人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

2019年 ホセ・クーラ カレンダー

2018-11-24 | 出演予定・スケジュール





ホセ・クーラの2019年の出演スケジュールが公表されました。

2019年は、トゥーランドットのカラフ、オテロ、アンドレア・シェニエ、トスカのカヴァラドッシ、カルメンのドン・ジョゼという、クーラの長年歌ってきた演目で、ファン待望のオペラ出演があり、また各地で、アルゼンチンの歌曲やオペラアリア・コンサートなどが予定されています。

また特徴的なのは、新たに仏ミュルーズ交響楽団のアソシエート・アーティストとして3年間の契約を結んだことをはじめとして、指揮者としての本格的な活動が目立つことです。もともと指揮者、作曲家を志し、大学でも指揮と作曲を専攻して学んだクーラにとって、指揮の比重を高めるのは、長年の願いでもありました。
ベートーヴェンの交響曲第4番、第9番、劇音楽「エグモント」、ヴェルディ「レクイエム」、プッチーニの1幕オペラ「修道女アンジェリカ」などの指揮が計画されています。

演出では、来年は新プロダクションは予定されていないようですが、2015年初演のストックホルムのプッチーニ「ラ・ボエーム」がロングランを続け、2019年も上演されるほか、今年(2018年)手がけたプラハのヴェルディ「ナブッコ」、エストニアのプッチーニ「西部の娘」も上演が続きます。

2006年以来、来日がないクーラ。日本から一番聞きに行きやすいのは、10月に予定されている中国・上海でのオペラアリアなどのコンサートでしょうか。場所、日程が未公表ですが、わかりしだい追記したいと思います。
最新情報はクーラの公式カレンダーをごらんください。


ホセ・クーラ公式HP カレンダー


☆コンサート(指揮)1/19
ロドリーゴ「3つの古い舞曲の調べ」、「アランフェス協奏曲」  ベートーヴェン「交響曲第4番」
フリア・カボネル・デ・レス・テレス・デ・リェイダ交響楽団 / エンリケ・グラナドス音楽堂 / スペイン・リェイダ → 告知ページ
Rodrigo’s Tres viejos aires de danza & Concierto de Aranjuez / Beethoven's 4th Symphony
19 JANUARY (Conductor)
Auditori Municipal Enric Granados / LÉRIDA

☆コンサート(歌と指揮)2/4
オペラアリアとデュエット、序曲
リュブリャナ・ウィンター・フェスティバル / ユニオンホール / リュブリャナ・スロベニア  → 告知とプログラム
opera arias, duets and overtures
4 FEBRUARY (Singer & Conductor)
Union Hall / LJUBLJANA Slovenija

☆コンサート(歌)2/24
アルゼンチンの歌曲、ピアノとともに
音楽アカデミー(リスト音楽院)大ホール / ブダペスト・ハンガリー  → 告知
Argentinean songs with piano
24 FEBRUARY (Singer)
Music Academy, Grand Hall BUDAPEST  Hungary

☆コンサート(指揮)3/8、9
アストル・ピアソラ「タンガーソ」、 クーラ作曲「マニフィカト」、ラフマニノフ交響曲第2番
ミュルーズ交響楽団 / フランス・ミュルーズ
Piazzola’s Tangazo, Cura's Magnificat, Rachmaninov 2º Symphony
8 & 9 MARCH (Conductor)
La Filature / Grande Salle MULHOUSE

☆コンサート(歌)3/14
オペラアリアとデュエット
チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院大ホール / モスクワ・ロシア  → 告知
opera arias and duets
14 MARCH (Singer)
Tchaikovsky Conservatory Big Hall, Moscow

☆コンサート(歌)3/26、28
オテロ、ピーターグライムズ、サムソンとデリラ、道化師より
プラハ交響楽団 / スメタナホール プラハ・チェコ → HP
JOSÉ CURA IN HIS FAMOUS ROLES (excerpts from Otello, Peter Grimes, Samson et Dalila and Pagliacci)
26 & 28 MARCH (Singer)
Smetana Hall  PRAGUE Czech

