人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(告知編)2018年 ホセ・クーラ、ヴェルディのナブッコをプラハで演出 / Jose Cura directs Verdi's Nabucco

2017-10-29 | 演出―プラハのナブッコ



ホセ・クーラは、来年2018年の6月に、チェコのプラハの国民劇場で、ヴェルディのナブッコを演出する予定です。
10月4、5日のプラハ交響楽団のコンサートを前にした9月末に、この演出のためのプレゼンテーションをおこなったようです。劇場のFBに写真が掲載されていました。
現在までの情報を紹介したいと思います。

なお、クーラは歌いません。演出、そしていつものように舞台デザインも兼ねます。
2018年6月28、29日、7月1、3日の予定。会場はカーリン・ミュージックシアター。





Nabucco / Giuseppe Verdi
Národní divadlo Praha(The National Theatre Opera)

June 2018 THURSDAY 28, FRIDAY 29
July 2018 SUNDAY 01 , TUESDAY 03
The Karlín Music Theatre

Conductor: Andreas Sebastian Weiser
Stage director: José Cura
Sets: José Cura
Costumes: Sylvia Collazuol
Chorus master: Adolf Melichar
Dramaturgy: Jitka Slavíková

 

   





●クーラから、プラハのナブッコへの招待

こちらは劇場がアップした、クーラによるナブッコ演出についての動画です。英語で語っています。
オファーを受けた当初は、ナブッコという若いヴェルディのオペラ、そして大変に有名なこのオペラの難しさ、危険性を懸念したといいます。そしてチェコの国民劇場のスタッフ、専門家の協力を得て、ドラマ構成上の課題を克服したということなども語っているようです。
ぜひプラハへと、クーラからのお誘いです。

José Cura - Nabucco / José Cura about Nabucco




●2017年9月

劇場スタッフを前に、演出構想をプレゼンテーションするクーラ。劇場FBより
5、7月に演じたピーター・グライムズの余波で、長髪のまま、その髪を束ね、髭もじゃの姿は、クーラファンのあいだでも話題になりました(笑)









●2017年3月

こちらはその半年ほど前になりますが、2017年3月9日、ちょうどナブッコ初演(1842年3月9日)から175年にあたる日に開かれた、クーラと国民劇場スタッフとの打ち合わせの様子。
劇場のFBに掲載されました。









このプラハ訪問の時も、3月初めにプラハ交響楽団とのコンサートがありました。実はこの当時、2月28日までモンテカルロ歌劇場で、初のワーグナー挑戦タンホイザーのパリ版仏語上演という大きなプロダクションがあり、また直後のプラハ響コンサートではクーラの作曲作品の世界初演があり、そしてこのナブッコ演出の準備をこなすという、たいへんなハードワークの時期だったようです。



●クーラとナブッコ

残念ながら、このプラハのプロダクションでは、クーラは演出と舞台デザインだけで、指揮や出演はありません。
なので、これまでのクーラが出演したナブッコの動画をいくつか紹介しておきます。


こちらは、昨年夏のコンサートで、クーラがナブッコの合唱曲「行け、我が想いよ、金色の翼に乗って」を指揮している動画。

José Cura - Va Pensiero - Dubrovnik Summer Festival 2016



クーラ自身がナブッコのオペラに出演したのは、この1995年パリでの公演だけではないかと思います。
まだ若いこの時のクーラの出演は、大きな反響をよんだようです。
クーラのイズマエーレと、その恋人であり、ナブッコと奴隷との間に生まれた娘アビガイッレ、ナブッコの正妻の娘フェネーナとの重唱を。

Jose Cura 1995 Nabucco " Fenena! ... O mia diletta! "





こちらは全編
Giuseppe Verdi: Nabucco



今後また、クーラによるナブッコの作品解釈などがFBに掲載されるのを楽しみに待ちたいと思います。
イタリアの独立運動と深く結びついて語られてきたこのオペラ。「行け、我が想いよ」はイタリアの第2国歌ともいわれるそうです。クーラにとってもイタリアは、祖母の故郷でもあり、1991年に祖国アルゼンチンから移住した先がイタリアのヴェローナ近郊の町だったそうです。そこから移民排斥にあい、フランスに移り住み、その後はスペインに住んでいます。祖国や民族の問題は、今日の世界では、非常に複雑な課題と困難な状況を生み出しています。もちろんオペラであり、芸術作品としてではありますが、社会的課題に関心の高いクーラがどのような演出をするのか。どういうメッセージを込めるのか。プラハで鑑賞するチャンスがあればと切に思います。


The Karlín Music Theatre, at which the National Theatre will be performing some of its opera and ballet productions during the time of the reconstruction of the State Opera building, is one of the oldest and most beautiful theatres in Prague.









