人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(インタビュー編)2021年 ホセ・クーラ、マスタークラスをマルタフィルハーモニー管弦楽団と

2022-06-05 | マスタークラス

 

 

 

今回は、ホセ・クーラが2021年10月25~30日に、マルタフィルハーモニーと取り組んだマスタークラスに関して、メディアのインタビューに答えた記事から抜粋して紹介したいと思います。

マスタークラスについては、「写真と動画編」、「告知編」で紹介しています。

またこれまでのマスタークラスでは、ブログ内でもリンクを紹介していますが、2019年のBBCカーディフ国際声楽コンクールでの様子が全編動画で視聴できます。最高に面白いので、ぜひご覧ください。 「2019年 ホセ・クーラ、BBCカーディフ国際声楽コンクールでマスタークラス

 

 

 


 

 

 

 

 

≪ オペラを教える仕事ーーテノールのホセ・クーラが自身の考えを語る ≫

 

 

世界的なオペラスターであり、指揮者でもあるホセ・クーラは、オペラのキャラクターの独創的な解釈、革新的なコンサートのプロダクションと情熱的な指揮で知られている。今回は、マルタ・フィルハーモニー管弦楽団が開催するマスタークラスを前に話を聞いた。

オペラのテノール歌手、指揮者、演出家、舞台美術家、写真家として有名なホセ・クーラは、その総合的な指導法でも知られている。マルタ・フィルハーモニー管弦楽団の企画で、10月の最終週にクーラは、一連のマスタークラスを開催し、ゴゾ島のアストラ劇場で参加者によるクロージング・コンサートが行われる予定だ。

クーラは、自身の教育スタイル、とりわけ幅広い知識からの非凡な視点に関連して、自分の教え方は、本質的に、これらの多様な分野での経験と関連していると語った。

 

          *   *  *  *  *

 

「現在のアーティストとして、また1人の人間としての私は、さまざまな異なる分野で経験してきたことの結果だ」と彼は語り始めた。

「私は、このような総合的なアプローチなしには教えることができない。私が唯一気をつけているのは、生徒が対処する準備ができていないことで無理はさせない、ということだ。学生が不安になるだけだからだ。その時に教える必要のないことを隠すのは、その時に必要なことを教えることと同じくらい重要だ」

 

さらに続けて、教えるという行為は、教師ではなく生徒を中心に考えるべきだと強調した。

「教えることは、教師が自分の広い知識を自慢するためではなく、成長しつつある植物が、可能な限り最高に伸びていくように支えるもの。しかし、花を咲かせるために必要な努力をすることは、植物自身の責任だ」

クーラは、生徒がマスタークラスに参加する前に十分な技術を持っていることが不可欠であると説明し、これが主催機関に求められる条件であると述べた。ホセ・クーラは、20年以上の多彩なキャリアを持つ。

「そうでなければ、マスタークラスではなく、ビギナーズクラスしか提供できない」と説明する。

「この違いは非常に重要だ。適切な道具があれば、数日で家を取り壊すことができるが、同じ期間に家を建て直すことはできない。教える側としては、若い歌手のテクニックをひっくり返してしまったら、彼らと一緒に再構築するのに必要な時間を割けなければ、かえって害をもたらしてしまうということを意識しなければならない。経験を積むと、何か月もかけて修正する必要のある問題を見極める第6感が身につく。少し微調整するだけで修正できる誤った技術的な行為についても」

 

ーーマスタークラスを開催する最大の目的について

 

クーラは、自分がめざすのは、オペラにアプローチする方法の正しい感覚を養うことだと言う。

「マスタークラスの時間が短い場合は、テキスト、スタイル、フレーズ、ボディランゲージなどの観点から、どのようにアプローチすべきかを生徒たちに意識させ、後で自分自身によってそれらの要素をさらに深く掘り下げられるようにすることが、私の目的だ。もちろん、誰もが際立った型破りのものを持っているわけではないが、やってみなければ、持っているかどうかはわからない」

