人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(レビュー編)2017年 ホセ・クーラとミサ・クリオージャ、プラハ交響楽団とともに / Jose Cura & Misa Criolla in Prague

2017-11-28 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017




10月4、5日のホセ・クーラとプラハ交響楽団とのコンサート、すでに(告知編)(初日編)を掲載しましたが、今回は現地のレビューから抜粋して紹介したいと思います。

現在(2017年11月末)クーラは、12月5日からはじまる故郷テアトロコロンでのアンドレア・シェニエのリハーサル中です。コロンは無料のライブ放送やラジオ中継に熱心なので、今後、放送情報などがありましたら、情報をまとめたいと思っています。

さて、50歳代に入ってから、オペラ出演の数を減らしてきているクーラ。もちろん歌うことは続けていますが、作曲、指揮、演出に軸足を移しつつあるのは明らかです。そしてこのプラハ交響楽団とのレジデント契約は、クーラの眠っていた作曲への情熱を大きくかきたて、成果を発表する絶好の場となったようです。
今年で最終年のレジデントですが、今回のコンサートはとりわけ、現時点でのクーラの多面的な活動を観客に提示するものでした。レビューも非常に好評でした。音源、動画がないのが残念です。





JOSÉ CURA & MISA CRIOLLA
Smetana Hall, Municipal House

4,5.10.2017

JOSÉ CURA / Modus (world premiere)
JOAQUÍN RODRIGO / Concierto de Aranjuez for guitar and orchestra
ARIEL RAMÍREZ / Misa Criolla (world premiere of the symphonic version)
ARIEL RAMÍREZ / Navidad Nuestra (world premiere of the symphonic version)

José CURA | tenor
Aniello DESIDERIO | guitar
PRAGUE PHILHARMONIC CHOIR
Mario DE ROSE, José CURA | conductor

≪プログラム≫
ホセ・クーラ作曲「Modus」(世界初演)
ホアキン・ロドリーゴ作曲 「ギターとオーケストラのためのアランフェス協奏曲」
アリエル・ラミレス作曲 「ミサ・クリオージャ」(シンフォニック・ヴァージョン世界初演)
アリエル・ラミレス作曲 「アルゼンチンのクリスマス」(シンフォニック・ヴァージョン世界初演)

ホセ・クーラ=テノール
アニエッロ・デジデリオ=ギター
プラハ・フィルハーモニー合唱団
マリオ・デ・ローズ、ホセ・クーラ=指揮







●クーラは舞台上の自然なリーダー

カラフルで、活気があり、エキゾチック――これらはすべて、昨夜、表現されたものだ。ホセ・クーラは、毎シーズン、彼の作曲の一つを初演してきた。コーラスとオーケストラのための作品である「Modus(モデュス)」は、この伝統に沿っている。
作品はクーラ自身によって指揮された。プログラムに示されているように、この作曲は中世のプラハに触発され、主なアイデアは、10世紀のキリエを使用することだった。クーラはゆっくりと張力を増加させ、レイヤーを重ねることで徐々に音量を上げていった。これは最も興味深い曲。ダイナミックなクライマックスとそれに続くシンプルなエンディングを経て進行した。

・・・

「ミサ・クリオージャ」は、アルゼンチンの地域の1つを代表する各パートの集合体であり、典型的なダンスのリズムをとる。原作はコーラス、民俗楽器(ボンゴ、チャランゴなど)とテノールのために書かれている。
ホセ・クーラは、この2つの作品を、その作曲上の重要な介入なしに元の作品に対して特別な敬意を払って編曲し、シンフォニック・バージョンは最も重要なすべてをサポートしていた。

・・・

クーラは舞台上の自然な「リーダー」であり、合唱団とオーケストラと常に動きを交わしていた。声とテクニックは、ソリストとして彼が最高のニュアンスを生み出すことを可能にした。その結果、この作品は、喜び(Gloria)、執拗な主張(Credo)または痛み(Kyrie)から究極の平和(Agnus dei)まで、あらゆる気分を呼吸することができる。作曲家としてのクーラは決してペンを浅く滑らせることなく、彼の演奏は本格的、かつ誠実なままであった。ステージから感情が私に伝わってきて、時には笑顔がこぼれる瞬間もあった。

・・・

「アルゼンチンのクリスマス」は、再び、合唱団、ソリスト、オーケストラがよく理解され、活発でソウルフルな演奏だった。そしてクーラのパフォーマンスは、必要な歌の質と自然の自発性が一緒になったもので、これ以上良いソリストを見つけることは難しいことを証明した。
(「Opera Plus」)







●スメタナホールでの2つの素晴らしい夜

クーラは、プラハとプラハのフィルハーモニー合唱団に捧げた合唱の変奏曲「Modus」の初演で始めた。これは中世のグレゴリオ聖歌のような構造の短い作品であるが、中世から現在までの幅広い範囲をもって表現された。

・・・

アルゼンチン民族の記念碑
休憩後、クーラは指揮台をアルゼンチンの同胞マリオ・デ・ローズに譲り、クーラによるラミレスの2作品の世界初演で、ほぼ完売の聴衆をソリストとして興奮させた。アリエル・ラミレスは、1960年代に両作品を書いて、アルゼンチンの民族音楽として認識された。クリオージャのミサ曲(ミサ・クリオージャ)とクリスマス(Navidad Nuestra)はアルゼンチンの歌と踊りを使用し、作曲家はメロディー的かつリズミカルなアルゼンチン人の記念碑を建てた。個々のセクションは、アルゼンチン地域に応じて分割されている。
作曲家を個人的に知っていたクーラは、室内楽、フォークロリック・ヴァージョンから、オーケストラと合唱団のためのより大きなものに作品を変更する許可が与えられた。彼は巧みに行った。ドラムとギターをたくさん取り入れ、バイオリンをギターと置き換えたのと同様、他の音を同様の音で置き換えた。「アルゼンチンのクリスマス」の 最後の部分で、クーラは元のアルゼンチン楽器を使用した。

ソリストとは別に、コーラスは主に合唱を基調としたこの作品に素晴らしい音色を与えた。女性のためのカラフルな衣装を含む合唱団は、熱烈で、生き生きとした感情的な表現を与えた。
観客の反応は素晴らしく、演奏家たちが繰り返し祝福されたのは不思議ではなかった。
(「Novinky」)



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プラハ響レジデントとして最終年の今季最初のコンサートは、盛りだくさんな内容で大きく成功ました。次回のクーラのプラハ響との公演は、来年2018年3月の21、22日の予定です。
来春、プラハにご旅行を予定されている方には、ぜひスメタナホールでのクーラとプラハ響とのコンサートをおすすめしたいと思います。







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(初日編)2017年 ホセ・クーラとミサ・クリオージャ、プラハ交響楽団とともに / Jose Cura & Misa Criolla in Prague

2017-11-03 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017




10月4、5日、2017/18シーズンのホセ・クーラの最初の公演、プラハ交響楽団とのコンサートが無事終了、成功しました。

ほぼ完売のホールで、盛り沢山の多彩なプログラム、魅力的なソリストとプラハ響による演奏は、大きな喝さいを受けたようです。
いくつかレビューが掲載され、コンサートの様子も紹介されていました。いずれまたレビューも紹介したいと思いますが、今回はまず、プラハ交響楽団がHPに掲載してくれた初日の画像をいくつかお借りして、コンサートの様子を紹介したいと思います。


チケットを購入した人には、5日のコンサート開演前に、恒例のクーラを囲んでのコーヒータイムもあったようです。



JOSÉ CURA & MISA CRIOLLA
Smetana Hall, Municipal House

4,5.10.2017

JOSÉ CURA / Modus (world premiere)
JOAQUÍN RODRIGO / Concierto de Aranjuez for guitar and orchestra
ARIEL RAMÍREZ / Misa Criolla (world premiere of the symphonic version)
ARIEL RAMÍREZ / Navidad Nuestra (world premiere of the symphonic version)

José CURA | tenor
Aniello DESIDERIO | guitar
PRAGUE PHILHARMONIC CHOIR
Mario DE ROSE, José CURA | conductor




≪プログラム≫
ホセ・クーラ作曲「Modus(モデュス)」(世界初演)
ホアキン・ロドリーゴ作曲 「ギターとオーケストラのためのアランフェス協奏曲」
アリエル・ラミレス作曲 「ミサ・クリオージャ」(シンフォニック・バージョン世界初演)
アリエル・ラミレス作曲 「アルゼンチンのクリスマス」(シンフォニック・バージョン世界初演)

ホセ・クーラ=テノール
アニエッロ・デジデリオ=ギター
プラハ・フィルハーモニー合唱団
マリオ・デ・ローズ、ホセ・クーラ=指揮





今回のコンサート、作曲家として、指揮者として、編曲家として、そして歌手としてのクーラの多面的な成果を一度に示す場となったようです。
前半では、クーラがこのコンサートのために新しく作曲した「Modus(モデュス)」と、ロドリーゴ作曲の有名なギター協奏曲「アランフェス協奏曲」を指揮しました。そして後半では、自分でオーケストレーションを手がけた、母国アルゼンチンの作曲家ラミレスの南米のミサ曲2曲をソリストとして歌いました。

報道などでクーラ自身が作品などについて述べている部分を抜粋して訳してみました。


――クーラの新作「Modus(モデュス)」作曲について

「中世のプラハにインスパイアされた私は、10分のトラックに、10世紀のキリエに由来する、コーラスとオーケストラのためのモデュスを取り入れ、10月にプラハ交響楽団(FOK)とのコンサートで初演する予定だ。」
(プラハ響FBより)


