金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

31:長嶋有 『ぼくは落ち着きがない』

2010-02-28 20:16:03 | 10 本の感想
長嶋有『ぼくは落ち着きがない』(光文社)
★★★☆☆

図書部に所属する望美と図書部のメンバーの
日常を描く青春小説。
文科系の中でも決して花形ではなく、
クラスの中でなじめない生徒が集う図書部。
特別に大きな出来事も起きず、
事件かと思われた出来事に関しても特に盛り上がりを見せず、
なんだかもの足りないのだけど、つまらないという印象はない。
キャラクターの描き方がよかったのかなあ。
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30:柴田元幸 『生半可な学者』

2010-02-28 20:09:29 | 10 本の感想
柴田元幸『生半可な学者―エッセイの小径』(白水Uブックス)
★★★☆☆

著者は大学教授にして翻訳家。
雑誌「テレビコスモス」に連載されていたものを
中心とした英語にまつわるエッセイ集。
スペリングの間違いをネタにした
「しずくを止めるには」で笑った。
専門家はやはりネタが多種多様でおもしろいなあ。
「靴下にひそむ危険」で思い出したのだけど、
実家に住んでいた子どもの頃、
冬に靴下や半ズボンを履いて
中にひそんでいた蜂に刺されるのは日常茶飯事だったよ!
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29:濱野京子 『その角を曲がれば』

2010-02-22 21:04:20 | 10 本の感想
濱野京子『その角を曲がれば』(講談社)
★★★☆☆

本が好きで周囲に壁を作っているようなところのある杏、
甘えっ子キャラでかわいらしい見た目の美香、
バドミントン部のエースの樹里。
クラスの中でいつもいっしょにいる三人組だけれど、
樹里は美香が大切で杏のことはちょっと煙たい。
美香は杏を「いちばんの親友」だと言い、
杏は同じ高校に行こうと熱心に誘ってくる美香には
それほど執着がない。
そんな中学生活の中、杏は風変わりなクラスメイト・
真由子と接点を持つようになる。

******************************************

友だちが別の子と仲良くなったことに嫉妬したり、
同じグループでいっしょに過ごしている子のことが
実は好きじゃなくて苛立ったり、
ああ、中学時代の女の子グループってこうだったよねー!と
懐かしく思い出しました。
大人になった今では、
興味のない人・好きじゃない人とは付き合わないし、
仲の良かった友だちとも合わなくなったら徐々に離れていくし、
友だちの人間関係に嫉妬するほど、
人生における友だちのウエイトは重くなくなってる。
だから自分の中で、こういう人間関係や感情があったという事実が
どんどん風化していって、
まるで最初からなかったかのようになっているのだなあ……と
ハッといたしました。

しかし、うーん、物足りない。
もっと掘り下げて描いてくれたらもっとおもしろかった!
ということで★3つ。
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28:畑中章宏『日本の神様』

2010-02-14 11:41:28 | 10 本の感想
畑中章宏『日本の神様』(よりみちパン!セ)
★★★★☆

仏像ブーム、スピリチュアルブームな昨今ですが、
この本は「神像」という視点から「日本の神様」を
とらえたもの。
大阪弁を話す父娘を案内人として各地の神社に祭られた神様を
紹介するとともに、神様の歴史についても紹介しています。
日本史の資料集なんかも、「仏像」はよく載ってるけど、
そういえば「神像」ってあまり見たことないなあ……
という感じだったので、入門書としておもしろく読めました。
いろんな神像があるんだけど、
八坂神社の「牛頭天王と八王子坐像」、
樋之上八幡宮の「男神像」のキュートさに
心をわしづかみにされましたわ
コメント (2)
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27:石黒浩 『ロボットとは何か――人の心を映す鏡』

2010-02-14 11:37:48 | 10 本の感想
石黒浩『ロボットとは何か――人の心を映す鏡』(講談社現代新書)
★★★☆☆

筆者は、自身や幼い娘、女性をモデルにした遠隔操作型の
アンドロイドを開発し、研究を行ってきた
人間型ロボット研究の第一人者。
人間型ロボットを研究することは、
人間、そして自分を探求すること。
そんな考えを持ち、研究を続けてきた筆者が
これまでに開発したロボットを紹介しながら、
ロボット開発の過程で生じた疑問や課題をつづっている。

わたしは仕事のために購入しただけで、
ロボットについてはぜーんぜん!興味が無い。
コンピューターとロボットを同じものだと考えられないし。
そんなわたしでもそれなりにおもしろく読めました。
興味のある人にとっては、すごくおもしろいんじゃないかなあ。
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26:穂村弘 『どうして書くの?―穂村弘対談集』