クーラは、履歴書に載せるためだけにマスタークラスを受講する学生がよくいると語り、「近道をしたいという誘惑は常につきまとうもの」と述べる。

「一人ひとりが自分の道を歩む。しかし、非常に長いキャリアを持っていることは、私に、物事に対する特別な視点を与えてくれる。私が始めた頃、当時、使用できた唯一の『人工的な』トリックはマイクだけだった。そして私は今もまだ演奏しているが、今の時代、素晴らしい技術的リソースを使って、自分の人生をより楽にしたいという誘惑に抗しがたいものがある...。」

「そのようなリソースは、以前に習得した知識を補完するものとしては素晴らしいが、『将来のアーティスト』にとっては危険なものだ。なぜならば、それを近道として使うことで、若い才能は、高いレベルにおいて吹きつける強風に抵抗する準備ができる前に、『幻想的なピーク』に到達してしまうからだ。」

「歌手が、人間の声の魔法を使って物語を語るコミュニケーターでないならば、歌手とはいったい何だろうか?」


クーラは、今日、人々がまだ名声に値するだけの実力がないうちに有名になってしまうため、ほとんどのキャリアは短命に終わってしまう、と主張する。

「自分の手足を使って山に登ることは、山に登った後に自分をしっかりと地面に固定するための筋肉をつけたいのなら絶対に必要なことだ。これを生徒たちに伝えることができれば、私のマスタークラスは達成されたといえるだろう。」

 

 

 

 

 

 

ーーオペラ歌手 歌うことと演じることについて

 

オペラ歌手は、「歌う役者」と「演じる歌手」の間で、よく揺れ動く。この違いについてクーラは詳しく説明し、「歌手は声だけを極めればいいというものではない」と語った。

「ほとんどの場合、オペラ歌手になるために必要な条件は声だけだったので、私たちにとっての”スター”は、これまで聞いたなかで最も素晴らしい歌手たちだったが、同じ意味で、彼らの多くは俳優としては下手だった。」

「歌唱テクニックの原理を確立した過去の輝かしい歌手たちがいなければ、今日、オペラ歌手としての私たちは存在しなかったという事実を認識し、感謝することは不可欠だ。しかし、私たちの芸術の形態を永続させたいのであれば、現代において、声だけでは十分ではない...。」

「歌手としての技量と俳優としての技量が一致して初めて、そう呼ばれるのに値する、多面的で充実したオペラ歌手になる。そうでなければ、演技のふりをしている素晴らしい歌手だ。」

この点について自分はネガティブではないと強調しながら、オペラの指揮者や、それを導くべきオペラの演出家にもこれらの資質が適用されることが、「オペラが存続する唯一の方法である」と確信していると、クーラは述べた。

また、「普通の歌手と特別な歌手の違いは何か」という質問に対して、クーラは、優れた歌唱技術があることを前提にしたうえで、「違いは、声の美しさだけでは決まらない」と答えた。

「伝説的な歌手の中には、いわば 、より"後天的 "なテイストの声の持ち主もいたが、しかし先に述べた、定義できない "もの "がその違いを生み出している...。ギリシャ人はそれを”χάρισμα”(カリスマ性)と呼び、スペイン人は”duende”(この文脈では『魅惑的な』『魔法の』という意味)と呼んでいる。しかし、一般的に『コミュニケーター』と呼ばれる人たちの違いは、まさにこの点にあるのではないだろうか。そして、人間の声の魔法を使って物語を伝えるコミュニケーターでなければ、歌手とは何だろうか?」

 

ーーコロナ禍の下でのマルタフィルとの出会い

 

この8月に行われたマルタ・フィルハーモニー管弦楽団のシーズン・クロージング・コンサート「グランド・フィナーレ」で、同楽団を指揮した経験について、クーラは、コロナ禍の中でオーケストラと出会うのは理想的な方法ではなかったけれども、それにもかかわらず最終的には、マルタフィルとの関係を深めることがは妨げられなかったと語った。

