金木犀、薔薇、白木蓮

本の感想、ときどき映画。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

545:永井路子『つわものの賦』

2021-11-29 19:42:22 | 21 本の感想
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代、
鎌倉武士たちのリアルな姿を描き出した
面白さ抜群の傑作歴史評伝。

「ここで私は、大小いくつかの作品で扱ってきた
鎌倉時代に対する一つの決算書を書いた。」
(あとがきより)

『炎環』『北条政子』で鎌倉幕府成立の時代を小説として
描いた後も、『吾妻鏡』を何度も読み返し、
この時代を【大きな変革の時代】として位置付けてきた永井路子氏。
その盛り上がりの中核にあるのは、外からの力でも、
源頼朝個人の挙兵ではなく、東国武士団の行動として捉えた時、
歴史的な意義が明確に見えてくる。
本書は、永井氏が鎌倉時代を扱った一連の小説の原点であり、
帰結でもある。

****************************************

永井先生、三浦義村を過大評価しすぎなのでは……
と思うけれども、作品世界ではこれはこれで面白い。
ここに書かれている永井先生の板東観をふまえると、
先生の鎌倉ものを、また別の味わいとともに
読むことができそう。

藤原秀康は御家人だったの??
三浦の血を引いているのは知っていたけれど、
後鳥羽院のもとで国守を歴任してるから、
「鎌倉殿」とは主従関係を結んでいないのだと思っていた。

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大河ドラマ『青天を衝け』#37

2021-11-28 20:51:24 | 大河ドラマ「青天を衝け」
岩崎は自信満々。
悪役にはこれくらいどっしり構えていてほしいね。

お千代の死でしょぼんとしていた栄一も、
三菱とのバトルが始まると燃えてくる。
感情的になって伊藤博文にたしなめられるほど。

競争の最中に 弥太郎が死んでしまうの、できすぎだな。
実は弥太郎も、本当に日本のためを思って
やってたということが明かされるの、ずるいよ。

栄一はあっさり後妻を迎えることに。
家政と社交を重視した人選なのは納得。
おくにさんはちょっと違うよね……。

再婚したものの、孫の誕生に後妻さんの前で
 「千代に見せてやりたかった」 。
栄一って、こういうとこあるよな~。
自分ではいい人だと思ってるけど、すごい無神経なの。
案の定、後妻に離縁してと言われてる。
和解したが急にラブラブにならず、
家庭や養育院の共同経営者としておさめたのがよかった。
尺の問題だったかもしれないが、後妻とのすったもんだを
最小限で抑えたのは好印象。

後妻との関係が好転した一方、千代の産んだ長男との確執が……
と 仄めかしたところで終了。

【その他いろいろ】

・お安さん、 しぶとく出続けるなあ。

・うたが、おくにではない女性を後妻に迎えることに
 難色を示すの、史実に沿った上に
 これまで描いてきた千代ちゃん─おくにさんの関係からも
 納得できる。
 ちょっとしたセリフで、関係が良好だっていうのが
 分かるようになっていた。

・岩倉具視、ギャグテイストのまま死ぬとは思わなかった……。
 暗殺未遂はあったものの、彼は畳の上で死ねたんだな。 

・ 五代もいきなりフラグなしで死亡が予告され、
 三菱と栄一たちの会社の仲を取り持って退場。
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544:細川重男『頼朝の武士団 鎌倉殿・御家人たちと本拠地「鎌倉」』

2021-11-25 18:20:50 | 21 本の感想
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」必読書!
家系の“河内源氏"は実は傍流で
妻の政子にも全く頭が上がらないが、
実は“情に厚い"親分肌で仲間を増やし、
日本史上・空前絶後の万馬券“平家打倒"に賭けた源頼朝!
幕府を託された義弟の北条義時は
地味で目立たぬミソッカスだが、
生真面目で責任感が強く過酷な内部抗争を勝ち抜き、
承久の乱で後鳥羽上皇に対峙する。
頼朝・義時の真実が解き明かされる、
源平合戦・幕府創設・承久の乱研究の決定版!!

****************************************
 
大河ドラマ効果で、続々と好きな時代を扱った本が出ていて
嬉しい限り。
これは再刊とのこと。

論考とは言えないような想像も多いし、
砕けた文章は好き嫌いありそうだけど、
ユーモアに満ちた楽しく面白い本だった。
ある程度、頼朝に対するイメージを持っている人の方が
イメージが変わる楽しさを感じられて良いかもしれない。
頼朝の死後、御家人同士が潰し合いを始めるのを考えると、
やっぱり頼朝自身の人気とかカリスマ性が寄与していた部分は
大きかったのだろうと思う。

よぼよぼのじいさんになった 大江広元と三善康信が
京に攻めのぼれと言う承久の乱の時のシーン、
いつ読んでもウルッときちゃう。
頼朝と一緒に武家政権を作ってきた御家人たちの多くも
互いに潰しあったり死んだり世代交代したりして、
頼朝の時代は遠くになってしまったけれど、
一生ものの大事業であり、青春だったんだろうなと思って。

