今年は、おそよ120冊ほどの本を手にした。そんなかで印象に残った本をパーソナル・ ベストテンとしてリストアップしてみました。なお、これらの本のいくつかにについては、書評を順次書く予定です。
①折々の歌三百六十五日 日本短詩型詞華集 (大岡信 岩波書店 03・2)
これまでの「折々の歌」から、和歌・短歌・俳諧・俳句・近世の歌謡などの
詩歌を集成したもの。掌におさめ、愛唱したい歌が溢れている。
”たちまちに君の姿を霧閉ざし或る楽章をわれは思いき”
(近藤芳美)
②北方領土 (岩下明裕 中公新書 05・12)
日露間の領土交渉に関する新しい考え方を提案した好著。
③外交(上・下)(ヘンリー・キッシンジャー 日本経済新聞社 02・6)
600頁を越える大冊が2刷。17世紀以降の外交とアメリカ外交の分析。
外交とは、国益なりと、思い知らされる。外国との関わり合いを考える人
に必見の著である。
④暗黒日記 全3冊 (清沢冽 ちくま学文庫 02・6)
昭和17年から終戦の年までの日記。戦後に外交史を書くために、戦時下の
社会や政治を見つめた。優れたリベラリストの残した記録は、後世にとって
貴重な資産といえる。
⑤絵画の領分(芳賀徹 朝日新聞社 84・10)
明治・大正と日本洋画史の勃興期を、個々の画家について丹念に、その足跡を
追った。絵画と文学、俳句などが相互にからみあいいわば、絵画を通してみた
近代日本といえる。面白さ極まりなし。
⑥ルービン回顧録(ロバート・E・ルービン 日本経済新聞社 05・9)
クリントン大統領の下、財務長官としてメキシコ通貨危機やアジア通貨危機
などを乗り切った日々を描く。ホワイトハウスの意志決定の内幕がわかって
興味津々だ。意志決定のと人生全般にたいするアプローチの仕方として、
蓋然性思考を、繰り返し説いて興味深い。
⑦半歩遅れの読書術(荒川洋治ほか 日本経済新聞社 05・10)
⑧ことのは草(大岡信 世界文化社 96・1)
日本の詩歌や伊勢物語、はては世阿弥の風姿花伝などなど文学や芸術における
「命ある言葉」について書いたエッセイ集。こんな貴重な本も古書房でしか
手にはいらない。私にとっては、宝物のような蔵書のひとつだ。
⑨いろんなインクで(丸谷才一 マガジンハウス 05・9)
本の帯に、「ひとの本好きが、本好きの友だちに出す手紙。これはそんな本」
とある。書評のユニークな定義からはじまり、かずかずのたくみな書評が溢
れていて惹きつけられる。A.S.パイアットの『マティス・ストーリーズ
残酷な愛の物語』は、この書評をみて早速手に入れた。
⑩みんなの意見は案外正しい(J・スロウィッキ- 角川書店 06・1)
梅田望夫の『ウエブ進化論』の中で紹介された本。よく日本の政治家が、
「・・・のことは専門家に任せて・・」というが、そうではなく、むしろ
正しい状況下では、集団はきわめて優れた知力を発揮する。集団の知恵に
ついて研究した本。
次点に個人の句集だが「冬満月」(碇英一 東京四季出版 02・10)、
経営書では、「ビジョナリーカンパニー」(J・C・コリンズ 日経BP出版
センター 03・1 第24刷)を挙げたい。そのほかのジャンルとして、
「森鴎外と美術展」(06・10 和歌山近代美術館)は絵画と時代の関わり
合いを綿密に考証した企画展として素晴らしいものであった。
松岡正剛の「千夜千冊」とまでは、なかなかいかない。でも気にいった本に
ぶつかるとそこからあちこち寄り道をし、深く読んでゆくので、このくらいの
ペースがいいかな、と思っている。
