人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

1996年 ホセ・クーラ、マスカーニのイリスに出演

2019-02-08 | オペラの舞台―その他




今回は、クーラのキャリア初期の舞台、マスカーニのオペラ、イリスについて紹介したいと思います。

1996年1月、ローマ歌劇場での公演です。クーラは当時、33歳、アルゼンチンから欧州に渡って5年目の年です。

このオペラ、あまり上演されない珍しいオペラだと思います。クーラもこのローマのプロダクションが最初で最後だったのではないでしょうか。
物語は、日本の江戸が舞台。大坂と京都という名前の2人によって、イリス(アヤメの意味)という娘が誘拐され、遊郭に売り飛ばされ、最後は身投げをして死んでしまうという、とても痛ましい物語です。
しかし、このようなどろどろした悲惨なストーリー、舞台設定ですが、マスカーニの音楽はとても美しく、時に非常に切なく、素晴らしいものです。


演出はクーラと同郷のアルゼンチン出身のウーゴ・デ・アナ。
クーラは、その2人組の大阪役、金持ちで好色の若旦那という役柄です。
写真でご覧の通り、白塗りにちょんまげ姿、着物に羽織、袴という姿で登場します。日本人としては、ちょっと何とも言えない感じもしますが、クーラのちょんまげ着物姿、意外と悪くない(笑)のではないでしょうか。




≪全曲盤CDにも≫

この時の舞台の録音がCDにもなっています。
主人公のイリスがダニエラ・デッシー、大阪がホセ・クーラ、芸者の置屋の主人である京都がニコライ・ギャウロフです。
中丸三千絵さんも芸者役で出演されています。
残念ながらすでに入手は困難です。時折、ネットでとんでもない高額で出品されていることもありますが、とても買えません。




1996 - BMG - Ricordi
Running time: 126 min.
Artists: José Cura, Daniela Dessí, Roberto Servile, Nikolai Ghiaurov
Conductor: Gianluigi Gelmetti
Orchestra e Coro del Teatro dell'Opera di Roma


≪貴重な録画≫

幸いにして録画がネットにアップされています。画質はあまりよくありませんが、こうやって見られるだけでも本当にありがたいです。
あまり上演機会がない珍しいオペラなので、ぜひ、まずは次の録画――大阪のアリア「窓を開けて」をご覧ください。

第1幕で、イリスを誘拐するために人形芝居をうつ場面で大阪が歌う歌です。この難易度の高いアリア「窓を開けて」をクーラはらくらくと歌い、オケからも喝采を受けています。この頃のクーラの声は、秋の空のように輝かしく澄みわたっています。

Mascagni Iris/ Jose Cura - "Apri la tua finestra!"


その続きの場面
Mascagni Iris/ Act1 e questa poesia /Dessi,Nakamaru,Cura




≪「イリスは素晴らしい」とクーラ≫

ストーリーとしては少し難があるように思われるオペラ、イリス。クーラもこの1度だけしか出演していませんが、マスカーニの音楽については、高く評価をしているようです。もともとヴェリズモが好きで研究を深めてきたクーラ。次のようにヴェリズモとマスカーニ、そしてイリスについて語っていたことがありました。


――ヴェリズモは、"通常の"ロマン派オペラの成果、例えばヴェルディに到達していないのは事実だ。しかし、ヴェルディとワーグナーに達するには200年にわたる進化があり、これまでのすべての作曲家がそこを通過している。ヴェリズモは、音楽を作る方法への反作用として生まれ、それは模索である。その誕生は物議を醸し、平静なものではなく、むしろ伝統に対する反発だった。

その後、アーリゴ・ボーイトがリードしていたヴェリズモが、ヴェルディに影響を与えた。しかしヴェリズモには成熟する時間がなかった。それが洗練されなかった理由だ。ピエトロ・マスカーニは長年活動していたので洗練された。彼の最後のオペラには素晴らしい豊かな色彩がある。イリスは素晴らしい。