「FOK(プラハ響)という家族のレジデント・アーティストとして、毎年、私は自分の作品から1曲を初演してきた ―― 音楽劇『もし私が死んだら』(2015/16シーズン)、オラトリオ『Ecce homo(この人を見よ)』(2016/17シーズン)。
しかし、(これまでクーラが書き溜めてきた未発表の)『レクイエム(フォークランド戦争の被害者のためのミサ曲)』や、『The Montezuma y el Fraile pelirrojo』,『赤毛の兄弟』などは、このコンサートのためには大きすぎた。

今年、これまでの伝統を壊さないために、それでは残念なので、私はプラハの中世の雰囲気に触発された短い作品を書くことに決めた。
そこで、私は良いインスピレーションを探し始めた。私は10世紀のキリエからそれを見つけた。

私は2016年のクリスマスまで、一種の「グレゴリオ聖歌」である「Modus(モドゥス)」に取り組んだ。
その曲は常に同じモチーフの周りを回っている。徐々に多くのレイヤーをミュージカルトップに追加しながら発展し、そして同様にシンプルに終わる。」
(プラハ響HPに掲載されたクーラの言葉より)
 








――アリエル・ラミレスと作品について

クーラは、母国アルゼンチン・ロサリオの同郷の作曲家ラミレスから、もともと民族楽器と室内楽のために書かれたこの2曲「ミサ・クリオージャ」と「アルゼンチンのクリスマス」について、独占的にオーケストレーションの許可を得たようです。
次のようにクーラのインタビューでの発言が報道されていました。


「私は80年代の初めに合唱団で、ミサ・クリオージャとアルゼンチンのクリスマスの両方を歌っていた。そして90年代の終わりにはソリストとして。
その後、マエストロ・ラミレスは自分の音楽を、合唱とオーケストラのためのヴァージョンにしたいという願いを表明した。
2006年、彼は私に、彼の子ども(この2曲)について語った手紙を書いた。たいへんな名誉と責任だった。
そして今、11年後、私たちは彼の夢を実現する。」


アリエル・ラミレス(1921年 - 2010年)



下の動画は1999年、クーラがアルゼンチンにオテロの公演のために帰国した際に、作曲家のラミレスのピアノ伴奏で彼のミサ・クリオージャを歌っている動画です。
ラミレスは2010年に亡くなりました。残念ながら「夢」の実現は間に合いませんでしたが、母国の大先輩によって託された夢、その思いに報いることができたのは本当に良かったと思います。

Missa Criolla (short exerpt)









――クーラのインタビュー動画

劇場がアップした、クーラがコンサートについて語っている動画です(英語)。
ミサ・クリオージャと作曲家ラミレスのこと、共演するギタリスト、アニエッロ・デジデリオについて、そして初公開の新作曲「Modus(モドゥス)」について。




――イタリアのギタリスト、アニエッロ・デジデリオ

クーラの指揮でアランフェス協奏曲のソリストとして共演したデジデリオが、コンサートについて語っています。
動画の最後で、クーラが指揮してリハーサルしているオケとギターの美しい音が少しだけ聞けます。
非常に高い評価を受けているギタリストだそうです。

Aniello Desiderio





とても魅力的で盛沢山のプログラム、DVDなど動画で見られるようにしてほしいと切に願っています。




*画像はプラハ響のHPなどからお借りしました。
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(告知編)2017年 ホセ・クーラとミサ・クリオージャ、プラハ交響楽団とともに / Jose Cura & Misa Criolla in Prague

2017-09-22 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017




ホセ・クーラ、2017/18シーズン最初の公演は、レジデントアーティストを務めるプラハ交響楽団のコンサートです。
今季で3年目、最終年を迎えるプラハ交響楽団でのレジデント契約ですが、今季も3回(各回2公演)のコンサートに取り組みます。

今季最初となる10月のコンサートは、テーマが「ホセ・クーラとミサ・クリオージャ」。
メインは、アルゼンチンの作曲家アリエル・ラミレスの南米のミサ曲として有名な「ミサ・クリオージャ」です。もともと打楽器、鍵盤楽器とアンデスの民族楽器によって演奏されるよう作られたこの曲を、クーラが特別に許可を得てシンフォニック版として編曲し、プラハ交響楽団によって世界初演されます。
そのほかにも、クーラが作曲した曲、Modusの世界初演もあり、プラハ響の他、ギターのソリスト、合唱団なども参加します。

クーラはテノールと指揮として出演。作曲家として、編曲家として、そして指揮者とテノール・・今回も、クーラの多面的な魅力が存分に示される機会になりそうです。





JOSÉ CURA & MISA CRIOLLA
Smetana Hall, Municipal House

4.10.2017 19:30
5.10.2017 19:30

JOSÉ CURA / Modus (world premiere)
JOAQUÍN RODRIGO / Concierto de Aranjuez for guitar and orchestra
ARIEL RAMÍREZ / Misa Criolla (world premiere of the symphonic version)
ARIEL RAMÍREZ / Navidad Nuestra (world premiere of the symphonic version)

José CURA | tenor
Aniello DESIDERIO | guitar

PRAGUE PHILHARMONIC CHOIR
Mario DE ROSE, José CURA | conductor

Ariel Ramírez (1921–2010) is one of the most significant Argentinean composers. Misa Criolla and Navidad Nuestra are the two best known compositions from his vast legacy...Both compositions are originally scored for a chamber ensemble, however by the hand of fate it was none other than José Cura who received the unique permission to orchestrate the work. Hence, we can look forward to the world-premiere of Ramirez’s gems in a new symphonic form with José Cura as soloist. The FOK artist in residence is adding his own new piece made to the evening’s line-up whilst the phenomenal Italian guitarist Aniello Desiderio will make Smetana Hall glow.


●ホセ・クーラとミサ・クリオージャ
スメタナホール,プラハ 市民会館
2017年10月4日 19:30~
2017年10月5日 19:30~

≪プログラム≫
ホセ・クーラ作曲「Modus」(世界初演)
ホアキン・ロドリーゴ作曲 「ギターとオーケストラのためのアランフェス協奏曲」
アリエル・ラミレス作曲 「ミサ・クリオージャ」(シンフォニック・ヴァージョン世界初演)
アリエル・ラミレス作曲 「アルゼンチンのクリスマス」(シンフォニック・ヴァージョン世界初演)

ホセ・クーラ=テノール
アニエッロ・デジデリオ=ギター
プラハ・フィルハーモニー合唱団
マリオ・デ・ローズ、ホセ・クーラ=指揮

≪解説≫
アリエル・ラミレス(1921-2010)は、最も重要なアルゼンチンの作曲家の一人。ミサ・クリオージャ(Misa Criolla 1964年)とアルゼンチンのクリスマス(Navidad Nuestra 1964年)は、彼の広大な遺産の中で最も知られている2つの作品。・・・

両方の作品はもともと室内楽アンサンブルのために作曲されているが、運命の手によって、この作品をオーケストレーションするユニークな許可を受けたのは、ホセ・クーラだけだった。
したがって我々は、ソリストとしてのホセ・クーラとともに、新しいシンフォニックヴァージョンによるラミレスの宝石の世界初演を楽しみにしている。
プラハ交響楽団のレジデント・アーティストであるホセ・クーラは、その夕べのラインナップに自らの新しい作品を加えている。一方、驚異的なイタリアのギタリスト、アニエッロ・デジデリオ=Aniello Desiderioがスメタナホールを輝かせるだろう。


プラハ交響楽団のHP → 詳細やチケット購入はこちらから





いよいよホセ・クーラの新シーズンが始動です。長い夏の休暇でしたが、その間に、リフレッシュや体力づくりにつとめるとともに、こうした編曲や作曲作品に手を入れたり、また来年2作品にとりくむ演出のための作業など、さまざまな準備作業に取り組んでいたようです。
このコンサートの成功と、そして今季がまたクーラにとって実りあるシーズンになることを願っています。







*写真はプラハ交響楽団のFBや合唱団のHPなどからお借りしました。
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2017/18 プラハ交響楽団のレジデント・アーティスト3年目 / Jose Cura with Prague Symphony Orchestra

2017-04-23 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017



プラハ交響楽団の2017/18シーズンプログラムが発表されました。ホセ・クーラが出演するコンサートの予定を紹介したいと思います。

2015/16シーズンから、チェコのプラハ交響楽団のレジデント・アーティストとなったホセ・クーラ。主席指揮者のピエタリ・インキネン氏(現在、日本フィルの主席でもある)の指揮で、作曲作品の初演をおこなうなど、年間、3企画のコンサート(各2回ずつ)で、歌手、指揮者、作曲家としての活動を続けてきました。

そして17/18シーズンは、3年契約の最終年。名残惜しいですが、総仕上げとして、さらに充実した年になることと思います。

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●2017/18シーズン第1回 ホセ・クーラとミサ・クリオージャ




JOSE CURA & MISA CRIOLLA
Smetana Hall, Municipal House

4.10.2017 19:30
5.10.2017 19:30
José CURA | tenor
Aniello DESIDERIO | guitar
PRAGUE PHILHARMONIC CHURCH
Lukáš VASILEK | Choirmaster
Mario DE ROSE, José CURA | conductor

アリエル・ラミレス 「ミサ・クリオージャ」
2017/10/4,5
指揮 マリオ・デ・ローズ、ホセ・クーラ


来季の1回目のコンサートは10月4、5日。南米のミサ曲として有名な、ラミレス のミサ・クリオージャです。オーケストラバージョンのようです。
プラハ響のオケに、ギター奏者とコーラス。そしてクーラがテノールソロのようです。
また指揮者のところに、友人のデ・ローズとともにクーラの名前もありますので、時々、交代しながら指揮台にのぼるのでしょうか?それとも他の演目で、クーラが指揮をするのでしょうか?