☆コンサート(指揮)4/27
ルドミル・ルジツキ 交響詩「アンヘリ」、プッチーニ オペラ「修道女アンジェリカ」(コンサート形式)
ノヴィ・ソンチ ルスワビツェ ポーランド  *場所が変更になったようです
Rozycky’s Anhelli , Puccini’s Suor Angelica in concert
27 APRIL (Conductor)
NOWY SACZ LUSLAWICE  Poland

☆ヴィットーリオ・テッラノーヴァ国際声楽コンコルソ・ミラノ予選(審査員) 5/2、3日   *追加 
ミラノ・イタリア  → HP
Concorso Internazionale di Canto Lirico " Vittorio Terranova "
2 & 3 MAY (Judge)

☆トゥーランドット/プッチーニ(カラフ) 6/7,9
マルギット島・野外劇場 ブダペスト ハンガリー  → HP
Puccini’s Turandot - Calaf
7 & 9 JUNE (Singer)
Margaret Island  BUDAPEST Hungary

☆BBCカーディフ国際声楽コンクール(審査員) 6/15~22 、6/20マスタークラス
カーディフ ウェールズ・イギリス  → コンクールHP
BBC CARDIFF SINGER OF THE WORLD 
15~ 22 JUNE (Member of the Jury)
CARDIFF  Wales

☆トスカ/プッチーニ (カヴァラドッシ) 6/30、7/,5,11,14        
 *当初7/3と告知されていた公演は、2日に変更されたとのことです。
ケルン歌劇場  ケルン・ドイツ → 劇場HP
Puccini’s Tosca - Cavaradossi
30 JUNE, 2 3, 5, 11, 14 JULY (Singer)
Cologne Opera House  COLOGNE

☆オテロ/ヴェルディ (オテロ) 7/26
プロヴディフ古代ローマ劇場 ブルガリア
Verdi’s Otello - Otello
26 JULY (Singer)
Teatro Antico Plovdiv PLOVDIV Bulgaria

☆プッチーニ/トスカ (カヴァラドッシ) 8/2、11、18 *新規追加、 *8/2も追加
プッチーニ・フェスティバル イタリア トッレ・デル・ラーゴ →HP
Puccini, Tosca
2、11 & 18 AUGUST (Singer)
PUCCINI FESTIVAL - TORRE DEL LAGO


アンドレア・シェニエ/ジョルダーノ カルメン (ドンジョゼ) 9/11、12、14

*ご注意ください。劇場のシーズン発表によると演目はカルメンに変わっています。クーラはドン・ジョゼ。日程も増えて、9/11,12,14となっています。シーズン開幕公演のようです。クーラのカレンダーにはまだ更新されていません。掲載されました。

王立歌劇場マスカット  オマーン  → 劇場サイトをご覧ください

Carmen - Don Jose
11,12, 14 SEPTEMBER (Singer)
Royal Opera House Muscat  Oman

☆コンサート(指揮)9/13
ベートーヴェン交響曲第9番
王立歌劇場マスカット  オマーン 
Beethoven’s 9º Symphony
13 SEPTEMBER (Conductor)
Royal Opera House Muscat  Oman

☆コンサート(歌)10/未公表 
オペラアリアとデュエット 
中国・上海 会場は未公表 
opera arias and duets
OCTOBER (Singer)
SHANGHAI  China

☆コンサート(指揮)11/4
ベートーヴェン劇音楽「エグモント」、クーラ作曲「Modus(モデュス)」
聖シュテファン大聖堂 ブダペスト・ハンガリー
Beethoven’s Egmont、 Cura’s Modus
4 NOVEMBER (Conductor)
St. Stephen Basilica concert BUDAPEST  Hungary

