人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(インタビュー編・カルメンの解釈)2019年ホセ・クーラ、オマーン王立歌劇場のシーズン開幕公演カルメンに出演

2020-01-15 | オペラの舞台ーーカルメン

 

 

前回の記事でも紹介しましたが、その後も(1/15現在)まだ、ホセ・クーラのカレンダーは更新されていません。バーリ歌劇場来日公演のアイーダにクーラが本当に出演するのか、本当だとしたら日程、場所は・・と、カレンダーの更新が待ち遠しいですが、HPリニューアル中ということですので、まだしばらく待つ必要があるようです。

今回は、アイーダと同様に、人気のオペラ、ビゼーのカルメンについての話題です。昨年2019年の9月にクーラは、中東オマーンで、王立歌劇場マスカットのシーズン開幕公演のカルメンに出演(「告知編」はこちらを)しました。その際のインタビューで、オペラ・カルメンの解釈、ドン・ジョゼ(ドン・ホセ)の人物論、解釈、作品論についてクーラが語っていましたので、内容を抜粋して紹介したいと思います。

またインタビューの最後に、今後の予定について、とても興味深いスケジュールを紹介していました。ぜひ最後までお読みいただけるとうれしいです。

 

 


 

 

 

 

≪ホセ・クーラが「カルメン」のドン・ホセとしてマスカット王立歌劇場に戻る≫

 

Q、ドン・ホセのキャラクターについてどう思う?また、ロールデビューで覚えていることは?

A(ホセ・クーラ)、オペラ・カルメンとの関係は80年代にさかのぼる。当時私は、若い作曲家として、スペイン楽器とシンフォニックのグループが上演するために、作品の主要部分を1時間半にアレンジした。

1996年にサンフランシスコでドン・ホセの役でデビューし、パートナーのオルガ・ボロディナもまたカルメンの役でデビューした。私たちは皆とても若かった。

 

Q、キャラクターは長年の間にどのように成熟してきた?ドン・ホセについては?

A、ドン・ホセ・リザラベンゴア(原作であるメリメの小説『カルメン』のホセの本名)との基本的な混乱があり、スペインに関するテーマの、美しい、しかし非現実的なフランスの読解から生まれた。カルメンでは、内向的なバスク人と、屈託のないアンダルシア人との根本的に正反対の性格が、文化的な衝突に直面する。それは今日でもテレビシリーズのテーマであり、たとえば「Ocho apellidos vascos」(「8つのバスクの姓」という意味)のような映画(2014年)もある。こうした事実にもかかわらず、カルメンに代表される女性主人公のアンダルシア人の性格は、ほとんどコミックのように誇張され、ドン・ホセの、幼稚な行動、気まぐれな半ば愚か者の典型のようなドン・ホセの解釈を確認する。

ドン・ホセは若いが、ショックを受けて成熟するよりずっと以前から、少年の初々しさはなくなっている。・・・ドン・ホセはゲームの結果をめぐる議論から2人の友人を殺し、裁きを逃れるために、当時、戒厳令によって保護された軍隊に入った。軍人としても彼は時限爆弾だ。上司が彼に与えた最初の屈辱は、予測できない結果で爆発する。そのような心理的社会的不安定性のある人物が、官能的でとらえどころのない致命的な女性と交差する。言葉の語源的な意味で致命的な、運命にかかわる、カルメンのようなーー本当に恋をするよりも、花を摘むという事実を楽しむ女性と。19世紀の抑圧的な文学では、愛という言葉は必ずしも感情そのものを表すのではなく、性の婉曲表現を示していることを忘れないでほしい。・・

フレンチスタイルへの敬意と両立させるため、私は、最初の2幕をかなり控えめな方法で歌い、第3幕が進むにつれて徐々に不機嫌さを解き放ち、愛を請う人物の哀れみから、屈辱的なやり方で拒否された人の野蛮な憎しみへと進んでいく。
屈辱ーーここにキーワードがある。ドン・ホセは、拒否されたからカルメンを殺したわけではない。彼は、人生の旅の初めに2人を殺したのと同じ理由でカルメンを殺した。そして同じ理由で、小説(メリメの原作)では、将校の1人とカルメンの夫、ガルシアを殺す。その誰もが、公の場で彼を辱めたからだ。

この作品との30年以上の関係の後、私の意見では、こうした読み取り方が、この壮大な作品をマンネリズムのない現代的な解釈に照らして、ランスとスペインのような音楽と文化の両面で対照的な2つの世界の利点を最大限活用する唯一の方法だ。


Q、すでにオマーンで道化師を歌った(2018年、ブログ記事)。マスカットの劇場とオマーンの国について?

