金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

71:吉本笑子 『お母さん、もっとおしえて!』

2009-12-21 22:23:32 | 09 本の感想
吉本笑子『お母さん、もっとおしえて!国語・算数・理科・社会』(情報センター出版局)
★★★★☆

基本的に仕事で読んだ本のことは書かないことにしているのだけど、
良かったので書いておきます。
幼児期から親子の会話を通して子どもに「先行体験」をさせることで、
知ることに対する意欲、学ぶ姿勢を身につけさせようという
趣旨の、お母さん向けの本。
すいか・いちご・メロンは果物ではなくて野菜である理由とか、
干拓と埋め立てのちがいとか、
曜日に天体の名前が使われているわけとか……知らなんだ!!

先行体験の重要性というのは、自分が重視していることでもあるし、
こういう会話をするためにはお母さんが勉強をしなくては
ならないわけで、「やりなさい!」じゃない、こういう親の姿勢が
必要なんだよな~と納得・納得。
中学受験を考えていなくても、これから子育てをしていくお母さんには
ぜひ読んでほしいと思います。

しかし「ごんぎつね」の内容が間違っていたのは気になった。

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70:鶴岡真弓 『阿修羅のジュエリー』

2009-12-14 10:03:04 | 09 本の感想
鶴岡真弓『阿修羅のジュエリー (よりみちパン!セ)』(理論社)
★★★☆☆

人気の国宝・阿修羅像。
その面差しや異形のポーズばかりが取り沙汰されるその像を、
装飾という点からとらえ直す視点を提示する一冊。
仏像から始まり、ルネサンスの絵画に描かれた貴婦人や
聖母マリア像、サロメ、シュリーマン発見の財宝など
東洋と西洋にまたがるジュエリーの歴史を解き明かす。

やたらと「!」を多用したテンションの高い文章と、
ジュエリーをまとった著者自身の写真が
図版に紛れ込んでいるのがおちゃめ。
この人、自分の研究を愛してるんだなあ~というのが
伝わってくる一冊。
この「よりみちパン!セ」シリーズは、
アカデミックな内容から、
辛酸なめ子、中村うさぎ、叶恭子といったイロモノ(失礼)
まで取り揃えており、毎回おもしろいラインナップで
楽しませてくれます。




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69:岡本綺堂 「修禅寺物語」

2009-12-12 21:07:32 | 09 本の感想
岡本綺堂『修禅寺物語』
★★★☆☆

伊豆修禅寺の面作師・夜叉王は、
鎌倉幕府の二代将軍・頼家の命を受けて面を打つが、
何度試みても死相が現れてしまい、
献上することができない。
待ちきれず自ら受け取りにやってきた頼家は
面を気に入り、持ち帰るとともに、
関白大臣将軍家のそばへ召し出されることを夢見ていた
夜叉王の姉娘・かつらを見初め側室として迎えいれるが、
北条の討手が頼家を狙って迫っていた。

***************************************

明治期に発表された岡本綺堂の戯曲。
中学の頃から好きだった皇なつきが
漫画化したもの(『梁山伯と祝英台』所収)しか
読んだことがなかったので、
旅行の予習として、青空文庫にて読む。

展開速っ!!

桂は、出会って一日も経ってないというのに、
よく頼家のために死のうと思ったものだ。


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68:藤沢周 『オレンジ・アンド・タール』

2009-12-06 11:21:37 | 09 本の感想
藤沢周『オレンジ・アンド・タール』(朝日新聞社)
★★★☆☆

屋上で語り合っていたある日、目の前で友人のキョウが
飛び降りた。
その後、しばしば現れるキョウの幻影におびえるカズキたち。
キョウの自殺の影響として保健室にやってくる生徒たちが増え、
その現象は「カワナリ・シンドローム」と呼ばれていた。

************************************

★2.5.
すごく……うざったい!!
わたしの嫌悪する思春期の面倒くささがいまここに!

なんか、古いなあ、一時期よく読んだなあというタイプの
話だと思ったら、発行は2000年。
酒鬼薔薇事件の後、この手の小説がいっぱい出てた印象がある(※)。
同じ時間をトモロウ視点で書いた「シルバー・ビーンズ」は
カズキよりも歳がいってるだけに腹立たしさ倍増。
いつまで思春期やってんだよ、働け!

(※)重松清の『エイジ』もその一つだと思ってたら、
『エイジ』連載中に事件が起きたのだね。
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66・67:上橋菜穂子『獣の奏者〈1〉・〈2〉』

2009-12-06 11:00:54 | 09 本の感想
上橋菜穂子『獣の奏者〈1〉闘蛇編』・『獣の奏者〈2〉王獣編
(講談社文庫)
★★★★★

エリンは母と二人、闘蛇村で暮らしていたが、
ある日闘蛇が大量死するという出来事が起こり、
生活が一変する。
闘蛇を死なせた罪で刑に処せられた母を救おうとしたエリンは
母の指笛によって死地を逃れ、九死に一生を得るが……

************************************

「ファンタジー嫌いの私でも、おもしろかったから!」
と先輩が貸してくれたもの。
同じくファンタジー嫌いのわたしは、なかなか読む気になれず
手がつけられなかったのだけど……
おもしろいじゃないか!!

