルコック Jill Bilcock
音楽:マイケル・ナイマン Michael Nyman
【キャスト】
ジョニー・デップ Johnny Depp
サマンサ・モートン Samantha Morton
ジョン・マルコヴィッチ John Malkovich
ロザムンド・パイク Rosamund Pike
トム・ホランダー Tom Hollander
ジョニー・ヴェガス Johnny Vegas
ケリー・ライリー Kelly Reilly
ジャック・ダヴェンポート Jack Davenport
リチャード・コイル Richard Coyle
フランチェスカ・アニス Francesca Annis
ルパート・フレンド Rupert Friend
ポール・リッター Paul Ritter
スタンリー・タウンゼント Stanley Townsend
【ストーリー(若干、ネタバレあり)】
1660年代、科学技術や芸術が急速に発達し、性の自由に対する考え方も大きく発展していった王政復古のイギリスが舞台。国王チャールズ二世の妻の親族の前で無作法な振る舞いをした為に追放されて三ヶ月、ジョン・ウィルモットは恩赦を受け、妻と共にロンドンに戻ることになる。彼女が十八歳の時、待ち伏せし浚い我がモノにした妻と共に。
ロンドンに戻った彼は、悪友たちがたむろするバーと、劇場と、馴染みの娼婦ジェーンのところに入り浸る生活。そんな中で、彼は一人の女優と出会う。舞台の上で、素人顔負けの下手な台詞回しを聞かせる彼女に、観客は容赦ない罵倒を浴びせかけるが、彼だけは彼女に何か特別なものを感じたのだ。彼は、その女優エリザベスに演技指導を申し出る。彼の真意を測りかね、最初は拒絶していたエリザベスだったが、彼女も彼の中に何かを感じ、二人の個人レッスンが始まった。
二人のレッスンに、熱が入り、彼女の芝居が良くなっていくにつれて、彼の思いは女を思う男のそれへと変化していく。普段は放蕩な彼だが、何故だかエリザベスに対してだけは、安易に手を出せず苦悩する。
が、エリザベスの方は、彼への強い思いを抱きながらも、女優としての野心を燃やす。そして、政治に彼の才能を利用しようとしている国王の密偵になることも引き受ける。エリザベスが、彼の行動を監視していたにも関わらず、彼は見事に国王に恥をかかせ、姿を消す。が、国王の追っ手からは逃れても、病は確実に彼を捕らえていた。放蕩のツケ、梅毒が彼を蝕んでいたのだ・・・
公式ホームページ http://www.libertine.jp/

【個人的感想(ネタバレあり)】
観る前から「これぞ、デップの映画って感じじゃない?!」と思っていたが、間違いなかった(爆)。始まってすぐ、デップ自身が大いに気に入って、気分良く演じているなと感じたから、その時点で、わたし的にはOKな映画になった(^^)。
それとは別に、個人的にハマッタ台詞が冒頭にあったから、もう「お気に入り度」はウナギノボリさ(笑)。その台詞は、最初の独白シーンのラスト「どうか私を好きにならないでくれ」ってやつ。これは、わたしにとってはツボもツボ・・・切ない、痛い、愛しい・・・そして居たたまれない。
けど、まるで不満がないわけでもない。前宣では「前半の美男なデップと、後半の堕ちたデップをお楽しみあれ」って話だったから、後半を中心に凄く期待していたのだけど、あれじゃぁ、堕ち方が足りないっしょ(爆)。もっと、みんなに背かれ捨てられ、心も体もボロボロになって陋巷でボロ布のようになって野垂れ死ぬのかと思ったら、思いっきり皆に愛されちゃってるじゃないかぁ。たしかに、容姿は崩れたメイクになってたけど、めちゃくちゃ美しいラストだと、わたしは感じたよ。
奥さんの愛情なんて、もうこれ以上望めない深くて美しい愛だったし、ずっと付いてきてくれた召使もいるし、お母さんだって、国王だって、彼のことを本当は全然見捨ててないもん。一番きついダメージを与えてくれることを期待した女優のエリザベスだって、裏切りはしたけど本当は愛してくれてる感じだったでしょ。苦悩の末に女優の道を選んだけど、押さえ込んでいる彼への想いが滲み出てるって感じのお芝居だったもん。あれじゃぁ、まったく惨めじゃないっすよ。
そう言えば・・・彼の放蕩さとか、非常識さも、足りなかったなぁ。どの行動も心理も、とてもよく理解できたし、共感すらできたよ(爆)。女関係は、奥さんと、女優のエリザベスと、誰よりも彼を理解してくれていた娼婦との、三人分しか描かれてなくて・・・実際には、ハードな濡れ場のシーンもなく、正直、まったく放蕩をしているように見えなかった。奥さんに対しては「優しくしたいけど・・・」なんて辛そうな表情で言っちゃうし、娼婦との関わりは結構好い感じの友情も含まれてるし、才能や感性の部分で結びついた女優とは最初なかなか肉体関係が持てなかったりとか・・・放蕩とは逆の真面目で繊細な愛情を感じちゃったもん。
王に逆らって露骨な性表現や国政批判をして自分自身を追い詰めるようなことをする自虐的ニヒリズムも、そんなことをしながらも結局は王を庇うところも、詩や舞台に対してみせる高揚も、他人が見ないものを見、他人が感じようとしないものを感じようとする人間の切なさにしか見えなかったしね。
って・・・だから、結局何が言いたいかと言うと・・・この程度の堕ち方なら、巧い役者さんなら、デップじゃなくて他の人でも出来るということが、何よりも不満だということなわけです。つまり、デップなら、もう一歩、いやもう三歩は踏み込んだ崩れ方が出来る・・・もったいないってことです、はい(^^;。
最後になりましたけど・・・脇キャラ、とっても好かったです。ロチェスターに拾われてから最後まで彼の側に居たオールコック、梅毒の彼を支え逃亡を助けた娼婦のジェーン、それから劇場の裏方のオバサン・・・それぞれに、邪魔にならない存在感で光ってました。こういうところが、映画の深みになりますよねぇ~、はい(^^)。
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