A、マスカットは高層ビルのない穏やかな街で、家の中の太陽の影響を最小限に抑えるために建物は白い。永遠に青い空と素晴らしい海を背景に、新しい、しかし伝統的な建築物と柔らかな砂の色のコントラストは、大きな平和をもたらす。その暑さに耐えさえすれば・・。
また一方で、オマーンは異文化間および宗教間の寛容の明瞭な例だ。常に慎重な謙虚さを持つ人々は、恐れることなくヨーロッパで服を着て回ることができ、首に十字架をかけることさえできる。他宗教の教会もある。そして王立歌劇場はこのすべての鏡だ。非常に効果的な劇場であり、素晴らしい芸術的およびロジスティックな落ち着きで機能する美しい建築だ。

 

Q、あなたの国であるアルゼンチンのオーケストラと合唱団と一緒にオマーンへ旅行することは?

A、道化師の成功の後、どの劇場とオマーンに戻りたいかを尋ねられたとき、少しもためらわなかった。私は両政権間の連絡役および交渉役を務めている。合意とプロフェッショナリズムにより、海外で私たちの国の大使を務める際に、アルゼンチンの劇場の模範性について疑う余地のない先例を設定する合意が設定されている。

 

Q、またオマーンで、テアトロコロンのオーケストラと合唱団とベートーベン「第9交響曲」を指揮する?

A、イエス、私がこれまで最も多く指揮したのはベートーベンの作品。人生の法則により、歌手としてのパフォーマンスを減らし、オーケストラの指揮と作曲へ復帰することは、私のキャリアの中で自然なことだ。プラハ交響楽団との契約(レジデントアーティスト、2015~18年、紹介記事まとめ)を終え、ハンガリー放送のメイン・ゲストアーティストとして契約した。彼らと一緒に、まずは、オラトリオ「Ecce Homo」(クーラ作曲)の録音、オペラ「モンテズマと赤毛の司祭」(クーラ脚本・作曲)のコンサート形式での世界初演(2020年1月29日)を行う。そして2022年には、アルゼンチンのレクイエム(クーラ作曲)の世界初演で、テアトロコロンの合唱団を迎えたいと思っている。

 

Q、舞台監督・演出家としてはどのように?

A、2018年、ボンとモンテカルロ歌劇場でのブリテンのピーター・グライムズ(主演も)、プラハでのヴェルディ・ナブッコ、エストニアのタリンでのプッチーニ・西部の娘で監督をした。2020年にオテロの新しいプロダクションで舞台演出を再開する。

 

(「operaactual.com」)

 

 


 

 

いつものようにクーラは、作品、登場人物のキャラクターについて、原作や社会背景、民族的背景などを含めて研究、分析し、深めた独自の解釈に立って語っています。ただ美しく歌うのではなく、また心情的な解釈や思い入れで演じるのではなく、あくまでも、脚本と音楽にもとづきドラマとキャラクターの心理を深め、解釈し、歌い演じることこそ、現代のオペラをつくることだというのがクーラの確信です。こうした研究と分析に支えられて、クーラのドラマティックな演技力と舞台上の存在感が生きるのだと思います。

今後の活動については、すでに紹介してきた、クーラ作のオラトリオの録音、オペラ「モンテズマと赤毛の司祭」初演に加えて、2022年には、アルゼンチンとイギリスの間に戦われたマルビナス戦争(フォークランド紛争)の犠牲者追悼のためのレクイエムの初演がついに実現するようです。

そして今年、ヴェルディのオテロの新演出に挑戦するということも報告されていました。クーラは2013年にテアトロコロンでオテロの演出・主演をしていますが、次のオテロは、いったいどの劇場で、主演は誰なのでしょうか。クーラがまた主演もするのなら、ぜひとも行きたいものです。ますますカレンダーの更新が楽しみです。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(告知編) 2019年ホセ・クーラ、オマーン王立歌劇場のシーズン開幕公演カルメンに出演

2019-07-25 | オペラの舞台ーーカルメン

 

 

 

ホセ・クーラは、この秋、2019年9月、中東オマーンの首都にある王立歌劇場マスカットの2019/20年シーズン開幕公演に出演します。母国アルゼンチンのオペラ劇場、テアトロコロンのオーケストラ、合唱団と一緒のツアーです。

演目はビゼーのカルメン。全3公演で、9月11, 12, 14日の3公演です。当初、クーラのカレンダーにはアンドレア・シェニエ2公演と掲載されていたのですが、変更になったようです。