5/4追記 クーラ作曲の「Modas」もプログラムにあがっていました。世界初演です。指揮はクーラでしょうか?

こちらは2007年と10年前ですが、クーラが歌うミサ・クリオージャを。イタリアのアッシジ、世界遺産を構成するサン・フランチェスコ大聖堂でのコンサートです。

José Cura - Misa Criolla - Assisi 2007




●2017/18シーズン第2回 ホセ・クーラと展覧会の絵




21.3.2018 19:30
22.3.2018 19:30
CLAUDE DEBUSSY
The sunken cathedral (arr. Leopold Stokowski)
Pictures for orchestra
MODEST PETROVIČ MUSORGSKIJ
Pictures from the exhibition (Arr. Maurice Ravel)
SYMPHONY ORCHESTRA HL. M. PRAHY FOK
José CURA | conductor

ドビュッシー 
「プレリュード 第1集『沈める寺』」 編曲レオポルド・ストコフスキー
「管弦楽のための映像」

ムソログスキー
「展覧会の絵」(編曲:モーリス・ラヴェル) 


2回目のコンサートは、クーラは指揮者としてだけの登場のようです。
ドビュッショーの没後100周年を、ちょうどこの2018年3月に迎えるのだそうです。ドビュッシーと印象主義音楽の流れで、ラヴェルの編曲による「展覧会の絵」がとりあげられているということでしょうか。

オペラでのドラマティックでパワフルな歌唱と演技の印象とは、また違ったクーラの指揮者としての側面が見られそうです。


ドビュッシーもムソログスキーも見当たらなかったので、こちらはラヴェルのボレロを指揮するクーラの動画を。
オケはメニューインによって設立されたポーランドのシンフォニア・ヴァルソヴィア。クーラは数年間、ここの客演指揮者をつとめていました。指揮をしているクーラは、いつも本当に楽しそうです。

Video Clipe Maurice Ravel Bolero Jose Cura Sinfonia Varsovia




●2017/18シーズン第3回 ホセ・クーラ――レジデント・アーティスト




13.6.2018 19:30
14.6.2018 19:30
Latin-American songs
JOSÉ CURA, CARLOS GUASTAVINO, CARLOS LÓPEZ
BUCHARDO, ALBERTO GINASTERA
MIECZYSŁAW KARŁOWICZ Symphony in Op. 7 "Rebirth" (Czech premiere)
SYMPHONY ORCHESTRA HL. M. PRAHY FOK
José CURA | Tenor, conductor

ホセ・クーラ、カルロス・グアスタビーノ、カルロス・ロペス・ブチャルド、アルベルト・ヒナステラ(アルゼンチンの作曲家)
ラテンアメリカの歌

ミェチスワフ・カルウォーヴィチ(ポーランドの作曲家) 
「交響曲ホ短調『復活』」


「ホセ・クーラ――レジデント・アーティスト」と銘打たれた、最後のコンサート。
第1部は、クーラの作曲作品を含む、アルゼンチンの作曲家による南米の音楽です。クーラはテノール・指揮者となっているので、グアスタビーノやヒナステラの歌曲を歌うのかもしれません。
クーラの作曲作品は、このプログラムには明記されていませんので、お楽しみです。未発表の初演作品と思われます。

昨年、ドイツとルクセンブルクで、クーラが南米の先輩作曲家と自身の曲を歌サートがあり、ラジオでも放送され、日本でも聞くことができました。この時の情報を以前のブログで紹介しています。

その時の動画はないので、クーラの歌うグアスタビーノの曲を。

La rosa y el sauce - tenor José Cura (ARGENTINA)



そして第2部は、ポーランドの作曲家のシンフォニー。クーラは、前述したようにポーランドのオケの客演を務めていたこともあるように、ポーランドとは深い縁があります。この間、クーラの作曲作品の初演や念願のマーラーの「復活」の指揮などの機会を提供してくれたのも、ポーランドでした。


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プラハ交響楽団との協力関係は、プラハ響にとっても、クーラにとっても、とても魅力的で創造的なものを沢山えることができているようです。3年の契約は来季で終わりますが、引き続き、プラハ響とクーラとの関係が、何らかの形でつづくとよいと思います。
その思いは、最後の演目「復活」にもこめられているようです。






*写真は、プラハ交響楽団のHPからお借りしました。
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(インタビューとレビュー編) ホセ・クーラ 自作オラトリオ「この人を見よ」を世界初演 / José Cura "Ecce homo" world premiere

2017-04-02 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017



チェコのプラハ交響楽団のコンサートの続報です。3月8、9日のコンサートについては、(リハーサル編)でも紹介しました。
今回は、コンサート本番の様子を、プラハ交響楽団子ども合唱団のホームページ、フェイスブックに掲載された沢山の写真のなかから、いくつかお借りして紹介するとともに、クーラのプラハでのインタビュー、そしてコンサートのレビューなどを抜粋して掲載したいと思います。
いつものことですが、チェコ語やスペイン語からの翻訳がたいへん不十分であることについてはご容赦ください。

今回、コンサートの前半は、プラハ交響楽団をクーラが指揮して、サティとレスピーギの曲を演奏しました。

後半は、クーラ作曲のオラトリオ「ECCE HOMO(この人を見よ)」の世界初演。指揮は友人のマリオ・デ・ローズ。
オケはプラハ響、そしてソリスト男声2人、女声2人、混声合唱合唱団と子どもの合唱団、さらにクーラ自身が、キリスト役の声として歌いました。

≪曲目・出演≫

エリック・サティ 「ジムノペディ」 (クーラ指揮)
レスピーギ 「教会の窓」 (クーラ指揮)
クーラ作曲 オラトリオ「ECCE HOMO(この人を見よ)」 (マリオ・デ・ローズ指揮)

Smetana Hall, Municipal House  8.3.2017 19:30 、9.3.2017 19:30
ERIK SATIE Gymnopédie (orch. Claude Debussy)
OTTORINO RESPIGHI Church Windows
JOSÉ CURA Ecce homo, oratorio (world premiere)
José CURA = tenor
Lucie SILKENOVÁ = soprano, Sylva ČMUGROVÁ = alto, Aleš VORÁČEK = tenor, Jaromír NOSEK = bass
PRAŽSKÝ FILHARMONICKÝ SBOR / PRAGUE PHILHARMONIC CHOIR , JAROSLAV BRYCH = choirmaster
KRÁLOVÉHRADECKÝ DĚTSKÝ SBOR JITRO / CZECH CHILDREN'S CHOIR JITRO , Jiří SKOPAL = choirmaster

SYMFONICKÝ ORCHESTR HL. M. PRAHY FOK / PRAGUE SYMPHONY ORCHESTRA
José CURA = conductor , Mario DE ROSE = conductor




クーラの「この人を見よ」世界初演をはじめ、コンサートは大きく成功したようです。
喝采を受けて、やや涙ぐみながら、感に堪えない表情のクーラの写真もアップされていました。ちょっと枚数が多くて恐縮ですが、掲載しました。
少年のころから作曲家、指揮者を夢見て、そのために自己研さんを積んできたクーラ。プラハ響とともに、着実に自作の作品の初演を迎えることができて、本当に喜びと誇りにいっぱいだったことと思います。














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――レビューより

●クーラのオラトリオ 興味深い世界初演

アルゼンチンの歌手、指揮者、作曲家のホセ・クーラは、彼のオラトリオ「Ecce homo(この人を見よ)」の世界初演の場として、プラハを選んだ。クーラは今シーズン、プラハ交響楽団のレジデント・アーティストであり、それは驚きではない。プラハ交響楽団とプラハの聴衆は、クーラの初めての歌のコンサート以来、彼を愛している。
3月8日と9日、完売の市民会館のスメタナホールの聴衆は、その晩、クーラが、その活動のすべての分野で秀でていることを直接、目撃した。

クーラは、前半のプログラムで、プラハ交響楽団を指揮しただけでなく、第2部では、彼の作品のオラトリオで、他のソリストと合唱団とともに、歌でも出演した。
そのためオラトリオの装置は本当に巨大で、指揮者のマリオ・デ・ローズ、クーラのアルゼンチンの友人は、ステージの棚に対して指揮しなければならなかった。

若いクーラが1989年に書いたオラトリオは、その後、彼が主に歌の活動に焦点を当てていたため、引き出しに残されていた。
今、復活祭の前に、過去の有名な作品に描かれたキリストの情熱のテーマは、再び音楽的に描き出され、クーラの新たな展望は、確かに彼らと一緒に名誉の場所を取るだろう。
クーラは、キリストと、その磔刑による死の前の最後の瞬間に焦点を当てている。伝統的な栄光の代わりに、人間としてのイエス・キリストを明らかにする瞬間をピックアップした。

クーラ自身が、キリストの役割を巧みに想定し、他の歌手とともに、福音書からの様々な人物を演じた。
全体として、クーラは、伝統的でわかりやすい音楽言語と、グレゴリオ聖歌の知識を使っている。伝統的な日本のものを含む多くの打楽器を使用し、いくつかはバルコニーに置いた。悲痛さは完璧だった。歌詞は、主に詩篇とスターバト・マーテルによっている。

