金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

171:楡井亜木子『世界が終わる夜に奏でられる音楽』

2010-09-29 23:21:40 | 10 本の感想
楡井亜木子『世界が終わる夜に奏でられる音楽』 (ジャイブ)
★★★☆☆

洋菓子屋の実家で生まれ育った莉絵は、
「自分の人生は、自分でつくるものだ」と
反対を押し切って東京に出てきた大学一年生。
気の強さと自負心のため、恋人とは長続きしない。
そんなある日、同じマンションに住む文子さんと
親しくなった莉絵は、彼女の家で親戚の子だという
中学2年生の耕太と出会う。
不遇な環境にある彼を救うため、
莉絵は彼の伯母から彼を引き取り、
ともに暮らすことになるが……

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書評ブログで見かけて興味を持ち、読んでみました。
名前すら知らなかった作家さん。

文体が昔のコバルト文庫みたいで、
なんだかなつかしい気持ちに。
すばる文学賞の出身作家さんらしいし、
一般書籍なので、たぶんそういうつもりで
書いてないと思うのだけど、
「あー、中学生のころ読んだ少女小説ってこうだった!」
と思いました。
語り口、ストーリーともにストレート。
好みじゃないけど、主人公が一人で胸のうちで
きゃんきゃん騒いでいる感じが、
「ザ・一人称!」という感じで
なにやら「はっ!」としました。
女性作家による女性の一人称小説は
わりと読んでいると思うけれど、
それらは行間を読ませるというのか、
もっと言葉が淘汰されて洗練されている。
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170:恩田陸 『蛇行する川のほとり〈3〉』

2010-09-26 16:21:34 | 10 本の感想
恩田陸『蛇行する川のほとり〈3〉』(中央公論新社)
★★★★☆

1・2巻についてはこちら

1巻は毬子、2巻は芳野ときて、
3巻は部外者である真魚子が語り手。
最後まで美しい少女小説の世界。
男子高校生なんて、実際は臭くて汚いと思うんだけど、
ここに登場する男の子たちは脛毛すら
生えていないにちがいない。

しかし、真魚子がいきなり恋しちゃってるのは
なんなのか。
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169:木地雅映子『マイナークラブハウスは混線状態』

2010-09-26 16:18:25 | 10 本の感想
木地雅映子『マイナークラブハウスは混線状態―minor club house〈3〉』 (ポプラ文庫ピュアフル)
★★★☆☆

滝ちゃん……

もともといたメンバーでさえ、
高杢と太賀と遊佐、三浦と高橋あたりが
ごちゃごちゃになって、
誰が誰だかわからなくなるのに、
新入部員まで登場して覚えるのを放棄。
なんとなく、続きはもういいかな、という気分に。

この本にまったく関係ないんだけど、
同じ文庫関係で。
作家の川西蘭って男性だったのね!
名前と作風から、ずっと女性だと信じて疑わなかった。
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168:木地雅映子『マイナークラブハウスの森林生活』

2010-09-26 16:18:07 | 10 本の感想
木地雅映子『マイナークラブハウスの森林生活―minor club house〈2〉』 (ポプラ文庫ピュアフル)
★★★☆☆

1巻でのちぐはぐな感じはもうなくなっていて、
安心して読めた。
第8話の太賀くんの話がいちばん良かったな。

おもしろいのに、「好き!」と言えないのは、
ぴりかのことが好きじゃないからだろうか。うーん。
おそらく、この話の軸になっているのが
彼女の家庭環境にまつわることだと思うんだけど、
それにちっとも興味がもてないので困る。
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167:ミラン・クンデラ 『存在の耐えられない軽さ』

2010-09-20 23:56:59 | 10 本の感想
ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』 (集英社文庫)
★★☆☆☆

外科医のトマーシュは、ウェイトレスをしていた
田舎娘のテレザと出会い、結婚する。
複数の女性と関係を持つトマーシュ、
夫の浮気に気を揉むテレザ、
トマーシュと関係を持つ奔放な画家サビナ。
「プラハの春」とその凋落の時代を背景に
三人の関係を中心に、男女の愛を描いた恋愛小説。

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昔映画にもなっていたようですね。
哲学的な恋愛小説ということで紹介されていたのを見て
借りてきたもの。
amazonのレビューだとすごく評価がいいんだけど……

退屈すぎて途中で3回寝てしまった
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166:アゴタ・クリストフ 『悪童日記』

2010-09-19 15:12:08 | 10 本の感想
アゴタ・クリストフ『悪童日記』 (ハヤカワepi文庫)
★★★☆☆

空襲のひどい<大きな町>から逃れ、双子の「ぼくら」は
<小さな町>に住むおばあちゃんのもとへ預けられた。
自分たちを<牝犬の子>と呼ぶおばあちゃんのもとで
生き抜くために訓練を積み、独学で教育を身につける
「ぼくら」は、目に映った事実のみを「日記」に記す。
少年たちが目の当たりにする戦時下の狂気、
人間の姿を描いた三部作の一作め。

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獣姦とかスカトロとか、ほんと勘弁してほしい。
殺人なんかの残酷なエピソードよりも、
わたしの苦手なタイプの性描写にかなりげんなり。
たとえそれが人間の真実だとしても、
小説の中でまでそれを見たくはないんです。

ということで、総合的な好み度でいえば★3つなんだけど、
その部分をのぞいたら、おもしろい。
ラストの意味が気になるので、
続きの『ふたりの証拠』も読もう。
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164・165:恩田陸『蛇行する川のほとり<1>・<2>』

2010-09-19 14:40:53 | 10 本の感想
恩田陸『蛇行する川のほとり〈1〉・〈2〉』
★★★★☆

毬子は、あこがれの先輩・香澄さんに誘われて、
同じくあこがれの対象である芳野さんとともに
夏休みに香澄さんの家に泊まりこみ、
舞台背景の絵を描くことになる。
美しい二人の先輩と過ごすことに有頂天になる毬子だが、
二人と関わりを持つ月彦・暁臣から彼女たちにまつわる
不穏な話を聞いて不安にかられる。

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再読。
中央公論新社から新書サイズの全3巻で出ていたのを
8年前に購入したのでした。
現在は中公文庫と集英社文庫から一冊に
まとまったものが出ているのだけど、
最初のこの装丁のほうが好きだなあ。
勤め先と家の往復で一冊読めちゃうし。

きらきらしたまぶしい夏の日々を描く
少女小説のような雰囲気に
ミステリー要素が加わっていて、
恩田作品の中ではいちばん好き。
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163:木地雅映子 『悦楽の園』

2010-09-18 10:20:34 | 10 本の感想
木地雅映子『悦楽の園』(ジャイブ)
★★★☆☆

「革命家あるいは犯罪者」の父を持つ13歳の相原真琴は
中学校でいじめられっこの南一に出会った。
一の絵の才能を見出した真琴は、一と心を通じ合わせ、
発達障害の彼の苦しみを感じ取り、
彼の庇護者となろうとする。
不良の染谷を巻き込み、真琴は学校に
革命を起こそうとするが……

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前半はかなりおもしろかったのだけど、
後半にはついて行けなかった……。
ご都合主義が感じられたのもあるけれど、
なんというのか、作者の描こうとしているものが
文章で正確に伝わってこないという感じ。
真琴のキャラクターのブレも気になった。

そしてところどころの性欲の爆発に、
三十路の大人としては、
「お前ら13歳だろ! そんなことは許しませんよ!」
と言いたくなってしまうのでありました。

いろいろツッコミどころはあるのだけど、
きらいになれない。そんなお話。
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162:木地雅映子 『マイナークラブハウスへようこそ!』

2010-09-14 14:57:08 | 10 本の感想
木地雅映子『マイナークラブハウスへようこそ!―minor club house〈1〉』(ポプラ社)
★★★☆☆

桃李学園高等部の一角に存在する古ぼけた洋館は、
「マイナークラブハウス」と呼ばれ、部員5人未満のため
非公式な存在となっている文化部ばかりが集っている。
マイナークラブに関わる少年少女たちの日常を描いた
連作短編集。

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これも初めて読む作家さん。
ほかの作品を知らないのだけど、なんとなく、この人、
ライトでコミカルなものよりは、
シリアスで重い話のほうが得意なんじゃないのかしら?
ユーモラスな部分とシリアスな部分が、
なんだかちぐはぐな印象を受けた。
配分がうまくいっていない感じ。
でもおもしろかったので、次巻に期待大。
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161:イーユン・リー 『千年の祈り』

2010-09-14 14:32:33 | 10 本の感想
イーユン・リー『千年の祈り』(新潮社)
★★★☆☆

親友と婚約者に裏切られた過去を持つ、
ミス・カサブランカとよばれる独身の女教師。
反対を押し切って結婚したものの、
生まれた子どもが障害を持っていたことで
苦しむことになる、従兄妹同士の夫婦。
離婚した娘を案じて中国からやってきた父と、
その父をうとましく思い、かたくなになる娘。
中国に住む人々の人生を描く短編集。

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たまにはいつもと違ったものを読んでみようかと。

著者は北京生まれ・アメリカ在住の女性。
なんだかいろいろと賞をとっている作品のようです。
中国の社会の有り様や時代に翻弄される人々の
人生を描く十篇の短編を収録。
あきらめのような虚無感と、
大きなものを失いながらも生き抜いていこうとする強さを
感じる不思議な読後感。
とくに表題作がいい。

中国を舞台とする日本人作家による現代小説・歴史小説は
数あり、それはそれなりにおもしろいのだけど、
やはりバックボーンがそこにある人間が書いたものと
そうでない人間が書いたものは、全然ちがうんだなあ。
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