人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

2020年 ホセ・クーラの新アルバム、マリア・エレナ・ワルシュの子どもの歌

2020-10-19 | CD・DVD・iTunes

 

 

紹介が遅れましたが、2020年5月、ホセ・クーラは新アルバムを発表しました。

アルバムのタイトルは「TRIBUTO A LA REINA BATATA - Canciones para niños de cero a 100 años de edad…」、正式な日本語訳がありませんが、「サツマイモの女王に捧ぐーー0歳から100歳までの子どものための歌」…というような意味でしょうか。

意外かもしれませんが、収録されている曲は、アルゼンチンの国民的な詩人・歌手・童話歌手であるマリア・エレナ・ワルシュ(1930年2月1日 - 2011年1月10日)による、子どもたちのための歌です。表題も、そのワルシュが作曲した、収録曲でもある、アルゼンチンではとても有名な子どもの歌の1つ「LA REINA BATATA」(スウィートポテト=さつまいもの女王の意味)にちなんでつけられているようです。

iTunesアマゾンで音源を購入・ダウンロードできる(試聴も可)のをはじめ、Apple MusicSpotifyなどの主要なプラットフォームで配信され、簡単に聞くことができます。CDは発売されていません。

このアルバム自体は、2009年に録音されたもので、クーラの声も若々しく感じられます。短い曲が32曲あり、どれもとても美しく、楽しく、笑ったり、泣いたり、カラフルで、まさに生き生きとした子どもたちのための歌、そして永遠の子どもとして大人にとっても大変に楽しめるアルバムだと思います。オテロなどのオペラの重い役柄だけでクーラを知っている方には、クーラの別の魅力が伝わるのではないでしょうか。

 

 


 

 

ーー以下から、試聴、購入、ご希望の音楽サービス、プラットフォームを選んで聞くことができます。

  (画像をクリック)

 

TRIBUTO A LA REINA BATATA - Canciones para niños de cero a 100 años de edad…

María Elena Walsh / José Cura  (曲=マリア・エレナ・ワルシュ 歌=ホセ・クーラ)

RECORDED IN MADRID
November 2009

DATE OF RELEASE
May 15 2020

Voz : José Cura 

Piano : Giulio Laguzzi

Recording technician : Irene Vinader

Recording engineer : José Vinader

Cover design : Zoe Cura

La Vaca Estudiosa : José Cura & Giulio Laguzzi

1 Manuelita la Tortuga 3:12
2 Baguala de Juan Poquito 2:39
3 Bañar a la Luna 2:16 
4 Calles de Paris 2:14 
5 Cancion de la Lavandera 1:41 
6 Cancion del Correo 2:28 
7 Cancion del Jardinero 2:16 
8 Cancion del Pescador 1:36 
9 Cancion de Titeres 1:37 
10 Cancion del Ultimo Tranvia 1:30 
11 Cancion de Titina 3:06 
12 Chacarera de los Gatos 2:10 
13 Don Dolon Dolon 1:39 
14 Cancion para Vestirse 1:34 
15 Don Enrique del Meñique 1:43 
16 El Cisne Que Ladra 1:47 
17 El Reino del Reves 2:50 
18 El Show del Perro Salchicha 2:18 
19 En el Pais del No Me Acuerdo 1:32 
20 La Calle del Gato Que Pesca 2:43 
21 La Mona Jacinta 2:04 
22 La Pajara Pinta 2:40 
23 La Familia Polillal 1:30 
24 La Cancion del Estornudo 1:56 
25 La Reina Batata 1:57 
26 La Vaca Estudiosa 2:09 
27 Los Castillos 1:30 
28 Twist del Mono Liso 3:01 

29 Marcha de Osias 2:47 
30 Tomar el Te 1:57

31 Milonga del Hornero2:16

32 El Señor Juan Sebastian

 

 


 

≪アルバムのための紹介動画≫

 

アルバムの録音作業中、いろいろなアイディアを出しながら即興演奏をしている様子を撮影した動画だそうです。

今年の5月、コロナ禍のもと、ドレスデン音楽祭が24時間オンラインという形で開催された際に、クーラが出演の代わりに提供し、公開されました。

全曲ではありませんが、最初に現在のクーラからの音楽祭へのメッセージがあり、そのあと、2009年時点のクーラとピアニストが、いろいろやり取りをしながら、子どもたちが楽しめるような歌づくりをしている様子が収録されています。とても楽しく魅力的です。5曲あります。

 

José Cura & Giulio Laguzzi - Walsh Children Songs

 

José Cura, tenor Giulio Laguzzi, piano María Elena Walsh Children Songs

02:18 La canción del jardinero

04:34 El show del perro salchicha

10:25 La canción del estornudo

12:47 La tortuga Manuelita

17:22 Don Enrique del Meñique

 

 


 

≪アルバムを紹介したクーラのFBより≫

 

 

ーーTRIBUTO A LA REINA BATATA:0から100までの子どもに...。

” 1999年、アルゼンチン⾳楽著作権協会授与式で、私は、マリア・エレナ・ウォルシュと会⻑のアリエル・ラミレスから賞を受けた。その時に私は、彼女に会うことができ、とても嬉しかった。その際、マリア・エレナは、彼女のすべての子どもの歌のスコアを私に渡してくれた。「これらの曲は、いつも女性によって録音されてきた。父親の声で録音するのが私の夢だ…」といいながら。

2009年にようやく彼女の夢を叶えることができたが、いろいろな理由でリリースされなかった。

私は、美しくて甘い音楽がこれまで以上に必要とされる時だから、今、リリースされるのを彼らが待っていたと思いたい。

その32曲は、5月15日からプロバイダーを通じて入手できるようになる。もちろん、通常のプラットフォーム(音楽配信)でも聞くことができるが、もしあなたが購入することで将来の録音に貢献してくれるなら、それは素晴らしいだろう...。”

 

 

*以前の記事でも紹介しましたが、ストリーミングによる音楽配信の場合、アーティストに入ってくる収入は、ごくわずかで、ほとんど次の録音のための資金も回収することができないのだそうです。もし興味と条件のおありの方、試聴されて気に入られた方は、ぜひとも購入をご検討くださいませ。

 

 


 

≪ホセ・クーラから、マリア・エレナ・ウォルシュへの手紙≫

 

FBの記事でも少しふれてありましたが、アルゼンチンの童話作家・歌手のウォルシュとクーラとの出会いと、アルバム録音のいきさつを知る資料として、クーラがHPにアップした彼女への手紙があります。

クーラが、母国の国民的アーティストであるウォルシュとその素晴らしい仕事への尊敬、このアルバムにかけた想いがよく伝わる手紙です。日本語版も用意してくれています。どうぞ画像をクリックして全文をお読みください。

また、アルバムに関する詳しい情報や写真が掲載されているクーラの公式HPもどうぞご参照ください。

     

    ・・・続きはぜひクーラのHPでご覧ください(日本語訳版・全文2P、10か国語版あり)

 

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ホセ・クーラ 再び、ラフマニノフ交響曲第2番のデジタル配信について

2019-04-13 | CD・DVD・iTunes

 

  

ホセ・クーラは、すでに以前の記事で紹介したように、今年(2019年)2月に、iTunesなどでラフマニノフ「交響曲第2番」をデジタル配信しました。

そしてこの間は、今後も新たな録音の配信を計画、準備しているとのことで、それにむけてFBで、購入・ダウンロードがうまくいっているのかどうか、世界各地のフォロワーに情報提供をよびかけていました。それに対するフォロワーのコメントから、ダウンロードするのではなく、定額聞き放題の「音楽配信」、ストリーミングサービスの利用者が一定数いて、そこで利用できないという声、利用を希望する声もあったようです。

こうしたことをふまえ、これらに関する回答と、この音楽配信の事業をめぐる現状と問題点などについて、クーラは昨日(2/11)に長文の記事をFBに掲載しました。クーラだけでない、業界全体としても、とても深刻で重要な課題だと思いますので、クーラの記事全文(英語)を紹介するとともに、概略を訳してみたいと思います。いつものように不十分さはご容赦ください。

  

 

クーラのFB投稿。画像にクーラのFB記事のリンクがはってあります。

 

 

「ラフマニノフの録音についてのお知らせ」(FB記事和訳)