ヴェリズモが始まったとき、フランスで印象派が始まり、シェーンベルクがオーストリアに登場した。吸収することがたくさんあった。1900年以降、素晴らしい達成があった。ジャコモ・プッチーニが、「マダムバタフライ」、「トスカ」、「西部の娘」などのオペラを驚くほどの密度で作曲し、「三部作」(1918年「外套」「修道女アンジェリカ」「ジャンニ・スキッキ」)、「トゥーランドット」において音楽的色彩を豊かに洗練した。
(クーラの2017年インタビューより)






≪レビューより≫

「ダニエラ・デッシーと、アルゼンチンのテノールであるホセ・クーラは、スピントの歌のカラーとスタイルをすでに示している。決して容易ではない2つの役柄、イリスと大阪として優れている。」
(「ElPais」1996年1月)

「視覚と音と想像力がすべてうまく結合するケースはめったにない。私自身にとって、このウーゴ・デ・アナによるイリスは、最も重要なイベントの1つだった。そして、ホセ・クーラの個性があり、時々調子のムラはあるものの、しかし、リリックテノールの希少で堅実な音色をもっている。」
(「Corriere della Sera」)

「クーラは素晴らしく、その役柄のうちに合っている。鮮やかな発声、そして華麗な「開放的な」音色がある。」
(「Opera」)

「このレコーディングは、クーラが並外れたクオリティをもち、そしてさらに大きく約束された歌手であることを説得力を持って示している。」
(「Gramophone」)





≪共演したデッシーを悼んで≫

この時、主役のイリスを歌ったソプラノ歌手ダニエラ・デッシーは、惜しくも2016年にガンのために亡くなりました。
クーラはFBで、デッシーを追悼し、マスカーニのイリスで初めて共演、その後も多く共に舞台に出演したエピソードにふれて、深い哀悼を表明しました。





――私がこれを書いている時、20年以上にわたって友人であり同僚であったダニエラ・デッシーの死を知った。
ダニー、友人はそう呼ぶが、彼女は私のリューではなかったけれど、コンサートや貴重な録音のパートナーであった以上に、私の最も偉大なデズデモーナであり、トスカ、マッダレーナ、マノン、イリスの1人だった。
私は彼女の思い出にこのプロダクションを捧げる。
   ホセ・クーラ 2016年8月21日 マドリードにて
(2016年リエージュでのトゥーランドットのクーラによる演出メモより)



≪オペラ全編の録画≫


こちらは全編の録画です。さらに画質、音質が悪いのが残念です。いつまで見られるかわかりませんが、リンクをおいておきます。
できればDVDやCDの復刊などがされるとうれしいのですが・・。


Mascagni - Iris ( José Cura, Daniela Dessí, Nicolai Ghiaurov ) 1996






ローマ歌劇場


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2008年 ホセ・クーラ マスネのル・シッドと父の死 / Jose Cura / Le Cid by Massenet

2017-01-14 | オペラの舞台―その他



ホセ・クーラは、2008年、スイスのチューリヒ歌劇場で、マスネのオペラ、ル・シッドに出演しました。上演されることも少なく、めずらしい演目です。
実はこの出演の際に、クーラは、故郷アルゼンチンに住む最愛の父の死という悲劇にみまわれました。その一報を受けたのは、新プロダクションの初日の幕が開く、その朝だったそうです。

突然の悲報に加えて、めずらしいオペラのために、すぐに代役をたてることもかなわず、クーラは父の死を悲しむ間もなく、初演の舞台にたち、終幕まで歌い、演じました。
その時の舞台について、クーラのインタビュー、レビュー、録音などから紹介したいと思います。


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――2009年8月のインタビューより

Q、チューリヒでのマスネのルシッドの初演の日に、あなたは父親の死を知った。しかし、あなたは歌い続けたが?