クーラが音楽的に実現させた聖書の場面は、感嘆すべき成功をおさめ、そしてそれに関わるすべての人びとが最善をつくした。
聴衆から受け取った反応は巨大で、特に作者としてクーラは、プラハの聴衆の二重のスタンディング・オベーションを受けた。
(「Novinky.cz」)




――2017年3月、プラハでのラジオインタビューより

●子どもの痛み、母の痛みを描いたEcce Homo

私がプラハ交響楽団(FOK)のレジデント・アーティストとして持っている関係では、その合意の中でとりわけ、私が作曲した作品を毎年1つ、デビューさせることを含んでいる。昨年は「マニフィカト(Magnificat)」、今年は「この人を見よ(Ecce Homo)」で、それはより大きく、より重要な仕事だ。
Magnificatは長さが12から13分、一方、Ecce Homoはオラトリオで、まだ初演されていないが、予想される期間は、約35分から40分となるだろう。

この作品は私の好奇心から生まれた。時には私の周りの人々と、これらについて議論したことがある。私の妻、近所の司祭と一緒に...。それは神との関係における「人間」的な要素だ。
キリストの生涯と彼の最後の数時間において、いつも私の心に触れてきたことの1つであり、最も注目してきたのは、キリストの人間的次元だ。・・・

私の「Ecce Hom」に新しさがあるとしたら、それは神学的ではなく、音楽的に2つのテーマを挿入したこと。つまり、一方では子どもの痛み、もう一方は母親の痛みであり、それらを同じ作品にまとめたことだ。





●クーラとチェコとの間の優れたケミストリー、オラトリオ世界初演に加え、チェコのファンに驚きを

私たちはiTuneとの販売契約を結んだばかりで、15年前に録音したドヴォルザークの歌曲を公開する。当時はプライベートコレクションだった。
これらの曲はiTunesでまもなくリリースされる。(すでにリリース済み、アマゾンなどでも購入可 → 紹介ページ

それは、私がチェコ語で歌った、人生で最初で最後の時だ。私は今も、その美しい音楽を、私にとっての完全な外国語で正しく歌うための闘いを覚えている。

チェコ語で私を援助してくれた人に、私はこう言ったことを思い出す――この言葉では、4つの音符を歌わなければならないが、母音は2つしかない。何かが欠けているか、何か残っている――と。残りはすべて子音であり、ラテン系の人には子音を歌うことができないためだ。
その答えはとてもシンプルだった――「子音を歌い、歩く」。





●ピアノからラグビーへ――スポーツへの熱中が音楽活動に貢献

私が7〜8歳の時、父は私にピアノを勉強するように言った。当時、60年代から70年代の話だが、私たちはピアノを勉強しなければならなかった。私の父は、当時の中産階級の良き息子として、ピアノを演奏していた。
そして、数日後、いくつかのレッスンの後、ピアノ教師は、私にノートを持たせて家に帰らせた。そこには、「ホセは音楽には興味がない。彼は別の趣味を見つけるべきだ」とあった。それから、私はラグビーを始めた。
何の関係もないようだが、つながりがある。それらは、ステージにたつ人間として、私のキャリアに対する基本的な方法だ。 
当時、それは目新しかった。オペラを歌うアスリートは、非常に珍しかった。

インタビューにこたえるクーラ



●懸念――人間に起こっている全てのことに無関心ではいられない

人間は、まず、すべてがユニークだ。しかし今起こっていることは、これまで以上に、非常な混乱であり、グローバリゼーションと大衆化によって、人々のアイデンティティが脅かされている。

今度は誰もが同じ服を着て、同じものを食べ、同じ音楽を聴き、同じ香りをつけ、同じことをする。
これはいいこと? ノー、これは悪い? ノー、それは残念なことだ。個人として、ジャンルとして、私たちを犠牲にしているのであり、残念だ。





●誰もが皆、神からの賜物を持っている――肯定的エネルギー、コミュニケーションの手段としての芸術への全面的関与

私はこれまで何度も言ってきたが、信念がある。そしてこれは、私を理解するうえで、すべてを説明するものだ。
私は、私たち全員が、何らかの才能に恵まれていると信じている。私は本当に、私たちのすべてが同じだけのものを持っていると思っている。
しかし、何が起こるかは、私たち全員がそれらを発見する能力が同じではないということ。運がある場合、不幸を抱えている場合、または内向的な人物である場合など、自分ができることを発見するのには、人生で2つの選択肢がある――それらを隠すのか、それとも、自分ができるすべてを示すのか。
もし自分に与えられた才能を隠すならば、最後に、神の前で、「あなたは私が与えたもので何をしたのか?」という問いに答えなければならない。
もし才能を隠さなければ、まわりからたたかれるだろう。しかし、私は、神からよりも、仲間からたたかれる方を選ぶ。神からの方がもっと痛いからだ。





●指揮者として受けた最大の賛辞

オペラの費用が5ユーロや10ユーロの場合、普通の人々はそれを気にしない。またステージで見ようとしていることが本当にあなたを興奮させるなら、10や20ユーロを支払う。問題は金額だけではなく、ステージで何が行われているかだ。

私が指揮者として受け取った最も美しい賛辞の1つは、数ヶ月前にプラハから来た。前回のコンサートの機会に。
誰かがソーシャルメディアに書いた。
「プラハ交響楽団(FOK)の舞台でクーラを見て、バーンスタインのコンサートを思い出した。オーケストラは彼のために演奏し、彼はオーケストラのために指揮するという絶対的な確信を持っていた。ここで起こっていたことはラブストーリーであり、私たちは幸運にも、参加し、それを目撃することができた... 」






クーラが子ども合唱団に送ったメッセージ


現地の報道


子ども合唱団、指揮者、合唱指揮者との記念撮影


終演後、晴れやかな笑顔のクーラと、友人で同郷の指揮者マリオ・デ・ローズ。彼がクーラの作曲作品の公開を後押ししてくれた。




プラハ・スメタナホールの正面に掲げられた、チェコの偉大な作曲家スメタナのレリーフ。

*画像は、プラハ響のHPや合唱団のFBなどからお借りしました。
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(リハーサル編) ホセ・クーラ 自作オラトリオ「この人を見よ」を世界初演 / José Cura "Ecce homo" world premiere

2017-03-13 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017



2015年秋からはじまった、ホセ・クーラのプラハ交響楽団のレジデントアーティストとしての活動も、2年目の2016/17シーズン最後のコンサートとなりました。
今回は、クーラ自身が作曲したオラトリオ「ECCE HOMO」(「この人を見よ」)の世界初演が目玉。そのほかに、クーラが指揮して、サティやレスピーギの曲が演奏されました。

3月8、9日が本番でしたが、実はクーラは、3月1日まで、モナコのモンテカルロ歌劇場で、ワーグナーのタンホイザーのパリ版仏語上演の復活という、歴史的な意味の大きい、しかもクーラ自身がはじめてのワーグナー挑戦という、たいへん心身ともに負担が大きかっただろうと思われる舞台に出演していました。

その最終日、深夜までの公演の2日後には、もうすでに、プラハでリハーサルを開始しています。クーラのタフさに驚きますが、それとともに、やはり、やりたいこと、自分の芸術的な信念にもとづく活動をやっているからこその充実ぶり、喜びを感じているからこそだと思います、

ということで、今回は、このリハーサルの様子や、クーラが作品を解説しているFBの記事、動画などを紹介したいと思います。




JOSÉ CURA – ECCE HOMO
Smetana Hall, Municipal House

8.3.2017 19:30
9.3.2017 19:30
ERIK SATIE Gymnopédie (orch. Claude Debussy)
OTTORINO RESPIGHI Church Windows
JOSÉ CURA Ecce homo, oratorio (world premiere)
José CURA = tenor
Lucie SILKENOVÁ = soprano, Sylva ČMUGROVÁ = alto
Aleš VORÁČEK = tenor, Jaromír NOSEK = bass

PRAŽSKÝ FILHARMONICKÝ SBOR / PRAGUE PHILHARMONIC CHOIR , JAROSLAV BRYCH = choirmaster
KRÁLOVÉHRADECKÝ DĚTSKÝ SBOR JITRO / CZECH CHILDREN'S CHOIR JITRO , Jiří SKOPAL = choirmaster

SYMFONICKÝ ORCHESTR HL. M. PRAHY FOK / PRAGUE SYMPHONY ORCHESTRA
José CURA = conductor
Mario DE ROSE = conductor





これまでも何回かの投稿で紹介してきましたが、クーラはもともと作曲家・指揮者希望で、大学でも作曲と指揮を専攻し、作曲もしてきました。
  → 「ホセ・クーラ 音楽への道」

そして、近年になって、マニフィカト(2014年4月初演)スターバト・マーテル(2014年10月初演)、またクーラがノーベル賞詩人のパブロ・ネルーダの詩に曲をつけた音楽劇「もし私が死んだら」が、プラハ交響楽団でピエタリ・インキネンの指揮によって世界初演される(2015年10月)など、ようやくクーラの作曲家としての側面に光があたり、作品が発掘、演奏されはじめています。

まずは、今回のコンサートの前に、クーラ自身が作曲について、作品について語った動画を。
ヒアリングの能力がなくて全部意味を聞きとることはできませんが、作曲家として、頭や心のなかで曲を想像していると、その曲をはじめて実際に聞いた時には、ショック、よい意味での(時には悪いことも)ショックを受けるということや、マーラーのように、繰り返し繰り返し、曲の修正をしたくなることなど、語っているようです。

