彼は27歳、観賞用の植物を育てる仕事をしている。
”花に囲まれて生活をしたい”との思いで関わった。
とんでもない事だった。
同じ姿勢で、同じ苗を淡々とポットに植えていく、その数万単位。
夏場のハウスの温度は40度近く、そして膨大な花の種類を覚えなければならない。
"花の付き方””開花時期””処理の仕方”花によって千差万別。
想像以上の重労働に一面の苗が憎らしくなった。
冬の日々は続く。3万鉢が物にならなくて破棄!
追いかける様に父親が脳出血に。
しかし、彼は強かった。負けなかった。
そして、「花には心がある」と理解出来る迄かれの精神は成長した。
丹精こめて育てた”カラエンコ”が品評会で”県知事賞”に。
「ここ迄育ってくれて有難う」と花々に声をかける彼の笑顔をが
まぶしく美しい。