A、イエス。それは悪夢であり、同時に、とても特別な状況だった。
この種のメッセージは、予期せずに届くということを直感的に知っていた。
しかし、父が亡くなったとしたら、私は崩れ落ち、一週間は涙にくれるだろうと思っていた。

ル・シッドのプレミアの日に、私は何をすべきか何もわからなかった。また迷ってもいた。
加えて、今私が歌わなければ、公演はキャンセルされた。レパートリーにル・シッドを持つ歌手はいなかったのだ。

途中でたびたび、私は自分自身にいった――"歌っている間、すべてをさらけだそう"。
劇場のマネージャー、アレクサンダー・ペレイラは、開演前に私のことを発表した。
そしてあえていえば、私はかつてないように歌った。いずれにせよ、これまでにないほど激しかった。
確かにそれを繰り返すことはできないだろう。私は、このパートを再び歌う必要がないことを願う。





Q、どんなふうに違っていた?

A、私は歌いながら泣いた。指揮者も泣いていた。観客もそうだった。
私は、終幕後のスタンディング・オベーションが、私のためではなく、私の父のためであったと信じている。
しかも、マスネのル・シッドは、最初から最後まで、父と息子の葛藤を扱っている。思い返せば、父に対するそれ以上の美しい賛辞はあり得なかったと私は信じる。

Q、歌っている作品に不安を感じることはある?

A、少し。アーティストの最も重要な特質、最も特徴的な性質は正直でなければならないことだ。私は本当に精神的に打ち込める何かをしているとき、より正直に、より純粋になる。
私は、限られた数の役柄の間で、あまりに多く歌ってきた。また私は、私の職業の有限な性質、限界に対して敏感だ。
最近亡くなったジュゼッペ・ディ・ステファノは、カラフルで、豊かに変化し、恐らく過度の人生を持っていた。彼は86歳まで生きたが、彼のキャリアのピークは、20年もなかった。
父の死は、全てがいかに有限で、限られているかを、私にふたたび痛感させた。







――2009年1月のインタビューより

Q、音楽のキャリアの始まりは?

A、それを私は覚えていないし、約1年前に亡くなった父にもう尋ねることもできない。
私は父がいつも言っていたことを覚えている。
「OK、ミュージシャンになりたいんだね、それはいい。だが、仕事は何をするつもりかい?」

ステージにあがっていない私の人生を、ほとんど思い出すことができない。ほぼ12歳の時に始めて、今、33年たった(当時)ので、ステージ上の思い出が、それ以前の記憶よりもはるかに長くなっている。
私はただアマチュアとして、コーラス、ポップミュージック、スピリチュアル、ジャズや、それと同じようなものを歌った。そしてブエノスアイレスの音楽学校で学びながら、作曲と指揮をすることが、自分自身を表現する方法だった。

それがなぜ私の職業になったかは思い出さないが、私が15歳の時に、父に「指揮者になりたい」と言ったことをおぼえている。
運命は人を何かに向かって突き動かすものだ。私が勉強をほぼ終えたとき、先生の一人が私に、正しく歌う方法を学び始めるほうがいいと言った。なぜか、私は歌手になりたいとは思わなかった。彼は、ヴァイオリン、フルート、トロンボーンなど、私が演奏できる楽器のすべてを理解することが良い指揮者であることを助けるのであり、それと同様に、歌を勉強することによって、私はもっと良い指揮者になることができると言った。
だから私は、本格的に歌を学び始め、1つのことが別のものにつながった。そしていま私はここにいる。





――2008年、チューリヒの舞台のレビューより

●スター・テノール、ホセ・クーラのためのスタンディングオベーション、エキサイティングなステージ、印象的な音楽!
ル・シッドの初演は、悲劇的な状況の下で行われなければならなかった。・・プレミアの朝、ホセ・クーラの父親が亡くなった。パフォーマンスがまだ舞台で行われているという事実は、すべての参加者のプロフェッショナリズムの証である。
特にホセ・クーラは、この重い個人的な運命にもかかわらず、素晴らしい夕べをつくりあげた。
最後に指揮者ミシェル・プラッソンがステージに来て、クーラを抱きしめた時、劇場中で誰もが胸を熱くした。オーディエンスは、尊敬と感謝の気持ちを込め、ホセ・クーラにスタンディングオベーションで敬意を表した。





