金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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171:早見一真『95』

2024-08-11 11:03:39 | 24 本の感想
早見一真『95』
 
【Amazonの内容紹介】
 
95年、渋谷。
平凡な高校生だった秋久は、縁のなかった4人の同級生から突然カフェに呼ばれ、
強制的にグループへ仲間入りさせられる。
他校生との対立、ミステリアスな女の子との出会い……
秋久の経験したことのない刺激的な毎日が待っていた。
だがある日、リーダー的存在だった翔が何者かに襲撃されてしまう。
秋久は真犯人を捜すため立ち上がった――。
激動の時代を駆け抜けた少年たちの心の叫びがほとばしる、熱烈青春ストーリー。
 
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Amazon Audible にて。
面白かった!! のだけども、ドラマから入ってドラマありきで読んだ(聞いた)ので、
単独での評価ができず、好み度★はなし。
 
当然ながら、原作のほうが情報量は多いから、
ドラマで特に後半、準モブみたいになってたレオ・マルコ・ドヨンも
こちらではもう少し解像度が上がっている。
特にドヨンは、ドラマではカットされたバックボーンが
彼自身の人物像に魅力をもたらし、
セイラとの間に独自の関係性も生んでいたため、
割を食ったな……という印象。
逆に、主人公のQと翔は、ドラマのほうが
チャーミングな部分やかっこよさを感じる箇所が多く、魅力的。
Qの場合はたぶん高橋海人くんの笑顔の可愛さ、
翔の場合は中川大志くんの育ちのよさそうな感じ・ビジュアルの強さを活かした
キャラ立てによるものだと思う。
特に雰囲気とかオーラみたいなものって言語化しきれない部分だから、
そういう点は映像のほうが有利なんだろうね。
Qの一人称視点で進む原作は、Qの魅力を描くのが難しいのだと思う。
翔も、弱さ・情けなさのほうを強く感じた。
 
原作から改変された部分は多いのだけども、
いずれもその改変の理由に想像はつき、納得できるものだった。
キャラのビジュアルも結構変わっているのだけども、
おそらくセイラを原作準拠で実写化したら、
他の女の子たちとの「画」としての差別化が
難しかったんじゃないかと思う。
ドラマでは、ビジュアルでセイラの特別感がしっかり出ていた。
原作にはなかったQがセイラの写真を取り返しにいく部分も、
「今後、同じようなことが起こってしまうのでは」
という懸念を完全に払拭してくれた。
原作にしかないドヨンのバックボーン、翔の母の差別意識は、
人間の多面性を描いている大事な点ではあったのだけども、
やっぱり地上波のドラマでは触れられないよな……と納得。
 
なにより、原作の早見先生が、
ドラマに対してネガティブな発信を一切せず、
ポジティブに楽しんでくれていたことは、
関係者はもちろん、ドラマのほうのファンをかなり安心させてくれたと思う。
ドラマ化に関して痛ましい事件が起きたばかりだったしね……。
 
原作での翔は政治家になっているので、
当然政略結婚もしているだろうし、
セイラとその娘が出てきたらただの迷惑になってしまうのでは……??
とずっとハラハラしていたのだけども、
その点については一切触れられていなかった。
 
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