☆コンサート(指揮)11/13
ヴェルディ「レクイエム」
ブダペスト芸術宮殿(バルトーク国立コンサートホール)  ブダペスト・ハンガリー
Verdi’s Requiem
13 NOVEMBER (Conductor)
Müpa (Palace of Arts Budapest) BUDAPEST   Hungary 

☆コンサート(歌、オペラアリア) 11/22  *新規追加 
クリスマスシアター  アテネ・ギリシャ → HP
Opera arias concert
22 NOVEMBER (Singer)
Christmas Theater ATHENS

☆コンサート(歌と指揮) 12/31  *新規追加
モスクワ音楽院大ホール ロシア  → チケット
CONCERT
31 DECEMBER (Singer and Conductor)
Grand Hall of Moscow Tchaikovsky Conservatory , MOSCOW

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2008年 ホセ・クーラ、生誕150年のプッチーニの生家を訪ねる

2018-11-18 | オペラ・音楽の解釈




ホセ・クーラにとって、プッチーニは、ヴェルディなどとともに最も深いつながりのある作曲家です。

トスカのカヴァラドッシ、西部の娘のディック・ジョンソン、トゥーランドットのカラフ、妖精ヴィッリのロベルトなど、繰り返し出演し、クーラの代表的な役柄が登場するオペラの多くが、プッチーニの作曲です。トゥーランドット、西部の娘は演出・舞台デザインも、西部の娘と蝶々夫人では指揮も行っています。

またエドガールのタイトルロール、マノン・レスコーのデ・グリュー、ラ・ボエームのロドルフォ、つばめのルッジューロ、蝶々夫人のピンカートン、外套のルイージなど、回数は少なく、現在は歌わなくなった演目も含めると、クーラは、ほとんどのプッチーニ作品に出演してきました。

今回は、このクーラが敬愛するプッチーニ、その生誕150年にあたる2008年に、クーラが彼の故郷イタリアのルッカにある生家を訪問した際の関連記事とインタビューなどを紹介したいと思います。



≪ルッカにあるプッチーニの生家とプッチーニ像≫







1858年12月22日生まれのプッチーニ、まもなく生誕160年を迎えます。
プッチーニが生れたのは、イタリア中部、州都フィレンツェの西側にあるルッカという町です。生家は保存され、プッチーニ博物館として公開されているようです。
クーラが訪問したのは今からちょうど10年前、プッチーニ生誕150年の年でした。



≪クーラのルッカ訪問――本の出版会見も≫

2008年10月6日、クーラはルッカを訪問。
一番の目的は、クーラの本がルッカの出版社から発刊され、その会見を、ルッカの市庁舎があるドゥカーレ宮殿で行うためでした。
そしてクーラの希望で、その会見終了後に、プッチーニの生家・博物館の訪問が企画されたようです。

クーラの本とは、「GIÙ LA MASCHERA!―Personaggi a nudo」(『仮面を外せ!―裸のキャラクター』というような意味か)という表題のものです。
内容は、プッチーニのカヴァラドッシやカラフ、デ・グリュー、ディック・ジョンソンをはじめ、ヴェルディのオテロやドン・カルロなど、オペラの有名な男性キャラクターに対して、クーラによる心理的な分析とその本質、生き生きとしたドラマと必然性など、解釈をまとめたもので、心理学者のセレネッラ・グラニャーニさんとの共著となっています。


ドゥカーレ宮殿での会見の様子。クーラと共著者のグラニャーニさん、ルッカの副市長、テアトロ・ゴルドーニの芸術監督、出版社関係者らが出席したようです。



クーラの本の紹介(HPより)



ルッカのナポレオーネ広場の向かいにあるドゥカーレ宮殿


会見場となった美しいホール




≪クーラのインタビューより≫

ホセ・クーラとの午後」と題されたクーラの会見を報道した記事より、主にオペラのキャラクター解釈などについての部分を抜粋して紹介します。


Q、しばしば、キャラクターの解釈を犠牲にしても、歌のパフォーマンスの方が好まれる傾向があるが・・?

