梅様のその日暮らし日記

その日その日感じた事や世間で話題の事について自分なりの感想や考えを書いていきます。

アイスランド・ツアー⑪

2015-09-24 03:42:18 | 日記

  
   出発10分前、ロビー集合。添乗員から、バスの2列目と3列目に座る人間が指名されました。すっと後方の席になったりして苦情が出ることを考えたアイデアだと思います。しかしおばさんはやはり意味を理解しておらず、名前を呼ばれたら前の方の席に一人で2席占められると思っている人がいました。名前を一人分しか呼ばないのは、夫婦参加の人たちだからです。その他のことでも、おばさん特有の「自分の聞きたいこと以外は聞かない。」という特殊能力が存分に発揮されていました。

   フロントにキーを返却。どの従業員も営業スマイルでなく、本当に柔和です。広い国土に少数の国民が争うことなく穏やかに暮らしているせいなのかと、一人で納得。

   9:00、出発。バスは溶岩台地を貫く片側一車線の国道一号線をひた走りますが、沿道には家一軒すら見えません。ある時は遠くに湯気が上がっているのが見えたかと思うと、窓を閉め切った車内に硫黄の臭いが入り込んできたりします。

   道路から5mばかり離れたところを、道路と並行して電線らしきものが延々と敷かれています。電柱もたまには見かけますが、日本の物とは違って、鳥居の上に電線を載せているような形態をしています。しかし、それは一日走っても見られるか見られないかという代物です。散在する家々に向かっては電線が走っているようには見えません。地下に埋めるには溶岩台地はあまりに固いと思います。まさか電気が行っていないことはないはずですが。

   偶然見かけた道路工事風景。重機には大きく「HITACHI」と書かれていました。

   ところどころで羊が放牧されていますが、土地の面積と比べると頭数が圧倒的に少なく感じます。もちろん羊の食欲は一日当たり相当な面積の草地を必要としますが、それにしても頭数が少なく見えるのは、あまり飼育したところで消化できるだけの人口がいないからなのでしょう。

   時折牧草地の間を小川がゆったりと流れているのが見えますが、元をただせばはるか遠くの氷河から流れて来るものです。必然的に水温が低いので、魚の姿はほとんど見えません。そもそも山に木が生えていないので、川に流れ込む栄養分がほとんどないのです。昔岩手県で、海の魚を増やすために、山に木を植えたという逸話を思い出します。

   見渡す限り人の姿が見えない環境なので、川には堤防などなく、自然のままに流れています。今や日本では見たくても見ることができなくなってしまった風景です。もっとも日本の場合には人家のそばに川が流れているのが当たり前の組み合わせなので、昔は当然の如く川で溺れて無くなる子供がいたものです。私の兄も、川底に沈んで仮死状態でうつぶせになっているところを近所のおばさんに発見され、一命をとりとめました。妻の実家の仏壇には、3歳で家の横の川で溺死した、妻の姉の写真が飾られています。日本の川は人命と引き換えに自然な美しさを失いました。自然そのままの美しい川が流れているということは、それだけ人間の数が少ないということの証でもあります。