人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(初日編) ホセ・クーラ、モナコでピーター・グライムズを再演 / Jose Cura , PETER GRIMES in Monte-Carlo

2018-02-24 | ピーター・グライムズ




モナコのモンテカルロ歌劇場でのホセ・クーラのピーター・グライムズ、2月20日に無事初日を迎えました。
レビューも出始めています。カーテンコールの映像などをみても、大きな喝さいを受けており、成功したようです。

繰り返しの説明で恐縮ですが、このプロダクションは、クーラが長年つよく願ってきたピーター・グライムズへの初挑戦が実ったもので、しかも舞台デザイン、演出、照明などの多くを自ら手掛け、主演も担って、昨年2017年ドイツのボンで初演されました。観客からもレビューからも高く評価され、今回は、共同制作のモナコで再演されているのです。

ボンの客席は約1000、モンテカルロは500余と、両方とも非常にコンパクトな劇場で、そこでクーラ渾身のグライムズが聞けるとは本当に贅沢な体験です。モナコで鑑賞された方の情報によれば、演出家としてのクーラも舞台も非常に良かったとのことでした。

ぜひ映像化、ネット中継をお願いしたいのですが、残念ながら今のところ、放映の情報はありません。最終日の28日までに放送予定が発表されることを願っています。

いずれレビューも紹介したいと思っていますが、今回は、初日を前後して掲載された劇場サイトの告知動画や舞台写真、SNSにアップされたカーテンコールの様子などをまとめてみました。

→ リハーサル編はこちら





Peter Grimes by Benjamin Britten
First at the Monte Carlo Opera
New production,in co-production with the Bonn Opera

Opera in three acts and a prologue
Benjamin Britten Music (1913-1976)

February 20,23,25,28, 2018

Musical direction= Jan Latham-Koenig
Staging= José Cura
Sets & costumes= José Cura
Lights= José Cura and Benoit Vigan
Choirmaster= Stefano Visconti

Peters Grimes, a fisherman= José Cura
Ellen Orford, a widow= Ann Petersen
Captain Balstrode= Peter Sidhom
auntie= Carole Wilson
First niece= Micaela Oeste , Second niece =Tineke van Ingelgem
Bob Boles, fisherman and Methodist =Michael Colvin

Swallow, a lawyer= Brian Bannatyne-Scott, Mrs Sedley= Christine Solhosse, Rev. Horace Adams, the rector= Phillip Sheffield
Ned Keene, pharmacist and healer= Trevor Scheunemann , Carter Hobson, valet= Michael Druiett






つぎの動画は、モナコの情報サイトがアップしたもので、舞台の様子とクーラのインタビューを収録しています。
たぶんドレスリハーサルの時だと思われますが、クーラの歌も含め、舞台の映像がたくさんあって、とてもうれしい動画です。
クーラのグライムズの痛切な声、叫びが響きます。