鎌倉という場が出来たことによって、
板東武士たちの関係性が変わった、という話には、
なるほど~。
そして畠山重忠のお坊ちゃんぶりが可愛い。

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538-543:最近読んだ漫画

2021-11-25 17:38:29 | 21 本の感想

なんの変哲もない高校生の恋なのだが、
ピュアでいいねえ。



わたし、別に新撰組は嫌いではないのだけども、
彼らを扱った女性作家による創作物には、
ひどく居心地の悪いものを感じてしまう。
女性が男性の集団とか関係性に対して向ける
ドリームみたいなものを感じてしまうからなのかな。



女子校に勤める男性教師を主人公にしたギャグ漫画。
このシチュエーションだと、主人公ポジションは
「女の子慣れしていない童貞教師」とかにされがちな
気がするのだけども、本作の主人公は妻子持ちで
生徒たちに対する感情がフラット。
あくまでも教師として淡々と接しているのがよい。

2巻のタペストリーの回で、おなかが痛くなるほど笑った。



これ、シリーズの途中から読んでしまったのか? 
と思うほど、主人公?らしきアドバイザーの行動が謎。 
見ず知らずの旅行者にタイムスケジュール付きの 
おすすめグルメリストを渡す、 
ものすごいおせっかいおじさんじゃん……。 
何が彼をそうさせるのかは、いずれ明らかになるのかな。

でも旅行のガイドブックには載っていなさそうな、
地元の人の愛するお店を紹介しているのはすてき。
(どうやら実在の店の名をもじっているらしい)

 
 『』
 『』


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528-537:最近読んだ漫画

2021-11-23 18:21:09 | 21 本の感想

なんでだか「美味しそう」とか「食べたい」とは
全く思えないんだけど、作っている様子が楽しげで
自分も料理がしたくなる。



表紙から想像していたキャラクターとは全然違った。
お嬢様な女性刑事も、「いかにも」な感じではなく、
主人公を叱りつけるタイプのちゃきちゃき系で好感が持てた。
警察内部の闇を描いた漫画で、警察不信になりそうだが
続きが気になる。



お互いが大好きな同棲カップルの日常。
ラブラブな感じが可愛い。



別れる理由が朝ごはん、というのは、
やっぱり共感が得られないし
理解されないのも仕方がない理由だと思う。
ヒロイン視点で読んでいる私も、何か、
無理やり感と言うか、不自然なものを感じるもの。
(売り方の都合に見えてしまう)
美味しいご飯が食べたいという気にはさせられる。



面白い。
常にヤニ中毒の暴力ヒロイン、絵柄からして
魔法少女とかけ離れている。
設定だけだと好感度が上がりようもないヒロインなのに、
ツンデレぶりが可愛い(実は成績優秀なのも良し)。
女の子が仲良くなってるの、いいね~。
最強ヒロインに暗い過去がありそうで、続きが気になる。



ちょっとちょろいと言うか、簡単すぎないか?
というのはあるのだが、ひとつ目のエピソードは面白かった。
定時に必ず帰り、学校の教師としての仕事の範疇以外のことには
冷淡な主人公のキャラクターもちょうど良い感じ。



爵位等の設定には首をかしげてしまうし、
悪役令嬢ぽさが微塵もなく、転生という設定も
無くてもなんとかなるのではないだろうか?
ヒロイン周りの設定だとか物語には面白みを感じないのだけども、
ヒーローらしき人物の恋の行方は気になる。

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大河ドラマ『青天を衝け』#36

2021-11-21 20:46:19 | 大河ドラマ「青天を衝け」
千代ちゃんアゲが続くと、
「ううう、そんなに仕込むなや……😨
と胸の内側がざらざらするわ~。
娘の結婚で、
「この世に思い残すことはない」
とまで言わせちゃってさ。

栄一、
「お前がいなくては生きていけねえ」
なんて言うくらいなら浮気すんな!!
死の間際だけ愛妻家になるんじゃねー!!

そして、良妻賢母すぎる千代ちゃん、死す。
史実が憎い……!!

おくにさんが、傷心の栄一に寄り添ったりせず、
ひとりにしたのが良かったな。
(感染を恐れたのもあるだろうが……)

【その他いろいろ】

・伊藤の大隈下ろし、陰険~!!
 大隈もただではやられず、わくわく。

・五代、いつのまにこんな栄一と仲良くなったん……?
 五代、やられっぱなしでも冷静で強いな。

・コレラだというのに、きれいすぎる千代ちゃん。



コメント (2)
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527:富田常雄『武蔵坊弁慶(二) 女難の巻』

2021-11-20 00:27:21 | 21 本の感想
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

