82：森鴎外 『山椒大夫・高瀬舟』

森鴎外『山椒大夫・高瀬舟』（新潮文庫)
★★★★☆

【収録作品】
杯
普請中
カズイスチカ
妄想
百物語
興津弥五右衛門の遺書
護持院原の敵討
山椒大夫
二人の友
最後の一句
高瀬舟

旅行の行き帰りにもてあますほどの時間があるので
どっしりしたものを一冊……と思って持参したのだけど、
意外に早く読み終わってしまいました。
この頃の作家ってやたらと横文字を使いたがるけど、
鴎外もしかり。
「普請中」「妄想」あたりは注がないと読めないよ！！
発表当時には注なんてついてないだろうし、
カッコつけにしたって、これじゃ読者を限定するよなあ。
「高瀬舟」は文句なしの名作。

きりたんぽ王国を行く⑤

写真は御座石神社。

帰りは新幹線に揺られて６時間……。
年のせいかすぐに疲れて、乗り物に乗るたびに寝てました。
観光より寝ている時間のほうが長かったんじゃないか……と
いうくらい。
しゃちほこ村から東北に行くなら、飛行機＋ホテルのツアーが
いちばん安くて楽だなあ。
セットになってるホテルはイマイチのことが多いけど、
一泊追加で、好きなところを自分で予約すればいいし。

宅急便で送ったお土産が明日届きます。
自分用に買った稲庭うどんを食べるのが楽しみ。

きりたんぽ王国を行く④

角館散策を早々に切り上げ、田沢湖へ。
ここにはずっと思いいれがあって、
一度行きたいと思っていたのです。
駅からかなり離れているので、
とりあえず一周バスに乗る。
辰子像と御座石神社でそれぞれ15分と６分、
見学の時間をもらえます。
時間が短いのでややあわただしい感じ。
しかし田沢湖は本当に青くて美しい
一周してから、湖畔でバスを降りて、
今度は遊覧船でさらに水上を一周。
遊覧船では田沢湖やその周辺の伝説について
アナウンスが入るのでおもしろいです。

きりたんぽ王国を行く③

宿泊は、角館の花葉館。
夕食にきりたんぽの鍋が出ました。
鍋物は特別好きじゃないし、
きりたんぽにも期待してなかったけどおいしい。
旅行に行くと不健康なほど早寝してしまうのだけど、
今回も８時に寝そうになった。
さすがに友達に止められて、テレビを見る。

翌朝は8時半にチェックアウトして角館の武家屋敷通りに。
ここは以前訪れた両親の評価も高かったところ。
桜と紅葉の季節はさぞかし美しく
雰囲気もあるにちがいない。
が、疲れが抜けなかったせいか、
いまいち気分も盛り上がらず……。
もろこし屋のお兄さんがとっても親切。
もろこしというのは、小豆の粉を使って作った和菓子。
お茶をもらって、試食を全種類食べつくす。
買うつもりもないのに……（友達は買った）。
別のお店で食べたもろこしソフトもおいしい。

きりたんぽ王国を行く②

朝６：４５に秋田について、いつもどおり、
何の計画性もなく男鹿まで行く。
早すぎてどこも空いていないので、
キオスクでもそもそごはんを食べていたら、
キオスクのおばさん（お姉さん？）が入浴剤をくれた。
海のあたりをぶらぶらして、折り返し秋田へ帰る。
行きの電車は高校生でいっぱいだったけれど、
みんななまってないのね……。

写真を撮らなかったけど、次に行った千秋公園は
秋の初めのさわやかな気候もあって気持ちいい。
ああいう大きくて風情のある公園が街の中にあるのは
良いな。
公園を一周して、バスで秋田大学鉱業博物館へ。
ここは名前の通り、「鉱物」ではなくて
「鉱業」の博物館という感じ。
個人的には、山梨県の宝石博物館がいちばん良い。
こじんまりしてるけど、きれいだし。