さらに12日と14日の公演の合間、13日には、指揮者としてベートーヴェンの交響曲第9番を振るということです。いくらタフなクーラとはいえ、中東の9月、スタミナは大丈夫なのか、少し心配になる過密スケジュールです。

すでにチケットも販売されています。劇場サイトに掲載されていることを中心に紹介したいと思います。

なお、昨年クーラがこの王立歌劇場マスカットに道化師のカニオ役で劇場デビューした際の様子については、ブログの記事をまとめています。合わせてお読みいただけるとありがたいです。

  →  道化師でオマーン王立歌劇場にデビュー  (告知、リハ、レビューなど含めて、記事5本)

 

 


 

  

≪劇場のシーズン紹介動画より≫

 

劇場がアップした2019/20シーズンの紹介動画です。世界で最も美しい劇場のトップ10にも選ばれたという、総大理石造りの壮麗な劇場の様子もわかります。

 

●シーズン紹介動画から、シーズン開幕公演のカルメンの紹介写真 

 

 

●同じく、カルメンのキャスト紹介

 

●こちらも動画から、クーラが指揮するベートーヴェンの第九の紹介

 

 

 

≪劇場HPより、クーラの出演について≫

 

少し詳しく、クーラの出演の内容を紹介します。

カルメンで歌手として、また第九の指揮者、さらに加えて、講演会・懇談会のような観客を入れたトークイベントが複数回開催されるようです。

劇場HPからわかる現段階の情報です。 

 

 

 (その1)ビゼーのオペラ、カルメンの公演 

 

ビゼーのカルメンは、2019年9月11、12、14日の3公演、いずれも 7:00 PM からです。

クーラは、ドン・ジョゼ(ドン・ホセ)役です。クーラがカルメンに出演するのは久しぶり。2015年に、エレーナ・ガランチャと出演したミラノ・スカラ座以来ではないかと思います。

指揮はイタリア・ミラノ出身のアントネッロ・アレマンディ氏。おもな共演者は、カルメン役はロシアのメゾソプラノ、エレナ・マクシーモワさん、エスカミーリョはルーマニアのバリトン、ジョージ・ピーテーンさん、ミカエラはルーマニア出身のソプラノ、アニータ・ハルティヒさんです。

オケと合唱は、クーラの母国アルゼンチンのブエノスアイレスにあるテアトロコロンのオケと合唱団です。はるばるアルゼンチンから大人数でのツアー。これもクーラとの縁があってのことでしょう。

11、12日と連続してオペラを歌うのもまた珍しいことです。ドン・ジョゼはオテロなどのような負担が大きい役とは違うから、ということなのか、またツアーの日程上、やむを得ずだったのでしょうか。ちょっと過密スケジュールですが、タフなクーラのこと、きっと疲れも見せずベストを尽くしてくれることと思います。

*クーラのこれまでのカルメンの公演、解釈などについては、この記事をごらんください。

 

 

 

こちらは2009年、ウィーンでのクーラの「花の歌」を。少し前のカルメンとの掛け合いから始まっています。 

Carmen Act 2 Duo & "La fleur que tu m'avais jetée"

 

 

 (その2)ベートーヴェンの交響曲第9番を指揮 

 

カルメン3公演の間に、クーラは指揮者として、ベートーヴェンの第9を振ります。この公演は1回だけです。

9月13日、7:00 PM から。

オケと合唱は、同じく、テアトロコロンのオケと合唱団。そしてソリストも、テアトロコロン所属の歌手が出演するということです。

もともと少年期から作曲と指揮を学び、地元のロサリオ国立大学でも作曲・指揮を専攻したクーラ。そして奨学金を得て、テアトロコロンの付属高等芸術学院でも学んでいます。当時は軍事政権下、そしてその後の戦争と民主化、経済的混乱のもと、文化の分野で食べていくのがとても難しかった時代だったそうです。クーラはテアトロコロンの合唱団に所属してささやかな賃金を得て、それでも足りずに様々な仕事を掛け持ちしながら、なおも、作曲家、指揮者をめざして勉強し続けたといいます。そういう意味では、今回、参加するコロンのアーティストたちは、みなクーラの同僚、後輩たちということですね。熱い連帯、一体感あふれる演奏が期待されます。

 

 

 

 

 

(その3)トークイベント 

 

HPによると、それぞれの公演ごとに、トークイベントが設定されているようです。

しかも、クーラは、劇場の教育プログラムの一環として取り組まれている、”COFFEE AND DATES WITH STAR PERSONALITIES”というイベントにも出席が予定されています。