Opéra : Première de « Peter Grimes » de Britten à la Salle Garnier



こちらはモンテカルロ歌劇場がアップした動画。リハーサルの様子とクーラのインタビューで、クーラが演出家として演技をつけている様子もあります。

Séance de travail pour Peter Grimes de Benjamin Britten - Reportage Monaco Info



初日の後に、共演者がアップした画像。舞台上からとったもののようで臨場感たっぷりです。




初演の場を提供した共同制作のボン劇場も駆けつけて、フェイスブックにもその様子を投稿して応援していました。




初日のカーテンコールの様子。インスタにアップされたものです。

Five years after seeing him on the same stage for Verdi’s STIFFELIO (he also sang TANNHAUSER here last year), Jose Cura came back to the Salle Garnier of the Monte Carlo Opera tonight for the première of Benjamin Britten’s operatic masterpiece PETER GRIMES. This haunting production owes much to the great Jose Cura who not only sings the part of Peter Grimes, but also signs the mise en scène, set design, light design and costumes of this Monte Carlo production. Ann Petersen sings the part of the schoolteacher, Peter Sidhom is Balstrode. Jan Latham-Koenig conducts the Philharmonic Orchestra and the Chorus is directed by Stefano Visconti. This strong, haunting production can be seen until the 28th of February. #PeterGrimes #JoseCura #Britten #BenjaminBritten #operademontecarlo #OPMC #sallegarniermontecarlo #AnnPetersen #PeterSidhom #JanLathamKoenig #StefanoVisconti #nofilter #opera #instaopera #music #instamusic #videooftheday #videodujour #videoofthenight #tenor #vocals #operagram #classicalmusic #musiqueclassique #monaco #montecarlo #instamonaco

Arkun Demirogluさん(@arkundemiroglu)がシェアした投稿 - <time style=" font-family:Arial,sans-serif; font-size:14px; line-height:17px;" datetime="2018-02-20T23:47:49+00:00"> 2月 20, 2018 at 3:47午後 PST</time>




同じくインスタにアップされたカーテンコールの画像。




クーラのインタビュー。30分たっぷりですが、残念ながらすべてフランス語。
何を言っているかわからない・・でもクーラの穏かでささやくようなフランス語が、なかなか魅力的に響きます。

Jose Cura ITW



初日を終えて、数日のオフの間に、モナコの海でとった写真をクーラがアップしたもの。
モンテカルロの美しい海と空を背景に、もともとギリシャ・ローマの彫刻のような整った顔立ちが、風雪を経て、成熟し、まるで哲学者のような風貌です。




モンテカルロ歌劇場の共演者のSNSから







以下、いくつか劇場サイトからお借りした舞台写真を。








グライムズの粗暴な外見の内側にある、愛への渇望、切なさが滲み出るような写真がたくさん。




事故死した少年の幻影に苦しみ、罪の意識に苛まれているのか。クーラ演出独自のシーンと思われます。









クーラがデザインした舞台の全景写真。映画のような、絵画のような、美しい舞台です。海の香りが漂ってくるようです。
モンテカルロ歌劇場のサイトには、まだまだたくさんの素晴らしい写真が掲載されていますので、ぜひ直接ごらんください。






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(リハーサル編) ホセ・クーラ、モナコでピーター・グライムズを再演 / Jose Cura , PETER GRIMES in Monte-Carlo

2018-02-16 | ピーター・グライムズ




2018年2月20日に初日を迎える、モンテカルロ歌劇場のピーター・グライムズ。ドレスリハーサルの写真が劇場のフェイスブックにアップされました。

このピーター・グライムズは、昨年5月にドイツのボンでホセ・クーラが初挑戦したプロダクションの再演です。
クーラ自身が演出・舞台デザインを行い、そしてタイトルロールのグライムズを歌ったもので、今回もクーラが主演します。
ボンでのグライムスについて、これまでいくつかの記事で紹介しています。クーラの作品解釈、グライムズ論、レビューなどもありますのでご覧いただければ幸いです。 
→ ボンのグライムズについての記事


モンテカルロ歌劇場は、クーラが昨年2月に、ワーグナーのタンホイザーのパリ版・フランス語上演に初挑戦した劇場でもあります。劇場関係者、スタッフとの息も合って、素晴らしいアンサンブルが期待できそうです。
→ これまでのブログ記事で、タンホイザーパリ版仏語上演についても紹介しています。

このドレスリハーサルの写真は、ボンの写真と比べると、雰囲気がまた違っていて、劇場の個性が出るのか、カメラマンが違うせいなのか、またクーラ自身も演出を練り直して臨んでいるのか、興味深いです。
今回の舞台、ネット中継されることを切望していますが、不安材料としては、フェイスブックでのフォロワーの質問にクーラが「放送予定はない」と答えていたことがあります。
タンホイザーはCultureboxでライブ放送してくれたので、今回もぜひともお願いしたいものです。






Peter Grimes by Benjamin Britten


Opera in three acts and a prologue
Benjamin Britten Music (1913-1976)