José Cura about Ecce homo


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子ども合唱団とリハーサル中のクーラ。ピアノで音をとりながら、スペイン語の歌詞を解説する。
 ↓ 画像をクリックすると、クーラのFBにアップされた短い動画にとびます。



クーラがFBに掲載した解説。画像をクリックするとFBの元ページにとびます。




*以下、大まかに訳してみましたが、キリスト教の知識がないため、たいへん不十分です。ぜひクーラのFBをごらんください。

――クーラのFBより、ECCE HOMOについて

●1989年に作曲して以降、しまい込まれていた

この作品を、1989年に、ブエノスアイレス出身のテノールの同僚のために書いた。
作品は、彼と私によって公開されることはなかった。若い、夢見る2人には、その実現に必要な要素を集めることはできず、プロジェクトを現実に変える力はなかった。

それから何年も経ち、私の芸術的キャリアはさまざまな方向に向かった。
Ecce Homoは、他の多くの作品と同じように、引き出しの後ろにしまい込まれたままだった。





●30年を経て、作品は成熟した

2016年に、私はそれを再発見し、喜びと誇りをもって、それを実現することができた。
それまでのすべての年月は、単にホコリを集めるために費やしたのではない。作品は成熟した。良いワインと同じように。

間違いなく、過去30年間、私が、人間としてアーティストとして、成熟するためにやらなければならなかったことが、1989年には考えられなかった裁量権を得て、このオラトリオを改訂することを可能にした。





●聖書のキリストの受難にもとづいて

ECCE HOMO(エッケ・ホモ、ラテン語で「この人を見よ」)は、オリジナルではない。イエス・キリストの生涯の最後の瞬間にもとづいた多くの作品がある。そのなかには、伝説的で、到達不能なものもある。
しかし、それ(クーラ作曲)は、聖書の特定の部分の使い方において、オリジナルである。たとえば、「詩篇」のような、あるいはスターバト・マーテル。
そして、最初の詩の中には、かつて1982年に自分自身で書いた部分があった。
それらは、"Christ’s Passion"(キリストの受難)の「演劇的な」行動と結びついている。





●宗教的な内省を構成

Ecce Homoの音楽的、劇的な構成は、大衆の宗教的な内省を組み合わせたもの。
彼らの異教徒の不遜、地上において有形であり、彼の神性に対応して神秘的な深さとの間にあるキリストの介入、そして彼の絶望の本能的な性質は、彼の人間的な状態により類似している。

この意味で、特に私にとって感動的な瞬間は、私たちが破滅的な誠実さを目の当たりにする、これら3つ――詩編6“Father, where art thou? Save me!”、ゴルゴタでの彼の絶望的な叫び “O Lord, why hast thou forsaken me?”、息子の死を見た聖母マリアの“Tell me, is there a greater pain than this?”。





●勝利者のレトリックを避ける

復活の音楽を表現するために、私は、偉大な"Hosanna"(「ホサナ」、ヘブライ語で「救い給え」)を描くことで勝利者のレトリックに陥ることを避けた。

むしろ私は、"Easter of Easters"を反映させることにした。カトリック信仰の基盤、"Quando corpus morietur"という詩の暗闇の微妙で予想外の変化から、"Paradisi Gloria"という言葉の明るく感動的なハーモニーへ。それらは、アーメンの前、作品の終わりに、子どもたちの合唱団によって歌われる。





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キリスト教の素養のない私のようなものには、この解説を読んでも、イメージが難しいというのが率直なところです。
アルゼンチンに育ったクーラは、自然に、カトリックの宗教的な世界観を身につけて育ってきたのでしょう。作曲作品も、マニフィカトなど、聖書にもとづくものが少なくないようです。

同時にクーラは、マニフィカトの初演の際に語っていましたが、例えば聖母マリアの苦しみや喜び、不安を、現代に生きる人々とかさね合わせて解釈するなど、聖書の言葉や場面を素材としながら、今日の社会と人間性と結びつけて、自らの思いを曲に込めているようです。
次回は、コンサートの様子などを紹介したいと思います。





子ども合唱団とクーラ、指揮者のマリオ・デ・ローズ




*画像は、プラハ交響楽団のFB,合唱団のFBなどからお借りしました。
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2016年 ホセ・クーラ、プラハ交響楽団とユニセフのためのコンサート / Jose Cura & Prague Symphony Orchestra for UNICEF

2016-12-30 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017



2016年12月7、8日、ホセ・クーラは、今シーズン2回目のプラハ交響楽団とのコンサートを行いました。今回は指揮者として、ラヴェルのボレロや、母国アルゼンチンを中心に南米の作曲家の曲を演奏しました。 *今季1回目 → 2016年10月のオペラアリア・コンサート

プラハ交響楽団のHPに多くの写真が掲載されましたので、それでコンサートの様子を振り返りつつ、このコンサートにむけてプラハで公表されたインタビューから、クーラの発言を抜粋して紹介したいと思います。

プラハ交響楽団のシーズン・プログラムから。


≪プログラム≫

●アストル・ピアソラ(アルゼンチン) タンガーソ「ブエノス・アイレス変奏曲」
●アルベルト・ヒナステラ(アルゼンチン) バレエ組曲「エスタンシア」
●モーリス・ラヴェル(フランス) 「ボレロ」
●カルロス・グアスタビーノ(アルゼンチン) 「3つのアルゼンチンのロマンス - 第1番 少女たち」
●シルベストレ・レブエルタス(メキシコ) 「マヤ族の夜」

指揮=ホセ・クーラ  
プラハ交響楽団

2016年12月7、8日 スメタナホール プラハ

ASTOR PIAZZOLLA Tangazo, Variations on Buenos Aires
ALBERTO GINASTERA Dances from Estancia Op. 8a (Czech premiere)
MAURICE RAVEL Bolero
CARLOS GUASTAVINO Las niñas (The Girls), No. 1 from Tres Romances Argentinos
SILVESTRE REVUELTAS The Night of the Mayas, music from the film (Czech premiere)

SYMFONICKÝ ORCHESTR HL. M. PRAHY FOK / PRAGUE SYMPHONY ORCHESTRA
José CURA | conductor

≪コンサートの様子を、クーラのFBに掲載されたニュース動画から≫

クーラが指揮する様子やインタビューが収められた2分ほどのニュースクリップです。
  → リンク クーラのFBの動画にとびます。




≪ユニセフのパートナー≫

今回のコンサートは、ユニセフのためのチャリティーコンサートでもありました。収益の一部が、世界の子どもの命と健康を守るために活動している国際機関ユニセフ(UNICEF:国連児童基金)に寄付されたそうです。

今回のコンサートの際に、クーラはユニセフ・パートナーの認定証(?)のようなものを受けました。








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プラハ響のコンサートマスターと。



――2016年11月にプラハのプレスが公表したインタビュー(「Opera Plus」)より

●私と仕事をするのは指揮者にとって楽なこと

Q、あなたは指揮と作曲を勉強した後、歌い始めた。同僚の指揮者から恐れられたことは?

A、プロフェッショナルとして必要な準備をしている人は、誰も私を恐れることはない。
私は時折、それぞれの反対の側に立つので、求められるものを正確に知っているため、私と一緒に働くのはとても楽だ。
しかし、彼らが、自分が望むものを知っていることが重要だ。あなたが欲しいものを知っていて、そして私が必要なものを知っている時、私たちの優れた協力を妨げるものはない。しかし、その人間が望むものが分からない場合もある。この場合、協力は複雑になる。

●曲の世界初演は子どもの誕生のようなもの

Q、逆に、作曲家としてのあなたは、自作の世界初演の際に、あなた自身が歌う場合は、指揮が他の人に委ねられるが、心配は? それとも友人の指揮者マリオ・ローズだけを受け入れる?

A、私は自分の仕事を、友人のマリオ・デ・ローズだけに結び付けているわけではないが、もちろん、私の曲の初演を行う時には、指揮台に信頼できる指揮者にいてもらいたい。
曲の初演、それは、常に微妙なプロセスであるため、我々は直接的に、難しい問題を話し合う。
また、偉大な作曲家でさえ、テストの過程で、修正や訂正のためもっと多くのことが必要になることがよくある。その瞬間まで、すべてがまだあなたの頭の中にあるために。それからそれが現実のものになった時、あなたは作者として聞き、さらに微調整する必要がある。
あなたは、あなたの心の中にあるものを転送しなければならない。実は、それは、困難ではあるが、非常に美しいことだ。子どもの誕生のように。

偉大な天才のマーラーやプッチーニでさえ、常に何かを修正している。ましてや、私のような普通の人にとっては?
私は指揮者が神経質になることを知る必要がある。私が彼を止めて何らかの要求をしたとしても、それは彼の権威を尊重していないということを意味するわけではない。したがって、私はいつも、私にとって気心の知れた指揮者と仕事をするようにしている。





●いま、オペラの台本を執筆中

Q、現在、新しい曲を作っている?

A、私は悲劇的なオペラの台本を書いているが、それが何であるかを明らかする段階にはまだない。自分自身で台本を書くことやあらすじを編集することは、私が表現したいものに最も適している。もちろんそれは、しかるべき人によるチェックや言語的な訂正を受けなければならない。

Q、台本を書いている?あなたは歌手、指揮者、ディレクター、セットデザイナー...あなたはすべてをやることができると感じている?

A、そうではない。
もちろん私にできることはたくさんある。しかし、実際は、3つか4つのこと、私はそれをうまくやり遂げることができると思う。
しかし、私のまわりにこのような人たちはたくさんいる。ただ私は、他の人と違い、それを公然と示して実行するだけの勇気をもっている。私はいくつかの分野で手足を動かすことを恐れない。

●木工は大好き、しかし車の修理は・・

Q、あなたな非常に多彩なアーティストだが?