計3回、クーラの話を聞くチャンスがあるということでしょうか? ただし、カルメンの前にもクーラがトークに出演するのかどうか、そこは明記されていないので現時点ではわかりません。  

 

◆クーラとの交流会 ”COFFEE AND DATES WITH STAR PERSONALITIES”

2019年9月9日

劇場のゲストアーティストを迎え、コーヒーを飲みながら、アーティストのキャリアや人生のうえでのエピソードを聞く教育プログラムのようです。クーラの話はいつもとても楽しく、率直で興味深いので、これは素晴らしい機会だと思います。

カルメンの初日が11日ですので、リハーサル中の企画ということでしょうか。

”私たちのインフォーマルなCoffee and Datesシリーズでは、王立歌劇場マスカットが、有名なアーティストがステージ上での人生のストーリーや、彼らのキャリアと現在のプロダクションに関する逸話を共有する非公式の場に観客を招待する。 ゲストアーティストと交流し、有意義な方法で彼らを知ることができる。”

 

 

◆カルメンのプレ・パフォーマンス・トーク

2019年9月11日 午後6時~

 ”プレ・パフォーマンス・トークは、パフォーマンスとその基礎となる創造的プロセスについての洞察を提供する刺激的なディスカッションに参加するユニークな機会を、王立歌劇場マスカットの観客に提供する。トークは、教育・アウトリーチ部門のスペシャリストと来訪したアーティストによるインタラクティブで魅力的な方法によって非公式に行われる。講演は公演の1時間前にメイダンホールで開催される。アクセスは先着順、チケット保持者に限る。”

 

 

◆ベートーヴェンの第9のプレ・パフォーマンス・トーク

2019年9月13日 午後6時~

 

プレ・パフォーマンス・トークについては、出席者が明記されていません。これまでのプラハ響などの公演でも、クーラはプレトークを毎回やっていましたし、アーティストも参加すると書いてありますので、第9の場合は、指揮者としてクーラが出る可能性は高いと思います。

ただ、開演1時間前のトークイベントとなると、指揮の方は可能でも、オペラはどうなのでしょうか?すでにメイクも衣装も始めていないといけない時間でしょうし。カルメンの前のトークは、指揮者や演出家が出席するのかもしれません。

 



 

 

まだまだ暑い夏の中東オマーンで、まもなく春を迎える南半球のアルゼンチンからの出演者によるツアー。クーラは同じ北半球のスペイン在住とはいえ、大変なハードスケジュールで、体調管理が大変なことと思います。 

暑い中東での第9。なぜか暮れに第九を聴く習慣がある日本から考えると、ちょっと不思議な感じもします。またオマーンは現在も王制で、絶対的な権力をもつ国王のもと、この間、近代化がすすめられてきたとのこと。歴史的背景、条件は違いますが、クーラ自身、80年代のアルゼンチンで軍事政権による独裁政治下に育ち、戦争と民主化への道を体験してきました。選曲がどういう形で行われたのかはわかりませんが、クーラが、オマーンで、自由と連帯を高らかに歌う第九を指揮するというのも、とても興味深いものがあります。もちろん異なる政治体制を前提にした文化交流であり、政治的な主張を押し付けるようなものであってはならないでしょう。とはいえ、音楽を通じて、クーラの平和と自由、民主主義への熱い思いは、劇場中に伝わることと思います。

オマーンは政情は安定しているということですが、地理的には、ペルシャ湾につながるホルムズ海峡の手前、入口にあたるオマーン湾に面する国です。この地域をめぐっては、きな臭い動きが強まっています。とりわけアメリカの要請を受けて日本も自衛隊派遣などということは、憲法9条をもつ国として絶対にあってはならないことだと思います。中東諸国をめぐる紛争と難民の苦難も解決していません。外交による平和的解決、人道的支援の強化を願います。絶対に戦争をしてはならないとつよく思います。

さまざまな世界情勢が背景にありますが、平和と文化のための交流として、クーラとテアトロコロンのオマーン・ツアーが無事に成功することを心から願っています。 

 

*画像は劇場HP、動画などからお借りしています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホセ・クーラ ビゼーのカルメン / Jose Cura / Carmen

2016-07-05 | オペラの舞台ーーカルメン


ビゼーのオペラ、カルメンも、ホセ・クーラが長年出演し続けてきた作品です。
トップの写真の左側は、2015年3月スカラ座のカルメンに出演の際のエリーナ・ガランチャとのツーショット、右側は、1996年、33歳の時、サンフランシスコ・オペラでのものです。たぶん、この時が、ドン・ジョゼのロールデビューではないかと思います。