Musical direction= Jan Latham-Koenig
Staging= José Cura
Sets & costumes= José Cura
Lights= José Cura and Benoit Vigan
Choirmaster= Stefano Visconti

Peters Grimes, a fisherman= José Cura
Ellen Orford, a widow= Ann Petersen
Captain Balstrode= Peter Sidhom
auntie= Carole Wilson
First niece= Micaela Oeste , Second niece =Tineke van Ingelgem
Bob Boles, fisherman and Methodist =Michael Colvin

Swallow, a lawyer= Brian Bannatyne-Scott, Mrs Sedley= Christine Solhosse, Rev. Horace Adams, the rector= Phillip Sheffield
Ned Keene, pharmacist and healer= Trevor Scheunemann , Carter Hobson, valet= Michael Druiett



●クーラのFBにアップされたリハーサルの様子

クーラの説明によると、手前のテーブルの上にあるのは、クーラが手掛けたセットの設計図。そしてスポットライトの光を浴びている指揮者の頭の向こうに、ヘレン役のアン・ペーターゼンと演技をつけるクーラが舞台上に。
リハーサルは順調のようです。




●ボンでの初演の紹介動画

こちらは昨年5月に初演を迎えたボンの舞台の紹介動画です。
回転する舞台セットを巧みに使い、場面転換をしています。


PETER GRIMES am THEATER BONN from Theater Bonn on Vimeo.




●モンテカルロ歌劇場がアップした画像

劇場のフェイスブックからいくつか画像をお借りして紹介します。
クーラの鬼気迫るグライムズ。そして、まだまだたくさんの臨場感あふれる画像がアップされていますので、ぜひ劇場のFBをご覧ください。




























潮風の香りが漂ってくるような、漁師町の雰囲気たっぷりのリアルなセット。クーラ渾身のグライムズです。ぜひとも放送、DVD化してほしいと願っています。



*画像はモンテカルロ歌劇場のフェイスブックからお借りしました。
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(告知編)2018年 「ホセ・クーラの音楽的世界」―ハンガリーでコンサート / The Musical Universe of José Cura in Hungary

2018-02-13 | チャリティー活動




少し前に公表された、ホセ・クーラの新しいスケジュールの1つを紹介します。「ホセ・クーラの音楽的世界」と銘打たれた、クーラの作曲作品だけを一挙3作上演する(!)コンサートです。
作曲者のクーラ自身が、2曲は指揮をし、1曲はテノールパートを歌います。(指揮しながらは歌いません)
日時は、2018年3月29日、場所はハンガリー・ブダペストのバルトーク国立コンサートホールです。
クーラが長年にわたり支援を続けている障碍者の就労支援のなどを行っているSalva Vita財団の創立25周年を記念した、チャリティーコンサートのようです。


少年の頃から自発的に作曲を始めていたというクーラ。作曲の先生について学ぶとともに、大学でも指揮と作曲を専攻しました。その後も本格的に作曲家、指揮者をめざして勉強を続けていました。クーラ自身が、なぜ作曲するのかについて語った言葉を以前のブログで紹介しています。
→ 「ホセ・クーラ 作曲は、やむにやまれぬもの」


クーラは今年2018年の前半、2月にモナコで自ら舞台デザイン、演出、主演をするブリテンのピーター・グライムズ(2/20~28)の再演(昨年ボンで初演)に取り組み、その後、3月は中東オマーンでオペラ道化師に出演(3/15,17)、その直後にプラハに戻り指揮者としてドビュッシーとラヴェルを演奏(3/21,22)します。そして今回のコンサートが3月29日です。
舞台デザインと演出、歌手、指揮者、作曲家と、この短い2か月の間においても、多面的で多彩な活動に精力的に取り組む予定です。
→ クーラ2018年カレンダー






"The Musical Universe of José Cura"
29 March 2018, Thursday 7:30 pm — 10 pm
Béla Bartók National Concert Hall