揺るがない世界観と人物造形が好みだったし、
歴史小説と通じる要素もあるので入りやすかったのかも。
へんに凝った設定の術とか武器とかが出てこないのも
よかったみたい。
続編も出ているようで楽しみ。
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65:フジモトマサル 『今日はなぞなぞの日』

2009-12-05 08:30:30 | 09 本の感想
フジモトマサル『今日はなぞなぞの日』(平凡社)
★★★☆☆

「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載されていたものに
新作を加えて単行本化されたもの。
「買うと、もれなくおやつがもらえる家電製品は?」
「捕らえられたスパイが『絶対に自白をしないぞ』と
 心に誓いながら食べる獄中食は?」
といったダジャレなぞなぞの数々。
仕事のネタ本として借りてきました。

本だと次のページを見るとすぐに答えがわかっちゃうから、
「思いつくまで答えは見ないぞ!」
という強い自制心が必要だわ。
わたしはすぐ答えを見ちゃう。
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64:森見登美彦 『四畳半神話大系』

2009-12-04 23:34:32 | 09 本の感想
森見登美彦『四畳半神話大系』(角川文庫)
★★★☆☆

腐れ縁の悪友・小津に振り回され、
四畳半のアパートで、ばら色のキャンパスライフとは
縁のない生活を送る冴えない「私」。
あのときちがうサークルに入っていたら……
選んだサークルによってそれぞれに展開される
パラレルワールドを描く四編。

*************************************

『太陽の塔』を読んですぐだったせいか、
似たような人物造形と雰囲気にやや食傷気味。
四つのパラレルワールドがちょっとずつリンクしていたり、
古典的名作のパロディになった文章が
ちりばめられているのはおもしろいが……すでに飽きた。

『夜は短し歩けよ乙女』はしばらく間を空けて
読んだほうがいいかもなあ。


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63:寺田寅彦 『柿の種』

2009-12-04 09:40:59 | 09 本の感想
寺田寅彦『柿の種』(岩波文庫)
★★★★★

初・寺田寅彦。

物理学者で俳人、随筆の名手。
漱石の弟子で、『吾輩は猫である』水島寒月や
『三四郎』の野々宮宗八のモデル……
ということくらいしか知らなかったのだけど、
この短文集を読んだかぎりでは、
この人の文章、すごく好み!
文章表現の硬さと詩情のバランスが良いよね。
忠犬ハチ公が生きていて、関東大震災が起こって、
足尾鉱毒事件のあった時代、
チューリップやヒヤシンスを自ら植え、
飼い猫の死を悼んで作詞作曲する著者にときめく。

「自分の欠点を相当よく知っている人はあるが、
自分のほんとうの美点を知っている人はめったにないようである。
欠点は自覚することによって改善されるが、
美点は自覚することによってそこなわれ
亡われるせいではないかと思われる。」(P.225)
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62:稲垣足穂 『一千一秒物語』

2009-12-04 09:25:10 | 09 本の感想
稲垣足穂・たむらしげる『一千一秒物語』(ブッキング)
★★★☆☆

初・稲垣足穂。
お月様を撃ち落としたり、お月様が飲み屋で飲んでたり、
ほうき星がビール瓶の中に入ったりする、
夜と天体をテーマにした不思議な掌編小説集。
たむらしげるの個性的なイラストも良い。

美しいイメージを喚起する、はっとするような表現が
いくつかあるのだけど、登場人物がやたらと暴力的で
すぐに殴りかかったりピストルをぶっ放したりするので、
そっちへのツッコミのほうに気を取られて
表現の美しさへの印象はそれほどでもなくなってしまった。
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61:恩田陸 『いのちのパレード』

2009-11-26 11:41:28 | 09 本の感想
恩田陸『いのちのパレード』(実業之日本社)
★★★☆☆

<異色作家短編集>へのオマージュとのこと。
<異色作家短編集>自体を読んでいないので、
どこがどうオマージュになってるのかわからないのだが。
表題作を含む15編からなる短編集。
正直、最初の二編を読んで、
「あ~これは合わない予感……読むのやめようかな」
と放棄しそうになったのだけど、結局読了。
「SUGOROKU」「走り続けよ、ひとすじの煙となるまで」
あたりは雰囲気や発想がおもしろいし、全体的に
「好きじゃないんだけど、上手い」って感じ。
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