*写真は劇場のHP,FBなどからお借りしました。

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(DVD告知編) 2017年 ホセ・クーラ ワーグナーのタンホイザーに初挑戦 / Jose Cura / Tannhäuser

2017-10-20 | ワーグナーのタンホイザー



今年2017年の2月にモナコのモンテカルロ歌劇場で初演を迎えた、ワーグナーのタンホイザーのフランス語パリ版の復活上演。ホセ・クーラがはじめてワーグナーに挑戦するということでも話題になりました。
このプロダクションが早くも、DVD・ブルーレイになるようです。 → *2018年12月現在、まだリリースされたという情報はつかめていません。どうなっているのでしょう??


まずは、リリース元のArthausMusikがYouTubeにアップした予告動画を。 
→ 残念ながら見られなくなっています。
代わりに、アップされた本編の録画を。

Tannhäuser




"This Monte Carlo opera production is a world premiere! For the first time Jean-Louis Grinda staged the french version of Wagner’s romantic opera which was a flop after its first performance in 1861. José Cura gave his debut in the complex role as Tannhäuser under the direction of Nathalie Stutzmann who is also well-known as opera singer. With her, a congenial partner was found to interpret Wagner’s music with such sensuality, intensity and love how this extensive opera requires it."
(ArthausMusik)

「このモンテカルロオペラのプロダクションは世界初演! ジャン‐ルイ・グリンダは、1861年の初演以降、はじめて、この失敗に終わったワーグナーのロマンチックオペラのフランス語版を演出した。ホセ・クーラは、オペラ歌手としても有名なナタリー・シュトゥッツマンの指揮のもと、複雑な役柄であるタンホイザーとしてデビューを果たした。彼女と、気心の知れたパートナーたちは、ワグナーの音楽を、この巨大なオペラが必要としている官能性、強烈さ、愛とともに解釈した。」(ArthausMusik)







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まだ発売予定日や日本での発売の有無、価格などは、情報がみあたりません。

このプロダクションについては、これまで7回の投稿で、レビューや放送予定、クーラのインタビューなどを含め紹介してきました。

クーラにとっては、念願の、初のワーグナー挑戦で、まったく新しい地平を開く成功をおさめました。またプロダクションそのものが大きな歴史的な意義を持つものとして、多くのレビューから高く評価されています。

この仏語のパリ版は、ワーグナー自身の手によって作成されたものであり、当時のパリ特有の背景もあってこの時の上演は失敗に終わったものの、その後のパリでのワーグナー人気に火をつけるきっかけとしても、ワーグナーのこの作品をめぐる探究、努力と試行錯誤の過程のひとつとしても、重要な意義をもつものだそうです。

そういう経過があるために、タンホイザーのスコアは、独語版、仏語版ふくめ、多くの版があり、さまざまな研究がすすめられているものの、フランス語パリ版としても決定版がどれかというのは、未だ議論があるようです。
今回のプロダクションでは、この舞台をモンテカルロ歌劇場で鑑賞された方が劇場関係者から得た情報によると、ショット社によるワーグナーの新全集のスコアを使用しているとのことでした。

ショット社のHP



ワーグナーの探求と版をめぐる議論については、私にはこれ以上、詳しいことはわかりません。しかしこの復活したパリ版仏語上演は、これまでのドイツ語版とは「まるで別物だ」と感じられるようで、それは、一方では拒否感を持たれた方もあるでしょうし、一方では、まったく別の魅力を感じた方もいることと思います。「より官能的でセクシー」「パッションにあふれる」などの声がみうけられました。

これまでもレビューから紹介しましたが、ワーグナー協会のHPにも明記されていたこのプロダクションには、ドイツをはじめとして非常に注目が寄せられ、意義、上演の質ともに高く評価されました。いずれにしても、こういうワーグナーもあるんだ、こういう解釈・パフォーマンスも可能なのだということで、ワーグナーの芸術の深さ、豊かさの一端を示す公演ではなかったかと思います。

またクーラの歌手としてのキャリアの上でも、特筆すべき出来事、重要な芸術的な実りの1つとなったと思います。
DVD発売が楽しみです。詳細がわかりましたら、また紹介します。









*画像はモンテカルロ歌劇場のFBなどからお借りしました。



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