José Cura: Modus
José Cura: Magnificat
José Cura: Ecce homo

Conductor: José Cura, Mario De Rose
José Cura= tenor
Zita Váradi= soprano
Krisztina Simon= mezzo-soprano
István Horváth= tenor
Marcell Bakonyi= bass

Hungarian Radio Symphony Orchestra
Choir and Children's Choir (choir masters: Zoltán Pad, László Matos)

「ホセ・クーラの音楽的世界」
2018年3月29日 午後7時30分~10時
バルトーク国立コンサートホール ハンガリー・ブダペスト

ホセ・クーラ作曲
「Modus(モデュス)」
「マニフィカト」
「この人を見よ」

指揮者: ホセ・クーラ、マリオ・デ・ローズ
テノール: ホセ・クーラ その他出演者
合唱団、子ども合唱団
ハンガリー放送交響楽団 








今回演奏されるクーラ作曲の3曲について、初演された時の公演の様子やクーラのインタビューから、抜粋して紹介したいと思います。


●「Modus(モデュス)」

この曲は、2017年10月のプラハ交響楽団のコンサートのために作曲された、クーラの新作です。
以下、クーラのインタビューや記事から。


――プラハ響FBより

中世のプラハにインスパイアされた私は、10分のトラックに、10世紀のキリエに由来する、コーラスとオーケストラのためのモデュスを取り入れた。10月にプラハ交響楽団(FOK)とのコンサートで初演する予定だ。


FOK(プラハ響)という家族のレジデント・アーティストとして、毎年、私は自分の作品から1曲を初演してきた ―― 音楽劇『もし私が死んだら』(2015/16シーズン)、オラトリオ『Ecce homo(この人を見よ)』(2016/17シーズン)。
しかし、(これまでクーラが書き溜めてきた未発表の)『レクイエム(フォークランド戦争の被害者のためのミサ曲)』や、『The Montezuma y el Fraile pelirrojo』,『赤毛の兄弟』などは、このコンサートのためには大きすぎた。

今年、これまでの伝統を壊さないために、私はプラハの中世の雰囲気に触発された短い作品を書くことに決めた。
そこで、私は良いインスピレーションを探し始めた。私は10世紀のキリエからそれを見つけた。

私は2016年のクリスマスまで、一種の「グレゴリオ聖歌」である「Modus(モドゥス)」に取り組んだ。
その曲は常に同じモチーフの周りを回っている。徐々に多くのレイヤーをミュージカルトップに追加しながら発展し、そして同様にシンプルに終わる。






●「Magnificat(マニフィカト)」

マニフィカト=「わが心、主を崇め」とは、キリスト教の聖歌で、ラテン語で、聖母マリアの祈りだそうです。
初演は2014年4月、イタリアのベリーニ劇場でした。クーラはいくつかのインタビューで、このマニフィカト作曲に込められた思いを語っています。


――2015年ドイツ誌でのインタビューより

1988年にマニフィカトを作曲した。私の妻は、2回流産した後、3回目に妊娠した自分自身に気づいた。今回は明らかに確実に思われた。
長男が生まれた時、私は25歳だった。マニフィカト誕生と同時だった。
その3年後に、私たちは幸運を求めて、ヨーロッパに移住した。そして私の歌手としてのキャリアが始まった。当時の楽曲は、27年間、ボックスに仕舞い込まれていた。
私が思うこのマニフィカトは、聖母マリアの歓喜の歌であるだけでなく、夢でいっぱいの若者、そして彼女にいま起こっていることに直面して抱いている怖れの歌でもある。
1988年、テキストにこういう思いを込めて音楽をつけた。プレミア(2014年4月)は非常にうまくいった。私に信頼を寄せてくれたベリーニ劇場(初演の場となったイタリアの劇場)には本当に感謝している。