すべての親愛なる皆さん。

私は一部の地域で録音を「聴く」ことができないという苦情を受け続けている。明確にしなければならないことがある。問題が別のことでない限り、この録音はストリーミングでは利用できない、という事実だ。購入し、ダウンロードすることだけが可能だ。あなたが購入し、永遠に持つことができるようにするためであり、このような低価格にしたのも、そのためだ。そしてまた、あなたが購入しない限り、その使用料はアーティストのものにはならない。

ストリーミングは多くの場合、無料、または他の場合、「すべてを含む」低い月額料金で利用できる。このような場合、唯一、利益を得るのはプラットフォームだけで、あなたが支払うお金は、そのようなプラットフォームなどで何千人ものアーティストの間で分けられるため、もし月に少なくとも1ドルが入れば、ラッキーということになる...。

それはお金の問題ではない、しかし正義(公正とか公平の意)の問題だ。なぜプラットフォームだけが、アーティストの仕事から恩恵を享受するのだろうか?このシステムを発明したとき、スティーブ・ジョブズは非常に頭が良かったーー今では誰もが音楽にアクセスすることができる。ここまではいい。しかし彼の天才は、多くのレーベルの失敗を招き、結果としてアーティストに悪影響を及ぼす。そして最後、アーティストが仕事をすると、その報酬として、システムによって罰せられる。

1つの例としてーー私が以前リリースしたドヴォルザークの歌曲は、聴衆のなかで大きな成功を収めた。しかし、2年以上が経ったが、私のレーベルはたった100ドルしか受け取っていない...。これは、購入数が少なく、ストリーミングが非常に大きいためだ。そのため、私はラフマニノフの配信方法を変えた。それはiTunesでフル解像度で、あるいはAmazonでmp3(良いリスナーにはお勧めできない)で購入することができる。

このことがあなたの音楽を聴く方法を混乱させるなら、私は非常に申しわけないと思う。結局、私は、あなたたちが楽しめるように、録音をする。しかし、私はこうした結果に対処する準備ができている。なぜなら、私自身のような強いアーティストが間に合うように対応しない限り、そして聴衆がこの対応を支持しなかれば、何も変わらないからだ。そしてそのつけは新しい世代のアーティストに課税されるだろう。

もちろん、私は世間知らずではないし、あと戻りする方法はないことを非常によく知っている。そして今日の業界がそうだ。しかし、無料でそれを聴くのではなく、曲を買うために1ドルを使うというごくわずかな行為で、私たちは多くのことを助ける。チューインガム1パックはもっと高くて、10分後にはゴミ箱に吐き出すのだから...!

私はシニアのプロフェッショナルであり、もし録音が収入を生み出さなくても、同じように生き残ることができる。しかし、私たちが手を貸さなければ、私たちは、すぐに若い才能を使い果たしてしまうだろう。

とはいえ、私はあなたたちのサポートに深く感謝している。録音を購入してくれた人たちに感謝するとともに、悪気なくオンラインでそれを聞いた人たちにも感謝する。もし今日の時点で、私の新しい録音が届かない人たちがいたとしたら、私はこれらの最後のグループにお詫びしたい。

Peace and Love

 


 

 

このブログでも、2つの録音がリリースされた時のクーラのコメントや経過などについて紹介してきました。

 → 「ホセ・クーラ iTunesで楽曲配信を開始!まずドヴォルザークの愛の歌(ラブ・ソングス)」

 → 「ホセ・クーラが歌う、ドヴォルザークの歌曲『愛の歌』」

 → 「2019年 ホセ・クーラ、ラフマニノフの交響曲第2番をiTunes、Amazonでデジタル配信」

 → 「ホセ・クーラ、ラフマニノフの交響曲第2番を語る」

 

それぞれの曲へのクーラの思いや背景があるので、お読みいただけるとありがたいです。また、クーラのメッセージをお読みになって、録音に興味をお持ちいただけた方がいらしたら、この下のiTunesの画像にリンクを張ってありますのでご覧いただければと思います。とても安価で、音質も良好です。

iTunesを利用しない方には、アマゾンでも大丈夫です。アマゾンのデジタルミュージックのコーナーから購入できます。クーラとしては音質の面ではお勧めしないと言っていましたが、私はこちらで購入しました。音質の面で不満はまったくありませんでした。

 

 ●ラフマニノフの交響曲第2番

 

 

 

●ドヴォルザーク「愛の歌」 
 

 

 


 

クーラは1990年代末、世界的に大ブレークした時期に、商業主義的なエージェントや広告会社のやり方、売り出し方に耐えられず、独立し、大手のレコード会社とも契約せずに、自分自身のレーベルを立ち上げて独立独歩でやってきました。ある意味では業界の異端、一貫して自立したアーティストとして、「自分のボスは自分だけ」と信念をもって、芸術的な探求と挑戦を続けてきました。

 → クーラの苦悩と選択について、以前の記事で紹介しています。「ホセ・クーラ スターダム、人生と芸術の探求

そしてまた、今度は、レコード会社自体が、ストリーミングサービスなど、インターネットの発達による新しい状況によって、大きな岐路に直面しているもとで、クーラは、新たにデジタル配信の事業に挑戦し、その問題点を明らかにして、新しい世代のアーティストのために問題提起を行っています。

それにしても、クーラがドヴォルザーク「愛の歌」を配信して2年で、わずか100ドル、1万円ちょっとしか収入にならない、というのには驚きました。元の音源をデジタルリマスターして配信するためだけでも、相応の費用がかかっているはずです。まったくの赤字ということでしょうか。ストリーミングで聞くのと、ダウンロードで購入するのとで、アーティスト側にとって大きな差があるということは、あまり知られていないのではないでしょうか。私は知りませんでした。いずれにしてもこれでは、新しい録音の配信を続けることは不可能になってしまいます。

一方、社会的格差が広がり、若い世代の経済的困難が深刻化しているなかで、安価に手軽に聞けるストリーミングサービスが歓迎され、広がるのは理解できます。しかしその背後で、芸術の担い手であるアーティストが、その作品が、正当な利益を得られないのだとしたら、深刻な構造的な問題です。

もちろんクーラが言うように、現在の流れはそう簡単に変えられるものではないかもしれません。でも音楽ファンが、こういう事情を知って、ささやかでも何らかの行動をとることで、本来アーティストが得るべき対価の一部でも回収可能になるのであれば、意味があるのではないかと思います。

少なくとも、好きなアーティストの作品は、正当な対価を支払って楽しむ、可能な限りコンサートや公演に行く、それによって財政的にもアーティストを応援し支える、そういうことを意識的に行っていくことがとても大事な時代になっているということなのですね。遅ればせながらかもしれませんが、とても考えさせられたクーラの投稿でした。

 

 

 

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ホセ・クーラ、ラフマニノフの交響曲第2番を語る

2019-03-21 | CD・DVD・iTunes




ホセ・クーラは、少年時代から指揮者になりたかったそうで、なかでも、ラフマニノフの「交響曲第2番」をとても愛していて、若い頃から研究を重ねてきたそうです。
今回は、クーラのラフ2への思い、録音をめぐるエピソードなどを、インタビューなどから抜粋して紹介します。


すでにこのブログでも紹介ずみですが、ホセ・クーラは、かつてポーランドのオーケストラ、シンフォニア・ヴァルソヴィアを指揮してCDにしたラフマニノフ「交響曲第2番」(2002年録音)をリマスターし、ネット配信しました。
アマゾンのダウンロード(400円)でも、iTunes(450円)でも、全曲がたいへん安価で購入可能です。
 → ラフ2配信を紹介したブログ記事

さらに、その後のFBの記事によれば、今後、新録音のリリースも計画しているようで、今回のラフ2や以前のドヴォルザークの「愛の歌」の配信状況が、スポンサーの投資の判断材料ともなるようです。ぜひ、興味のある方は、お気軽にご購入いただければと思います。









Sergei Rachmaninoff: Symphony No.2 in e minor, Op.27
2002 - Cuibar Phono Video
Running time: 58 min.
Artists: José Cura
Conductor: José Cura
Members of Sinfonia Varsovia
1. Largo. Allegro Molto
2. Allegro Molto
3. Adagio
4. Allegro Vivace


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●この曲を日本の新国立劇場でアイーダを指揮したガルシア・ナバロに捧ぐ

Q、この作品の魅力は?

