映画鑑賞感想文

濫観っていうか、乱観っていうか・・・ポリシーないですけど(^^;

『百年恋歌』

2009-11-22 13:03:25 | Weblog
2005年 台湾
監督:ホウ・シャオシエン(侯孝賢)
出演:スー・チー(舒淇)、チャン・チェン(張震)、

1966年の恋人たちを描いた「恋の夢」、1911年の恋人たちを描いた「自由の夢」、2005年の恋人たちを描いた「青春の夢」。どの恋人たちも、スー・チーとチェン・チェンが演じています。

「恋の夢」は・・・出会って好意を感じあったばかりの時期に、彼が兵役で別れ別れになる二人。休暇をもらって彼女のもとを訪れた彼は、彼女が引っ越したことを知る。彼は、彼女を求めて、彼女の足跡をたどる・・・そんなお話。必死に探し回る感じじゃなく、ノンビリと彼女に近づいていく感じが心地よかったです。

「自由の夢」は、無声映画風な作りになっていました。遊郭の遊女と外交官の彼。彼が彼女に仕事のことや思想的なことも話して聞かせるような、遊女と客を越えた特別な絆をもつ二人。けれど、彼は決して彼女を身請けしようとしない。それに、じっと耐える遊女の健気な姿が、切なくて愛しいお話でした。

「青春の夢」は現代のお話。彼女のいる彼女が、彼と出会って彼に惹かれる。彼女の彼女は、それを感じて苛立つ。彼女は迷いの中で苦悩する。まっ、そんな話ですね。

個人的には、より古い時代の恋人同士に共感するという・・・自分のロートル具合を自覚する結果になってしまいました(^^;。
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『長い散歩』

2009-11-03 13:56:00 | Weblog
2006年 日本
監督 : 奥田瑛二
出演 : 緒形拳、高岡早紀、杉浦花菜、松田翔太、大橋智和、原田貴和子、木内みどり、山田昌、津川雅彦、奥田瑛二

独善的な態度で娘や妻を追い詰めてしまった過去をもつ安田松太郎。定年を向かえ、妻も亡くし、うらぶれた安アパートで一人暮らしを始める。しかし、隣の部屋の女の子が母親に虐待されているのを知り、我が娘と妻への贖罪の気持ちも相まって、その娘を連れて本物の青い空と鳥を見るための長い散歩に出る・・・というような話。

俳優の奥田さんが苦手だったのです。若い頃の奥田さんですが・・・ひどく苦手だったんです。だから、奥田さんが映画を撮られるようになってからも、彼の監督作品を見ることはなかったんです。でも、これは、なんとなく見てしまいました。すると・・・いきなり、主人公の松太郎の詩に「これはキタな」って感じてしまいました。そして、その感覚は、見終わるまで続きました(^^;。

役者さん出身だからってことではないのでしょうが、奥田さん、役者さんの使い方が実に的を得ているように感じられました。とはいっても、決して「誰もが気づかなかった役者さんの魅力を引き出した」ってことではないのですよ。むしろ、すでに誰もが知っている役者さんの魅力が、しっかりと出ているって感じではありますが・・・その、それぞれの役者さんが、自分に求められているものをシッカリと把握して、それを確実に形にされているっていうのは・・・やっぱり、監督への信頼と、監督の技量なのかなと・・・監督としての奥田さんを、この一作にして認めてしまいました(^^;。

テーマも構成も映像も、キャスティング同様、ほとんど奇を衒ったようなところはないのですよ。でも、それによって、ともて納得できるというか・・・幻想的でもあるんですが、地に足の付いたファンタジーになっている感じでしたね。根気が無いので、楽しめる上映時間の限界は90分という情けない人間なんですが、二時間を越える上映時間が苦になりませんでした。

緒形拳さんとと高岡早紀さんは、まさに「さすが」って感じでしたが・・・高岡さんの情人役の大橋智和さんが面白かったですね。ミュージシャンでらっしゃるみたいだけど、映画とか舞台とか、どんどんやってほしいなって思いました(^^)。松田翔太くんも好かったですよ。人気者なので、若い人に向けたイケメン映画やドラマが活動の中心になるでしょうけど、この映画みたいに達者な役者さんたちに囲まれて、ちょっと脇に引いた印象的な役をすると、彼はどんどんと光る気がしますね(^^)。
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『その日の前に』

2009-11-01 14:38:21 | Weblog
2008年 日本
監督:大林宣彦
出演:南原清隆、永作博美、筧利夫、今井雅之、勝野雅奈恵、原田夏希、柴田理恵、風間杜夫

妻が余命宣告をされ、きたるべき「その日」を前に、夫婦が二人で、あるいはそれぞれに、その日を向かえる準備をしていく話、ですよね。感想としては・・・ん~~~(^^;。

まず、役者さんのこと。永作さんは、とっても永作さんで・・・期待通りで悪くありません。決して、期待以上でなかったのは残念ですが、あそこまでしていただければ十分、文句はありません。で、問題は南原さん。ナンチャンのあの台詞回しは、監督に指示されてのことなのかな・・・そうだとしたら、ナンチャンに罪はありませんが、率直に言って、わたしは好きではないです。登場人物の気持ちに沿いたい観客の気持ちを、ふにゃふにゃかわしているような、そんな居心地の悪さを感じました。


あと、役者さんのことで言うと・・・くらむぼん君が良かったです(^^)。映画の構成としても、くらむぼん君を組み込んだのは好かったと思うのですが、原田夏希さんも好かったです。くらむぼん君が登場してからずっと、「わたし、この人、知ってる・・・でも、誰?」って思い続けていたんですが、帽子を取ってくれたところで気づきました・・・おきねちゃんだったのね(^^)。一般的には、原田さんといえば、NHKの朝ドラ『わかば』や大河の『篤姫』を思い浮かべるべきなようですが、わたし、その両方を見てないので、とにかく「あっ!!おきねちゃんだ!!」でした(^^)。まったく役柄が違うから気づかなかったけど・・・両方とも、とっても好かったです、原田さん。

それと、また、ちらっと峰岸さん、出てらっしゃいました。死を扱った映画で、峰岸さんのお顔を拝見すると・・・胸が痛くなっちゃいますね。

じゃあ・・・映画全体の話をしなくちゃいけませんね。ん~~~・・・なんというか、わたし的評価では、及第点ギリギリって感じなんですよね。駄目とは言い切れないけど・・・ん~~って感じになっちゃうんです。いろいろ工夫があったり、冒険があったり、色んな形で何かを伝えようとしてくださっているのは分かるんですが・・・それが、ちょっと消化不良なのかな。それに、時間が長すぎて、冗長な気もしたし・・・もっと削ぎ落として凝縮してもらった方が好かった気がします。

というわけで・・・ちょっと残念な感じでした、わたし的には。
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