――2016年3月チェコでのインタビュー

当時、私は25歳だった。妻は2回の流産を経て3度目の妊娠をした。法王が聖母マリア年を宣言した年だった。
歌は私たちが子どもを得た喜び、そして聖母マリア出現への喜びを表現した。しかしそれだけではない。
マリアがその事を知った時、彼女はまだティーンエージャーだった。そして彼女は恐らく、かなりのショックを受けただろう。
私のマニフィカトでは、マリアが砂漠に1人で座っているところから始まる。作品のメッセージが表示される。

1人でいる場合には、人は何もできない。もし我々が団結せず、戦争、テロリズム、経済的道徳的危機を別のものに置き換えようとしない限り、我々は勝利することはできない。
これがマニフィカトに託した、私のメッセージだ。





2016年2月にプラハ交響楽団のコンサートで演奏した際のリハーサル映像。
Jose Cura Magnificat rehearsal news video



子どもの合唱団とのリハーサル
José Cura "Magnificat" composer and conductor





●「この人を見よ( Ecce homo)」

初演は2017年3月のプラハ交響楽団のコンサート。指揮はクーラの友人のマリオ・デ・ローズ、クーラは歌手として、キリストの役を歌いました。


――2017年3月、プラハでのラジオインタビューより

●子どもの痛み、母の痛みを描いたEcce Homo

私がプラハ交響楽団(FOK)のレジデント・アーティストとして持っている関係では、その合意の中でとりわけ、私が作曲した作品を毎年1つ、デビューさせることを含んでいる。昨年は「マニフィカト(Magnificat)」、今年は「この人を見よ(Ecce Homo)」で、それはより大きく、より重要な仕事だ。
Magnificatは長さが12から13分、一方、Ecce Homoはオラトリオで、まだ初演されていないが、予想される期間は、約35分から40分となるだろう。

この作品は私の好奇心から生まれた。時には私の周りの人々と、これらについて議論したことがある。私の妻、近所の司祭と一緒に...。それは神との関係における「人間」的な要素だ。
キリストの生涯と彼の最後の数時間において、いつも私の心に触れてきたことの1つであり、最も注目してきたのは、キリストの人間的次元だ。・・・

私の「Ecce Hom」に新しさがあるとしたら、それは神学的ではなく、音楽的に2つのテーマを挿入したこと。つまり、一方では子どもの痛み、もう一方は母親の痛みであり、それらを同じ作品にまとめたことだ。


――クーラのFBより、ECCE HOMOについて

●1989年に作曲して以降、しまい込まれていた


この作品を、1989年に、ブエノスアイレス出身のテノールの同僚のために書いた。
作品は、彼と私によって公開されることはなかった。若い、夢見る2人には、その実現に必要な要素を集めることはできず、プロジェクトを現実に変える力はなかった。

それから何年も経ち、私の芸術的キャリアはさまざまな方向に向かった。
Ecce Homoは、他の多くの作品と同じように、引き出しの後ろにしまい込まれたままだった。

●30年を経て、作品は成熟した

2016年に、私はそれを再発見し、喜びと誇りをもって、それを実現することができた。
それまでのすべての年月は、単にホコリを集めるために費やしたのではない。作品は成熟した。良いワインと同じように。

間違いなく、過去30年間、私が、人間としてアーティストとして、成熟するためにやらなければならなかったことが、1989年には考えられなかった裁量権を得て、このオラトリオを改訂することを可能にした。







クーラ自身が作曲について、作品について語った動画を。作曲家として、頭や心のなかで曲を想像していると、その曲をはじめて実際に聞いた時には、ショック、よい意味での(時には悪いことも)ショックを受けるということや、マーラーのように、繰り返し繰り返し、曲の修正をしたくなることなど、語っているようです。
José Cura about Ecce homo



こちらはオラトリオ「この人を見よ」を構成する1曲「スターバト・マーテル」の初演(先にこの曲だけ初演された)の様子を伝えた動画
JOSE CURA Stabat mater



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今回のコンサートが行われるのは、ハンガリーの首都ブダペストのバルトーク国立コンサートホールです。
比較的最近建てられた新しいホールで、“芸術の宮殿”と呼ばれている現代的な建築物です。

この間、チェコやハンガリーなど東欧の国々で、クーラの作曲作品の演奏の機会が比較的多くなっています。
昨年クーラは、自ら台本を書いたオペラも作曲し終えたそうです。旧作の初演、上演機会が増えてきたばかりか、新作、オペラの創作などの作曲家として本格的な活動を再開したクーラ。クーラの初オペラ作品が、こうした国々の劇場などで早期に上演機会が得られることを願っています。クーラの脚本、作曲、そして舞台デザイン、演出、主演の作品をぜひ上演してほしいものです。

















*画像は劇場HPなどからお借りしました
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ホセ・クーラ 2018年ワルシャワ・ニューイヤーコンサート / Jose cura 2018 New Year Concert in Warsaw

2018-02-04 | コンサート




ホセ・クーラ、2018年最初の出演は、ポーランドの首都ワルシャワのニューイヤーコンサートでした。
約3時間のコンサートで、テノールのクーラをメインに、ソプラノ、メゾ、バスの若手歌手が共演しました。録音がラジオで3回に分けて放送され、またネットTVでも、2回に分けて録画放送してくれました。

チケットは早々に完売したようですが、当日のコンサートは、インターネットを通じて日本でも録音、録画を視聴することができました。録画は我が家の回線の問題なのか画質が良くなくて残念でしたが、録音、録画とも音質はとても良好で、この素晴らしいコンサートを共有してくれたポーランドの主催者、ラジオ、TVに対して、感謝の気持ちでいっぱいです。





≪クーラのメッセージ≫

昨年12月、テアトロコロン出演のため滞在中のアルゼンチンからネットを通じて、このコンサートについて語ったクーラのメッセージ。主催者のFBより。



≪ 出演者 ≫

The 13th New Year Concert in Warsaw
José Cura (tenor)
Aleksandra Kubas-Kruk (soprano)
Iryna Zhytynska (mezzosoprano)
Wojtek Gierlach (bass)
Conductor: Mario de Rose
The Polish Radio Orchestra
The National Philharmonic Concert Hall

第13回ワルシャワ ニュー・イヤー・コンサート
指揮 マリオ・デ・ローズ
ホセ・クーラ、アレクサンドラ・クバスクルク、イリーナ・ジーティンスカ、ヴォイテク・ギララッハ
ポーランド国立放送交響楽団
国立フィルハーモニー・コンサートホール





≪ 演目 ≫(クーラの歌のみ)

コンサートでは、クーラの同郷の友人マリオが指揮するポーランド国立放送交響楽団とともに、クーラと若手歌手たちが順番に登場してソロやデュエットで歌いました。
全体の演目は一覧がないのですが、クーラが歌ったのは次の曲でした。


①♪ レオンカヴァッロのオペラ「道化師」より ~ プロローグ(トニオのアリア)   
②♪ ヴェルディのオペラ「椿姫」より ~ 第3幕、ヴィオレッタとアルフレードのデュエット「パリを離れて」
③♪ プッチーニのオペラ「トスカ」より ~ 第3幕、カヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」
④♪ ラテンラブソング "Somos novios" & "Esta tarde vi llover"
⑤♪ レハールのオペレッタ「メリー・ウィドウ」より ~ 「唇は語らずとも」 ソプラノとデュエット
⑥♪ ビートルズの「イエスタデイ」("Yesterday") ギター弾き語り
⑦♪ プッチーニのオペラ「トゥーランドット」より ~ 第3幕、カラフのアリア「誰も寝てはならぬ」
⑧♪ ヴェルディのオペラ「椿姫」より ~ 第1幕、「乾杯の歌」 4人全員
 


クーラが最初に歌った「道化師」のトニオのプロローグは、バリトンの曲ですが、クーラは好んでコンサートで歌っています。 
ラテンのラブソングは、クーラのアルバム「ボレロ」にも収録されているメキシコ出身の作曲家アルマンド マンサネーロの2曲です。