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いくつか、チューリヒの舞台の録音(音声のみ)がYouTubeにアップされていますので紹介します。
正規のものではないため、音質が悪いのが残念です。

第1幕 主人公のロドリーグは、父から、父の名誉を汚した相手への復讐を請われる。ところがその相手は、ロドリーグの恋人シメーヌの父だった。苦悩するロドリーグ。父と息子の二重唱。
Jose Cura 2008 Le Cid Act1 duo



第3幕 苦悩の末に、父の名誉のため恋人シメーヌの父を決闘で倒したロドリーグの苦悩。父を失いショックを受け、復讐と裁きを求めつつ、ロドリーグを愛し続けるシメーヌの苦しみ。その2人の二重唱。
Jose Cura 2008 Le Cid duo



第3幕  有名なアリア。戦場に赴くロドリーグの祈り「おお、父なる主よ!」
Jose Cura 2008 "O souverain, o juge, o père" Le Cid



こちらは同じ「おお、父なる主よ!」ですが、コンサートヴァージョン。
José Cura "O souverain, o juge, o père"



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最愛の父の死に直面しながら、舞台に立ち続け、悲しみをすべて歌と演技にそそぎこんだクーラの姿は、劇場のすべての人々に感銘を与えたようです。
プロフェッショナルな舞台人として、当然のことかもしれませんが、本当に、胸に迫るエピソードです。
そういう背景を知って、父と息子の葛藤、父の名誉と恋人との愛の板挟みを描いたル・シッドでのクーラの歌唱を聴いてみると、やはりいつも以上の激しさと悲痛さを感じました。特にクーラが「父なる主よ!」と歌った時、劇場中が涙であふれたと書いたレビューもありました。
映像が何らかの形で公表されることを願います。


 

 



*写真は、クーラのHPなどからお借りしました。
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2016年 ホセ・クーラ ウィーン国立歌劇場にデビューから20年 / Jose Cura 20th anniversary in Vienna

2016-12-02 | オペラの舞台―その他

*2010年、K.S.(オーストリア宮廷歌手)の称号を受けた時の写真


ホセ・クーラは、現在(11月27~12月6日)、ウィーン国立歌劇場でプッチーニの西部の娘に出演中です。  → 12月3日にはライブストリームあり

実はクーラは、このウィーン国立歌劇場にデビューして、ちょうど今年2016年で20年を迎えました。
クーラのハウスデビューは1996年11月、プッチーニのトスカのカヴァラドッシでした。

以来20年間、クーラは、トップテノールとして、世界中のオペラ劇場で歌い演じるなかで、ほぼ毎年、ウィーンに戻り、何年か出演のない年はありましたが、毎年のようにウィーンの舞台で立ち続けてきました。
こうした功績を称えて、2010年には"Österreicher Kammersänger"=K.S. (オーストリア宮廷歌手)の称号が付与されました。
トップの写真が、その際のものです。

先日、クーラは、ウィーンデビュー20周年を記念して、FBページに、ウィーンに縁の深いマーラーの交響曲第2番をクーラが指揮した全曲の動画をアップしてくれました。昨年、ポーランドのノヴィ・ソンチでの演奏ですが、クーラのマーラー、そしてウィーンへの深い敬意を表すものだと思います。
 → クーラの動画ページへ




この20年、クーラのキャリア上では、さまざまなことが起こりました。大ブレーク、世界のメジャー劇場へのデビュー、そして自分らしい芸術の道を歩みたいという思いからエージェントを離れ、独立、様々な困難に直面しますがそれを乗り越え、年を重ね、経験をつみ、アーティストとして、歌手、指揮、演出、舞台デザインなど、多面的に能力を発展させてきました。
ウィーンでも、オペラ指揮者としてデビューし、蝶々夫人を指揮しています。

 → 商業主義の商品にならないと独立独歩の道を選択したクーラの決断についてはこちらを  「ホセ・クーラ スターダム、人生と芸術の探求」
 → 世界的キャリア以前の歩みはこちらを  「ホセ・クーラ 音楽への道」

