金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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現在、記事の整理中。

230:狗飼恭子 『好き』

2006-10-23 23:34:35 | 06 本の感想
狗飼恭子『好き』(幻冬舎)
★★★☆☆

田中麗奈主演のWebドラマの小説版3作+書き下ろし1作。
プロットを映画の製作と同時に小説にしたもので、
原作でもノベライズでもないという形態。

もともと狗飼さんのつくった話でないせいか、
時代背景が昭和三十年代・五十年代のせいか、
「叉焼麺」「波」はあからさまに書き込みが少ない……
世相をあらわす背景が不自然なほど薄くて、
そのうえ女の子の一人称ですすむものだから、
主人公の現代的な感覚と「集団就職」という話題に、
ちぐはぐな感じを受けてしまう。
映像で見せる分にはセットがあるから問題なかったのかもしれないけど。
舞台が現代になった「テンカウント」はよかったので、
やっぱり時代背景が問題だったのだろうか。
歴史ものに関わらず、過去を舞台にして書くには
かなり勉強が必要そうだもんね。

「テンカウント」で男の子がヒロインに「美穂ちゃん」と
言わされてるのにときめいた……
そして書き下ろしの「『好き』」は、一冊の本として
入れ子式の構成になっているところもよかったし、
狗飼さんの話だなあという感じがして好きでした。

田中麗奈は特別好きというわけでもなく、テレビも見てないので
最近の動向は知りませんが、顔立ちが現代的なので
絵柄としてもやっぱり「テンカウント」がいちばんしっくり
来たんじゃないだろうか……と勝手に予想。

コメント (2)
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映画:『エトワール』

2006-10-23 23:07:05 | 映画の感想
映画:『エトワール デラックス版
★★★☆☆

TSUTAYAで目について、借りてきたもの。
女たちの熾烈な戦いを描いたヒューマンドラマかなにかかと思ったら、
オペラ座のダンサーたちの舞台裏を追ったドキュメンタリーでした。
解説によるとオペラ座にカメラが入ったのはこれが初めてだそうで、
ダンサーたちへのインタビューなど、バレエに興味のある人、
くわしい人にとっては楽しめるであろう作品。

ちなみにわたしのバレエについての知識は、
小学館の小学○年生シリーズで連載していた
上原きみ子『銀のトウシューズ』どまり。
なのでよくわからないところが多々あり、掃除しながら
いまいち集中力に欠ける状態で見ることになってしまったのだけど、
他事を切り捨てて、ストイックにバレエに打ち込むダンサーたちの生活や、
激しい競争社会でダンサー仲間と心底打ち解けられないという寂しさ、
忍び寄る老いと引退についての話はなかなか興味深い。

冒頭に来日講演の際の映像があって、若い金髪ダンサーに群がる
日本人女性を評して「日本特有の現象だ」とか言ってるのが
ひどく恥ずかしかった。
ベッカムだのヨン様だののときもそうだったよね。
ああいうのって、付和雷同的な側面ももちろんあるのだろうけど、
なんでもいいからはしゃぎたいというお祭り気質もうかがえる。
わたしがイヤだと思うのは、なんとなくそのちやほやする感じが
「にわか」っぽいからなのかな。

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映画:『サタデー・ナイト・フィーバー』

2006-10-23 16:41:01 | 映画の感想
映画:『サタデー・ナイト・フィーバー』(ジョン・バンダム 監督)
★★★★☆

これも名前はよく聞いたけど見たことがなかったなあ……
というわけでレンタル。
なんとなく「70年代の風俗の証拠フィルム」としか
イメージしていなかったのだけど、よくできた映画で驚く。

ブルックリンの塗装店に勤めながら土曜の夜にはディスコに通い、
踊りに熱中するトニー。
ディスコで出会ったステファニーのダンスに魅了されたトニーは
彼女をコンテストのパートナーに選ぶ。
マンハッタンに勤め、「上流」を意識する彼女に出会ったことで、
トニーはそれまで考えもしなかった別の人生があることに気づく。

労働者の街ブルックリンと、橋を隔てた向こうにある
洗練の街マンハッタンの格差をテーマの一つに据えて、
若者たちの苛立ち、失業、人種差別等々、
当時の社会状況を反映しながらトニーの成長を描いている。
主人公を演じるジョン・トラボルタ、風俗のちがいもあって
最初は「なんか冴えない男だなあ~」と思って見ていたのだけど、
かっこいいじゃないか。
センシティブなトニーの魅力も後半からわかってきました。
ほどよい筋肉と細身の体つきの持ち主でないと似合わない
あのファッションも、なにやらなつかしい感じ。
ヒロインのステファニーを見て、思わず南果歩を連想してしまった。
似てると感じたのはわたしだけ……??

付録についていた音声解説が非常におもしろい。

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