A、私は自分の手で作業することが大好き。小さな手工芸品は上手くやれると思うし、木材を扱うのが大好きだ。
しかし、私には完全に欠落している1つの領域があることを認めている――私の車が動かないと、私はその上に立って泣くしかない・・(笑)。





●プラハ響との出会いは運命的

Q、プラハ交響楽団との協力関係はどのようにして?


A、それは運命だった!
しばらく前、オーケストラと同じ航空機に乗り、その時にマネージャーのテレサ・クランプロヴァが私に気づいて話かけてきた。2日後、私は会議に招待された。
契約は非常に簡単で迅速だった。なぜなら両方の当事者に利益があったからだ。私は主にオペラの世界で外国に行っているが、ここで私はシンフォニック・ミュージックの分野ですばらしい機会を開くことができた。

Q、プラハ響のレジデントアーティストとして2期目だが、コンサートはどのようにして?

A、私たちの仕事は、プラハ響のリーダーシップに常に新鮮で新しいものを発案しようとしていることだ。「ただのコンサート」だけではなく。
コラボレーションはラフマニノフの交響曲から始め、したがって私たちは、高いバーを置いた。プラハ響の代表者とともに、常に、あたらしいピークを一緒に登ってきたので、退屈はなく、それは一種のクレッシェンドに成長した。
私は、聴衆に、私が間違いなくユニークな何かを行うだろうことを保証したい。





●単純で退屈なのは、私のやり方ではない

Q、ラテン音楽を、あなたは他の国では歌手として歌っているが、プラハでは指揮者としてだ。他でやったプログラムを少し変えて持ってくることも可能では?

A、この年齢で、長年のキャリアを経た私にとって、大事なのは、最も簡単な解決策を見つけることではなく、美しさを創造すること。
私は、人々が好む音楽にアクセスすることを望む。私にとっては個人的には難しくなっても、私は気にしない。

単純で退屈なのは、私のやり方ではない。より軽くより簡単な生き方をするのは、私が死ぬまでの間にまだ時間がある。(笑い)
私の人生はこれまでのところ容易ではなかったし、私はそれに満足している。私は15歳でステージにデビューし、それから29年間の国際的キャリアを開始した。音楽活動は約40年間になる。

私とプラハ響は、まだ協力の第2シーズンだ。ラテンアメリカの歌を歌うことなどは、いつか将来的にプログラムに含まれるよう、我々が、まだこの先に多くを持っていることを願っている。





Q、12月5日のあなたの誕生日と今回のコンサートは近いが、あなたが作曲したオラトリオの初演がないのはなぜ?

A、確かに残念だが、私たちは考えていなかった...しかし、それはよかっただろう。

Q、あなたの公式カレンダーでは、2017/2018シーズンも、プラハ響に引き続き協力することがわかるが、あなたのコラボレーションの期間は?

A、契約は3年間を含んで締結されている。
しかし私は、3年後も、私たちの協力が終わらないことを願っている。私は、その先も、少なくとも1年に1回、プラハ響と一緒にコンサートができるよう望んでいる。
今私たちがやっていることが、将来も継続していく、その始まりにすぎないなら、私はうれしいと思う。





Q、2017年6月16~29日に、あなたはベルギーのリエージュで、あなたの最も有名な役、ヴェルディのオテロを演じる。長年オテロをやってきて、まだ改善する点がある?それとも完全にルーティン?

A、それは一般の人には信じられないかもしれないが、このオテロの役柄では、私は、まだ毎回、演じるたびに新しいものを取り入れようとしている。オテロは、常に何かを見つけることができる優れた役柄だ。

それはまた、結局のところ、時がたつにつれて、私の人生経験は異なっていき、私は別の観点からこの役柄を見ている。かつて私は、35歳の時に、50歳の男であるオテロの役に初挑戦し、髪とひげを灰色に染めなければならなかった。
今私は、彼と同じ50代の1人となり、何も染める必要はなく、50代の彼が感じることについて、自分自身が感じるので、熟考する必要はなくなった。例えば、立ち上がる時、膝の痛みを感じ、朝起きて、何か急いで「動き」をしようとすると全身が痛くなり、体は別の言葉を話す。

ちょうど1年前、ある批評家がブダペストで、私のオテロについて、歌だけでなく興味深いボディーランゲージが完全に賞賛されるべきと書いた。私は、彼のこの体の痛みを感じることができる――オテロはマンリーコやカラフのような、若いヒーローのロビンフッドのタイプではなく、ある問題を抱えた男だ。この役柄の進化は複雑であり、勇敢で、価値のある指揮官であるが、人間的には貧しく、嫉妬深い夫、臆病な殺人者であり、自殺に至る。

Q、2015年1月、プラハ国立オペラの舞台でオテロを歌うのを見た。どうやって体を横たえて歌うのか?

A、堅実な技術を持っていれば、ステージ上で違ったことを試みることができる。それは技術的には難しいことだが、不可能ではない。
私の名前は幸いにも、リスクを取り、珍しい作品を見せてくれるものとして言われている。
無名の若いアーティストが挑戦するには勇気が必要なことだろう。あなたが初心者でパフォーマンスで失敗したら、批評家はあなたを踏みつけ、キャリアを破壊する。
尊敬されるアーティストとして、私はさらに進んでいくことができる。観客は、私が可能なことの境界を押し広げようとし、それを観客のためにやっているということを理解してくれるだろう。もし私が何かを完全に歌うのに失敗しても、それは私が歌うことができないという意味ではない。私はリスクをとり、何らかのミスがあっても、許されるだろう。





Q、最もあなたを驚かせたオテロのプロダクションは?

A、私はいくつかのプロダクションについて長く話すこともできるが、プロフェッショナルな倫理綱領は、記録のうえで、その質問に答えるのを妨げている!(笑い) しかし、私のキャリアの上では、非常に良くない、いくつかのプロダクションでオテロを演奏したことを認めなければならない。

Q、あなたのキャリアで最高のオテロのプロダクションは?

A、明らかに私自身のもの!(笑い)

Q、あなたはブエノスアイレスのテアトロコロンでオテロを演出した。これは2013年のオペラ作品の投票で最高のものとして国際的に認められた。インタビューで「誰もが自分の国の預言者ではない」と述べたが、それは今も同じ?

A、部分的にはまだ変わっていないと言える。アルゼンチンの聴衆は私を愛してくれている。批評と行政については常にそうはいえない。
その多くは政治。しかしそれは、地球全体で動いている。
今、私がいる、ここチェコ共和国でも、興奮している人々は一部であり、そして、他の部分は、人々は楽しんでいない。それはゲームの自然な一部。
コロン劇場でのオテロのプロダクションの6公演はすべて完売し、スタンディング・オベーションを受けた。しかし批評は賞賛しなかった...。

Q、批評を読む?役に立つ以上に落胆することは?

A、それは私の仕事の重要なフィードバックなので、私はすべてを読んでいる。
しかし批判的な視点で見るので、私は、悲しみや落ち込んで失うものは何もない。兵士は自分がどこにいるのか知らずに戦争に行くことはできない。
あなたがレビューを本当によく読んでいれば、誰が二次的な目的を追求し、指示され、支払われた人物なのかわかる。それは悪いことだ。そのようなことをよく知り、名前を覚えて、それらから自分自身を守る。
しかし、著者がある作品や公演が好きではない場合、そうしたレビューを積極的に受け入れることは問題はない。これらは私の敵ではない。
そこには私の芸術作品の真実で正直な評価がある。





Q、この間、どんなオペラのプロダクションがあり、今後、何をしようとしている?

A、2015年の9月から10月初めにかけて、ベルギー・リエージュのオペラ劇場で、プッチーニのトゥーランドがあった。ここで私は演出と舞台デザインをし、カラフを歌った。
来年2017年、ドイツのボンで5月と7月に、ブリテンのオペラ「ピーター・グライムス」を準備している。そこでは、舞台デザインと演出をし、タイトル・ロールでも私のデビューになる。

Q、演出、セットデザイナーとして、あなたはオペラの現代的なコンセプトを好む?それとも伝統的なもの?

A、私は特にこの部門について、古典的か現代的かで、好みがあるわけではない。私は知性的なコンセプトを好んでいる。
生産が知的であれば、伝統的でありながら、新しく、現代的で、前衛的であることができる。重要なのは知性だ。
プロダクションが伝統的でかつ愚かな場合は、確かに気がつく。 現代的で愚かな場合はそれも登録される。
逆に、観客が知的なショーと見なしている場合、あなたは懸念することなく、穏やかに受け入れる。
問題は、今日において、オペラの台本を全面的に保持するインテリジェントなコンセプトを作り出すことだ。
時には、コンセプトがショーの最初の10分のためだけが良いオペラを見ることがある。ステージの3時間を、同じ強度で保つことができるコンセプトを作成することが非常に重要だ。これが私が知性と呼ぶものだ。





Q、プラハ国立歌劇場との協力について交渉は?