この20年の機会に、これまでのクーラのウィーンでの公演を振り返ってみたいと思いました。クーラには、残念なことに、ウィーンの舞台の正規の録音・DVDはありません。Youtubeなどの録音・録画と画像を紹介します。


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――ホセ・クーラ、ウィーン国立歌劇場デビューから、20年の歩み

ざっとクーラのHPやネット上の情報からピックアップした、ウィーンでのクーラの出演です。
見落としや間違い、実際はキャンセルなどもあるかもしれませんが、そこはご了承ください。

・1996 November / Tosca Theater Debut
・1997 March,June / Fedora Giordano
・1998 October,November / Fedora Giordano
・1998 September / Carmen Bizet
・2001 January,February / Otello Verdi
・2001 March / Tosca Puccini
・2001 May / Pagliacci Leoncavallo
・2002 January / Pagliacci Leoncavallo
・2003 September / Hérodiade Massenet
・2003 March / Tosca Puccini
・2004 February,December / Andrea Chénier Giordano
・2004 November / Stiffelio Verdi
・2004 November / Pagliacci Leoncavallo
・2005 October,November / Le villi Puccini
・2006 May / Madam Butterfly Puccini / Conductor
・2006 May,September / Le Villi Puccini
・2007 November,December / Tosca Puccini
・2007 November,December / Norma Bellini
・2008 February,March / Pagliacci Leoncavallo
・2008 November, December / Tosca Puccini
・2009 February Stiffelio / Verdi
・2009 February, March / Carmen Bizet
・2009 April, March / Tosca Puccini
・2010 February / Tosca Puccini
・2010 February / Cavalleria rusticana Mascagni & Pagliacci Leoncavallo
・2010 November, December / Manon Lescaut Puccini
・2011 June / Cavalleria rusticana Mascagni & Pagliacci Leoncavallo
・2012 March,April / Tosca Puccini
・2013 May / Andrea Chénier Giordano
・2013 September / Otello Verdi
・2014 September / La fanciulla del west Puccini
・2016 November, December / La fanciulla del west Puccini


こうしてみると、圧倒的にトスカが多いのがわかります。ここにあるのを数えると、8シーズン、歌っているようです。
以下、録画録音などをあわせて紹介します。

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●1996年11月 ウィーン国立歌劇場デビュー プッチーニのトスカ カヴァラドッシ役

クーラのウィーンでのオペラデビューは、プッチーニのトスカ。この時トスカはマリア・グレギーナでした。
クーラは、34歳になる直前。録音だけですが、まだ若々しく、ういういしい歌唱です。

第1幕「妙なる調和」 Jose Cura "Recondita armonia" 1996 Tosca


第2幕 トスカとカヴァラドッシの二重唱 Jose Cura 1996 Tosca Act 1 duet


第3幕 カヴァラドッシ「星は光りぬ」 Jose Cura 1996 E lucevan le stelle Tosca


●1997年、98年 ジョルダーノのフェドーラ ロリス役



●1998年 ビゼーのカルメン ドン・ジョゼ(ホセ)役



●2001年 ヴェルディのオテロ・タイトルロール、プッチーニのトスカ、レオンカヴァッロの道化師 カニオ役

   

●2002年 レオンカヴァッロの道化師 カニオ役

●2003年 マスネ―のエロディアード ジャン役

 

Massenet Herodiade Wien Staatsoper 2003/Final Part 1


Massenet Herodiade Wien Staatsoper 2003/Final Part II


●2003年 プッチーニ トスカ

●2004年 ジョルダーノのアンドレア・シェニエ タイトルロール



●2004年 レオンカヴァッロの道化師 カニオ役

●2004年 ヴェルディ スティッフェリオ タイトルロール

 

●2005年、2006年 プッチーニの妖精ヴィッリ ロベルト役(プルミエ)

 

Jose Cura "Torna ai felici dì" Le Villi 2005


●2006年 指揮者として、プッチーニの蝶々夫人でウィーン国立歌劇場デビュー

 