クーラは、カルメンの愛人、ドン・ジョゼ(オペラはフランス語なのでジョゼと歌われますが、スペインが舞台なのでドン・ホセとも)について、「失望する人がいるかもしれないが、彼はロマンチックな男ではなく、殺人者で精神的破たん者だ。愛のためにカルメンを殺したのではない。大勢の人の前で自分が侮辱されたからカルメンを殺したのだ」と、インタビューで述べています。

オペラの原作であるメリメの小説、そしてさらには、小説のもとになった話にまでさかのぼって研究し、作品や人物の解釈と人物造形をしたとのこと。現代に通じるリアリティを追求し、20年間歌い演じつづけています。しかし残念ながら、クーラ出演のカルメンは、正規のオペラ全曲録音もDVDもありません。

実は、数年前に、クーラ自身の演出と主演で、カルメンをフランスの野外劇場でおこなうという計画がありました。しかし主催側の都合で、直前にキャンセルになったことがあります。そのための演出メモやポスターなども公表されていましたので、いずれ機会をみて、紹介できればと思っています。

今回は、YouYubeにあがっている動画、録音を中心に、クーラのドン・ジョゼの歌と演技を紹介したいと思います。
2009年のウィーンの舞台は、日本でもラジオ放送されました。残念ながら映像はありません。
もうひとつ、ブカレストの2007年のものは動画です。クーラのドン・ジョゼ、画質が鮮明な動画は、これだけのように思います。

**************************************************************************************************************

●2009年ウィーン国立歌劇場のカルメンより(音声のみ)
2009年、ウィーンの舞台より、第1幕、幼なじみで、ドン・ジョゼの母が結婚を願っているミカエラとのデュエット。
ゲニア・キューマイヤーとホセ・クーラ、とても美しい二重唱です。キューマイヤーの可憐で美しい声、クーラもとてもやさしく美しく歌っています。録音のみです。
Genia Kuhmeier / Jose Cura Carmen act1 duo Micaela / Don José


2009年ウィーンのカルメンから、つづいて、第2幕、カルメンとドン・ジョゼの再会から、ドン・ジョゼの有名な「花の歌」とその後のシーンまで。
個性的でパワフルなヴェッセリーナ・カサロヴァのカルメンとの情熱的なシーン。録音のみ。
Vesselina Kasarova, Jose Cura Carmen Act 2 Duo & "La fleur que tu m'avais jetée"


同じく2009年のウィーンの舞台から、ヴェッセリーナ・カサロヴァのカルメン、ホセ・クーラのドン・ジョゼで。
カルメン、ファイナル・シーン。録音のみです。
2009年ウィーン  "C´est toi, c´est moi"
Vesselina Kasarova, Jose Cura Carmen Final scene "C´est toi, c´est moi" (Bizet)


●2007年、ルーマニアのブカレストでのガラ公演より
ホセ・クーラ、ブカレストでのCarmenより、1幕のカルメンが誘惑する場面
監視役のドン・ジョゼ、カルメンの誘惑に、気持ちが揺れ動き、カルメンに自分を愛してくれるのかと説いただす場面。
Jose Cura Carmen 2007


ホセ・クーラ、ブカレストのカルメン2007より、花の歌と前後のシーン
カルメンに翻弄されるだけでなく、カルメンと互角に渡り合い、情熱をぶつけあう、パワフルでマッチョなドン・ジョゼ。
Jose Cura "La fleur que tu m'avais jetée" Carmen 2007


迫力あるラスト・シーンをブカレストの公演から。
ホセ・クーラは、ロマンティックな男ではなく、プライドが強く、内面の弱さを強がりで隠し、暴力的破滅につきすすむドン・ジョゼを演じる。
Jose Cura Carmen last scene (Bizet)


●2009年、ミュンヘンでのカルメンの舞台から
ラストシーンの途中まで。続きが見たいところですが・・。
Carmen Impression Gertseva ,Cura- Munich


●おまけ
カルメンの一場面を、ゲストで参加したコンサートで。
かなり初期の動画。めずらしくネクタイ着用。デビューすぐのころか。
Jose Cura in Carmen exc.


***********************************************************************************************************

いずれ近いうちに、クーラは、カルメンの演出を手掛けるのではないかと思います。ただしその時に、クーラがドン・ジョゼを歌うかどうか・・。ぜひ、演出・主演でやってほしいと願っています。また何らかの形で、映像を見られるようにしてほしいものです。

最後に、ホセ・クーラがこれまで出演したカルメンの写真から。ウィーン、ヴェローナ、パリ、ミュンヘン、ミラノ、チューリッヒなどなど。

                                    

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする