人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

2021年 ホセ・クーラ、自作曲「この人を見よ」がリュブリャナ・フェスティバルで生中継

2021-08-29 | コンサート ②

 

 

ホセ・クーラは、2021年8月25日(現地時間)、スロベニアの首都リュブリャナで開催されているリュブリャナ・フェスティバルに出演しました。幸いにして、ネットで生中継され、8月29日現在、まだフェスティバルのフェイスブックで公開中です。録画リンクなどをご紹介します。

スロベニアは、西がイタリア、北にオーストリアに接し、アドリア海にも面している中央ヨーロッパの国です。リュブリャナ・フェスティバルは、クーラもこれまで何回か出演したことがあり、今年は69回を迎える伝統あるフェスティバルです。

今回のプログラムは、宗教に関する音楽で組まれていて、通常の夏のフェスティバルであるようなオペラアリア・コンサートとはまた違った趣の企画となっていたようです。メインは、クーラ自身が作曲したオラトリオ「この人を見よ」。クーラが歌手として参加しています。リンクを紹介していますので、興味のある方は、ぜひご覧になってみてください。

 

 

 


 

 

 

Highlights of the 69th Ljubljana Festival

August 25, 2021   20.30   Congress Square

José Cura, tenor and composer
Elisa Balbo, soprano
Nuška Drašček, mezzo-soprano
Pétér Balczó, tenor
Marcell Bakonyi, bass
RTV Slovenia Symphony Orchestra and Youth Choir
Slovenian Philharmonic Choir
Mario De Rose, conductor


Program:
G. Verdi: Overture to the opera La Forza del Destino
G. Verdi: “La Vergine degli angeli” from the opera La Forza del Destino
P. Mascagni: Intermezzo from the opera Cavalleria Rusticana
P. Mascagni: “Inneggiamo Signor” from the opera Cavalleria Rusticana
C. Saint-Saëns: "Vois ma misère, hélas!" Samson's monologue from the opera Samson et Dalila
***
J. Cura: Oratorio Ecce Homo

 

 

≪ プログラム ≫

ヴェルディ「運命の力」序曲
ヴェルディ「運命の力」第2幕 レオノーラ・合唱「天使の聖母様が」
マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より、サントゥッツァ・合唱 復活祭の讃美歌「賛美歌を歌おう、主は死なれてはいない」
サン=サーンス「サムソンとデリラ」第3幕、サムソン「ごらん下さい この惨めさ、この苦しさ」

ホセ・クーラ オラトリオ「この人を見よ」

 

 

≪ 動画リンク ≫

フェスティバルのフェイスブックに動画がアップされています。8/29現在、まだ視聴可能ですが、いつまで可能かわかりません。

動画にリンクをはっていますので、以下の画像をクリックしてご覧ください。前後半合わせて約1時間30分です。

 

 

 

 

 

 

≪ プログラムの内容について ≫

 

フェスティバル公式サイトの解説によると、今回のプログラムでは、何らかの形で宗教に関連した音楽で構成したそうです。オペラからの曲は、主人公たちが神に祈りを捧げる瞬間に光を当てたということです。

 

●ヴェルディ「運命の力」より、レオノーラの祈り

ヴェルディのオペラ「運命の力」からは、序曲とともに、主人公のひとりレオノーラの「天使の聖母様が」が歌われます。レオノーラは、結婚を約束した恋人アルヴァーロが不慮の事故で父を殺害してしまい、実の兄が復讐を誓ってアルヴァーロを探す旅に出るという過酷な運命のもと、アルヴァーロに捨てられたと思い込んでしまいます。そして男装して修道院に隠遁生活をさせてほしいと頼み込みます。その場面のレオノーラと修道士たちの歌です。「天使の聖母様、そのマントで私を包み下さい。そしてお護り下さい。神の聖なる天使さま」と歌っています。

 

●マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より、サントゥッツァの祈り

マスカーニのオペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」からは、美しい間奏曲と、サントゥッツァが教会に集まった人々と共に歌う「賛美歌を歌おう、主は死なれてはいない」です。愛するトゥリッドゥが、元恋人で出征中に他の人と結婚してしまったローラを忘れることができず、逢瀬を重ねていることに苦しみ、さらに自分自身も結婚前であるにもかかわらずトゥリッドゥの子どもを妊娠しているという、辛く切ない状況にあります。その結果、復活祭の日に起こる悲劇の前に歌われます。

 

●サン=サーンス「サムソンとデリラ」よりサムソンの悔恨の祈り

サン=サーンスの「サムソムとデリラ」からは、人間離れした力をもつサムソンが他民族に支配された民衆を救うために立ち上がったけれど、敵から派遣されたデリラの誘惑に負け、捕まり、力の源泉であった長い髪を切られてしまい、目を潰され、鎖につながれて石臼を回しながら、自分の行いを悔い、神に慈悲を請うというアリアです。

 

●ホセ・クーラ「この人を見よ」 イエスの最後と母の祈り

そして後半の、クーラ作曲のオラトリオ「この人を見よ」は、イエスキリストの最後の瞬間をめぐる物語にもとづき、嘲笑、裏切り、十字架への道、はりつけの場面などが描かれているようです。

マニフィカト、ゴルゴダ、スターバト・マーテルの3曲から構成されています。マニフィカトは「聖母マリアの祈り」をテキストにしたキリスト教の聖歌で、ゴルゴダは十字架にかけられたゴルゴダの丘のこと、スターバト・マーテルは、磔になる十字架の傍らに立ち悲しみに暮れる母マリアを思う内容とのことです。

 

 

 

 

 

 

≪ なぜ作曲するのか、なぜ「この人を見よ」なのか ≫

 

テノールのホセ・クーラがなぜ作曲するのか、なぜ今キリストをめぐる物語なのか、疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。私自身も、なぜ今、夏のフェスティバルで宗教の曲をやるのか、少し不思議な思いがありました。

クーラがなぜ作曲するのかについては、以前の記事で、クーラのインタビューからまとめたことがありました。クーラの発言から、いくつか抜粋してここでも紹介します。

 → 「ホセ・クーラ、作曲は、やむにやまれぬもの」

 

●初めて15歳で指揮者デビューした。もともと作曲と指揮が専門だったが、27歳の時に歌手としてのキャリアを始めた。その時は、1999年まで、指揮台に復帰する計画はなかった。当時のアルゼンチンは、ちょうど軍事独裁政権の恐怖から回復し始めていて、若い民主主義の時代だった。その頃の困難な経済状況では、指揮者や作曲家としての仕事を見つけることはほぼ絶望的だった。作曲と指揮をわきに置いて、私は仕事をしなければならなかった。

●創造的な仕事ほど、人の内面と深く結びついたものはない。絵画、音楽、詩、小説、数学の定理‥どれも比類のない人間の知的成果の典型だ。真のクリエーターは、商業的なものを除いて、常にやむにやまれぬ、強迫的なものとして、それを書く。商業的成功は、また別のステップだ。

●作曲と指揮は私のバックグラウンド。歌のキャリアはそれへのアプローチを豊かにした。数十年前夢見たフルタイムの指揮者としてキャリアを終わること以上に私にとって自然な事はない。

 

また「この人を見よ」についても、以前、プラハで初演の祭のインタビューで、作曲者としてのクーラの発言をまとめています。作品解釈のひとつの参考になればと思い紹介します。

 → 「(インタビューとレビュー編) ホセ・クーラ 自作オラトリオ『この人を見よ』を世界初演」

 

この中でクーラは、「この人を見よ」は、「子どもの痛み、母の痛みを描いた」と述べていて、題材を聖書にとっているが、現代に生きる自分たちに惹きつけて解釈し、人間の普遍的で変わらぬ痛みと苦しみ、願いと祈りを描いているようです。

またマニフィカトについて、2014年のインタビューで、「テキストは、十字架の下、愛する息子が死んだ母親についての物語。今でも、世界中で、紛争や、エボラ等の感染症、犯罪など、死んでしまった我が子を胸に抱く多くの母親たちがいる。私たちは、そういうすべての人々のために、この歌を歌う。」と語っていました。

クーラの思いは、聖書の世界を描くということではなく、現代の世界の人々の苦しみや苦難に思いをはせ、それを克服するために立ちあがる人、その人の受ける困難とそれを乗り越えようとする人間の姿への共感が込められているように思います。

人種差別、ジェンダーにもとづく差別や性暴力、各地の紛争や戦争、難民、格差と貧困の拡大、地球温暖化と気候変動、そして新しい感染症の発生とパンデミック……。現代の私たちが著面する様々な課題、困難、理不尽、不合理なことへ抵抗と抗議の行動、改革を求める人々の声がうねりとなっている今、それらに思いをはせ、連帯し、祈りを捧げる――夏のフェスティバルでの宗教曲という意表を突くプログラムには、深い意図があったのだと気づかされました。

 

 

 

 

 

 

≪ 終演後、クーラのFBより ≫ 

 

 

クーラ自身、コンサートが成功し、とりわけ作曲家として喝采を浴びたことがとても嬉しかったようです。オーケストラ、合唱団、共演者への感謝を述べています。

 

 

 

 

*画像は、フェスティバルのFBや動画などから利用させていただきました。

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(告知編)2021年 ホセ・クーラ、マスタークラスをマルタフィルハーモニー管弦楽団と

2021-08-22 | マスタークラス

 

 

 

マルタフィルハーモニー管弦楽団から、楽しみなお知らせです。

ホセ・クーラを講師にしたマスタークラスが、2021年10月に開催されることが告知されました。約1週間にわたって、クーラとマルタフィルが参加してのマスタークラス、そして最終日には、クーラが指揮するマルタフィルとともに、クロージングコンサートが開催されます。マルタフィルに問い合わせたところ、このクロージングコンサートは、生放送される予定だとのことです。

日本から渡航するのはまだまだ大変かとも思いますが、在欧の方々、オペラを学んでいる学生の皆さまには、たいへんユニークな機会、チャンスのひとつになるかもしれません。

またオブザーバーとして、一般の人の入場も可能なようです。詳しい内容、申し込み方法などは、以下にリンクを紹介しています。

 

 

 


 

 

 

 

≪ スケジュールと申し込み

 

Schedule

25 & 26 October
10.00 – 13.00 & 15.00 – 18.00
Lessons with Maestro Cura (& a repetiteur)
27 & 28 October
Evening Times TBC
The MPO conducted by Maestro Cura will join the masterclass
29 October
Evening Times TBC
General Rehearsal for Closing Concert
30 October
19.30
Closing Concert (open for public)

 

●スケジュール (2021年10月25~30日)

10月25日、26日 10.00 - 13.00 & 15.00 - 18.00
マエストロ・ホセ・クーラによるレッスン

10月27日、28日
マエストロ・クーラが指揮するMPOがマスタークラスに参加

10月29日
クロージング・コンサートの全体リハーサル

10月30日19.30
クロージング・コンサート(一般公開)

 

●申し込み

2021年9月17日金曜日まで受付
オンラインフォームに記入し、履歴書/経歴と最近のビデオパフォーマンスを添付
選ばれた参加者には、9月27日月曜日までにメールで通知

 

↓ 申し込みフォームへのリンク (オケのFBHPからも)

*最新の内容をマルタフィルのサイトでご確認ください

 

 

 

≪ マスタークラスのパンフレット ≫

 

詳しい内容、申し込みの必要事項、対象、料金、クーラとマルタフィルの紹介などは、マルタフィルのパンフレットをご覧ください。

以下の画像に、マルタフィルのサイトに掲載されているPDFへのリンクをはっています。ダウンロード可能です。

 

 

 

 

●マスタークラス紹介ーー マルタフィルの告知文より

 

”マルタ・フィルハーモニック・オーケストラ(MPO)は、世界的なオペラ・スターであり、指揮者でもあるホセ・クーラとのユニークなトレーニングの機会を提供するため、応募を開始した。