A、このオペラハウスは現在閉鎖されているため、状況はより複雑だが、プラハ国立オペラ座のリーダーシップで、私たちは、少しずつ、協力について話し合っている。多分、12月にインタビューをしたなら、もっと言えることがあっただろう。
プラハ国立歌劇場が、私の複数の能力を使い、複数の仕事をやることができたら嬉しい。
個人的には、チェコ共和国とプラハは、現在のウィーンのように、注目に値すると思うし、これまで同様に手伝いたいと思う。この小さな国には、作曲家、歌手、指揮者など、数多くの偉大な音楽がある。今日でも、プラハ交響楽団やチェコ交響楽団など、多くの偉大な指揮者とオーケストラがある。プラハには2つのオペラハウスがあり、地域内には他に3、4つの有名なオペラハウスがある。あなたたちは非常に豊かな国だ。特にアートとクラシック音楽において。

Q、チェコの聴衆は他の国と比べて違いがある?私たちは南部のあなたと比べて、クールすぎる?

A、私はクールな、またはぬるま湯の聴衆から、舞台のエネルギーによって強い反応を呼び起こすことができる。
私が1998年に初めて日本に行った時、私は、聴衆は静かだと警告されていた。しかし、それどころか、驚いたことに、日本人はフットボールのフーリガンのように座席に跳ね上がったことを覚えている。 → 初来日の新国立劇場開場記念のアイーダについて 
また、チェコの観客は情熱的であり、それは間違いなく、この国のクラシック音楽の伝統と関連している。あなたたち聴衆は、他国と比較しても非常に教育を受け、訓練を受けていて、関心をもってコンサートやオペラに行く。そして、メトロポリタンオペラやスカラ座でしばしば起こるようなことはない。チェコの聴衆は、オーストリア、ドイツ、スイスと同水準で、イタリア、スペイン、ギリシャとは全く違っている。
北部の観客はシンフォニック・ミュージックに焦点を当てており、南部は主にオペラを志向している。
私はまた、南部の聴衆の拍手が驚くほど自発的ではないことを観察している。隣の人が立ち上がって「ブラボー」と叫ぶか、それとも批判をするかどうか、人々は慎重に周りを見回す。そして、それがまさに主要なオペラハウスだ。
たとえば、スカラ座では、パフォーマーのアーティストに向かって、一部の聴衆の側がいじめをすることさえある――マリア・カラスやルチアーノ・パヴァロッティなどの名前を含め、それぞれのアーティストに、それに関する経験がある。





Q、チェコ語は?

A、チェコ語は学んでいない。あなたたちの言語は重すぎる。
かつてドヴォルザークのラヴ・ソングを歌った。言葉のコンサルタントをもっていたが、発音が完璧だとは思っていない。
実際のところ、英語の歌を歌うことは、大きなチャレンジだ。

Q、若い時に反逆者だったが、あなたは今はより控えめ?年をとったことに反感を感じる?

A、私はまだ反逆者だ。
違いは、私が若かった時は "ロマンチックな反逆者"だったが、今私は、"ストイックかつ実用的な反逆者 "だ。
私は、物事のいくつかは一笑に付すことを学び、エネルギーを不必要に無駄にしないようになった。

(終)





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実は、ラヴェルのボレロの演奏の際に、ユニークな演出があったようです。
指揮者であるクーラは、なぜか観客席に?



ボレロと言えば主役である小太鼓。ドラムの奏者を指揮台に座らせ、そのリズムによってオーケストラをリードさせたということでした。
現地で観賞したファンの方によると、曲の間、クーラは客席に座って、いっさい指揮はしていなかったとのこと。リハーサルでしっかり指示を伝え、本番では、この曲とドラムに敬意を表して、ドラム奏者を主役にするという、いかにもクーラらしい、やり方だと思いました。



ドラムが設置された指揮台の前で、何やら話しているクーラ。






こちらはプラハ交響楽団がアップした、クーラのインタビュー動画です。コンサートのプログラムについて語っています。
José Cura about the programme of his concerts



プラハでは、雑誌のインタビューも受けたようです。






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クーラは12月5日の54歳の誕生日、プラハでオーケストラのメンバーに祝ってもらったみたいですね。(↑上の写真)

実は、12月7、8日のプラハ響のコンサート、その前日の6日まで、クーラはウィーン国立歌劇場で西部の娘に出演していました。海外のファンの情報によると、クーラは11月末からウィーンのオペラ出演をこなしながら、公演の合間をぬって4回もウィーンとプラハを往復して、リハーサルを行っていたとのことです。

体力的にはかなり負担が大きいことと思われますが、何と言ってもクーラ自身が、音楽を楽しみ、オケと観客とともに楽しんだコンサートとなったようです。そのことは、クーラがフェイスブックに紹介した、ある観客からのメッセージにも表れています。


  

「私はほぼ55年間、交響曲を聴いてきた。マエストロ・クーラがプラハ交響楽団を指揮するのを見ることは、私に、ニューヨーク・フィルを指揮するレナード・バーンスタインを思い起こさせた。彼(クーラ)は常にオーケストラを楽しんでいるように見え、さらに重要なことに、オーケストラは本当に彼のために演奏することを楽しんでいるように見える。 昨夜のコンサート(2016年12月8日)は、シーズンのハイライトの1つであり、その後、約15分の喝采が続いた。ブラボー!」

多くの実りをもたらしているクーラとプラハ響とのコラボレーション、次回は、2017年の3月8、9日、クーラ作曲のオラトリオ「Ecce homo」の世界初演のほか、サティやレスピーギの曲をプログラムに、クーラは歌と指揮を行います。これもまた楽しみです。 → 今シーズンのプラハ響とのコンサートについて

また今回のインタビューでは、初来日の際の日本の聴衆の熱狂ぶりについて語っていたのが印象的です。クーラの記憶にも残る出来事だったのですね。





*画像はプラハ響のHPやクーラのFBよりお借りしました。
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2015年 ピエタリ・インキネンとホセ・クーラ プラハ響とクーラ作曲作品を初演 / Jose Cura & Pietari Inkinen /

2016-09-17 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017



9月に日本フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者に就任したピエタリ・インキネン。インキネン氏は、2015年秋から、チェコのプラハ交響楽団の首席指揮者も務めています。
ホセ・クーラは、2015/16年シーズンから3年間、インキネン氏率いるプラハ響のレジデント・アーティストとなりました。歌、指揮、マスター・クラスとともに、毎年、クーラ自身が作曲した作品の世界初演に取り組むということが契約に盛り込まれているそうです。

すでに2015年10月、2016年2月の2回のコンサートを実施し、次回は、今年10月にオペラアリアコンサート(プラハ響HP)の予定です。

*2016年2月のコンサートとマスター・クラスの様子は → 「2016年2月プラハ交響楽団を指揮 スメタナ・ホール」
*今季2016/17年シーズンの予定は → 「2016/17 プラハ交響楽団で指揮、作曲家、歌手として」

この投稿では、2015年10月7、8日、インキネン氏の指揮で、クーラが共演したコンサートの様子を紹介したいと思います。

JOSÉ CURA
Smetana Hall, Municipal House 7.10.2015 19:30 , 8.10.2015 19:30
MAURICE RAVEL /Pavane for a Dead Princess
JOSÉ CURA / If I die, Survive me! (world premiere of the orchestral version)
JEAN SIBELIUS / Symphony No. 1 in E minor op. 39
José CURA = voice of Pablo Neruda
Zlata ADAMOVSKÁ = voice of Matilde Neruda
SYMFONICKÝ ORCHESTR HL. M. PRAHY FOK / PRAGUE SYMPHONY ORCHESTRA
Pietari INKINEN = conductor

  


●インキネン指揮によるクーラの「もし私が死んだら」世界初演
コンサートのプログラムには、インキネン指揮のラヴェルの亡き王女のパヴァーヌ、シベリウス交響曲第1番とともに、クーラが作曲した、"If I die, Survive me!"(「もし私が死んだら」)のオーケストラ・ヴァージョンによる世界初演が盛り込まれました。

この曲は、詩人パブロ・ネルーダが妻マチルダとの愛と死を歌った、詩集「愛と死のソネット」92番をもとに、クーラがネルーダの人生を再構成し、作曲したものです。
最初の曲は1995年に書かれました。クーラの1997年発表のCDアルバム「アネーロ」に収録されています。少年時代から指揮者、作曲家志望だったクーラの思い入れがたっぷりつまったCDです。アルゼンチンの音楽家とも共演していました。
さらに2002年に他の4つの詩に作曲し、2006年に全体が完成しました。今回さらにオーケストラ版にし、世界初演を迎えました。



こちらがCDに収録された原曲です。クーラが歌っています。
José Cura - Sonetos de Amor y Muerte


パブロ・ネルーダは、チリの民主化のためにたたかった国民的詩人であり、ノーベル賞受賞者です。クーラの出身アルゼンチンと同じ南米出身、そして平和と愛のためにたたかう思いは、クーラとも根底でつながっています。
クーラはCD「アネーロ」のなかで、こういう言葉をかかげていました。
「人々の心に平和の種をまき、それが育つことができたら、自分のアーティストとしての存在意味がある」
この初心は、今も変わっていないように思います。

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●ネルーダへの思い、作曲にあたって――インタビューにこたえて
――色彩、透明でクリスタルなサウンドを心がけた
曲は、もともと歌手、女優とピアノのために書いた。オーケストラ・バージョンは大きな課題だった。非常に親密な音楽なので、主に色彩と、透明でクリスタルなサウンドを心がけ、仕事をした。
パブロ・ネルーダの詩は非常にエモーショナルであり、ステージ上であまりにそれに入り込みすぎないよう、注意深くする必要があった。詩の言葉が、本当に観客の胸を打つように、私は音楽に妥協点を見つけたと思う。



