Reiko's Travel 記事と現在の英国事情

在英51年、2020年7月未亡人になって以来、現在英国事情と過去の旅行の思い出を記載。

ゆりかごから墓場まで

2020-07-05 06:44:21 | 日記

昨年5月亭主の肺がんが見つかり、治療する、しない、と言っているうちに体の3か所に転移が見つかり、治療できないまでに進んでいることが判った。

その時点で予後1年から1年半と言われていた。

1月末までポルトガルへ行ってきたものの、本人は元気にしていたからまだまだ大丈夫と思っていたのに、ちょうど一月前から急激に悪化してトイレ以外はほとんど歩けなくなってしまった。

それまでロックダウンと重なったためもあり、病院からも家庭医からも一切の連絡が来ず、3月以降の骨を強化する注射さえも予約の連絡がなかった。

5月30日に亭主が寝込んで以来、家庭医は決して往診にも来ないが、電話で頼めば鎮痛剤などモルヒネの錠剤に水溶液まで処方してくれた。今のところまだ一度もモルヒネを使っていないのはありがたい。

 

 

上の食料代替え栄養剤は、ほとんど何も食べなくなった亭主のためにドクターの処方で薬局から配達されたもの、チキン味のスープの素で200㏄のお湯で溶かして飲ませる。ひと箱に7袋入っているがそれまでに2箱分を飲んでしまった。

ピンクの箱はストロベリーミルクセーキで300㏄の全乳にパウダーを溶かして飲ませる。亭主はこれも文句を言わずに飲んでくれるが、いっぺんに8箱(56袋)も送ってきてびっくりした。確かチョコレートとバナナ味のもあるときいていたのにイチゴ味だけなんて。

これだって自分で買えば大変なお金になるだろうに。失禁患者には医者の処方箋でおむつまでがタダになる。

 

亭主は足元が危ないながらも歩いてトイレに行けるが、普通のトイレのシートに座ると立ち上がる体力がなくて、いつも私がついていなければならない。それで補助用のトイレのシートをインターネットで注文した。ところが娘が私の注文したものと全く同じものを地域のコミュニティーニュースで見たと言って、翌日もらってきてくれた。インターネットはその日にキャンセルできたので問題なく、このような物はチャリティーショップでも引き取ってくれないから、不必要になればタダで上げたいとのこと。亭主にとってはとってもありがたい物だった。

寝付いたのと同時に終末ケアのセント・クリストファー・ホスピスと連絡を取り、毎週1回ナースが症状を見に来てくれる。その時私が一人で亭主の世話をしているので、社会保障からお金が支払われると聞いた。お金には困っていないから要らないと言ったら、彼が動けなくなって手伝いの人が来てくれるようになったらお金も必要になるからと言われた。彼らのほうで必要書類を全部記入して、私が確認したうえで投函、先週から1週間に89ポンド15ペンスのお金が払われることになった。

年寄りや身体障碍者で家族や知り合いがケアしている人たち皆に、こんなお金が支払われている。莫大な金額が毎週払われているのだろう。

来週月曜日には病院で使用するベッドが貸与される。金曜日に確認の電話が入って、月曜日の朝9時から5時までの間にベッドを持ってくるという。

今使っているベッドを解体して隣のベッドルームに移して、設置してもらわなければならない。電動でマットレスもいいから床擦れがよくなるらしい。

こうして至れり尽くせりの医療体制を見ていると、さすが英国ならと感心する。

出産にしても出産費用も入院費用もタダだし、赤子一人に何十ポンド(今はいくらかわからない)づつかのお金が支払われる。

斜陽の英国と言われて久しいが、貧富の差なく医療が受けられる社会保障は崩壊してほしくないものだ。

毎日亭主につきっきりの私を心配して娘夫婦と孫のジュードが2週間に一度花束を持ってきてくれる。娘とジュードはマスクをして亭主のベッドルームの入り口まで行ってお見舞いし、ジュードは帰りに必ず I love you Grandpa と言って亭主を喜ばせる。

 

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