A(クーラ)、確かに、オペラの世界では、(演劇の世界で行われたような)必要な革命がまだ到来していない。その中でも、何らかの形で私は改革をすすめようとしている。しかし、今日の歌手は、20、30年前と比べてはるかに優れている。
もし、かつて曲がただひとつの出口だったとしたら、今、われわれは、再解釈を目の当たりにしている。
ニュースをつくるためのスキャンダルは必要ない。注目を集めるためには、現在の社会に照らして作品を読むだけで十分だ。


Q、オペラを観た後に、キャラクターがあまりに不自然で、リアリティーがないと言われることがよくあるが、あなたのパフォーマンスでは、曲と身体の動きが矛盾していない。あなたは幸せな例外か、それともそれは常に実現可能?

A、それは可能であり、非常に自然なものだ。そして可能であるだけでなく、もし私たちが、表面上だけでなく、書かれていることの実体を完全に表現しようとするのならば、それは当然のことだ。
しかし、数年前と比較して状況が大幅に改善されてきている。そしてそれを繰り返していきたい。


プッチーニの生家・博物館で展示に見入るクーラ





Q、キャラクターの分析では、あなたは、誰もが完全に「良い」または「悪い」とはいえないことを理解する必要があると述べているが?

A、成熟した人間は、人がキアロスクロ(濃淡で表現する画法)でつくられていることを知っている。それを否定することはとても愚かだ。
キャラクターの複雑さはここから来ているので、これらの側面を研究することは常に面白い。完全に良いだけの、または悪いだけの人物は退屈だ。


Q、プッチーニのキャラクターについて。プッチーニのキャラクターの現代性は?

A、プッチーニの解釈の最も複雑な要素の1つは、彼の非常に強いエロティシズムだ。セクシュアリティを心地よく受け取れない人、匂い、味、触れ合いを認識できない人――そういう人は多くの困難に遭遇する。

それはフロイトの決まり文句のように聞こえるが、そうではない。私はこれまで性的に抑圧された人にプッチーニを紹介するたび、その結​​果は耐え難いものだった。ここから、この作曲家を表面的に非難する原因となる問題点がつくられる。したがって、障害はプッチーニ彼自身ではなく、解釈する者にある。

また私たちの時代だけが責任を負う別の問題がある。
プッチーニの後のすべてのミュージシャンは、プッチーニのハーモニーとメロディーを発見し、そこから引き出しているが、しかし大衆の大部分はこのことを知らないままに、プッチーニの作品の1つを聞いて、バーンスタイン(Bernstein)またはロイド・ウェバー(Lloyd Webber)、美女と野獣、ライオンキングのような、すでに知られている何かを聞く。

これは、真の情報源を知らないために起こっている。真実を理解するためには時間を遡る必要がある。散漫な者だけが、プッチーニの凡庸を推論している。


Q、その意味で、我々は、プッチーニの作品の文脈から切り離して、同じアリアだけを覚えて、いつも使う。これについては?

A、良い解釈者は、私たちに作曲の偉大さを理解させ、「誰も寝てはならぬ」(トゥーランドットの中でのカラフのアリア)の背後にあるものを少しでも見せることができる人だ。





プッチーニの家のピアノの横で。








≪クーラの共著者グラニャーニさんのインタビュー≫



この上の画像は、クーラの本の共著者で心理学者のセレネッラ・グラニャーニさんのインタビューです。画像に元ページへのリンクが張ってあります。

クーラとの検討、意見交換の経過や、オペラにおける表現の2つの違うアプローチ――キャラクターの深い分析にもとづくパフォーマーと、歌唱や音楽の表現力に頼るスタイル、これらについてのやり取りは、クーラのスタイルとの関係でも、また現在のオペラの在り方をめぐる様々な議論に関連して、なかなか興味深く読みました。
イタリア語で、私にはなかなか意味が十分くみ取れないため、くわしく紹介することができません・・。