●2007年 プッチーニ トスカ

●2007年 ベリーニのノルマ ポリオーネ役 グルベローヴァ、ガランチャとの豪華キャスト

Jose Cura "Meco all`altar di Venere" Norma 2007


Edita Gruberová , Elina Garancha , Jose Cura Norma act1 trio 2007


●2008年 レオンカヴァッロの道化師 カニオ役

●2009年 ヴェルディ スティッフェリオ タイトルロール

●2009年 ビゼーのカルメン ドン・ジョゼ役

カルメンはカサロヴァ、第2幕、カルメンとの二重唱と「花の歌」
Vesselina Kasarova, Jose Cura Carmen Act 2 Duo & "La fleur que tu m'avais jetée" 2009


●2009年 プッチーニ トスカ



●2010年 プッチーニ トスカ

José Cura - "E Lucevan Le Stelle" - Tósca 2,2010


●2010年 カヴァレリア・ルスティカーナ、道化師のダブル主演

José Cura Pagliacci 02/2010


José Cura - "Recitar!.. mentre preso dal delirio" - Pagliacci 02/2010


José Cura - "No, pagliaccio non son"- Pagliacci 02/2010


●2010年 マノン・レスコー デ・グリュー役

José Cura - Manon Lescaut - Donna non vidi mai


●2010年 オーストリア宮廷歌手の称号を授与される

La Ópera de Viena premia la carrera del tenor José Cura


●2011年 カヴァレリア・ルスティカーナ、道化師のダブル主演

José Cura - Cavalleria rusticana - Mamma, Mamma! 6.2011


José Cura - Pagliacci - No, Pagliaccio non son 6.2011


●2012年 プッチーニ トスカ

 
 
●2013年 ジョルダーノのアンドレア・シェニエ

Jose Cura "Come un bel dì di maggio" Andrea Chénier 2013


●2013年 ヴェルディのオテロ

クーラのオテロに、イアーゴはホロストフスキー、デズデモーナはアニヤ・ハルテロスという豪華キャスト
  

Dmitri Hvorostovsky , José Cura - Era la notte ... Si pel ciel marmoreo giuro 9,2013


●2014年 プッチーニ 西部の娘 ディック・ジョンソン役



●2016年 プッチーニ 西部の娘 ディック・ジョンソン役



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以上、20年分なのでたいへん長くなってしまいました。クーラのキャリアの大部分、ともに歩み、舞台に立ち続けてきたウィーン国立歌劇場。
今回、はじめてクーラの西部の娘が、ライブストリーミングで映像化されます。あれだけ多く歌い続け、クーラの十八番ともいわれてきた役柄でありながら、正規の映像がなかったので、本当にうれしいです。

今回のウィーンの出演中、12月5日に、クーラは54歳の誕生日を迎えます。
1991年にアルゼンチンからヨーロッパに移住してから25年、ウィーン国立歌劇場デビュー20年。大きな節目を迎えて、ますます、これからも、歌に、指揮に、演出、舞台デザインなどなど、立ち止まることのないアーティストとして、全面的な活動をすすめていくことと思います。



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ホセ・クーラ、美しい声、美しい歌 / Jose Cura Beautiful voice, beautiful singing

2016-11-09 | オペラの舞台―その他



ホセ・クーラというと、最近では、ヴェルディのオテロや、レオンカヴァッロの道化師のカニオなど、ドラマティックで激しい歌唱という印象がつよいかもしれません。
もちろん、オペラのなかのドラマ、人間の感情と生き様を表現できるアーティストとして、抜群の力量、独特の存在感があるのはいうまでもありません。

同時に、私にとっては、クーラの声自体の美しさ、歌唱の美しさが、年齢を重ね、声が重く変化しても、大きな魅力のひとつであり続けています。ドラマを表現するためには、「声を歪ませ、醜い音を出すことも厭わない」というクーラですが、その声の力と魅力は圧倒的だと思います。
今回は、ネットにアップされている音源から、クーラの声の美しさが際立つ、美しい歌声を紹介したいと思います。


●1999年ローマ サンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会でのコンサート ~ ヴェルディ レクイエムよりテノール独唱「われ過ちたれば嘆き」