いよいよ年の暮れだ。一年は早い。みなさま どうぞ良いお年をお迎えください。
平和で明るい日本であることを祈りつつ。
①折々の歌三百六十五日 日本短詩型詞華集 (大岡信 岩波書店 03・2)
これまでの「折々の歌」から、和歌・短歌・俳諧・俳句・近世の歌謡などの
詩歌を集成したもの。掌におさめ、愛唱したい歌が溢れている。
”たちまちに君の姿を霧閉ざし或る楽章をわれは思いき”
(近藤芳美)
②北方領土 (岩下明裕 中公新書 05・12)
日露間の領土交渉に関する新しい考え方を提案した好著。
③外交(上・下)(ヘンリー・キッシンジャー 日本経済新聞社 02・6)
600頁を越える大冊が2刷。17世紀以降の外交とアメリカ外交の分析。
外交とは、国益なりと、思い知らされる。外国との関わり合いを考える人
に必見の著である。
④暗黒日記 全3冊 (清沢冽 ちくま学文庫 02・6)
昭和17年から終戦の年までの日記。戦後に外交史を書くために、戦時下の
社会や政治を見つめた。優れたリベラリストの残した記録は、後世にとって
貴重な資産といえる。
⑤絵画の領分(芳賀徹 朝日新聞社 84・10)
明治・大正と日本洋画史の勃興期を、個々の画家について丹念に、その足跡を
追った。絵画と文学、俳句などが相互にからみあいいわば、絵画を通してみた
近代日本といえる。面白さ極まりなし。
⑥ルービン回顧録(ロバート・E・ルービン 日本経済新聞社 05・9)
クリントン大統領の下、財務長官としてメキシコ通貨危機やアジア通貨危機
などを乗り切った日々を描く。ホワイトハウスの意志決定の内幕がわかって
興味津々だ。意志決定のと人生全般にたいするアプローチの仕方として、
蓋然性思考を、繰り返し説いて興味深い。
⑦半歩遅れの読書術(荒川洋治ほか 日本経済新聞社 05・10)
⑧ことのは草(大岡信 世界文化社 96・1)
日本の詩歌や伊勢物語、はては世阿弥の風姿花伝などなど文学や芸術における
「命ある言葉」について書いたエッセイ集。こんな貴重な本も古書房でしか
手にはいらない。私にとっては、宝物のような蔵書のひとつだ。
⑨いろんなインクで(丸谷才一 マガジンハウス 05・9)
本の帯に、「ひとの本好きが、本好きの友だちに出す手紙。これはそんな本」
とある。書評のユニークな定義からはじまり、かずかずのたくみな書評が溢
れていて惹きつけられる。A.S.パイアットの『マティス・ストーリーズ
残酷な愛の物語』は、この書評をみて早速手に入れた。
⑩みんなの意見は案外正しい(J・スロウィッキ- 角川書店 06・1)
梅田望夫の『ウエブ進化論』の中で紹介された本。よく日本の政治家が、
「・・・のことは専門家に任せて・・」というが、そうではなく、むしろ
正しい状況下では、集団はきわめて優れた知力を発揮する。集団の知恵に
ついて研究した本。
次点に個人の句集だが「冬満月」(碇英一 東京四季出版 02・10)、
経営書では、「ビジョナリーカンパニー」(J・C・コリンズ 日経BP出版
センター 03・1 第24刷)を挙げたい。そのほかのジャンルとして、
「森鴎外と美術展」(06・10 和歌山近代美術館)は絵画と時代の関わり
合いを綿密に考証した企画展として素晴らしいものであった。
松岡正剛の「千夜千冊」とまでは、なかなかいかない。でも気にいった本に
ぶつかるとそこからあちこち寄り道をし、深く読んでゆくので、このくらいの
ペースがいいかな、と思っている。
いよいよ年の暮れだ。一年は早い。みなさま どうぞ良いお年をお迎えください。
平和で明るい日本であることを祈りつつ。