入道相国の怒りに触れ、山科で捕われて
六条河原に引き出され首を打たれる寸前、
阿修羅となって暴れた弁慶は、
源氏の御曹司・義経に挑み、意外にも一蹴されて忠節を誓う。
奥州平泉に向かう若君を慕う彼の前途に立ちふさがる天災、
そして女難。
天衣無縫、青年弁慶をめぐる恋と冒険の活劇、波乱の第二巻。
燃える情熱を巨躯に秘め、弁慶は青春を駆け抜ける!
NHK大型時代劇原作。

****************************************

片岡経春・為春兄弟と、伊勢義盛登場。
旅の途中で仲間を集めていくRPGのような楽しさ。
元服した義経のいる奥州へ弁慶も行って合流、
主従の旅立ちと女たちのキャットファイト、
右京大夫の恋。

最初に読んだ小学生のころにはわからなかった、
ほくろの無邪気な可愛らしさ、徳の一途さにキュン。
妙のことは昔から好きじゃないな~と
思っていたのだけども、やっぱり好きになれない。
恋に盲目になって身の程を一向にわきまえず
感情的になって騒ぎを起こすのが嫌なんだな。

「女難」のサブタイトル通りに、
妙も鈴の前も、うんざりするほどトラブルを起こす。

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映画:『武士の献立』

2021-11-20 00:11:04 | 映画の感想
2021年の映画㉙『武士の献立 [DVD]』(朝原雄三 監督)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

料理上手の"出戻り娘"が嫁いだのは、
"でき損ないの包丁侍"
ふたりは本当の夫婦になれるのか?
江戸時代。“刀"ではなく“包丁"で、藩に仕えた武家。
“料理"で動乱を乗り越えた、実在の家族の物語。

*******************************************

加賀騒動のことを知るきっかけになったし、
ホームドラマ・夫婦ものとしてはおもしろかったけれど、
盛り上がりのポイントのひとつだった加賀騒動は
料理とはあまり関係なかったね。
ヒロインが出てっちゃうのも、
出自ゆえの引け目や嫁ぐ前の夫の恋ゆえだとわかるが、
構ってちゃんな行動に思えて白けてしまった。

高良くん、嫁の特訓で料理の腕は上げたとはいえ、
そうキャリアも積んでいないだろうに
そんな大役について大丈夫か?
フィクションだからうまくいくが、
「えらそうに指示できる立場か」って思っちゃう。

成海璃子の発声の悪さ、演技の拙さも気になったな。
「かんざしは燃えないぞ!!」とか、
「なんだこのエンディングテーマ……」とか、
ツッコミどころは多数だけど、全体的には好き。

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521-526:最近読んだ漫画

2021-11-19 14:16:41 | 21 本の感想

たまに意味のわからないところがあった。
連載でちょこちょこ読んでいると
下ネタも気にならないのだろうが、
まとめて読むと「もういい……」という気分になる。



見覚えのある絵だと思ったら、
ガンダムのキャラデザの方なのか。

この漫画、20年以上昔に、奥州藤原氏関連の本で
紹介されていたのを読んだのを覚えている。
絵はうまいんだけど、話は……
打ち切りっぽい終わり方だったのも納得。
どうして兄妹なのを隠す必要があったのか謎。



定家があんなに率直に後鳥羽院にものを言うとは思えないが、
おおむね満足!

競技カルタのルールを整備したのが黒岩涙香だと
初めて知った。



子どもにとって、世界の大部分は 
「親」が与えるものだからな~……。
 脱却できて本当に良かった。

 

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520:関幸彦『敗者の日本史6 承久の乱と後鳥羽院』

2021-11-17 11:42:44 | 21 本の感想
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

鎌倉と京、公武権力構図の転換点とされる承久の乱。
治天の君=後鳥羽院が歌に込めた
「道ある世」への希求とは何だったのか。
諸史料を中心に、協調から武闘路線への道をたどり、
隠岐に配流された後鳥羽院のその後にも迫る。 

****************************************

定家から後鳥羽院に興味が広がってきたのだけども、
知れば知るほどおもしろいな~。
この本は、「敗者の日本史」の名の通り、
京方の公卿や武士に
スポットライトをあてているのが珍しい。
確固とした意志を持って院についた者ばかりでなく、
「たまたま京にいたときに戦いが始まっちゃって、
 やむをえず……」
という武士たちがいたのは知っていたけれども、
彼らの間にも血縁関係があり、
意外なつながりが見いだせることも。

後鳥羽院・順徳院とがっつり絡んでいた
高倉家や坊門家が没落していくのに対して、
疎外されていた土御門院とのつながりの方が強かったために
没落を免れる土御門家。
運としか言いようがないね……。

藤原(高倉)範季は、義経関係で知った人物だけど、
平家から妻をもらってしっかり平家と縁を結びつつ、
源氏の遺児である範頼を養育したり、
後白河院の平家妥当の計画に加わって解官されたり。
頼朝と親しい九条家の家司でありながら
義経に味方してまた解官。
養育していた後鳥羽帝のまわりを一族で固めて、
娘が寵愛を受けて最終的には天皇の外祖父に。
承久の乱の前に亡くなっているから
没落を見ないで済んでいて、すごい人生だなあ。


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