金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

38:まはら三桃 『奮闘するたすく』

2018-07-29 19:09:15 | 18 本の感想
まはら三桃『奮闘するたすく』(汐文社)
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

最近、佑のおじいちゃんの様子がおかしい。
近所で道に迷ったかのように歩いていたり、
やかんをコンロにかけっぱなしにしてボヤ騒ぎを起こしたり…。
「行きたくない」としぶるおじいちゃんをなだめすかして、
佑はデイサービス(通所介護)に連れていくことになった。
しかも、佑が逆らうことのできない早田先生は、
そこで見たこと、聞いたことをレポートして
夏休みの自由研究として提出しなさいって…。
友だちの一平と“ケアハウスこもれび”に通うことになった佑は、
お年寄りと接しながら、介護される人と介護する人、
それぞれの気持ちに気づいていく。
坪田譲治文学賞受賞作家が描く、子どもにとっての「介護」とは?

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今年の読書感想文コンクールの高学年課題図書。

この作家さんの本、いつも題材は珍しくて
知らない世界をのぞけるのは面白いんだけど、
話が盛り上がらなくていまいち好きになれないんだよな~……と
思いながら読んだ。
結果から言うと、いつも通り。
もう少しドラマチックにできそうなものなのに……。

あと、タイトルにするほど主人公は奮闘していない。
あくまでも「小学5年生の目で見た介護の現場」の
視点人物にすぎないという感じ。

ただ、キャラクターに個性があって、
考えさせられるシーンもあり、
終盤にきちんとヤマを作ってくれたら
全体としてかなり面白くなったのでは?
もったいないなあ。


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37:篠原美季 『迷宮庭園』

2018-07-26 16:32:52 | 18 本の感想
篠原美季 『迷宮庭園: 華術師 宮籠彩人の謎解き (新潮文庫nex)』(新潮文庫)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

宮籠彩人は、迷路のような庭をもつ鎌倉の旧家に
執事と二人で暮らす。
訪れる人に似合う花を選び、宴に添える花々の見立てを生業とし、
花からのメッセージを読み解く華術師の貌も持つ。
ある日、宮籠家の近所で交通事故が発生。
被害者は、前日に彩人の家を訪れた女性の夫だった。
彩人が彼女にマドンナ・リリーを選んだのは、何故?
そのメッセージは、彼女の運命を何処へ導くのか。

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うーん。

続刊が確約されていて、2巻以降で少しずつ
描いていく予定だったのかもしれないけど、
盛り盛りの設定がこの1冊だけだとまるで活かされておらず
「結局なんだったんだ」という感想しか出てこない。

「死んだ人が現れた」となったら当然オチはアレだよね。
情報を早くから出しすぎて、真相に意外性がなくなってしまった反面、
「それはもっと早く出しておくべきなのでは……?」
という情報もあって、もやもや。
そして、「宮籠彩人の謎解き」というサブタイトルを見返して、
「謎解きしたっけ……?」と首をひねったくらい、
主人公に存在感がなさすぎた。

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36:マイケル・モーパーゴ『最後のオオカミ』

2018-07-26 09:11:03 | 18 本の感想
マイケル・モーパーゴ『最後のオオカミ』(文研ブックランド)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

孫娘からパソコンの使い方を教わったマイケル・マクロードは、
インターネットで自分の家系を調べることにした。
やがて遠い親戚からメールが届き、
ひいひいひいひいひいおじいさんのロビー・マクロードが
のこしたという遺言書を見せてもらう。
それは「最後のオオカミ」と題された回想録で、
むごい戦争の時代を、ともに孤児として生きぬいた
少年とオオカミの物語だった。小学中級から。

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今年の読書感想文コンクール中学年の課題図書。

いい話だと思うし、胸を打つシーンも多々あったのだけど、
これね、小学3・4年生にはきちんと理解できないよ。

まず、「現在―過去―現在」という時系列をいじった構成が、
この歳の多くの子には把握できない。
ロビーが200年以上前に生きていた人で
もうすでに死んでいるということを
一読しただけでわかる子は少ないんじゃないだろうか……。
(「遺言」の意味も知らない子がいると思う)

あと、「ジャコバイト蜂起」を出したのもね……。
プリンス・チャーリーを出したかったのも、
ロビーの苦難に満ちた人生や、
チャーリーがたった一人の大切な存在だということを
描くためというのもわかるけど、
日本史はもちろん、世界史の知識なんてまるでない
3・4年生の子には何が起こってるのかまったくわからない。
そのため、半分くらいで挫折する子が出て来る可能性大。

前半を深堀りするのはやめて、
オオカミの子との出会い以降だけにスポットを当てれば、
共感しやすく感想文を書きやすい話だと思う。
自分とストーリー・登場人物をリンクさせて考えるのは
難しいかもしれないけど。

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35:池田まき子『クニマスは生きていた!』

2018-07-26 08:46:11 | 18 本の感想
池田まき子『クニマスは生きていた!』(汐文社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

田沢湖は秋田県仙北市にある日本一深い湖で、
その透明度の高さから「神秘の湖」と呼ばれていた。
けれども、1940年、水力発電と農業用水のためのダム湖にするにあたって
玉川の酸性水が導入されたことにより、魚がすめない「死の湖」となり、
田沢湖にしかいなかったクニマスも姿を消してしまった。

70年後の2010年12月。
絶滅したと思われていたクニマスが、
山梨県の西湖で生き延びていたことが報道され、大きな反響を呼んだ。

クニマスはなぜ、田沢湖から500kmも離れた西湖で姿を現したのだろうか。
田沢湖の水質や自然環境を改善し、クニマスがすめるようにするために、
私たちはどうしたらいいのだろうか。