昼食に食べた稲庭うどんが美味。
先日読んだ吉本隆明のエッセイに稲庭うどんがおいしいと
書かれていたので楽しみだったのです。

きりたんぽ王国を行く①

秋田に行ってきました♪
これで東北６県制覇
サンライズ出雲で寝台特急の魅力を知ったわたしたち、
今回は上野から「あけぼの」に乗って行きましたが……
「あけぼの」は狭くてイマイチ。
そしてずいぶん涼しくなってきたとはいえ、
８月に一晩風呂に入らず過ごす不快さといったら！

81：池波正太郎 『乳房』

池波正太郎『乳房』（文春文庫)
★★★★☆

かつて同棲していた男から、
「まるで、不作の生大根をかじっているようなもんだ」
と罵られ、捨てられたお松。
偶然会ったその男を絞殺し、「阿呆鴉」の長次郎に
救われたところから、お松は数奇な運命をたどりはじめる。
鬼平犯科帳シリーズ番外編。

**************************************

最終巻が貸し出し中だったので、こっちを先に。
平蔵が盗賊改方に就任する前からの十三年間を、
お松の人生を軸に描いた物語。

子どもの頃に親に言われたことや
かつての恋人に罵られたことって、
大人になってからも引きずりやすいよね～。
周囲の人々に愛され、見た目も変わったお松が、
勘蔵の捨て台詞に縛られ、
「愛されている」のだと信じられないのが悲しい。
そんな彼女が呪縛から解放されるラストは
すばらしい。

80：吉本隆明 『日々を味わう贅沢』

吉本隆明『日々を味わう贅沢』（青春出版社)
★★★☆☆

思想家・吉本隆明のエッセイ。
現行を知るしたものを読むにつけ、
思想家って毒舌で攻撃的だよなあ……とよく思うのだけど、
エッセイを読むと、この人はなんか可愛い。胸キュン。

79：池波正太郎 『鬼平犯科帳〈23〉特別長篇 炎の色』

池波正太郎『鬼平犯科帳〈23〉特別長篇 炎の色』（文春文庫)
★★★★☆

かつて長谷川家で中間をしていた久助が、
平蔵を訪れる。
父・宣雄の隠し子である異母妹・お園の存在を
久助から知らされ、呆気にとられる平蔵。
そのお園がなにやら難儀していると聞き、
彼女の住む根津へ足を運ぶことになる。

お園初登場の「隠し子」と、
長編「炎の色」の二本立て。

*************************************

「炎の色」は、女賊・お夏におまさ、お園の
女性三人にスポットライトをあてていて、
シリーズ中ではやや異色。
「隠し子」で平蔵の役宅へ引き取られ、
出生の秘密を知らされないまま
女中として働き始めるお園。
彼女の小柳に対する恋心に気づく平蔵だが、
小柳はお園に対してまったく関心がないのであった。

……と思ったら、ラストでいきなり小柳が平蔵に
お園と結婚したいと言うじゃないか！！
（いや、はっきり言えずにもごもごしてるんだけど……）
中盤の過程を知りたいのに～！！

お園を捕り物に引き込んだり、彼女との連絡役に
さりげなく小柳をあててるのは、
平蔵のお膳立てですね、きっと。
「立てと言ったら立て」とか言って
下女をとっ捕まえるお園が、小柳に対しては
乙女になっちゃうところにムフフ

78：北村薫 『紙魚家崩壊 九つの謎』

北村薫『紙魚家崩壊 九つの謎』（講談社）
★★★☆☆

雑誌ＣＲＥＡの読書特集が良かったので、
紹介されていた本を順番に読んでいこうと思ってます。
まずは、たまたま図書館で遭遇した未読の北村薫から。

母が「最近の北村薫はおもしろくない！」と言っていましたが、
うーん……どうなんだろ？
わたしの中でもベストは昔の円紫さんシリーズで、
それ以降はいまいちインパクトに欠けるという感じはあるけれど、
毎回「きちんとした」と表現するのがふさわしい、
良質で上品な話が楽しめてわたしは好きです。
今回収録の９編の中では、「白い朝」のロマンスが良い。

『街の灯』の続編が出ないかなあ～。