若手プロフェッショナルやオペラを学んでいる学生を対象に、フランスとイタリアのオペラのレパートリーを中心とした1週間のマスタークラスで、ホセ・クーラと密接に仕事をする機会を提供する。

このコースでは、解釈、オーケストラや指揮者との対話やコミュニケーションに関するスキルを掘り下げていく。また、このコースのユニークな点は、MPOが参加することで、参加者は尊敬すべきプロのオーケストラとの共演について知識を深めることができる。

選考の結果、参加者は10月25日から29日までの1週間、マエストロ・ホセ・クーラによるマスタークラスとリハーサルに参加し、10月30日には一般公開のクロージング・コンサートが行われる。

テノール歌手のホセ・クーラは、名だたる劇場で型破りで革新的なコンサートを行うことで知られる。また、20年以上にわたり、ロンドン交響楽団やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などの一流オーケストラを指揮してきた。

彼の指揮のもと、MPOは最近、世界的に有名なソプラノ歌手、ダイアナ・ダムラウを起用した豪華なオーディオ・ビジュアル・オンライン作品「グランド・フィナーレ」に出演し、オンラインで100万人以上の人々を魅了した。

このマスタークラスには、あらゆる分野の音楽家や、興味を持って見学する一般の方々が、オブザーバーとして参加できる。

参加者の募集は、9月17日(金)まで。詳細については、オンラインのMastering the Voice Information Packを参照。”

 

 

 

 


 

 

≪ 参考動画 ≫

 

クーラのマスタークラスがどんな様子なのか、そのユニークさ、魅力がとてもよくわかる動画があります。2019年、イギリスのBBCカーディフ国際声楽コンクールで開催された様子、動画リンクです。

 

 

 

 

もうひとつは、前回の記事でも紹介した、ホセ・クーラが指揮したマルタフィルとディアナ・ダムラウ夫妻らとのコンサート動画です。

 

Grand Finale – Malta Philharmonic Orchestra

 

 

 

 

 

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2021年 ホセ・クーラ、ディアナ・ダムラウ夫妻とマルタ・フィルを指揮

2021-08-14 | 指揮者・作曲家として 2020~

 

 

2021年8月11日午後9時、ホセ・クーラが指揮し、ディアナ・ダムラウとニコラス・テステのご夫妻らが出演した、マルタフィルハーモニー管弦楽団のシーズン最後のコンサート、グランドフィナーレが、インターネット上で放映されました。日本時間では12日の早朝4時から。約1時間の放送でしたが、音質画質とも良好で、しかも現在のところオンデマンドで視聴が可能です。

収録された場所は、イタリアのシチリア島の南側、地中海に浮かぶ島々からなるマルタ共和国の首都バレッタで、史跡である聖エルモ砦の中庭でした。とても美しい場所で、白い建物に囲まれた明るい園内が、徐々に日が傾き、夜になって美しい照明で彩られていく様など、視覚的にも楽しめるコンサートでした。

クーラがマルタフィルを指揮し、美しいダムラウの歌唱、ダムラウ・テステ夫妻の息の合ったデュエットやマルタの若い歌手の歌などがありました。冒頭はプッチーニの「西部の娘」序曲から始まり、歌の合間にクーラが指揮した、ヴェルディの「シチリアの晩鐘」序曲、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲なども、ドラマティックで美しい演奏でした。

今回はクーラは指揮のみという告知でしたが、終盤にサプライズ出演も!カルメンの第1幕、カルメンがドン・ホセを誘惑する場面で、メゾソプラノが歌い始めた「セギディーリャ」の場面で、指揮者のクーラがテノールのパートを歌ったのでした。

とても美しく楽しいコンサート、オケのYouTube公式チャンネルのリンクをはっていますのでご覧ください。またオケがSNSにアップしたリハーサルの様子などを含む告知動画や、舞台写真なども紹介しています。

 

 

 

 


 

 

 