教会の荘厳な雰囲気のなかで響く、クーラの美しく、りりしい声。これは何度聴いても、本当に美しく、また高音にかけあがる部分がスリリングで、圧倒的です。(2000年としていましたが1999年でした。失礼しました。)
DVD『ホセ・クーラ/聖なるコンサート』に収録されていますので、興味をもたれた方はぜひ美しい録音でお聞きになってください。

Jose Cura "Ingemisco" 1999



●2007年ウィーン国立歌劇場 ~ グルベローヴァ、ガランチャとのベッリーニのノルマ

エディタ・グルベローヴァのノルマ、エリーナ・ガランチャのアダルジーザ、クーラのポリーネと、夢のようなキャストがそろった舞台。コンサート形式で行われました。
まずは、第1幕から、ガランチャとクーラの二重唱。端正なガランチャの歌唱、クーラの男性的でセクシーな声、魅力的な2人です。

Jose Cura, Elina Garancha Norma Act1 duo



ラストのグルベローヴァとクーラの二重唱と合唱。

Edita Gruberová, José Cura Norma last duo



●1997年ミラノスカラ座 ~ ポンキエッリのジョコンダから二重唱

少し若い時代にさかのぼりますが、クーラのスカラ座デビュー、ジョコンダのエンツォ役。第2幕のエンツォとラウラの二重唱を。
みずみずしく強靭な声、若い頃のクーラの声の魅力を伝える歌唱です。ラウラはルチアーナ・ディンティーノ。

Jose Cura Gioconda 1997 (very beautiful love duet)



●1996年ラヴェンナ ~ ムーティ指揮のカヴァレリア・ルスティカーナから「おお、ローラ」

クーラはまだ33歳頃、青年トゥリッドウの許されぬ恋、切々と歌いあげるクーラの歌がまた切ないです。

José Cura "O Lola ch'ai di latti la cammisa" Cavalleria Rusticana



●2009年ウィーン国立歌劇場 ~ カサロヴァ、キューマイヤーとのビゼーのカルメン

また年代は下って、比較的最近ですが、ウィーンで出演したカルメンから、まずは、第1幕、ミカエラとドン・ホセ(ジョゼ)の二重唱。
キューマイヤーの可憐な歌声、クーラとの二重唱が、本当に美しいです。

Genia Kuhmeier / Jose Cura Carmen act1 duo Micaela / Don José



第2幕、カルメンに会いに来たドン・ジョゼ、そして有名なアリア「花の歌」へ。
奔放で個性的なカサロヴァのカルメンとの掛け合いも魅力的ですし、後半の「花の歌」がまた聴きどころです。

Vesselina Kasarova, Jose Cura Carmen Act 2 Duo & "La fleur que tu m'avais jetée"



●2007年ジェノヴァ ~ プッチーニの妖精ヴィッリ

プッチーニのオペラ第1作ですが、本当に美しいメロディがいっぱいです。
ソプラノのチェドリンスとクーラ、ソリストと合唱、美しい声が合わさって、本当にきれいに響き合っています。

Jose Cura 2007 "Padre mio, benediteci!" Le Villi


もうひとつ、ヴィッリからの二重唱を。
Jose Cura Le Villi 2007 Duo



最後におまけ
●2003年 プラハのコンサート ~ ビートルズのイエスタディ(ギター弾き語り)
クーラは12歳からギターを練習し始めたそうですが、その動機は、ギターの上手な友人が女の子たちに人気だったから、だそうです。
ギターをつま弾きながら歌いだし、途中でオーケストラも伴奏に入ります。アンコールの定番でも。

José Cura in Prague - Yesterday


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これまでに紹介したものもありますが、今回は、1996、97、2000、2003、2007、2009年と、クーラのキャリアを通して聴くような形でとりあげてみました。

美しい声、美しい歌というテーマでまとめてみましたが、生まれもっての美しい声という意味だけでなく、年を重ね、経験を重ねながら、誰もが経験するだろう年齢による声の変化、身体的な変化を受けとめながら、歌い手として、技術的にも芸術的にも努力し、発展、進化してきたのだと思います。
同時に、クーラのような魅力ある声は、そうたくさんあるとはいえないと思います。まだ50代半ば、演出や指揮も素晴らしいですが、もっともっと、歌いつづけてほしいです。

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2007年ベッリーニのノルマ グルベローヴァ、ガランチャ、クーラ Norma/ Gruberova, Garanca, Jose Cura

2016-04-24 | オペラの舞台―その他


ホセ・クーラは、“ヴェリズモ・マニア”と自称したこともあるほど、ヴェリズモ・オペラを愛し、道化師のカニオやカヴァレリア・ルスティカーナのトゥリッドゥを長く歌い、それらの役柄を愛してきました。とりわけトゥリッドゥは「最愛のトゥリッドゥ」と表現しています。こうしたヴェリズモ・オペラだけでなく、プッチーニやヴェルディのオテロなどの作品で、感情とドラマを力強く、激しく表現することで高い評価を得てきました。

しかし、このようなクーラのキャリアのなかでも、数少ないですが、いわゆるベルカントオペラに出演したこともあるのです。ベッリーニのノルマ、ベルカントオペラでも後期の作品だそうです。1996年のロサンゼルスと、2007年のウィーンです。

今回紹介するのは、2007年のウィーン国立歌劇場でコンサート形式で行われた公演です。
キャストがなんといってもすごい。ノルマはエディタ・グルベローヴァ、アダルジーザはメゾソプラノのエリーナ・ガランチャ。そしてポリオーネがクーラです。もう二度とこの3人が舞台で揃って歌うことはないのではと思われます。
残念ながら、これも正規のCDやDVDはありません。Youtubeにいくつかの場面の音声のみがあがっているだけです。でもこれが、本当に美しい。美しい曲に、美しい声、美しいハーモニー。あらすじはドロドロの三角関係、嫉妬と愛憎うずまく物語ですが、そこはベルカント、ため息のでるような美しいメロディの連続です。そしてグルベローヴァとガランチャが素晴らしいのはもちろんですが、クーラのポリオーネがまた魅力的です。オテロなどを歌う時とはまた違った、クーラの声と歌唱をぜひ聴いてみてください。

私は、疲れた時、なんだかつらい時、この曲を聴くことがあります。物語の中身は別として、美しい音楽で、なぜか胸の奥が温まってくるような気さえします。
ただし今回あげたのはテノールの入る場面だけで、ノルマの有名なアリア「清き女神」はありません。中心です。 
*6/1 グルベローヴァのアリア「清き女神」を追加しました。
Edita Gruberova "Casta Diva" 2007 Norma



Norma (Bellini)
Norma - Edita Gruberova
Adalgisa - Elina Garanca
Pollione - José Cura
Friedrich Haider
Wiener Staatsoper 16.11.2007

第1幕、ローマの総督ポリオーネ、子どもまでもうけたノルマへの愛が冷めて、若い尼僧のアダルジーザを愛していることを友人に告白する場面。
Jose Cura "Meco all`altar di Venere" Norma


第1幕、アダルジーザに対し、2人でローマに行き幸せに暮らそうと口説くポリオーネ。美しくセクシーな二重唱。
Jose Cura, Elina Garancha Norma Act1 duo


ノルマの家でかちあってしまった3人、ポリオーネに裏切られ復讐を誓うノルマ、開き直るポリオーネ、茫然とするアダルジーザがそれぞれの思いをぶつけあう、ドラマティックな三重唱。
Edita Gruberová , Elina Garancha , Jose Cura Norma act1 trio


嫉妬に燃えたノルマが、最後に2人を許し、自らこそ裏切り者だと火刑台にすすもうとする。悔いたポリオーネもともに火刑台に。ラストの場面。
Edita Gruberová, José Cura Norma last duo


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このような素晴らしい舞台がCDやDVDにもならず、数多く埋もれていると思います。ウィーン国立歌劇場はライブ中継を開始し、アーカイブ化をすすめていますが、こうした過去の作品もできるだけ多く観賞できるようにしてほしいものです。



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