「COVID-19が蔓延しているという状況下で、私と新しいオーケストラとの出会いとしては、決して理想的な形ではなかったが、私にとってもミュージシャンにとっても、このような普通ではない、快適とはいえない状況のもとで、献身的かつ敬意を持って取り組むことで、すぐにケミストリーがつくられたので、できるだけ早く戻ってきたいと思いながら帰路についた。」

「今回の取り組みが、私たちにとってだけでなく、マルタにとっても、非常に前向きで長期的、専門的な関係の始まりであることを願っている」と彼は締めくくった。

「Mastering the Voice with José Cura」は、10月30日にテアトロアストラで開催されるMPOとのクロージングコンサート(一般公開)で締めくくられる。

 

(「timesofmalta.com」)

 

 

 

 

 


 

 

●アート・文化雑誌『Encore』でマルタフィルCEOジークムント・ミフスッド氏の記事

 

 

 

ーー抜粋

今後、ミフスッド氏は、テノール歌手、指揮者、舞台監督としてオペラファンから賞賛されているクーラ氏との関係が、新たなプロジェクトやコラボレーションに発展し、国際的な評価を得続けるだけでなく、マルタを文化的なハブとしてアピールし、新たな観光客を誘致することを期待している。

「ホセ・クーラがこのように関心を示してくれたことは、非常に心強いことだ。マスタークラスの開催や、学生が最高水準の音楽を学べる適切なアカデミーへの投資など、私たちが取り組めるエキサイティングなプロジェクトはたくさんある」

 

 

 

●マルタフィルを指揮するクーラ

 

最後に、2021年8月にマルタフィルのシーズンクローズコンサートで、クーラが指揮し、ディアナ・ダムラウ、二コラ・テステ夫妻と共演した、とても魅力的なコンサート動画を再度、紹介します。

途中、カルメンのデュエットで指揮者のクーラが飛び入りで歌うシーンもあります。

 

Grand Finale – Malta Philharmonic Orchestra

 

 


 

 

今回のインタビューは、これまでもクーラが強調してきたことではありますが、改めて、歌手やオペラとはどういうものなのか、未来にむけて何をめざしていくのか、そのために若い歌手に求められていることなど、さまざまに語っていて興味深い内容になっています。

今年2022年の8月に開催される、ブルガリアの歌唱コンテストでは、クーラは審査委員長になっています。もともとマスタークラスが好きで、教育活動に情熱をもってきたクーラですが、今後、ますます若手の抜擢、育成、マスタークラスなどに力を入れていくことになると思います。

若い人々を愛するからこそ、一時的に有名になって才能を燃えつきさせてしまうのでなく、じっくりと長い時間をかけて才能を熟成させていくことを願っているクーラ。この夏のコンテストも楽しみです。

 

 

*画像は、マルタフィルと出演者のSNSなどからお借りしました。

 

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(写真と動画編)2021年 ホセ・クーラ、マスタークラスをマルタフィルハーモニー管弦楽団と

2021-11-07 | マスタークラス

 

 

 

2021年10月25日から30日までの1週間、ホセクーラは、マルタフィルハーモニー管弦楽団が主催するマスタークラスに、講師として招かれました。 

*マスタークラスの告知詳細については以前の投稿(「告知編」)で掲載しています。

今回は、オケや出演者が投稿したSNSなどから、マスタークラスの様子を紹介したいと思います。残念ですがマスタークラスそのものや最終日のコンサートの全体の動画は公開されていません。

クーラのマスタークラスは独特で、とてもフランクでリラックスした雰囲気、そしてオペラの音楽と脚本にそってドラマを深く表現する歌唱を追求するユニークなものです。もし興味をお持ちの方がいらしたら、2019年のカーディフ国際声楽コンクールでのマスタークラスが1時間超の動画で現在も公開されていますので、ぜひご覧になってみてください。

*「2019年 ホセ・クーラ、BBCカーディフ国際声楽コンクールでマスタークラス

 

 

 


 

 

 

≪ マスタークラスの様子 ーー SNSより ≫

 