Malta Philharmonic Orchestra
Grand Finale
DATE: 11/08/2021
TIME: 9:00 PM till 10:00 PM

Performers
José Cura Conductor
Diana Damrau Soprano
Nicolas Testé Bass
Marvic Monreal Mezzo-Soprano
Charles Buttigieg Baritone

 

 

 

≪ コンサート動画 オンデマンド ≫

 

●マルタフィルのYouTube公式チャンネルにアップされたコンサート映像(約1時間)

Grand Finale – Malta Philharmonic Orchestra

 

≪PROGRAM≫
GEORGE GERSHWIN  Bess, you is my Woman Now
VINCENZO BELLINI  Casta Diva from Norma
JACQUES OFFENBACH  Belle nuit, ô nuit d’amour from Les Contes d’Hoffmann
GIUSEPPE VERDI  Mercè, dilette amiche from I Vespri Siciliani
PIETRO MASCAGNI  Intermezzo from Cavalleria Rusticana
GIOACHINO ROSSINI  Largo al Factotum from Il Barbiere di Siviglia
GEORGES BIZET  Seguidille from Carmen
FREDERICK LOEWE  I Could have Danced all Night from My Fair Lady

 

 

●サプライズ出演!?

こちらも同じ動画ですが、クーラが歌いだす直前からスタートします。

 

 

 

 

 


 

 

≪ 舞台写真 マルタフィルのFBより ≫

 

 

●指揮をするクーラとダムラウ

 

 

●放映の翌日アップされた舞台写真 マルタフィルのFBより

 

 

 

 

●会場となったマルタの聖エルモ砦の中庭の様子 マルタフィルのFBより

 

 

 


 

 

≪ 告知動画とリハの様子 ≫

 

 

●本番舞台からの抜粋、マルタフィルの予告動画①

 

 

●野外会場でのリハーサルやバックステージ風景など、マルタフィルの予告動画②

 

 

●屋内でのリハーサル風景など、マルタフィルの予告動画③

 

 

●リハ―サルの写真 ニコラス・テステ氏のFBより

 

 

●ビハインド・シーン動画 コンサート動画が100万人にアクセスされたとオケFBに掲載

 

 

 

 

 

 

 


 

 

7月のプロヴディフでのオペラ、トスカ出演に続いて、今回もクーラの元気な姿を見ることができました。

長引くコロナ禍、気候変動による熱波や洪水…、いろいろな困難が相次ぐもとで、夏のフェスティバルでもキャンセルが起きたりと、欧州でもアーティストがこれまでのように活動することがなかなか難しい状況があります。

今年59歳になるクーラ、今回のように、指揮や作曲に活動の比重を移しつつありますが、カルメンでの歌で聞いたクーラの声は、これまで通り美しく、力強く、ドラマティックで、一気にその場の雰囲気を変える力をもっていたと思います。まだまだ歌手としても活動を続けてほしいと思います。

今回のコンサートにむけて、マルタフィルのオケのメンバーの方がFBに書き込んだ記事から抜粋させていただきます。

”39度の熱波に見舞われた一週間だった。しかし、素晴らしいホセ・クーラと一緒に演奏し、レコーディングすることができた。素晴らしい歌声とカリスマ的な性格、そして分かりやすい指揮。……90年代からの大ファンで、あなたに会って話をすることができてとても嬉しかった。……ロンドンに住んでいた頃、彼のことをよく覚えている。颯爽としたルックスと素晴らしい声!彼はここで私たちを指揮していたのだが、彼が『カルメン』のドン・ホセを歌いながら同時に指揮するところを見ることができた。そのたびに鳥肌が立った。.とても情熱的だった。” ”彼のために演奏するのは本当に楽しかった。非常に困難な暑さの中、素晴らしいエネルギーと献身を受け取った!」

 

 

*画像はオケのSNSや動画からお借りしました。

 

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2021年 ホセ・クーラ、プッチーニのトスカに出演 プロヴィディフ野外劇場

2021-08-08 | オペラの舞台ートスカ

 

 

 