2010-02-13 11:57:45 | 10 本の感想
穂村弘『どうして書くの?―穂村弘対談集』(筑摩書房)
★★★★☆

作家・俳人・文芸評論家・歌手といった、
もの書く人々との文学に関する対談集。
登場するのは高橋源一郎、長嶋有、中島たい子、一青窈、
竹西寛子、山崎ナオコーラ、川上弘美。
対談相手によって、ページのレイアウトや書体が変わっていて、
それがそれぞれの雰囲気にあっている。
特に高橋源一郎との、時代性に関しての対談が
興味深くておもしろかった。
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25:吉田修一 『さよなら渓谷』

2010-02-12 13:20:35 | 10 本の感想
吉田修一『さよなら渓谷』(新潮社)
★★★★☆

シングルマザーの母親が起こした幼児殺人事件。
犯人の母親が、夫のほうと関係を持っていたと話したことから
隣家の若夫婦は事件に巻き込まれ、
事件を追いかけていた記者によって
15年前の事件に関わる彼らの秘密が暴かれる。

*************************************

手に取るまではなかなか腰が上がらないんだけど、
読み始めてからはやっぱり良いと思える吉田修一。
事件の加害者と被害者に対する周囲の対応の差、
加害者が許容されていたのに対し
被害者が被害にあったことによって迫害される理不尽を
男性心理の点から描いていて、
ずーんと気が沈んでしまうのだけど、
不自然と思われる関係も違和感なく描いていて
説得力があった。
評判の良い「悪人」は未読。
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24:桂望実『Run!Run!Run!』

2010-02-11 10:41:28 | 10 本の感想

桂望実『Run!Run!Run!』(文春文庫)
★★★☆☆

長距離ランナーとして恵まれた肉体を持ち、
幼い頃からランナーとして努力を積み重ねてきた岡崎優は、
S大学陸上部に入る。
オリンピックを目標とし、箱根駅伝は通過点に過ぎないと
公言する優は協調性もなく、周囲の反感を買う。
そんな中、突然の兄の死をきっかけに母が精神を病み、
母の口から思いがけない言葉を聞いた優は
自らの出生にまつわる秘密を知り、苦悩する。

*************************************

知らない作家さんだなあ……と思ってたのだけど、
『県庁の星』の人ね。
(映画になってたことくらいしか知らないが)
陸上や駅伝を題材にしたものは、
佐藤多佳子、三浦しをん、あさのあつこ……と
いろいろ出ているけれど、
この話、物語の軸となる設定は
今まで読んだことのないパターンで新鮮でした。

しかし、人物造形や部内での人間関係に関するエピソードはベタ。
主人公のキャラクターもなんか中途半端だなあ。
好きだと思える登場人物が一人もいない。
ふろしきを広げすぎてうまく回収できなかった感じで、
浅い印象を残してしまうのが残念。

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落語:『キング落語名人寄席 三遊亭鳳楽』

2010-02-10 20:31:09 | その他(ドラマ・アニメ・落語)レビュー
キング落語名人寄席 三遊亭鳳楽』

■ CD収録演目
「一分茶屋」
素人芝居で伊勢屋の若旦那に振り当てられたのは
最後には縄で縛られる盗人の役。
これが不服な若旦那は芝居に出ようとしない。
番頭は仕方なく飯炊きの権助に一分を渡して
代役をつとめさせる。
権助は芝居心があると自負していたが……

「味噌蔵」
味噌屋のしわい屋けち兵衛は、金がかかるからと
女房をもらわず独身でいたが、
周りの強い説得でしぶしぶ妻を迎える。
女房が身重になると、出産費用が惜しいと言って
実家に帰してしまう。
出産の知らせが届き、子供の顔を見に行くけち兵衛だが、
留守中、店の者たちは日ごろの鬱憤を晴らすべく、
それぞれに贅沢なものを注文して酒宴をはじめる。

*****************************

先輩から半年借りっぱなしだった
前回は音声だけじゃなかなか聞き取れなくて困ったけれど、
こちらは最初から聞き取りやすく、ストーリーも難なくつかめ
楽しめました。


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23:鈴木邦男 『失敗の愛国心』

2010-02-06 12:01:33 | 10 本の感想
鈴木邦男『失敗の愛国心』(よりみちパン!セ)
★★★★★

うーん、やっぱりいいなあ「よりみちパン!セ」。
内容がバラエティに富んでいるし、アタリが多い。

全然知らなかったのだけど、著者は「新右翼の雄」ですって。
同じ年の右翼の少年が社会党委員長の浅沼稲次郎を刺殺した
事件に衝撃を受け、それをきっかけにして
右翼の道へ突き進むことになった自分の半生を振り返りつつ、
発した子どもたちへのメッセージ。

「政治に関心のない若者」の典型であるわたしは、
浅沼委員長刺殺事件も日本史上の出来事としてしか
認識していなかったし、大学時代、
たった一人で学生運動を展開していた人については
「過去に憧れているんだなあ。大学にはいろんな人がいるなあ」
と思っただけ。
右翼と左翼の違いや歴史的変遷はこの本を読んで初めて知った。
自らの反省をふまえた著者の真摯なメッセージに胸を打たれます。
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