マスタークラスの日程は、最初の2日間がピアノとのレッスン、次の2日間はオーケストラとのレッスン、そして最終日に、クロージングコンサートとして、クーラ指揮、マルタフィルと受講者によるコンサートが行われました。

コンサートは無料の申込制で、早々に満席になったようです。

 

 

● マルタフィルのFBより

 

 

"Mastering the Voice with José Cura"が始まる。インターナショナルな参加者は、洞察に満ちたマスタークラスを開始し、解釈、オーケストラや指揮者との交流、コミュニケーションなどのスキルを掘り下げて、テアトロアストラでのクロージングコンサートを開催する。クロージングコンサートは、マルタ観光局とゴゾ島省共同で提供される。クロージングコンサートは10月30日午後7時30分~ Teatru Astraにて。”

 

 

 

 

 

 

●参加者によるクロージングコンサート オケFBより

 

 

 

 

●マスタークラスを終えて ーー クーラのFBより

 

 

"Mastering the Voice"の第1回目が終了した。教師として、素晴らしい才能を持った生徒たちをとても誇りに思っている。生徒から主催者まで、関係者全員、よくやった!

 

 

 

●受講生の投稿より

多くの受講生がSNSでマスタークラスに参加した感動を伝えていました。その中からいくつかの投稿を紹介します。

 

 

 

 

 

 

●最後のコンサートの様子ーー参加者によるYouTube動画

 

Sara Briski Cirman - Seguidilla (G. Bizet, Carmen) with Jose Cura and Malta philharmonic orchestra

 

 

 

●マルタフィルのFBに掲載された告知動画 ーー ダムラウ夫妻とのコンサート抜粋とクーラのインタビュー

 

 

 

 


 

 

≪ 受講生をとりあげたメディア報道より ≫

 

スロベニアから参加したサラ・ブリスキー・サーマンさんは、すでに歌手、ソングライター、ハープ奏者としても活動している人なのだそうです。上に掲載した動画の投稿者です。祖国スロベニアのメディアが、彼女のマスタークラスでの体験を記事にしています。一部を抜粋して紹介します。

 

 

 

 

彼女は、ホセ・クーラとマルタ・フィルハーモニー管弦楽団によるソロ歌唱のマスタークラスのためにマルタを訪れた。

「マスタークラスに応募したものの、世界中の歌手が応募していたので、選ばれる見込みはほとんどなかった」と半信半疑だったが、彼女は成功した。それだけでなく、1週間のコースの最後に、マルタのメインシアターであるテアトロアストラで行われたコンサートで、マエストロ・クーラとマルタフィルと共演するという光栄な機会に恵まれた。「私はコンサートではオペラ『カルメン』の『Seguidilla』を歌ったが、このアリアのテノールパートをクーラ自身が歌ってくれるという、他の参加者にはない特別な名誉を得た」と、今でも信じられない様子だ。

彼女は「夢のような時間だった」と語る。

「世界で最も有名な最高のテノールの1人に褒められたことは、これからキャリアを始めようとしている若い歌手にとって、大きな確認になる。彼が私と一緒に歌ってくれたことは、大きな成果であり、将来への良い足がかりだと考えている」

 1週間のコースで、彼女はクーラをより知ることができた。「彼は私たちにとてもパーソナルなアプローチをしてくれて、この短い時間にできるだけ多くの知識を与えようと懸命に努力してくれた」

 彼から何かアドバイスをもらったのだろうか?