イエスタディは、アンコールでクーラがよく弾き語りをしています。歌の前に、なぜ自分がギターを習いはじめたのかエピソードを語って、観客を爆笑させていました。
ファンサイト、ブラボクーラのFBページに掲載された動画をシェアさせてもらいます。





他にも、クーラ18番のアリアがあり、美しい二重唱、合唱もありで、本当に楽しく、美しく、華やかなコンサートでした。
若手歌手の皆さんも素晴らしい歌声を聞かせてくれました。

実はクーラは、その直前に夏のアルゼンチンでのオペラ出演のために1か月近くを過ごし、その後、真冬のポーランドへ移動しました。その気候の変化のためもあるかと思いますが、風邪をひいていてハンカチが手放せない状態でした。熱もあったのでしょうか、少し体も辛そうにみえました。それでも体調不良をおして出演し、少々鼻声でしたが、美しく張りのある歌声を聞かせてくれました。
曲の前や後に、前回このホールに出演した時のことや曲の紹介など、話でも観客を楽しませ、いつも通りのエンターテナーぶりでした。

そして一番のサプライズは、ドイツ語で歌わないクーラの非常に珍しいドイツ語の歌「唇は語らずとも」。途中、ソプラノがポーランド語で歌い始め、クーラもびっくりという演出があったり、最後のフレーズは2人でポーランド語で歌ったようで、楽しい演出でした。
歌の前には、16年前にこのホールに出演した時の思い出を語って、初めて「眼鏡(老眼鏡)」をかけたエピソードを紹介していました。
同じくブラボクーラFBページから、動画をシェアさせてもらいます。





やはりこれを聞かなければと思わせるクーラの力強い「誰も寝てはならぬ」を。これもブラボクーラFBからのシェア。
風邪のためにいつもより抑え目ではありますが、観客の熱狂的な拍手が鳴りやまず、スタンディングオベーションが起きました。一方のクーラは、観客の喝さいに応えつつも、アンコールを求める観客に、歌い終わってもうフラフラだというジェスチャーをしていました。




≪ラジオのオンデマンド放送≫

ありがたいことに、約3時間のコンサート全体が、オンデマンドで聞けるようになっています。いつまで聞けるかはわかりません。
司会者の話から始まって、オケの演奏、クーラの歌はもちろん、各ソリストたちの歌が聞けます。ただし、レハールと「誰も寝てはならぬ」は、なぜかラジオ放送ではカットされていました。その代わりに、ポーランドで大ヒットしたクーラのポップスアルバムからの歌が1曲流れます。
リンク先で、プレイヤーの再生ボタンを押してください。


●第1部 (クーラの歌は①のみ)




●第2部 (クーラの歌は②③⑥)




●第3部  (クーラの歌は④⑧)





――いくつかコンサートの様子を画像で

オペラはもちろんクーラにとって、深い解釈、表現力、存在感を全面的に発揮するメインの舞台ですが、こういったコンサートもまた、クーラならではの魅力にあふれています。堅苦しい退屈なことが大嫌いで、クラシックもポップスも区別せず、良い曲を歌うという姿勢を貫いています。そして観客とコミュニケーションをとり、曲の合間には、フランクでユーモアあふれる語り口のトーク。出演者やオーケストラをリスペクトし、仲間とともにステージをつくりあげることを大事にしています。そして何といっても、クーラの美しく強靭な声、多彩な表現をひとつのステージで聞けるというのがいいですね。

演出や指揮、作曲の比重が高まりつつあるクーラですが、こういう楽しいコンサート出演は、ぜひ長く続けてほしいと思います。かなうことなら日本でも・・。


とても美しかった椿姫のデュエット








リハーサルでしょうか、ギターの弾き語りをするクーラ




クーラの顔が大写しになったパンフレット


新年らしく華やかで美しい劇場内


*画像は主催者FBなどからお借りしました。
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