奇跡の魚・クニマスが私たちに問いかける「いのち」のメッセージとは……。


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今年の読書感想文コンクールの高学年課題図書。

田沢湖や辰子姫に個人的な思い入れがあるせいかもしれないけど、
思ったより感動的な話だった。

ただ、感動できるかどうかは、
知識量とかイメージする力の有無によるかもしれない。
というのも、多くの子どもは、
今の自分の生活や現代の感覚だけでものをとらえて考えるので、
「環境問題への意識が希薄だった時代」のことや
「国策に抗えないムード」を本当に理解できるとは思えないんだよね……。
そして、田沢湖ではいなくなってしまったクニマスが
遠く離れた湖で生き残っていたという事実を生み出したのが、
かつて行われていた「各地の湖へ卵を送る活動」だったということの
すごさも、理解できるのかな~と疑問。

しかし、「環境のためにできること」というのは
小学校の学習や活動の中に組み込まれていて
小学生には馴染み深いようなので、
「自分には~ができる、~がしたい」という形で
読書感想文の形はととのえやすいんじゃないかな。

この本ではなぜかその功績に一切触れられていないけど、
さかなクンって本当にすごい人だなあ。

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34:PIE BOOKS 『日本の美しい里の四季』

2018-07-09 15:01:24 | 18 本の感想
PIE BOOKS『日本の美しい里の四季』(パイインターナショナル)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

人々の暮らしに育まれてきた美しい山村、農村、漁村の風景

古き良き日本を思い出させてくれる里に暮らす人々の営み。
日本全国約90ヶ所の美しい里の風景に、
里山の季節や風物詩、土地にまつわる美しい言葉の解説を添えた風景写真集です。

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感想はほぼこれと同じ。
都道府県が偏っているのは、「都市」でなく、
なおかつ情緒を感じさせる場所が限られているせいか。
愛知県岡崎市のミツマタの群落、
存在を初めて知った。

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33:MdN編集部 『美しい日本の四季 〜うつろう彩り、残したい原風景〜』

2018-07-09 14:44:13 | 18 本の感想
MdN編集部『美しい日本の四季 〜うつろう彩り、残したい原風景〜』(エムディエヌコーポレーション)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

日本の四季のうつろいを美しい風景写真で楽しめる写真集です。
写真は、海外で活躍する写真家たちが
その地でもっとも美しい瞬間を捉えました。
例えば、雲海に浮かぶ竹田城跡、
水面に映る富士と桜が美しい河口湖、
紫の絨毯を敷いたような富良野のラベンダー畑、
山が真っ赤に燃えるように紅葉する鳴子峡、雪深い山間に佇む白川郷など、
後世に残したい原風景ばかりを掲載しています。
また、気になった場所へ行くときに便利なアクセスガイドも載っています。

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ブックカフェにて。
有名どころはもちろんだけど、知らない場所もたくさんあった。
長野県の御射鹿池、まるで東山魁夷の絵みたいだなあ!
……と思ったら、モチーフになった場所だったみたい。

この手の写真集を見ると、実物を見に行きたいなあと思うんだけど、
これまでの経験から思うことは、
美しいのは風景そのものではなくて、
写真家が選んで切り取った「絵」なんだよね。
さまざまな条件が重なって現れたベストな瞬間を、
技術によって写し取ったものが美しいのであって、
イメージを喚起するその写真を実物を超えることは
なかなかない。

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32:加藤重広 『日本人も悩む日本語 ことばの誤用はなぜ生まれるのか?』

2018-07-01 21:14:23 | 18 本の感想
加藤重広『日本人も悩む日本語 ことばの誤用はなぜ生まれるのか?』(朝日新書)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

言葉は進化する。
十数年前まで眉をひそめられていた言葉は、
あっという間に辞書に載り、人々の定番の使用例となっていく。
本書では、なぜこうした誤用が生まれ定着していくのかをはじめ、
日本語の複雑な世界を豊富な事例で解読する。

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とても面白かった。
「この日本語、間違ってます! 正しくはコレ!」
と間違いをあげつらうのではなく、
その誤用がどうして起こったのかを解説してくれている。
「雰囲気」を「ふいんき」と言ってしまうのは、
音位転換という他の語にも見られる現象なのね……とか
(たしかに「山茶花(さざんか)」って、
 漢字をよく見ると「さんざか」だよね)、
「肌寒い」「着替える」は
もともとは「はださむい」「きかえる」なのね……とか
知らなかったことがたくさんあって勉強になった!


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31:ヴェルナー・ティキ・キュステンマッハーほか 『世界で一番シンプルな時間術』

2018-07-01 21:01:50 | 18 本の感想
ヴェルナー・ティキ・キュステンマッハー/マリオン・キュステンマッハー
世界で一番シンプルな時間術 [新装版]』(ディスカバー)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

本書には「時間に対する見方を根本から変える方法」が書かれている。
読み終わった後、あなたの生活には前向きな変化が起きるだろう。
あなた自身の「時間の見方」が変われば、あなたの1日はスッキリし、
毎日の生活は幸せに満ちた、楽しくリラックスしたものに変わる。

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結局、わたしの悩みというのは、
「だらだらネットして、やるべきことを先送りしてしまう」
「気が乗らないといって、創造的な仕事になかなか手をつけられない」
に尽きるんだよなー。

ということで、この本には何か劇的に新鮮なアイディアが
書かれているわけでもなく、基本的な事項がほとんど。
「どんなに忙しくても、体を動かす」
には納得。
運動に限らず、掃除とか洗い物をするとかでもいんだけど、
心身にいいことをやると精神的に安定する。

しかし、ソフトカバー&カラーページなし&この薄さで
1200円って高くないか?

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