このインタビュアーが、本を読んで、クーラの思考の深さ、分析力に驚き、圧倒されて、また深く共感しているようなのが印象的です。
クーラの本は、イタリアのアマゾンなどでは入手可能なようですが、イタリア語で書かれていて、読むのは簡単ではありません。
もしイタリア語を勉強するゆとりができたら、読み込んでみたいものです。



グラニャーニさんとクーラ




*画像は紹介した記事などからお借りしました。
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ホセ・クーラ、フランス・ミュルーズ交響楽団のアソシエート・アーティストに

2018-11-10 | ミュルーズ交響楽団とともに



ホセ・クーラはすでに、公表されている2018年の公演スケジュールを終えました。
今年はオペラ公演が少なかった一方で、2つの新しいプロダクションを演出し(プラハのナブッコとエストニアの西部の娘)、そしてカヴァレリア・ルスティカーナと道化師のプロダクション再演(2012年リエージュ初演)がサンフランシスコオペラの開幕を飾りました。
演出家としての活躍が世界的なスケールで広がった年だったと思います。

来年のさらなる活躍が楽しみですが、11月10日現在、来年2019年のスケジュールはまだ公式に発表されていません。いずれクーラの公式HPで発表された段階で、まとめて紹介したいと思います。

とはいえ、いくつか劇場や主催者側によって公表されたオペラやコンサート出演予定もあります。
今回は、そうした来年の新しい取り組みとして明らかになったうちの1つを紹介したいと思います。

それは、指揮者、作曲家としての新たな活動の場として、今後の3年間にわたり、フランスのミュルーズ交響楽団のアソシエート・アーティストになったということです。オケの2018/19シーズン発表で公式に明らかにされ、コンサートの日程も告知されています。







●ミュルーズ交響楽団との新たな協力関係


上の画像はミュルーズ交響楽団のコンサート告知です。
「ミュルーズ交響楽団の新しい友人-ホセ・クーラ、シンフォニーコンサート」と見出しが立っています。

記事のなかでは、「アソシエート・アーティストとしてホセ・クーラは、次の3シーズンにわたってミュルーズ交響楽団に戻り、ミュージシャンとして特別な絆を築く」と紹介されていました。


ミュルーズ交響楽団は、フランスの東部、アルザス地方の工業都市ミュルーズを拠点するオーケストラです。アルザス地方といえば、世界史にもたびたび登場する地名ですね。豊かな農産物、豊富な資源と工業力に恵まれた地域で、それゆえにフランスとドイツの領有争いに繰り返し巻き込まれてきた歴史があります。

こうした地域で、1867年に市民オーケストラから出発したミュルーズ交響楽団は、現在では、フランスの5つある国立歌劇場の1つであるラン国立歌劇場のオーケストラピットを、ストラスブールのオケと交代で務めている、実力ある団体だそうです。
インターネットで検索してみた範囲ですが、ラン国立歌劇場は、日本の二期会とオペラの共同制作をしているなど、日本ともゆかりの深い劇場のようでした。





クーラは、これまで2015年秋からの3シーズン、チェコのプラハ交響楽団のレジデント・アーティストとして活動してきました。
年間3回のコンサートを行い、歌、指揮、作曲作品の初演、編曲など、クーラの多面的な能力を発揮する場として、とても素晴らしい関係と機会をプラハ響とともにつくってきました。プラハ響とのレジデント契約は終了しましたが、引き続き年1回のコンサートを続けることになっています。

それに加え、今回は、フランスのオケとの新たな協力関係です。どんなことが行われるのか、またまた楽しみです。



●2018/19シーズンプログラムの発表




今年6月、ミュルーズ交響楽団が行った、2018/19シーズンプログラムの発表の画像です。オケのフェイスブックに動画も掲載されています。

クーラは同席していませんが、この場で、今後の協力関係についての発表も行われたようです。


次の画像は、シーズンパンフレットから、アソシエート・アーティストとしてクーラを紹介した部分。




こちらは、2019年3月8、9日に予定されている、クーラとの初めてのコンサート紹介部分です。

演目は、クーラが愛する、おなじみのラフマニノフの交響曲第2番をメインに、クーラ作曲の「マニフィカト」、そしてクーラの母国アルゼンチンの作曲家アストル・ピアソラのタンガーソ。



José Cura
Magnificat
Astor Piazzolla
Tangazo
Sergueï Rachmaninov
Symphonie n° 2 Op.27


最後は、シーズンプログラムのなかから、オケの写真を。
堅苦しく整列した写真が全然なくて、音楽を共に楽しもうとするスタンスの若々しい印象のオケです。スターウォーズなど映画音楽をとりあげるなど、音楽を市民に広げる視点をつよく持っているようにも見えます。
そういう点では、クーラの姿勢ともぴったりで、今後の協力関係によって、さらに音楽の豊かさ、楽しさ、素晴らしさを、新しい発想や展開で広げてくれるのではないかと思います。




*画像は、オーケストラのHP、FBなどからお借りしました。リンクをはってありますので、ぜひ直接ご覧いただけるとありがたいです。
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2018年 ホセ・クーラ、ドイツとスイスでアルゼンチン音楽のコンサート

2018-11-03 | アルゼンチンや南米の音楽




ホセ・クーラはこの10月(2018年)、ドイツとスイスで、母国アルゼンチン音楽のコンサートを行いました。
クーラ自身の作曲作品を含む、アルゼンチンや南米音楽のコンサートは、クーラがライフワークとしているようで、近年、各地で行われています。

→これまでの南米・アルゼンチン音楽のコンサートについての記事

今回の2つのコンサートに関しては、録画や録音がなく、写真も少ないのですが、とても素晴らしい公演だったようです。
このような、親密な雰囲気の室内楽風のコンサート、ぜひ日本でもやってほしいものです。



クーラのFBに掲載されたコンサートの告知(画像は昨年のドレスデン音楽祭2018の際のもの)




下の動画は以前も紹介しましたが、クーラがノーベル賞詩人ネルーダの詩に作曲した歌曲で、とても切なく美しい愛の歌です。
今回のコンサートのプログラムに入っていたかわかりませんが、たぶん歌ったのではないかと思います。

José Cura: Argentinische Lieder (Dresdner Musikfestspiele 2018)






≪2018年10月7日、ドイツ・キュンツェルザウでのコンサート≫


キュンツェルザウは、シュトゥットガルトの北に位置する人口1万5千人あまりのドイツの都市です。
そしてそこにあるカルメン・ウルト・フォーラムという、2017年7月に完成したばかりの最新の現代的なホールがコンサート会場です。大きな多目的ホールと、最高の音響レベルをうたう中規模の室内楽ホールがあり、その580人収容の室内楽ホールでクーラのコンサートは行われました。

キュンツェルザウには、ドイツの世界的な部品メーカー、ウルト社(ドイツ読みはヴュルト)の本社があり、このホールをはじめ、美術館などの文化施設は、同社の社会貢献として建設・運営されているようです。
そのためか、通常のチケットは25~35€程度(日本円で3~4千円代、公演により少し高い特別設定もあるようです)に抑えられています。しかもこの秋から来年にかけて、クーラの他にも、ブリン・ターフェル、ヴァルガス、オポライス、アンネ=ゾフィー・ムター等、多くの著名な出演者による公演があります。機会があれば、ぜひ行ってみたいものです。





主宰であるオーケストラは、このホールを根拠地としているウルト・フィルハーモニーでした。
ここでのプログラムは、クーラが指揮するドヴォルザークの交響曲第9番と、アルゼンチン歌曲の2部構成だったようです。

写真を見ると、「新世界」の演奏では、フルオーケストラをクーラが指揮し、アルゼンチンの歌の際には、オケを室内楽に再編成し、中央にクーラが位置して、指揮もしながら歌ったようです。このスタイルは、最近のアルゼンチン歌曲のコンサートでは定番になりつつあるようです。

チケットは完売、そして満場の観客から、スタンディングオベーションを受けたそうです。







これらの写真は、オーケストラがフェイスブックにアップしたものをお借りしました。




こちらはフルート奏者の方がFBにアップしたもの。スタンディングオベーションを受けている様子が。




同じくオケのメンバーがアップした写真。
「今夜奇跡が舞台で起こった!!!!!ホセ・クーラ、ありがとう、ダンケ、サンキュー!音楽学校への入学を両親に感謝!」と興奮気味のコメントが添えられています。




オケのコンサートマスターがFBにアップした、リハーサル中の写真。






≪2018年10月13日、スイス・チューリッヒでのコンサート≫






長年にわたってチューリッヒ歌劇場に出演してきたクーラですが、2012年以来、なぜか出演がありません。今回は、歌劇場ではなく、トーンハレ・マーグという会場でのコンサートです。





オケは欧州最古の歴史を持つというヴィンタートゥール・ムジークコレギウム。この夏(2018年7月)のヴィンターツゥールの夏フェス野外コンサートでも共演しました。










とても素晴らしいコンサートだったようですが、残念ながら、あまり写真や音源が公開されていません。
クーラが1枚だけ写真をFBにアップしていますのでそれを紹介します。



夏のコンサートで共演した際も、すぐにオケのメンバーと意気投合したと語っていたクーラ。コンサートでも、冗談もいいあいながらの、とても親密な雰囲気だったようですね。


コンサートを前に、雑誌に掲載されたインタビュー。ドイツ語で、画像のため、こうなると何が書いてあるのか、読みたくても歯が立ちません(苦笑)。





会場のトーンハレは、現在、改修中なのだそうです。そのため、クーラのコンサートは、一時的な仮設会場で、工場か何かだった建物の内部を改装したホールとのことです。とはいえ、仮設でも、非常に音響が良く、移転後も解体せずに利用すべきだという意見も出ているのだとか。
以下の動画は、FBに掲載されている、空き工場が音楽ホールに変身するまでを早送りしたものです。とてもユニークです。




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Dresdner Musikfestspiele 2018




この動画は、5月にドレスデン音楽祭でやはりアルゼンチン音楽のコンサートを行った際の、リハとインタビューです。

何度も紹介していますが、クーラはアルゼンチン出身で、祖父母が、中東レバノン、イタリアとスペインからの移民という一家に生まれました。
そして自分自身も、青年期を軍事政権下とその後の経済的混乱のなかで過ごし、音楽への道を探るために1991年にイタリアに移住しています。
アルゼンチン音楽の特徴は、移民のノスタルジアにあると語っているクーラ。現在の世界における移民や難民の姿も、かつての自らと重さねています。

その後、国際的なキャリアを重ね、トップテノール、アーティストとして成功をかちえたからこそ、アルゼンチン人として、祖国とそのルーツを大切にし、アルゼンチン音楽や南米音楽を知らせることを自らの使命とも考えています。

ノスタルジックなアルゼンチン音楽、クーラのドラマティックな声と表現、そしてクーラの作曲、指揮・・クーラの魅力を全面的に味わえる、こういう小規模な室内楽コンサートを、日本のいずれかのオーケストラに企画していただけないものでしょうか?

今年はアルゼンチンと日本が外交関係を樹立して120周年だったそうです。残念ながらこの節目の年にはかないませんでしたが、ぜひ、オーケストラ、プロモーター、関係各位の皆さま、クーラの招聘をご検討いただけることを、心から願っています。




*写真等はクーラ、オーケストラなどのSNS、HPからお借りしました。
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