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人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(追加情報編) 2017年 ホセ・クーラ ワーグナーのタンホイザーに初挑戦 / Jose Cura / Tannhäuser

2017-03-31 | ワーグナーのタンホイザー



モンテカルロ歌劇場のタンホイザー・パリ版仏語上演で、はじめてのワーグナー挑戦を成功させたホセ・クーラ。これまでの情報については、いくつかの投稿で紹介してきました。
 
 → (録画編)  (レビュー編)  (放送告知編)  (リハーサル編)  (緊急告知編)

以上で終りのつもりでしたが、その後もいくつか、レビューや紹介記事が出され、またクーラがインタビューで、タンホイザーの反響について語ったりしていましたので、そうした情報を今回、追加的に紹介したいと思います。


●インターネット情報サイトEuronewsが紹介

ヨーロッパを中心とするインターネット情報サイトのEuronewsで紹介記事が掲載されています。



Euronewsでは13ヶ国語による紹介動画を作成していて、Youtubeにもアップされました。

こちらは英語版
Tannhäuser: a Wagner opera with a French accent - musica



*ついでに、まだこのタンホイザーの全編録画をご覧になっていない方に、Youtubeにアップされている、最終日2017年3月1日の録画リンクを。
たいへん珍しい、ワーグナーのタンホイザー、パリ版フランス語上演の舞台、モンテカルロ歌劇場でのライブ収録。

"Tannhäuser" de Wagner en français - l'Opéra de Monte-Carlo


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――ホセ・クーラ プラハでのインタビューより(2017年3月)

●タンホイザーの反響について


ドイツからの反応は、明らかな驚きだった。ドイツ人は彼らのワーグナーと英雄的なテノールを守っている。これは、ワーグナーを行うための別の方法だ。

今、みんなが私に電話してきて、オリジナルでの(ワーグナーの)役柄を学ばせようとするが、私がドイツ語を習得する前に、私は60歳になるだろう(笑)。

(「iDNES.cz」)





――モナコの情報サイトでのプロフィール紹介とインタビューより(2017年3月)

●役柄へのアプローチでこんなに苦しんだことはない

Q、あなたは初めてのワグナーをフランス語で歌う!この経験をどのように表現する?

A、山に登るようだ!
スコアは非常に長く、ボーカルがたいへん複雑であるだけでなく、テキストの量も膨大だ。


Q、新しいレパートリーやタンホイザーのような役柄にどのようにアプローチする?

A、通常、まず台本を学ぶことから始めて、それから、作曲家が、その言葉がどのように聞えると想像していたのかを見つけ出そうとして、音楽を汲み取る。

タンホイザーの場合、これまでになく、テキストを覚えるのに苦労したために、そのプロセスは非常に遅かった。
なぜなら、おそらく、私が多くの瞬間、フランス語の歌詞が音楽と衝突していると感じたためだと思う。
私は、役柄にアプローチするのに、これほど苦しんだことは一度もない!

(「Little Big Monaco」)

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――レビューより

●ローマ語りはまぎれもなく感動的

ホセ・クーラは、彼のタンホイザーに対して、様々な意見を集めた。一部は不十分さを感じたが、これらのほとんどはオリジナルのドイツ語を好み、フランス語上演に疑問をもっている人だ。確かに、その役割における「ラテンらしさ」の量は、ドイツスタイルの特定の歌手のパフォーマンスと比較する人にとって、混乱させることかもしれない。

私たちは、有名なオーケストラを指揮する良いミュージシャンでもある、このカリスマ的な芸術家の解釈を好む。そして、オテロの熱烈な衝動やサムソンのアクセントを見出すことで私たちを不快にすることはなかった。

さらに、クーラは、タンホイザーのもろさや懐疑的になった時、必要に応じて、ささやき声やメッツァ・ヴォーチェを使い、情熱や反乱の爆発をどう制御するかを知っている。

最後の幕で、彼のローマ語りは、紛れもなく感動的だった。

(「Metamag」)





●ボーカルも演劇的にも優雅、熟した声、楽々と

ホセ・クーラのタンハイザーは、フランス語ではじめてのワーグナーへのコミットメントをうまく克服した。

彼のキャラクターはさまざまなニュアンスを含み、ボーカル的にも演劇的にも優雅に現れている。彼の声は、熟して、楽々と放射される。

(「OperaClick」)


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台本とスコアの分析、役柄の研究を、これまでにないほど苦しみながら、徹底的にやったクーラのタンホイザー。その努力と到達が、多くのレビューでも高く評価されたことは、本当に喜ばしいことです。

またあちこちから、ワーグナーを原語であるドイツ語で、という誘い(?)がすでにあるようです。
もちろんクーラは、すでに日常会話程度のドイツ語はできるし、ドイツ誌のインタビューでも答えていましたが、ミュージシャンとしてとても良い耳をもっているので、言葉を発音することは可能ということです。しかし、音楽と脚本の解釈、歌唱と演技を一体化させたクーラ自身の「基準」からは、満足できるものではなく、それをやらないのは、楽曲と聴衆を尊敬しているからこそだ、とのことでした。

ということで、現在のところは、ドイツ語のワーグナーにあらためて挑戦するつもりはなさそうですが、今後、クーラを説得する劇場やマネージャーが現れるのかどうか、これはクーラの今後の歌手としてのキャリアにとって大きな影響を与えることでもあり、興味深いです。








*写真は、劇場のHPなどからお借りしました。
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