A(クーラ)、この作品で私がとても気に入っている部分は、序奏部の最初の動機から非常に強く感じられる情熱だ。私は、他の多くの人のような、ロマンチックな感情を表現したくはなかった。多くの指揮者がフランス風の優雅なアプローチを心に留めているようだが、私は、非常に情熱的なロシア人の作曲家として、ラフマニノフを演奏した。
私たちの録音を聞くことは、最初から最後まで、椅子の端に座ってリラックスできない緊張感を持ち続けるようなものだというコメントを聞いた。

Q、オケと一緒に演奏する数が増えると、演奏自体も変わる?
 
A、もちろん変わる。11月29日に、私たちは一緒に、ウィーンコンチェルトハウスでラフマニノフ交響曲第2番を演奏した。ご存じのとおり、これは伝統ある音楽ホールだ。
パフォーマンスの最後に、後ろから拍手が起こり、観客は私たちにスタンディングオベーションを与えた。それ以来、「ホセ・クーラは、時折歌う優れた指揮者だ」と書かれているが(笑)、ウィーンでそのような結果を得ることは非常に難しいと聞いている。いつもは「クーラは時折演奏する素晴らしいボーカリスト」と書かれる。今回はそれが逆に書かれていたことがとても嬉しい。
 
Q、ラフマニノフのCDには、「マエストロ・ルイス・ガルシア・ナバロに捧ぐ」と記されていた。ナバロ氏は、東京フィルを頻繁に指揮していたので、日本の音楽ファンにとっても親しみがあった。あなたとの関係は?

A、1995年にプッチーニのオペラ「トスカ」でデビューしたとき、ガルシア・ナバロが指揮をしていた。友情はこの頃から始まった。そして1998年に初めて東京の新国立劇場でヴェルディの「アイーダ」を歌ったとき、彼が指揮をした。

私たちは良い友達になり、3年前に私と家族がパリからマドリードに引っ越したとき、彼は家の手配などをしてくれた。私は彼を親友の1人と考え、このCDを彼に捧げたいとつよく願った。そして、私が首席客員指揮者になるよう依頼されたことを知らずに、彼がこの世を去ったことを読者に伝えたかった。彼の死から2週間後に、私は任命され、それからラフマニノフを演奏することを計画した。コンサートの2週間前、私は彼の家を訪れて哀悼の意を表した。私は彼の居間に座った。彼が持っていたすべてのスコアは正確に配置され一列に並んでいた。ラフマニノフの交響曲第2番のスコアだけが、あるべき場所とは別のところにあった。もちろん、彼は私が指揮をすることを知らなかったし、彼の夫人も知らなかったので、私は、彼が私に、不思議なメッセージを送っていると感じた。

(「レコード芸術」2003年)



●ラフマニノフから始めた理由

――シンフォニア・ヴァルソヴィアの首席客員指揮者に就任して

私はラフマニノフから始めることを選んだ。ワルシャワで演奏されたことのない作品から始めたかったが、それは同時に多くの聴衆にアピールしなければならなかったからだ。それがラフマニノフの交響曲第2番にした理由だ。私はこの録音をとても誇りに思っている。

ペースや他のあらゆることについて議論することはできるが、1つのことは明らかだ――音楽は続く、そして止まることはない。それは止められないエネルギーの流れを伴う流動的なパフォーマンスだ。たとえ決定的な解釈ではなくても。

(「Luister」2002)







●新鮮で新しいものを得るために

私もオーケストラもこれまでやったことがないシンフォニーだったことから、私はラフマニノフの交響曲第2番を選んだ。 この最初の共通の仕事で、このスコアによって、私たち全員が新鮮で新しいものを得られるようにしたかったからだ。

結果としては、よりエネルギッシュで、よりスラブ的なラフマニノフになったと私は思う。原則として私は、人々がどのように感じるか、それらを尊重する。

私にとって指揮は、1つの段階ではない。私は指揮を学んで音楽の世界に来た。15歳で指揮を始め、30歳でテノールになった..。ある批評家が、私は歌う方法を知らないと書く時、それはおそらく、私の経歴が、本来は指揮者になるべきものだったからだ。
私は、歌も自分にとって情熱になることを発見したが、当初は歌は、「市場」に入り込むための方法であり、音楽ビジネスでブレークスルーするための道だった。単刀直入に言うなら、ドラマティック・テノールになることは、商業的に言えば、世界で本当のステップアップになるからだ。

(「Anticipazioni」2003)



●ウィーン・コンツェルトハウスのコンサートでも好評を得る

Q、あなたのようなアーティストにとって、シンフォニア・ヴァルソヴィアとのように、指揮をするための道を持っていることは、非常に重要なことだと思うが?

A(クーラ)、とても重要だ。
2日前、ウィーンのコンツェルトハウスで私のオーケストラ(3年間、客員指揮者だったシンフォニア・ヴァルソヴィアのこと)とコンサートをしたのだが、ちょうど10分前に携帯電話のメッセージでとても驚かされたことを伝えたい。
私たちはレコーディングしたラフマニノフの交響曲第2番を紹介した。ウィーン交響楽団の本拠地の扉をたたくということがどれほど大胆で恐ろしいことか、あなたもわかるだろう。だからもちろん私も非常に心配していた。たとえ観客の反応が素晴らしかったとしても、挑戦的なことであり、どのように受け取られるのかが心配だった。
そして私が受け取ったばかりのメッセージは、レビューが素晴らしかったこと、そのうちの1つが“クーラは喜びのために歌う非常に才能のある指揮者のようだ”と書いたことを伝えてきた。

Q、それは素晴らしい・・

A、実はあまり期待はしていなかった。しかし、いずれにしても好評を得たことは、オーケストラにとってとてもうれしいことだった。シンフォニア・ヴァルソヴィアは、彼らの基準を高め、レベルと評価、あらゆるものを引き上げるために懸命に働いているし、ウィーンでの成功は非常に重要なことだ。

(Classic FM Interview、2002)



●いろいろな活動をどうやって調整している?

それぞれ、お互いに補完し合っている。人々は、それらが完全に異なるものだと思っているが、互いに非常に関係しているものだ。
指揮者のメンタリティをもって歌うことと、歌手のメンタリティをもって指揮することは、お互いを補完しあう。指揮者は、歌手が指揮者から得るよりも、より多くの利益を歌手から得る。
指揮者として、または楽器奏者として、歌手がもっているような敏感さ、自発性、自然な表現による音楽の再現に成功するなら、すべてが変わる。なぜなら歌手は自分自身が楽器なのだから。

(「BBC Mundo」2002)







●商業的目的ではなく、新しいオーケストラとの出会いの痕跡として

クーラの新しいレコードレーベルは、この種の「改革」のための手段を提供するために生まれた。
「私には、メジャーレーベルのひとつに、別のラフマニノフ交響曲第2番をレコーディングするよう説得することは不可能だっただろう」と彼は言う。

「商業的な意図はない。しかし私は、本当に新しいオーケストラとの出会いの痕跡を残したかった。そして唯一の方法が私たち自身の力でレコーディングをすることだった。
私は“フランス的”なアプローチよりも、スラブ版のラフマニノフをやりたかった。そう、ラフマニノフはロマンチックな作曲家だが、しかし彼は感傷的ではない。
メロディーは流れるようしなければならない。自身を過度に出すべきではなく、さもなければフレーズが鼻につくようになってしまう。
私は自分が歌でやろうとしていることを、指揮のなかで実行している――可能な限り現代的になろうとしている。
あなたはそれを受け入れることも受け入れないこともできるが、しかしそれが今、私がやろうとしていることのポイントだ。とても現代的にやろうとすると、時には、とてもドライになりかねない。それが私にとってのリスクだ。私は、物事を、1つの方向に進められる限り進めていき、それからバランスを見いだすために後戻りするやり方を好む。そうでなければ、自分の限界がどのようにしてわかるのだろう?」

クーラはそれ以外にも、将来、シンフォニア・ヴォルソビアとともに、主にロマン派後期および20世紀初頭のレパートリーをもとにして、交響曲とボーカルの音楽をミックスして、演奏し、レコーディングすることを希望している。

「私はショスタコーヴィッチ、ラフマニノフ、レスピーギ、コダーイ、マーラーの後期作品のファンであり、これらが私がやりたいと思う交響曲だ。もちろん、それらは規模が大きいために、演奏するには最も高価なものだ。」

クーラは、この録音が作品の決定的なバージョンになるという幻想を抱いてはいない。しかし彼は言う。「それらがつくるスピリットはユニークになるだろう」と。

「シンフォニア・ヴァルソヴィアが完璧なオーケストラになるまでには、まだ長い道のりがある。彼らは、室内楽サイズからシンフォニックへと拡張されたばかりだ。しかし彼らが演奏するとき、部屋のなかには、愛と相互尊重の雰囲気の中で一緒に音楽をつくっている人々から生まれるエネルギーがある。それらは良い面と悪い面を介してともに働く。

これはただの取引ではない。“あなたは私のために演奏し、私はあなたのために歌い、そして小切手を受け取って家に帰る”―― それで十分にフェアであり、今日の世界では、ミュージシャンとしてのビジネスの一部だ。しかし、あなたが時間をかけて協力関係を築き、激しく仕事をすることができるとき、それはレコーディングの全体像を変える。そして私は、私たちがそれを達成したことをとても誇りに思う。」

(「Opera Now」2002)



●自分自身のレーベルでレコーディング

アルゼンチンのテナー、ホセ・クーラは、ウィーンのコンチェルトハウスで非常に特別な種類のコンサートを開催している。コンサートの前半に、彼はポンキエッリ、ヴェルディ、ボーイト、ジョルダーノ、およびマイヤベーアのアリアを歌う。休憩の後、彼はシンフォニア・ヴァルソヴィアを指揮する。この1年間、彼はそこで首席客員指揮者を務めてきた。彼はラフマニノフの交響曲第2番でオーケストラをリードする予定だが、それは「初めてではない」「私はその作品をレコーディングもしている。そしてCDをウィーンでも発表するつもりだ」と彼は語る。

――彼自身のレーベル

クーラは彼自身のプロデューサーであり、自分のレコードレーベルのボスでもあるので、プレゼンテーションは彼にとってより簡単になるだろう。彼は11月にベートーヴェンの第9交響曲を録音する予定だ。
なぜ?どうして自分のレーベルを設立したのか?―― 「大きなレーベルでCDを制作して発売することはますます困難になっている。だから私は自分の古いレコードレーベルを去り、私自身の会社を設立した。」

――力と感情

現在、彼は、他のアーティストと契約するという選択肢を実際的には検討していない。そして彼は、彼の世代が前の世代と比較して不利な立場にあるという事実に関して、不平を言っていない。
「それはシステムの問題だ」と彼は率直に述べている。「LPが死んだとき、私たちの前の世代は、すべてを録音してCDをリリースした。このブームは終わった。私たちは今、危機のためにお金を払っている。私はこれまでに5つのリサイタルを録音した。そしてオペラは1つだけ。さらにライブ録音をいくつか。」

しかしクーラによれば、ライブレコーディングには独自の魅力と利点がある。パワーとエモーション―― スタジオ版では提供できないクオリティ。そして自分自身のレコードレーベルのボスとして、彼は付け加えた。「それ(ライブ録音)はまた安価でもある。」

指揮者として、彼はセカンドキャリアを考えているのか? 彼の答えは「いいえ」だ。
「私は20年前にアルゼンチンで中断した場所に戻ってきたばかりだ」――彼は1991年にイタリア人の祖母の親戚を探して、イタリアに移り住んだその時から、歌に集中するようになった。「私はすでにアルゼンチンで歌っていたが、プロの歌手ではなかった」と彼は言う。
「イタリアで私は、指揮者よりも、歌手としての方が成功できるだろうと気づいた。」

(「Bühne」2002)



●歌手は芸術と役柄だけに専念すべきとは思わない

Q、あなたの新アルバム「Aurora」はあなた自身の制作会社、Cuibar Phono Videoによって制作された。あなたは以前、ワーナーグループに属するEratoのレコーディング会社と独占契約を結んでいた。あなたはもう多国籍企業を信頼しない?

A、私はEratoで特別な状況を味わった。レコード製作の危機とこれまでで最も深刻な景気後退のために、他の有名なアーティストとの契約が取り消された時に、私のレコードはリリースされた。私たちは平和的に別れたが、この数年の体験は、すべてを自分の手の中に置いておくほうがいいと教えてくれた。私は、歌手はひとつのことだけ、芸術と役柄だけに集中するべきだという理論を信じない。・・私のレコードのうち2つがすでにリリースされている。1つは、ラフマニノフの交響曲第2番を指揮したもので、もう1つは前述のAuroraというアリアのアルバムだ。

(「Magyar Hirlap」2003)



●時間をかけて指揮者としての成功を

Q、オペラを指揮する契約を獲得するのは難しい?

A、私はそうは思わないが、いずれにせよ私はゆっくりそれに近づくつもりだ。
“指揮する歌手”によってではなく“真の指揮者”によって指揮されていることを、私自身とミュージシャンが分かりあうために、十分な時間をとりたい。
確かにオーケストラは、「ここに私たちを指揮するためにテノールがやってくる。それは彼が有名であるからこそだ」と想像するかもしれない。しばらく一緒に仕事をしてから、彼らが私と一緒に働きたいと思っていると感じられるのは、私にとって嬉しいことだ。

明日コンサートを開く予定のモスクワ交響楽団は、最初は私の能力に懐疑的だったが、初めてのリハーサルの後に私を認めてくれた。彼らはまた、自分たちの音楽であり、レパートリーであるラフマニノフのプログラムを、そのような強さで演奏することはめったにないと私に語った。これがよくあることだ。最初のリハーサルはあなたが「はったり」であるかどうかを証明する。 

私は時間をかけて指揮者としての成功を収めたい。絶対に歌手としての私のキャリアの初期のような、PRキャンペーンを体験したくない――「新たなテノール」「世紀のテノール」「オペラのセックスシンボル」――これはナンセンスで全く危険だった。まだ自分が知られていない土地に着いたのに、誰もが最も信じられないストーリーを読んでいる―― そのプレッシャーは耐え難い。

ミュンヘンでの最初の「オテロ」の後に書かれたレビューを私は決して忘れないだろう。...そのパフォーマンスまで私はただのサニー・ボーイであると思われていたが、彼らはようやく私が真面目な歌手であることを理解した。そしてこれはばかげたPRキャンペーンの8年後の2000年のことだった。私は、指揮者としてのキャリアにおいて、同じ過ちを犯すつもりはない。



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クーラが愛するラフマニノフ交響曲第2番について、そのレコーディングの年の2002年と翌年の発言を紹介しました。
この元のCDは、クーラがラダメスを歌い日本デビューとなった新国立劇場の開場記念公演ヴェルディ「アイーダ」の指揮者でもあった、クーラの友人の指揮者ガルシア・ナバロ氏に捧げられたものでした。日本にも縁があるアルバムだったのですね。

クーラの発言を読んで、作品への思いにとどまらず、やはり歌手として有名になったクーラにとって本来の志望である指揮者の活動に復帰するというのは、決して単純な道のりではなかったことを感じさせられました。意に反したプロモーションに苦しめられた過去の苦い経験、レコード・CD業界の不況と変容、自らのキャリアの展開、業界との関係など、いろいろな苦闘を経て、オケとの信頼関係を築く努力を着実に行い、指揮者としての実績も積んできました。

今回、リマスター版をデジタル配信しましたが、今後も、新しいレコーディングの計画があるようです。この秋からのハンガリー芸術文化協会との提携で、さまざまなプログラムも予定されているようです。指揮者として、そして作曲家として、また、まだまだ歌手としても、多面的な独自の道を歩み続けるクーラ。再開したレコーディング事業でもぜひ成功してほしいと思います。



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2019年 ホセ・クーラ、ラフマニノフの交響曲第2番をiTunes、Amazonでデジタル配信

2019-02-17 | CD・DVD・iTunes




新しいニュースがホセ・クーラのフェイスブックで発表されました。(2019年2月15日

クーラがシンフォニア・ヴァルソヴィアを指揮したラフマニノフの交響曲第2番が、iTunesなどでデジタル配信されるようになったということです。
2002年録音でCDリリースされていたものを、デジタルリマスターしたのだそうです。

クーラは2017年に、初めてiTunesやAmazonを通じて、デジタル配信を開始しました。その時も、やはりすでにCDで発表していたドヴォルザークの歌曲集「愛の歌」をリマスターしています。
その時のことは、以前の投稿で紹介しています。
 
 → 「ホセ・クーラ iTunesで楽曲配信を開始!まずドヴォルザークの愛の歌(ラブ・ソングス)」
 → 「ホセ・クーラが歌う、ドヴォルザークの歌曲『愛の歌』」

これまでも何度か紹介してきましたが、クーラは2000年前後に当時契約していたレコード会社が閉鎖されて以降、メジャーレーベルとは契約せず、自分のレーベルを設立して、数枚のCDを発表してきました。しかしその後、無断複製などの問題もあり、CDリリースに興味を持てなくなっていたそうです。

そして久しぶりに2017年「愛の歌」のデジタル配信で録音事業に復帰、今回が第2弾というわけです。
今後は、新録音の計画もあるようです。楽しみです。




≪FBでのクーラの告知≫



(抜粋)
――初めに、一番新しいニュースを。私の次のミュルーズ交響楽団とのコンサートでは、私のマニフィカトとラフマニノフの交響曲第2番を演奏する。それに合わせて、2002年にシンフォニア・ヴァルソビアと一緒に録音した、このロシアのピアニストで作曲家のセルゲイ・ラフマニノフによる素晴らしい作品を、私たちはリマスターした。そしてそれは「JoséCura Sinfonia Varsovia」とタイプするか、またこのリンクをクリックするだけでiTunesで入手可能になった。
当初、最初の数日間はフルアルバムを1,99€で販売し、その後、最終価格2,99で販売する予定だ。

まだニュースがある。2019年11月に、ハンガリー・ラジオオーケストラと合唱団、そして選ばれた国際的な歌手のグループと力を合わせて、私のオラトリオ「この人を見よ」(Ecce Homo)をレコーディングする予定だ。2019年のクリスマスにリリースすることを期待して、我々はレコーディングに向けての数週間の間、懸命に働いているだろう。
だから最後まで、クリスマスの買い物を持っていて!





――お知らせ
ラフマニノフ2は本日リリースされたため、まだすべての地域ではないかもしれない。しかし次の日にはあるだろう。
もし、1週間経ってもそれを見つけるのに問題があるのなら私に知らせてほしい。
ありがとう!




≪配信サイト≫

●iTunes

クーラがFBで紹介したiTunesでは、日本語版でもすでに配信されています。
第1~4楽章までのアルバムで450円です。






●Amazon

クーラの発表では触れていませんでしたが、前回の「愛の歌」と同様に、アマゾンのデジタルミュージックのコーナーでも、購入、ダウンロードができました。
私は初め、「愛の歌」同様に、iTunesで試したのですが、ウィンドウズの最新版がどうの、認証がどうのと、うまくいかず。思いついてアマゾンを見てみたところ、すでに配信されており、こちらはアルバムが400円、ダウンロードもすぐできました。

今回のリマスター版、音質も良くなり、MP3でダウンロードしたので、とても聞きやすく使い勝手がよいです。






≪CDについて≫


こちらは2001年発売のCD版です。絶版のようですが、時々、アマゾンなどで購入可能になっています。
私も比較的最近、購入しました。

とても評価が高く、よいレビューをたくさん受けています。ただ再生方法が少し変わっていて、CDに入っているソフトで再生する仕組みです。その点でも、今回のリマスター版は、聞きやすく、音質も向上し、おすすめです。





Sergei Rachmaninoff
SYMPHONY N. 2 IN E MINOR OP. 27
Complete Version

2002 - Cuibar Phono Video

Running time: 58 min.
Artists: José Cura
Conductor: José Cura
Members of Sinfonia Varsovia

1. Largo. Allegro Molto
2. Allegro Molto
3. Adagio
4. Allegro Vivace




≪CDリリースの際のレビュー≫

いくつかのレビューを紹介します。またこのCDだけでなく、クーラはコンサートでたびたびこのラフ2を指揮しており、それらをふくめ高い評価を受けています。上で紹介したクーラのFBで、多くのレビューが引用されていますので、興味のあるかたはぜひ。


●心地良いエクスタシーのよう
プロダクションは、その情熱的で、非常にエモーショナルな表現、そのロマンティックな活気、広がり、高められた表現、そして感情のコミュニケーションにおけるその直接性によって、説得力をもっている。指揮者の中には、長い音楽のフレーズで、歌手の「呼吸(ブレス)」を感じる。十分で豊かな音―― 心地良いエクスタシーのように。
(「Salzburger Nachrichten」)


●素晴らしいラフマニノフ
素晴らしいラフマニノフの交響曲第2番。可能なより良いバージョンの1つ。
(「Classics Today」)



そしてこのCDは、グラムフォンという音楽レビューのサイトで、最も良いラフマニノフ交響曲第2番を検討する企画でも、とりあげられています。





こちらがクーラのCDについての部分。








≪今後について≫

そして、次回の配信予定は、クーラが作曲したオラトリオ「この人を見よ」だそうです。2019年11月に録音予定。
こちらはプラハ交響楽団で世界初演を迎えた際の、クーラによる説明の動画です。

José Cura about Ecce homo



もともと指揮者、作曲家志望で、大学でも指揮と作曲を専攻したクーラ。長年の夢が、少しづつ、着々とかないつつあります。
魅力的な声と歌、演技を見聞きする機会が減っているのは残念な面もありますが、アーティストとして自分の道を切り開いていくクーラの姿を見るのは、本当に嬉しく、楽しいことです。

この間、クーラは、新作オペラの台本を書き、作曲し、オーケストレーションまでふくめ、すべて手掛けた作品を完成させたそうです。
その上演のチャンスも近い将来に拓けることを楽しみにしています。



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1996年 ホセ・クーラの若き歌声 ― メイキング動画『グレート・コンポーザー プッチーニ』 / Jose Cura, Making of Great Composers, Puccini, 1996

2017-08-12 | CD・DVD・iTunes




ホセ・クーラが、若い頃の素晴らしい動画をアップしてくれました。今回は、そのご紹介です。

内容は、1996年にBBCが制作したDVDシリーズ『Great Composers』プッチーニ編に、クーラが出演した際の「メイキング動画」です。

こちらは発売されているDVDの方↓


Great Composers Puccini
from the BBC TV series

Music performed by Jose Cura , Julia Migenes , Leontina Vaduva
The BBC Philharmonic
Conducted by Richard Buckley


DVDの内容は、プッチーニの生涯と業績を、現地ロケや関係者、専門家のインタビュー、実際のプッチーニの作品を紹介しながらたどるというものです。
今回クーラがアップしたメイキング動画は約1時間もあり、そのほとんどは、これも約1時間の本編DVDには採用されなかった部分です。
収録したが使わなかった曲、または部分だけしか収録されなかった曲の全体、または別ヴァージョンが収録されているものなど、カットされた録画ですが、その画質音質とともに、音楽的なレベルは非常に高く、これまで公開されてこず、今回無料で公開しているというのが、もったいなく思うほどです。
当時33歳、若くて力づよい、みずみずしいクーラの歌声、姿がたっぷりと聴けるようになっています。


動画はクーラがVimeo上に作っている「ホセ・クーラTV」で無料公開されています。
下の画像をクリックしていただくと、動画ページにリンクしています。ぜひぜひ、ご覧になってみてください。




*2018/1/7 残念なことにクーラはホセ・クーラTVを閉鎖してしまいました。Vimeoから無断ダウンロードされてしまっていることが原因のようです。ファンがYoutubeにこの動画をアップしていて、クーラも今後はそちらをみてねとため息交じりに(苦笑)言っていましたのであげておきます。
➡ こちらも見られなくなりました。正規の映像をリリースしてほしいものです。


JOSE CURA MAKING OF GREAT COMPOSERS PUCCINI




クーラはフェイスブックでこの動画を掲載した際に、ちょっとしたエピソードも紹介していました。



ジュリア・ミゲネスとマノン・レスコーの二重唱を歌っている場面がありますが、その最後のキスシーンで、「カット!」の声が聞こえなかったために、誰かが近づいて「キス、ストップ!!」と言うまで続けていて、ジュリアが笑い出してしまったとか。たしかにそんな感じのシーンもありました。

また、この収録の後、実はクーラは、あのサラ・ブライトマンのアルバムで共演したヒット曲「Just Show Me How To Love You」の録音があったそうですが、この録画の前半で来ているグーフィーのTシャツ(笑)のまま行って、ブライトマン夫妻やプロデューサーからちょっとからかわれたそうです。

こちらは有名なプロモーション動画。画像をクリックすると動画ページにリンクしています。
もちろん出演時はグーフィーTシャツではありません。





―― 以下、メイキング動画から、収録されている曲目を紹介したいと思います。

≪前半 約30分≫

前半は、オーケストラと一緒の録音風景です。


①《外套》より、「お前の言うとおりだ」/ Hai ben ragione (Il Tabarro)

②《トゥーランドット》より、「誰も寝てはならぬ」/ Nessun dorma (Turandot)
これはクーラが今もコンサートで必ず歌う曲ですが、この当時のみずみずしさはまた格別な魅力があります。

③《トゥーランドット》より、「死の姫よ!」/ Principessa di morte! (Turandot)
トゥーランドット役の歌手とデュエットですが、映像はクーラメインでとっています。クーラが出演したこのオペラ全曲の正規録画はありませんので、これが、このラストの二重唱をきれいな音質画質で見聴きできる数少ないものです。

④《西部の娘》より、「やがて来る自由の日」/ Ch'ella mi creda (La Fanciulla del West)
1994年にオペラリアで優勝した際の最終選考で歌った曲でもあります。現在も、歌い続けています。

⑤《ラ・ボエーム》より、「冷たい手を」/  Che gelida manina (La Bohéme)
とても甘くやさしい歌声にちょっとびっくりするほどです。顔の表情も、それまでの曲とは違って柔らかい印象。

⑥《ラ・ボエーム》より、ラストのミミとロドルフォの二重唱、「ああ、ミミ、ぼくの美しいミミ!」 / Last duet (La Bohéme)
ミミ役のソプラノとの二重唱で、最後にミミがなくなる悲しいシーンです。クーラのボエームの全曲録音、録画は皆無なので、貴重です。

⑦《妖精ヴィッリ》より、「全能の神よ」/ O sommo Iddio (Le Villi)
本編にも一部収録されています。とても美しい歌唱です。

⑧《マノン・レスコー》より、「あなた あなたなの?」/ Tu, tu, amore tu! (Manon Lescaut)
第2幕のマノンとデ・グリューの甘く切ない二重唱。

⑨《トスカ》より、「星は光りぬ」/ E lucevan le stelle (Tosca)
銃殺刑を前にしたカヴァラドッシの辞世の歌。美しくドラマティックなアリアで、最後は感情があふれ泣き崩れる演技も。


  

OKが出た後の笑顔と声が、まだ幼い印象があるくらい若いです。
 











≪後半 約30分≫

後半は、衣装をつけて演技をして、プッチーニのオペラの一部分をスタジオで再現したものです。


①《西部の娘》より、「やがて来る自由の日」/ Ch'ella mi creda (La Fanciulla del West)



②《マノン・レスコー》より、「あなた あなたなの?」/ Tu, tu, amore tu! (Manon Lescaut)







③《ラ・ボエーム》より、ラストのミミとロドルフォの二重唱、「ああ、ミミ、ぼくの美しいミミ!」 / Last duet (La Bohéme)





④《トゥーランドット》より、「誰も寝てはならぬ」/ Nessun dorma (Turandot)



⑤《トゥーランドット》より、「死の姫よ!」/ Principessa di morte! (Turandot)






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以上、約1時間の内容の濃い動画でした。とにかく美しい声、美しい歌唱が満載です。
クーラの初めてのCDは1997年の「プッチーニアリア集」でしたが、それはこの動画の翌年。収録されている曲目もほぼ重なっています。
聴き比べてみると、プッチーニ集のCDよりもさらに、この動画の歌の方が軽く柔らかく、瑞々しい印象がします。

ファンの私にすれば、本当に宝物のような動画です。
そして、この時から20年以上、さまざまな努力と経験を積み、困難を乗り越えて、円熟の境地に達しつつある現在のクーラ。声と歌唱、解釈と演技が高いレベルで統一された現在のパフォーマンスと、この若く瑞々しい声と歌唱、それぞれにまた、違う魅力があります。

クーラはこの「クーラTV」に様々な動画を、自分のキャリアをたどれるような形でアップしていく構想を持っているようです。今回の動画をはじめ、他にも、ベートーヴェンの「第9」やドヴォルザークの「新世界より」、マーラー「復活」、バッハ「ミサ曲」など、大曲を指揮している動画や、初期のコンサートなど、とても珍しく興味深いものがアップされています。
ぜひ「クーラTV」もお楽しみください。







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ホセ・クーラが歌う、ドヴォルザークの歌曲「愛の歌」 / Jose Cura "Love Songs" of Dvorak

2017-03-19 | CD・DVD・iTunes



前回、ホセ・クーラがiTunesなどで楽曲のデジタル配信を開始し、まず、ドヴォルザークの歌曲集「愛の歌」をリリースしたことや、それまでのレーベルとの関係と経過などについて紹介しました。
今回は、iTunesから「愛の歌」のアルバムを購入・ダウンロードしてみての感想をふくめ、追加的な情報を紹介したいと思います。


まずは、クーラが、「愛の歌」のリリースを宣伝するために作成した動画を。
クーラのFBやVimeoのページにアップされ、フォロワーに拡散をよびかけているものです。
アルバムに収録されている8曲のうちの1曲めを全部聞くことができます。


Jose Cura "Love Songs" the little video clip from new released album



≪ アルバム「ドヴォルザーク 愛の歌」の内容 ≫

ANTONÍN DVOŘÁK LOVE SONGS
2017 - JCP (José Cura Productions) Running time: 15min 37
Artists: José Cura., Irina Kondratenko (piano).
Music by: Antonín Dvořák (1841 - 1924)
Lyrics by: Gustav PHleger-Moravský (1833 -1875)

1 - O naši lásce nekvete to vytouzené stestí (1’42’’)
(Love will never lead us to that happy End / 愛は私たちを幸せな結末には導かない)
2 - V tak mnohém srdci mrtvo jest (2’13’’)
(Death reigns in many a human breast / 死は、多くの人の心を支配する)
3 - Kol domu se ted’ potácím (1’21’’)
(I wander often past yonder house / 私はしばしばその家を過ぎてさまよう)
4 - Já vím, že v sladké naději (2’33’’)
(I know that my love to you / 私はあなたへの愛を知っている)
5 - Nad krajem vévodi lehký spánek (1’29’’)
(Nature lies peaceful in slumber and dreaming / 自然は穏やかに眠り、夢見る)
6 - Zde v lese u potoka (2’09’’)
(In the deepest forest glade I stand / 私が立つ一番深い森の中で)
7 - V té sladké moci ocí tvých (2’09’’)
(When thy sweet glances fall on me / あなたの甘いまなざしが私の上におちるとき)
8 - Ó duše drahá jedinká (1’33’’)
(You only, dear one / あなただけ、愛する人)
*日本語は英題を直訳したものです


アントニン・ドヴォルザークは、チェコの国民的な作曲家で、日本ではやはり交響曲第9番「新世界より」で親しまれています。
「愛の歌」は、ドヴォルザークがまだ24歳の時の1865年に、彼がはじめて作曲した歌曲集「糸杉」のなかに含まれていた曲がもとになっているそうです。

「糸杉」誕生のきっかけになったのは、彼が音楽の家庭教師をしていた女性、ヨゼフィーナ・チェルマーコーヴァーに対して抱いた恋心と失恋。この「糸杉」から、のちに8曲を選んで、手直しし、1888年に歌曲集「愛の歌」として発表されたそうです。

ヨゼフィーナとは失恋に終わったものの、彼女の妹とドヴォルザークは結婚しています。にもかかわらず、のちに「愛の歌」として改めて改訂・発表しているわけで、それほどに、彼女への思いは、忘れられないものだったのでしょうか。





このクーラのアルバムは、もともとドヴォルザーク没後100年を記念して、2004年にCDとしてリリース(録音は2003年)されたもので、今回、iTunes や、Amazonなどを通じて、デジタル音楽配信をおこないました。クーラとしての、はじめての挑戦です。

私はiTunesで楽曲を購入するのは初めてでしたが、またPCもウィンドウズ、スマートフォンもアンドロイドでしたが、問題なくダウンロードできました。ただ、全く初めての方は、アップルのアカウントを作ることから始めなければならないため、難しいことはないのですが、少し面倒に感じられるかもしれません。

歌唱や声は、クーラがまだ40歳頃の録音であり、とても若々しく印象です。
実らなかった恋の歌だけに、切なく、悲しい面とともに、哀愁を感じさせる美しく、とても甘いドヴォルザークのメロディ、そしてクーラが非常に豊かなニュアンスで、若者のひたむきな熱情、多感な心を表現しています。
またチェコ語の響きが、日本人にはめずらしく、これもまた魅力のひとつだと思います。iTunes購入に付属のデジタルブックレットには、短いですが日本語の解説と、全曲の英語の歌詞がついています。


興味をお持ちの方は、iTunesの紹介ページをどうぞ。




また、アマゾンでも購入できます。しかもiTunesより安い!デジタルブックレットが付いていないせいなのか、アルバムが600円です。またブックレットは関係ない1曲ごとで買う場合も、100円と安くなっています。全曲試聴もできます。




ぜひ、多くの方に興味を持っていただければと思います。



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ホセ・クーラ iTunesで楽曲配信を開始!まずドヴォルザークの愛の歌(ラブ・ソングス) / Jose Cura in iTunes

2017-03-14 | CD・DVD・iTunes



ホセ・クーラは、3月13日、フェイスブックと公式ホームページで、iTunesからの楽曲配信を開始したことを告知しました。

クーラは、2000年代初頭以降、大手レコード・レーベルと契約しないで、自分の独自レーベルをたちあげて活動してきました。いくつかのCDが発売されています。
今回は、2004年にそのクーラの独自レーベルから出されていた、ドヴォルザークの"LOVE SONGS"(「愛の歌」)をiTunesからリリースしました。

ドヴォルザークの「愛の歌」ラブ・ソングスは、ピアノとクーラの歌によるもので、ドヴォルザークの美しく、哀愁ただよう切ないメロディと、クーラの声、表現をしみじみと味わえる作品です。歌もチェコ語の歌詞で、たいへん珍しいものだと思います。

今回は、全8曲に、日本語も一部あるデジタルブックレット付きのアルバムが750円1曲は各150円となってます。

クーラ自身による楽曲配信は、今回が初の試みです。今回の様子をみて、今後の方針を決めるとのことです。
iTunesで、"jose cura love songs"などと検索すると、すぐにわかります。 ぜひ多くの方に興味をもっていただければと思います。


下の画像は、今回、配信されたドヴォルザークの音楽が収められていた、もとのCDです。なお配信はラブ・ソングスだけで、交響曲第9番はありません。
画像をクリックすると、クーラのHPの紹介ページにとびます。




クーラの曲のiTunesでの紹介ページです。購入・ダウンロードできます。




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なお、なぜクーラが直接、iTunesから楽曲配信をするかということでは、これまでも紹介してきましたが、そこには独自の背景と事情がありました。
くわしくは、以前の投稿「ホセ・クーラ スターダム、人生と芸術の探求」などをお読みいただけるとうれしいです。

今回は、クーラがFBやHPに掲載した告知記事と、またこれまでのクーラのインタビューから、レーベルとの関係について語っている部分を抜粋して、紹介したいと思います。
いつものことですが、不十分な訳文、誤訳もあると思いますが、ご容赦ください。


――クーラのフェイスブック告知記事より  → FBの記事リンク

私の最初の製品がiTunesに!
iTunes Storeに行き、「jose cura dvorak」と入力すると、Love Songsのアルバムにアクセスできる。

なぜドヴォルザークのラヴ・ソング?
なぜ新しい曲ではなく2003年に録音された曲を?

理由1―― 2004年、ドヴォルザークの100周年記念の一環として、ラヴ・ソングと交響曲第9番のアルバムを制作した。しかしこのアルバムはプライベート・リリース用であり、大きく注目されるようにはならなかった。

理由2―― 今回は、デジタルプラットフォームとの私の商業的関係の始まりであり、それがどのようにすすむのか知る必要があった。
だから、私が期待どおりに進まない場合に備えて、新しいものを公開するのではなく、既存のレコーディングでシステムを「テスト」したいと思っている。

理由3――(元のアルバムを入手している人にも)このリリースは、REMIXで、音の“Director’s mix”(映画監督による編集のように)、ついに、曲が、私が望んだように聞くことができる。このリリースは、驚異的な24 BITS - 96 HERZクリスタルサウンドによる!

理由4―― このリリースには(iTunesのみ)、デジタルブックレットが含まれている(オンライン版ではまれ)。ヨーロッパの主要言語だけでなく、日本語、アラブ、中国語による簡単な紹介が掲載され、プラスして、すべての曲の英語テキストも。

私は、この新しい冒険に参加してくれる、みなさんすべてを必要としている!!!
クーラがレコーディングビジネスに戻ってきたことをすべての人々に知らせ、できるだけ多くのアルバムを購入してもらい、ディーラーを驚かせたい。
その理由から、私は、特別価格で、提案された6,99ユーロではなく、アルバム全体を3,99ユーロで提供することをつよく主張した。
ぜひ、もう一度、iTunes Storeに行き、 "jose cura dvorak"と入力を!
どうか、あなたが知っているすべての人に、この情報をつたえてほしい。
Peace & Love






*クーラは、当初エラートと専属契約を結んでいて、日本でも「プッチーニアリア集(1997年)」などが発売され、大ヒットしました。しかしエラートは経営不振のために閉鎖され、その後クーラは、大手レーベルと契約せず、2002年に自らのレーベルを発足。以下の2003年のインタビューで、その経過や思いを語っています。


――2003年インタビューより

エラートで特殊な状況を体験した。私のCDがリリースされたが、その時、レコード生産の危機とこれまでで最も深刻な景気後退を理由に、他の有名アーティストとともに、契約がキャンセルされた。
所属していたレコード会社と、私は、平和的に別れた。しかし、過去数年間の体験は、私に、すべてのことを自分で掌握しておくことが、よりベターだと教えてくれた。

私は、歌手は、芸術と役柄、その、ただ1つのことだけに集中すべきだ、という説を信じない。私は、マネジメント、プロダクションと流通のトリックについて知ることで、もやはトラブルを抱えなくなった。

2000年に自分のプロダクションCuibarを設立し、2002年にレコードレーベルCuibar Phono Videoも設立した。販売とマーケティングやプロモーションはロンドンのAvieレコードと契約した。
自分のレーベルから、すでに2つのアルバムをリリースした(03年当時)。ラフマニノフ交響曲第2番を指揮し、もう1つはアリア・アルバムで「オーロラ」というタイトルだ。






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紹介してきたように、エージェントにも、大手レーベルに属さず、独立独歩で活動してきたクーラ。自営業、零細企業主ともいえるのだと思いますが、独立当初には、リリースした曲がインターネットでの海賊版被害を受けて、CDなどのリリース自体が嫌になっていたこともあったようです。
こうした試行錯誤をへて、今回は、メジャーなデジタル・プラットホームであるiTunesで、あたらしいチャレンジです。これが成功して、クーラの作曲した作品や、これまで録音してきた楽曲がリリースされ、観賞できるようになることを願っています。

今回のドヴォルザークの愛の歌、私もiTunesで無事、購入・ダウンロードすることができました。本当に美しく、魅力的な歌唱でした。
興味をもたれた方は、ぜひ、iTunesをのぞいてみてください。



*写真はクーラのFB、HPからお借りしました。
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(実物編) 2000年パリの椿姫 DVDが再リリース / Jose Cura / La Traviata in Paris 2000

2016-11-29 | CD・DVD・iTunes



先日、告知編で紹介した、2000年にパリの歴史的建造物を舞台にして、エテリ・グヴァザーヴァ、ホセ・クーラ出演で世界生中継されたヴェルディの椿姫を含む、オペラ映画の3作セット、私の手元にも到着しました。

内容は、ドミンゴのトスカ、グリゴーロがマントヴァ候、ドミンゴがタイトルロールを歌ったリゴレットとのセットです。
DVD4枚セットと、ブルーレイ3枚セットがありましたが、私は3枚組のブルーレイの方を選択しました。

クーラが出演した椿姫を中心に、紹介します。 
 → Youtubeにアップされている動画を中心に紹介した以前の投稿もどうぞ。 

(内容について 再掲)
幻の映像、遂に登場! 「その時、その場所で」演じられた3つの名作オペラ映画
3つのライヴ・フィルム『トスカ』『椿姫』『リゴレット』

『ラ・トラヴィアータ・イン・パリ』(2000)
 ヴィオレッタ・ヴァレリー…エテリ・グヴァザーヴァ(ソプラノ)
 アルフレード・ジェルモン…ホセ・クーラ(テノール)
 ジョルジョ・ジェルモン…ローランド・パネライ(バリトン)、他
 イ・ソリスティ・カントーリ
 イタリア国立放送交響楽団
 ズービン・メータ(指揮)

『トスカ・イン・ローマ』(1992)
 フローリア・トスカ…キャサリン・マルフィターノ(ソプラノ)
 マリオ・カヴァラドッシ…プラシド・ドミンゴ(テノール)
 スカルピア…ルッジェーロ・ライモンディ(バス・バリトン)、他
 ローマ・イタリア放送交響楽団&合唱団
 ズービン・メータ(指揮)

『リゴレット・イン・マントヴァ』(2010)
 リゴレット…プラシド・ドミンゴ(バリトン)
 ジルダ…ユリア・ノヴィコヴァ(ソプラノ)
 マントヴァ公…ヴィットリオ・グリゴーロ(テノール)
 スパラフチーレ…ルッジェーロ・ライモンディ(バス・バリトン)
 マッダレーナ…ニーノ・スルグラーゼ(メゾ・ソプラノ)、他
 イタリア国立放送交響楽団
 ズービン・メータ(指揮)

(外装)
ケースはなかなか立派です。マグネットでふたが開閉するようになっていました。



ふたをあけると上側に、3枚のディスクが収納されています。






(ブックレット)
下側には、ブックレットがケースにつながった形でついています。はずして見られないはちょっと・・。
結構厚いです。 
→ はずせました!長年素晴らしいオペラブログを書いてらっしゃるkeyakiさんから、「最後のページが差し込んであるだけですので、はずせますよ」とアドバイスいただきました。ありがとうございました!



ブックレットの裏表紙


画像や挿絵がそれなりにありますが、思っていたほど、画像は多くありませんでした。






(本編)
椿姫のディスクをいれると出るメニュー画面



椿姫の本編をTVで観賞しましたが、やはり画質がよく、美しいです。出演者の肌のきめや汗などもリアルに見えます。
美しい歴史的建造物を舞台とした豪華なプロダクションを、よい画質、音質で観賞できて、とてもうれしいです!




(ボーナス映像)
そして何といってもお勧めなのが、ボーナス映像。以下は椿姫のものです。
歴史的建造物を舞台に、オケと別の場所で演技・歌唱して、それを世界生中継という離れ業を、どのようにして実現したのか、裏の苦労や、撮影現場の様子、出演者の素顔など、魅力的な映像がたっぷりです。インタビューやメイキング映像で構成されています。








*気になっていたいくつかの点について・・・

①やはり字幕には、日本語はありませんでした。告知通り、英語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語のみ。
 英語があるので、それで大意がつかめる方なら大丈夫ですが、いずれ日本語版が出るかどうかは、現時点ではわかりません。

②ボーナス映像について
 DVD版は、4枚組の4枚目にボーナス映像がまとめて収録されているようですが、ブルーレイでは、各ディスクに本編とボーナス映像がセットで入っていました。
 
③ブックレットについて
 立派なカラ―ブックレットがついていますが、これも日本語版はありません。
 英語とイタリア語のみ。ただとても豪華なので、ざっと見ているだけでも楽しめるともいえますが・・。




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(告知) 2000年パリの椿姫 DVDが再リリース / Jose Cura / La Traviata in Paris 2000

2016-11-29 | CD・DVD・iTunes



朗報です。
2000年に世界で生中継されて、大きな話題になった、ヴェルディのオペラ、椿姫。パリの歴史的建造物を舞台に、ヴィオレッタがエテリ・グヴァザーヴァ、アルフレードでホセ・クーラが出演したプロダクションが、NAXOSから、DVDとBlu-rayで、再度リリースされることになりました。  → NAXOSのHP

素晴らしい作品で、放映後にDVD化されたのですが、絶版になったらしく、その後、長らく入手できない状態が続いていました。 → 入手できました!現物の様子はこちらの投稿で

ただし、今回の再リリースは、単独ではなく、同様の野外ロケシリーズ3作、この椿姫と、ドミンゴのトスカ、そして、グリゴーロがマントヴァ候、ドミンゴがタイトルロールを歌ったリゴレット、このセット販売のようです。
また、DVD4枚セットと、ブルーレイ3枚セットがあります。
広告のコピーは…
 幻の映像、遂に登場! 「その時、その場所で」演じられた3つの名作オペラ映画
 3つのライヴ・フィルム『トスカ』『椿姫』『リゴレット』

『ラ・トラヴィアータ・イン・パリ』(2000)
 ヴィオレッタ・ヴァレリー…エテリ・グヴァザーヴァ(ソプラノ)
 アルフレード・ジェルモン…ホセ・クーラ(テノール)
 ジョルジョ・ジェルモン…ローランド・パネライ(バリトン)、他
 イ・ソリスティ・カントーリ
 イタリア国立放送交響楽団
 ズービン・メータ(指揮)

『トスカ・イン・ローマ』(1992)
 フローリア・トスカ…キャサリン・マルフィターノ(ソプラノ)
 マリオ・カヴァラドッシ…プラシド・ドミンゴ(テノール)
 スカルピア…ルッジェーロ・ライモンディ(バス・バリトン)、他
 ローマ・イタリア放送交響楽団&合唱団
 ズービン・メータ(指揮)

『リゴレット・イン・マントヴァ』(2010)
 リゴレット…プラシド・ドミンゴ(バリトン)
 ジルダ…ユリア・ノヴィコヴァ(ソプラノ)
 マントヴァ公…ヴィットリオ・グリゴーロ(テノール)
 スパラフチーレ…ルッジェーロ・ライモンディ(バス・バリトン)
 マッダレーナ…ニーノ・スルグラーゼ(メゾ・ソプラノ)、他
 イタリア国立放送交響楽団
 ズービン・メータ(指揮)

収録時間:合計9時間25分

〈 VERDI Rigoletto, La traviata PUCCINI Tosca – live now on DVD 〉
La traviata in Paris (2000) Eteri Gvazava, José Cura
Tosca in Rome (1992) Catherine Malfitano, Plácido Domingo
Rigoletto in Mantua (2010) Plácido Domingo, Julia Novikova, Vittorio Grigolo






発売元のNAXOSによると、2016年11月11日にリリースとのこと。
また日本での発売は、広告がでていたローチケHMVのHPによると、11月22日となっています。
3作セットのため、定価13,823円、HMV会員価格で9,990円と、だいぶ高額なのは困った点です。
 * アマゾンやタワーレコードでも広告が掲載されました。価格もそれぞれ違い、発売日も違いますので、購入を検討されている方は、お気をつけください。

さらに現時点では輸入盤のみのようです。
告知によると、字幕は、英語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、さらに韓国語はあるのですが、日本語はありません。これは確認したいとわかりませんが、日本語字幕がほしい方は、推移を見てからの方がいいかもしれませんね。

また、当初の椿姫のDVDは、下の写真のような美しいパッケージで、多くの写真が収録された冊子と、とても魅力的なメイキングビデオが付属していました。




今回も冊子と、3時間余りの特典映像が付いているようです。3作セットなので、以前のものと同じかどうか、今のところの情報からは、判断できません。
とはいえ、3作とも評価の高いものですので、発売が楽しみです。

販売会社のYoutubeチャンネルnaxosvideosには、この3作の予告編がアップされています。

椿姫
DVD Box - 3 Live Films - La Traviata in Paris (Eteri Gvazava, Zubin Mehta, Giuseppe Patroni Griffi)


トスカ
DVD Box - 3 Live Films - Tosca in Rome (Placido Domingo, Zubin Mehta, Giuseppe Patroni Griffi)


リゴレット
DVD Box - 3 Live Films - Rigoletto in Mantua (Placido Domingo, Zubin Mehta, Marco Bellocchio)


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おまけとして、以前の投稿にもまとめて紹介しましたが(「2000年パリの椿姫 La Traviata Paris / Verdi」)、Youtubeにあがっているパリの椿姫のいくつかのシーンを紹介します。

当時、クーラは37歳、まだまだ若く、この収録のためにかなり減量して臨んだということです。実在の歴史的建造物でロケをした美しい映像、そして容貌、演技、歌唱とも素晴らしい、2人の主人公にピッタリなグヴァザーヴァとクーラ。違和感なく、物語に入り込める貴重なプロダクションです。できれば、高額な3枚セットではなく、個別で販売も可能になってくれるとうれしいですね。

冒頭の序曲途中でホセ・クーラ演じるアルフレード登場から、「乾杯の歌」の場面まで
"Dell'invito trascorsa ..libiamo ne' lieti calici" La Traviata


第1幕、ヴィオレッタにアルフレードが求愛する場面。テーブルの下でのキスシーンが美しい。
"Un di felice, eterea" La Traviata


第3幕 ラストシーン 再会した2人と悲しみのラスト。
La Traviata Last








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