(新)緑陰漫筆

ゆらぎの読書日記
 ーリタイアーした熟年ビジネスマンの日々
  旅と読書と、ニコン手に。

気まぐれ日記/飛鳥に遊ぶ

2008-03-11 | 時評
 早春の一日、明日香路に遊んだ。お目当ては、万葉文化館。奈良県が2001年に万葉文化の総合研究拠点として設立したものである。まさに飛鳥文化の中心である明日香村の小高い丘にある。近くには、飛鳥寺、石舞台、飛鳥京跡などなど史跡がたくさんある。すこし離れたところにある甘樫丘の展望台からは、大和三山や飛鳥川、飛鳥の里のひろがりがみられる。

 この万葉文化館の敷地自体が古い飛鳥時代の遺跡の上にあり、中庭には昔の
古代銭(富本銭)などを造った造幣工場の跡がある。「天皇」という字の書かれた古代の木簡や、様々な出土品なども展示されており、古代の人々の暮らしがうかがえる。ミュージアムには、万葉集の歌にちなんだ日本画を数多く所蔵している。

 ちょうど「新春の万葉日本画展」が催されており、田所浩や三輪敦子など現代を代表する日本画歌が、万葉集の歌にちなんで描いた絵が展示されていた。

 ”わが背子を 大和へ遣ると 小夜深けて
  暁露に わが立ち濡れし”・・・・・・・・・・・・(大伯皇女)三輪敦子

 ”わが情(こころ) 焼くもわれなり
  愛(は)しきやし  君に恋うるもわが心から ”・・(情焼く)木村圭吾

相聞の歌がおおい。昔は心を隠すことなく、相手に伝えたようだ。美しい絵をみながら歌を口ずさんでいると、親しみが湧いてくる。

 同時に写真家入江泰吉の「万葉花さんぽ」と題した写真展を見た。万葉集に詠まれた植物にスポットを当て、四季折々の花々や大和路を撮影したもので、中西進の文が解説として伏されていた。「大和し美し・・」という言葉が実感として胸に迫ってくる。

 ”春されば まづ咲く宿の 梅の花 独り見つつや 春日暮らさむ”
     (山上憶良)

その昔聖徳太子もこういう景色を見、花を愛でて育ったのかと感慨無量であった。
館の回りをとりまく万葉庭園の木々は、まだ緑も花もつけていなかった。ただマンサクの黄の花が彩りを添えていた。晩春、初夏の頃にまた来てみたい。比較的こじんまりとしたエリアなので、ここが古代律令国家誕生の地であり、数万の人口をもった飛鳥の都があったとは想像をしにくい。今は、とてものどやかな田園地帯とでも言ったところである。

館所蔵の万葉の日本画展は、作品をいれかえてほとんど常時開催されているし、
また「キトラ古墳」などの企画展もある。いつ来ても楽しめるところである。近くを散策し、飛鳥・斑鳩の頃を偲ぶのも一興であろう。

こういう所を訪ねたのをきっかけに、日本の古代史を勉強するのも面白い。この飛鳥の地は、日本で最初に水田で米を作ったとこころで、米の生産から国力がついて次第に発展していったとか。
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2 コメント

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明日香路の旅 (ハミングバード)
2008-03-14 12:57:37
ゆらぎ様

明日香路の旅日記、楽しく拝読しました。万葉の歌もご紹介いただき有難うございます。 万葉文化館も一度訪れてみたいところですね。 実は私も大昔、若かりし頃に友人と、今思えばとても面白い明日香の旅をしたことがあります。旅の一部は自転車を借りて春の明日路を走りましたが、苦労もありました。その当時のことを改めて時間を見つけてお話ししたいと思います。 きっとゆらぎ様も楽しんでいただける旅日記になると思います。では、まず、ゆらぎ様の気まぐれ日記の感想と、次回の私の書き込みの予告まで。
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お礼 (ハミングバード様)
2008-03-14 23:15:59
ハミングバード様
 拙文お読みいただき、ありがとうございました。自分でも文章がかたいなあ、思っています。もっと気楽なエッセイを書きたいと思います。飛鳥のあたりは、レンタサイクルで走るのがいいですね。どんな所を巡られたのでしょうか。お話を伺うのが楽しみです。
よろしくお願いいたします。
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