――私の心と魂にふれてほしい
ネルーダの詩に曲をつける時、きわめて注意深くなればいけない。クリスタルガラスの間を歩くようなもの。彼の言葉、詩はとても豊かで、完璧だから、すべての音が聴衆の注意をそらすリスクを負う。
作曲のきっかけは1995年、パレルモでフランチェスカ·ダ·リミニに出演していた時。幕間に楽屋に差し入れられた一冊の詩集が、ネルーダのものだった。感動し、すぐに作曲した。

私の曲で、私の心と魂にふれてほしい。ネルーダのドラマの中で、親密な愛の物語を描きたかった。
この作品は音楽だけでなくドラマ。パブロと妻との会話だ。人間が書くことができる最もロマンチックで官能的な言葉。

――プラハ響との記者会見で
観客を驚かせたい。通常のコンサートだけでなく、特別なイベントを準備する。10月には、詩人パブロ·ネルーダと彼の妻についての音楽ドラマを初演する。

常任指揮者インキネンとの連携を楽しみにしている。
フィンランドからアルゼンチン、事実上、地球全体をまわる。年をとった自分と若い専門性の高い指揮者との興味深い体験だ。





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コンサートの街頭ポスター


●大きな成功
コンサートの様子。インキネンが指揮し、クーラとソプラノが、ネルーダと妻役で歌った。







コンサートは大きく成功、ホセ・クーラも歌で出演して、喝采を受けました。「歌手クーラ構成のドラマは大成功」とレビューも。
観客から拍手を受ける首席常任指揮者のピエタリ・インキネンとホセ・クーラ。







コンサート後のレセプションで談笑するホセ・クーラ。


フィンランドの関係団体主催のレセプションの動画
Concert José Cura and Pietari Inkinen 8.10.2015


 

終了後のサイン会




リハーサル中のインキネン氏とクーラの様子、クーラのインタビューを伝えたニュース動画。
José Cura , Pietari Inkinen 2015 concert


 



インキネン氏がいよいよ日本フィルの常任指揮者に就任しました。インキネン氏との縁とつながりで、日本でも、このようなコンサートが実現しないものでしょうか。
それはともかく、クーラは、歌、指揮、作曲、演出・舞台デザインと、多面的な活動がますます発展しつつあります。この間、同年代のオペラ歌手の急逝のニュースが相次いだこともあり、くれぐれも、身体に負担をかけすぎることなく、元気で、長く、このユニークな活躍をつづけてほしいと心から願っています。


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2016/17 プラハ交響楽団で指揮、作曲家、歌手として Jose Cura with Prague Symphony Orchestra

2016-04-10 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017


プラハ交響楽団の2016/17シーズン・プログラムが発表されました。ピエタリ・インキネン率いるプラハ響に、ホセ・クーラがレジデント・アーティストになって2シーズン目です。今期も、指揮やクーラ自身の作曲作品の初演、また歌もふくむ3回の企画で、各2回ずつの6公演です。

インキネンは日本フィルハーモニー管弦楽団の首席常任指揮者にも就任。日本からも注目されている若手指揮者です。2015年10月にはインキネンの指揮のプラハ響で、クーラが作曲した「もし私が死んだら」オーケストラ・バージョンの世界初演も実現し、クーラも歌手として出演しました。来期は残念ながら、インキネンとクーラの共演はないようです。

 →プラハ交響楽団2016/17シーズン・プログラム(PDF)  →プラハ響HP




●2016年10月19、20日 若手アーティストとのコンサート
来期の出演は、まず今年2016年10月19、20日のコンサート。これはクーラが実施したマスタークラス(今年2/13~18)で選抜した若手アーティストとのガラ・コンサートのようです。
プッチーニ、ヴェルディ、ビゼー、レオンカヴァッロなどのオペラからの曲で、クーラも歌うそうです。


2016/2 クーラによるマスタークラスの様子。若い指揮者、歌手などが対象。

マスタークラスの最終日、ファイナルコンサート出場が許された若手アーティストとクーラ。この人たちがガラに出演する?

マスタークラスの様子を伝えたチェコのニュース映像。
Jose Cura Masterclasses


●2016年12月アルゼンチン音楽/ユニセフのためのコンサート
2回目は2016年12月7、8日。ユニセフのためのコンサートと銘打たれています。チャリティーコンサートでしょうか。内容は、クーラが指揮し、ラヴェルのボレロの他に、ピアソラやヒナステラ、カルロス・グアスタビーノなどのアルゼンチン音楽です。

ASTOR PIAZZOLLA Tangazo, variace na Buenos Aires
ALBERTO GINASTERA Tance z Estancie op. 8a (ceska premiera)
MAURICE RAVEL Bolero
CARLOS GUASTAVINO Divky, c. 1 ze Tri argentinskych romanci
SILVESTRE REVUELTAS Noc Mayuu, hudba k filmu (ceska premiera)


このコンサートでは指揮だけですが、クーラは母国アルゼンチン音楽の紹介に非常に熱心で、世界各地で機会があればアルゼンチン歌曲のリサイタルをしたり、またオペラコンサートのアンコールで歌ったりもしています。
2010年 Jose Cura "Somos novios" & "Esta tarde vi llover"


●2017年3月クーラ作"ECCE HOMO"世界初演
3回目は2017年3月8、9日。クーラが作曲したオラトリオ"ECCE HOMO"が世界初演となります。
そのほかに、サティのジムノペディ、レスピーギの教会のステンドグラス。
クーラは指揮をするとともに、歌でも出演するようです。

Erik Satie Gymnopedie (orch. Claude Debussy)
Ottorino Respighi Church Windows
JOSÉ CURA Ecce homo, oratorio (world premiere)


クーラの"ECCE HOMO"=エクセ・ホモ「この人を見よ」は、アルゼンチン在住時代の1989年に作曲。少年時代から指揮と作曲を学び、大学でも指揮、作曲を専攻したクーラは、渡欧して本格的にテノールの活動を始める前に、多くの曲を作曲しています。そのなかから、このプラハ響のレジデント契約の3年間に毎年、作品の初演をするということになっています。
「この人を見よ」は、新約聖書に描かれた一場面、鞭打たれ傷ついたキリストの受難を描いたもので、多くの絵画で描かれてきたそうです。クーラはこれをもとにオラトリオを作曲、ソプラノ、アルト、2人のテノールとバリトン、さらにプラハ・フィルハーモニー合唱団と子ども合唱団が参加する予定です。どうやらここで、クーラがキリスト役で歌うようです。

レスピーギはクーラがよくコンサートで指揮する作曲家です。とりわけ「ローマの松」はよく演奏しています。
2001年、レスピーギのローマの松を指揮、オケは3年間首席客演指揮者を務めたシンフォニア・ヴァルソヴィア。
Jose Cura, " Pini di Roma " - Respighi, 2001


プラハ響の本拠地、チェコのプラハにあるスメタナホール。


来期も、指揮、歌唱、作曲作品の世界初演と、クーラの多面的な魅力を発揮する盛りだくさんのシーズンです。会場はプラハのスメタナホール。放送や録音、オンデマンド放映などがないのが非常に残念です。なんらかの形で、この3年間の成果をまとめて、視聴できるようにしてほしいものです。

ピエタリ・インキネンとホセ・クーラ


*写真はプラハ交響楽団のHPなどよりお借りしました。
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2016年2月プラハ交響楽団を指揮 スメタナ・ホール FOK Prague Symphony Orchestra

2016-02-15 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017

ホセ・クーラは現在53歳。50代になったここ数年、オーケストラの指揮、オペラの演出に活動の軸足を移しつつあります。来日がなく、日本ではマスコミに情報が全くのらないので、「クーラは今どうしているの?」と思われる方も多いかと。もちろんヨーロッパを中心にオペラ出演も精力的に続けてますが、かつてに比べると歌手としての活動は抑え気味で、総合的な活動のバランスをとっているようです。

今シーズン(2015年秋~)から3年間、チェコのプラハ交響楽団とレジデント・アーティストの契約をしました。主席指揮者のピエタリ・インキネン氏率いるプラハ響とともに、主に指揮者として、また作曲家クーラの作品の演奏、マスタークラスの先生として、そして時には歌手として活動することになっています。

昨年10月に第1回目のコンサート(いずれ紹介する予定)、そして現在(2016年2月)は第2回目のコンサートとマスタークラスを実施中です。次回3回目は2016年10月予定。

今回の日程:指揮者としてコンサート(2/10,11)、マスタークラス(2/13~18)
コンサート演目:レスピーギ「夕暮れ」、クーラ作曲「マニフィカト」、ラフマニノフ交響曲第2番など
コンサートは大好評だったようで、「本当に華麗なパフォーマンス」「このような自然で純粋な音楽性は文字通り本当にまれ」「この夜は確かに最も記憶に残る」など書いたレビューもありました。

FOK Prague Symphony Orchestra
Jose Cura (conductor)
CzechChildren'sChoir smetana Hall

クーラ作曲のマニフィカトに出演するプラハの子ども合唱団とリハーサル中


クーラのコンサートを告知するプラハ響のポスター


2/10のコンサートの様子を報道したプラハのニュース映像(YouTubeより)
Jose Cura concert , 10 Feb 2016


2/10チェコのスメタナホールでの様子。プラハ響と大人と子どもの2つの合唱団、メゾソプラノ、ソプラノのソリストが参加


左:終演後、チェコ子ども合唱団と記念撮影
右:コンサート後に拍手を受けるホセ・クーラとオケ、出演者たち


合唱団とリハーサル


リハーサルの様子を報道したチェコのテレビニュース(Youtubeより)


*写真はプラハ交響楽団やチェコ子ども合唱団のフェイスブックなどからお借りしました。
コメント (2)
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