7月17日、ホセ・クーラは、ブルガリアの第2の都市プロヴディフの古代野外劇場で、プッチーニのオペラ「トスカ」に出演しました。主人公トスカの恋人役で、画家のカヴァラドッシ役です。

クーラがオペラに出演するのは、2020年3月にハンブルクでオテロを歌って以来1年4カ月ぶりです。コロナ禍で多くの公演がキャンセルになり、今年に入ってアルゼンチン歌曲のコンサート(無観客・ストリーミング)やアブダビフェスティバルへのビデオ出演、オペラの指揮(プロヴディフでのマノン・レスコー)などで再び舞台に立つことができたものの、オペラ歌手としては本当に久しぶりの出演でした。

幾度ものパンデミックの波によって、舞台公演は困難が続いていますが、今回は、野外劇場で観客数を減らしての上演が実現しました。早々にチケットはソールドアウトしたそうです。

公演の様子やリハーサル動画などを、プロヴディフ国立歌劇場や観客のSNSなどから紹介したいと思います。

 

 

 


 

 

International production of "Tosca" OPERA OPEN

Conductor - Jacopo Sipari Di Pescaseroli
Directed by Ursula Horner
Scenography - Maria Veteroska
Costume designer - Maria Ppuchevska
Conductor of choirs - Dragomir Yosifov
Lighting artist - Vasko Lisichov

Tosca - Tanya Ivanova
Kavaradosi - Jose Cura 
Scarpia - Carlos Alamger
Andzheloti - Aleksandar Nosikov
Spoleto - Georgi Devedzhiev Boris Kuchkov
Klisar - Evgeny Arabadzhiev
Sharon - Nikolay Bachev
Tamnichar - Vasil Igov

Choir and Orchestra at the Opera Plovdiv

 

 


 

 

≪ プロヴィディフ野外劇場でのトスカーー舞台写真より ≫

 

 

 

 

 

●劇場のフェイスブックに掲載された舞台写真

とても美しい舞台、迫力ある写真がたくさん掲載されています。拷問を受けても屈せず立ち上がるクーラのカヴァラドッシ、迫真の表情をとらえた写真も。

 

 

 

こちらはドレスリハーサルの時の写真のようです。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

≪ いくつかの場面の動画も ≫

 

ネット上にはいくつかの場面の動画がアップされていました。

 

 

●第1幕、トスカとカヴァラドッシのデュエット

Tanya Ivanova & Jose Cura  ''Tosca'' Act,1

 

 

●第2幕、拷問にかけられるカヴァラドッシ、勝利の叫び

 

 

 

●第3幕、死を前にしたカヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」

 

こちらは指揮者の方がアップしてくれました。感情をぶつける激しい歌唱です。

E lucevan le stelle (Tosca) - José Cura, Jacopo Sipari di Pescasseroli, State Opéra Plovdiv

 

 

 


 

 

≪ バックステージ写真 ≫

 

大きく成功した公演の後、リラックスした雰囲気で、同僚の皆さんたちと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪ リハーサルの様子、出演者インタビューを放映したニュース動画 ≫

 

 

 

 

 


 

 

クーラ久々の出演のオペラの舞台、プロヴディフのトスカは大盛況、大成功でした。コロナ禍によるブランクを感じさせない、それどころか、これまでのパワーを一気に解き放つかのような情熱的で激しい歌唱・演技だったようです。

観客の熱狂ぶりは、さまざまなSNS投稿からも伝わってきました。ある男性はFBに、「トスカは非常に特別だった…しかしそれだけでは十分とはいえない。妥協なく良質で影響力があった!場所、音、光、演奏、歌、指揮、演出、舞台美術、衣装デザイン、観客の面で妥協はなかった。プロブディフオペラの魔法のパフォーマンス……すでに翌日になったが、昨夜のことを考えるのをやめられない。それが私にどれほど深い影響を与えたかを示している。トスカは私がブルガリアと海外の両方で最も頻繁に見たオペラだが、昨夜は違っていた。よりダイナミックで、より情熱的だった」と興奮気味に書き、様々な写真や動画を公開でシェアしていました。

クーラについても、「情熱的、魅力的、カリスマ的で神のようなボーカル」と表現。そして私のコメントに対しても、「ホセ・クーラは素晴らしかった! 火山のようにエモーショナル、クリーンでパワフルな声、ステージ上でのパワフルな人間性と芸術的な存在感!」と返信してくれました。そういう素晴らしい舞台を見ることができたプロヴディフの観客がうらやましいです。

今後のスケジュールについては、前回の投稿で年内の新しいカレンダーを紹介していますが、パンデミックの動向によってどうなるかは予断を許さない状況が続きます。引き続き健康を維持し、作曲、指揮、歌…、この12月には50代最後の59歳を迎えるクーラの円熟の実りを存分に示してくれることを願っています。

 

 

 

*画像はプロヴディフ国立歌劇場のFBや報道、SNSなどからお借りしました。

 

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(追加)2021年 ホセ・クーラ カレンダー

2021-08-04 | 出演予定・スケジュール

 

 

2020年は世界的なコロナ禍のため、ホセ・クーラの公演活動も大きな影響を受けました。3月までの3公演を実施した後は、すべてがキャンセルになっています。

先日、クーラは、今年2021年初頭の公演スケジュールを公式HPにアップしました。ただし、今後もパンデミックの状況によって、どうなるかは不透明です。また、当面の7公演だけが掲載されていますので、今後、追加が公表されたら、またこの記事に追加していきたいと思います。 (8/4追加・整理)

1、2月のコンサートは、無観客で予定されており、生放送もされるようです。日本でも視聴できると嬉しいですね。

日本から欧州に観光目的で行けるようになるのは、まだまだ先になりそうです。早くまた、クーラの声を聞きに、海外旅行できる日を、またキャンセルされてしまった2020年11月の来日公演が、再度、計画されることを心から願っています。

 

ホセ・クーラ公式HP カレンダー

 

 


 

 

コンサート(指揮)2021/1/27

*コロナ禍と大雪による交通遮断等のためキャンセル

ヘンリク・ミコワイ・グレツキ 交響曲第3番『悲歌の交響曲』
ヴェルディ:聖歌四篇 Quattro pezzi sacri
- アヴェ・マリア
- スターバト・マーテル
ホセ・クーラ:テ・デウム
指揮者:ホセ・クーラ 
音楽アカデミー(リスト音楽院)大ホール / ブダペスト・ハンガリー
*無観客のコンサート、生放送予定あり

JANUARY 27, 2021  Wednesday 19:30
Conductor: José Cura
Music Academy, Grand Hall BUDAPEST  Hungary

 

☆コンサート(歌)2/9

ヴィンタートゥール スイス
*無観客のコンサート、生放送予定ありアルゼンチン歌曲  → オケ公式YouTubeチャンネルで録画が試聴可

WINTERTHUR
STADTHAUS WINTERTHUR
Argentinean songs

 

☆コンサート(指揮)3/4

※コロナ禍によりキャンセル

アルゼンチン歌曲

ムソルグスキー/ラヴェル、展覧会の絵
ラフマニノフ交響曲第2番
ブダペスト MÜPA

4 MARCH (19:00)
BUDAPEST
MÜPA
Mussorgsky/Ravel,Pictures of an exibition
Rachmaninov. 2º symphony

 

☆コンサート(指揮)3/26,27

ギターとオーケストラのためのホセ・クーラの「復活のための協奏曲」世界初演
フランス・ミュルーズ

※コロナ禍によりキャンセル

アルゼンチン歌曲

26 MARCH (20:00)、27 MARCH (19:00)
MULHOUSE
World premier of José Cura’s « Concierto para un Resurgir », for guitar and orchestra.

 

☆アブダビフェスティバル ヴァーチャル・コンサートへの出演(歌) 3/30放送

Tales: Symphonic Tales  by Ihab Darwish 世界初演 全13曲の組曲 → 録画リンク クーラ出演の第8曲「Gazelle Eyes」
Abu Dhabi Festival 2021
27 MARCH, 2021 Video Broadcast

 

☆オペラ マノン・レスコー/ プッチーニ(コンサート形式・指揮) 4/17

プロヴディフ国立歌劇場 ブルガリア 

Manon Lescaut in concert (conductor)
17 APRIL 
State opera Plovdiv , Bulgaria

 

☆コンサート(歌と指揮)5/20

※コロナ禍によりキャンセル・日程再設定の予定

アルゼンチン歌曲

アルゼンチン歌曲
クーラ作曲「復活のための協奏曲」
オペラからの抜粋
エストニア・パルヌ

20 MAY (19:00)
PÄRNU CONCERT HALL
Argentinean songs
Concierto para un Resurgir
Opera excerpts as singer

 

☆コンサート(歌と指揮)5/21

※コロナ禍によりキャンセル・日程再設定の予定

アルゼンチン歌曲
クーラ作曲「復活のための協奏曲」
オペラからの抜粋
エストニア・タリン

20 MAY (19:00)
TALLIN ESTONIA CONCERT HALL
Argentinean songs
Concierto para un Resurgir
Opera excerpts as singer

 

☆オペラ トスカ/ プッチーニ (カヴァラドッシ) 7/ 17

プロヴィディフ 古代野外劇場/ ブルガリア

Tosca, Puccini
17 JULY
PLOVDIV SUMMER FESTIVAL

 

☆コンサート(歌と指揮) 8/25

リュブリャナ・フェスティバル スロベニア
オペラシーンの抜粋とクーラ作曲「この人を見よ」

Operatic scenes
José Cura’s Ecce Homo
25 AUGUST
LJUBLJANA

 

☆コンサート(指揮) 9/5

ホセ・クーラ作曲 「Modus」、「テ・デウム」(世界初演)、「この人を見よ」
ブカレスト

José Cura’s Modus (Kyrie from the Argentinean Requiem)
José Cura’s Te Deum (world premiere)
and José Cura’s Ecce Homo
5 SEPTEMBER
BUCAREST

 

☆コンサート(指揮) 9/19、20

ホセ・クーラ作曲「オペラ モンテズマと赤毛の司祭」からの抜粋、シンフォニック組曲
ホセ・クーラ作曲「復活のための協奏曲」(世界初演)
レスピーギ作曲「ボッティチェッリの3枚の絵」
ザールブリュッケン・ドイツ

José Cura’s Suite Sinfonica, from the opera « Montezuma e il Prete Rosso (world premiere)
José Cura’s Concierto para un Resurgir  (world premiere)
Respighi’s Trittico Boticelliano
19 & 20 SEPTEMBER
SAARBRÜCKEN 

 

☆コンサート(歌) 9/29

※コロナ禍によりキャンセル

バンコック  タイ
オペラからの抜粋

Opera excerpts concert
29 SEPTEMBER
BANGKOK
CANCELLED DUE TO THE PANDEMIC’S RESTRICTIONS

 

☆オペラ道化師/ レオンカヴァッロ(カニオ) 11/9

ブダペスト芸術宮殿MÜPA コンサート形式

Pagliacci in concert
9 NOVEMBER
BUDAPEST (MÜPA)

 

☆コンサート(歌と指揮)11/18

※再設定した日程

アルゼンチン歌曲

アルゼンチン歌曲
クーラ作曲「復活のための協奏曲」
オペラからの抜粋
エストニア・パルヌ

18 NOVEMBER
PÄRNU CONCERT HALL
Argentinean songs
Concierto para un Resurgir
Opera excerpts as singer

 

☆コンサート(歌と指揮)11/19

※再設定した日程

アルゼンチン歌曲
クーラ作曲「復活のための協奏曲」
オペラからの抜粋
エストニア・タリン

19 NOVEMBER
TALLIN ESTONIA CONCERT HALL
Argentinean songs
Concierto para un Resurgir
Opera excerpts as singer

 

 

 

 

 

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