「彼のアドバイスで一番心に残っているのは、”Don't hurry and don't stop(急がずに、そして立ち止まらずに)” で、これは私が25歳であることにもとづいている。だから私は急がず、立ち止まらずにやっていきたい」

(「novice.svet24」)

 

 

 


 

 

マルタフィルとのマスタークラスは、参加者たちにとってもクーラにとっても、とても実りある充実した時間だったようです。クーラが願うように、それぞれの若い歌手たちが、様々なプレッシャーに潰されることなく、長くキャリアを発展させ、アーティストとして成熟していけるようになるといいですね。日本でも、クーラのマスタークラスが、オケや音楽団体、大学などによって企画されると素晴らしいと思うのですが、実現する日を楽しみにしています。

 

 

*画像はマルタフィルや受講生のSNSなどからお借りしました。

 

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(告知編)2021年 ホセ・クーラ、マスタークラスをマルタフィルハーモニー管弦楽団と

2021-08-22 | マスタークラス

 

 

 

マルタフィルハーモニー管弦楽団から、楽しみなお知らせです。

ホセ・クーラを講師にしたマスタークラスが、2021年10月に開催されることが告知されました。約1週間にわたって、クーラとマルタフィルが参加してのマスタークラス、そして最終日には、クーラが指揮するマルタフィルとともに、クロージングコンサートが開催されます。マルタフィルに問い合わせたところ、このクロージングコンサートは、生放送される予定だとのことです。

日本から渡航するのはまだまだ大変かとも思いますが、在欧の方々、オペラを学んでいる学生の皆さまには、たいへんユニークな機会、チャンスのひとつになるかもしれません。

またオブザーバーとして、一般の人の入場も可能なようです。詳しい内容、申し込み方法などは、以下にリンクを紹介しています。

 

 

 


 

 

 

 

≪ スケジュールと申し込み

 

Schedule

25 & 26 October
10.00 – 13.00 & 15.00 – 18.00
Lessons with Maestro Cura (& a repetiteur)
27 & 28 October
Evening Times TBC
The MPO conducted by Maestro Cura will join the masterclass
29 October
Evening Times TBC
General Rehearsal for Closing Concert
30 October
19.30
Closing Concert (open for public)

 

●スケジュール (2021年10月25~30日)

10月25日、26日 10.00 - 13.00 & 15.00 - 18.00
マエストロ・ホセ・クーラによるレッスン

10月27日、28日
マエストロ・クーラが指揮するMPOがマスタークラスに参加

10月29日
クロージング・コンサートの全体リハーサル

10月30日19.30
クロージング・コンサート(一般公開)

 

●申し込み

2021年9月17日金曜日まで受付
オンラインフォームに記入し、履歴書/経歴と最近のビデオパフォーマンスを添付
選ばれた参加者には、9月27日月曜日までにメールで通知

 

↓ 申し込みフォームへのリンク (オケのFBHPからも)

*最新の内容をマルタフィルのサイトでご確認ください

 

 

 

≪ マスタークラスのパンフレット ≫

 

詳しい内容、申し込みの必要事項、対象、料金、クーラとマルタフィルの紹介などは、マルタフィルのパンフレットをご覧ください。

以下の画像に、マルタフィルのサイトに掲載されているPDFへのリンクをはっています。ダウンロード可能です。

 

 

 

 

●マスタークラス紹介ーー マルタフィルの告知文より

 

”マルタ・フィルハーモニック・オーケストラ(MPO)は、世界的なオペラ・スターであり、指揮者でもあるホセ・クーラとのユニークなトレーニングの機会を提供するため、応募を開始した。

若手プロフェッショナルやオペラを学んでいる学生を対象に、フランスとイタリアのオペラのレパートリーを中心とした1週間のマスタークラスで、ホセ・クーラと密接に仕事をする機会を提供する。

このコースでは、解釈、オーケストラや指揮者との対話やコミュニケーションに関するスキルを掘り下げていく。また、このコースのユニークな点は、MPOが参加することで、参加者は尊敬すべきプロのオーケストラとの共演について知識を深めることができる。

選考の結果、参加者は10月25日から29日までの1週間、マエストロ・ホセ・クーラによるマスタークラスとリハーサルに参加し、10月30日には一般公開のクロージング・コンサートが行われる。

テノール歌手のホセ・クーラは、名だたる劇場で型破りで革新的なコンサートを行うことで知られる。また、20年以上にわたり、ロンドン交響楽団やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などの一流オーケストラを指揮してきた。

彼の指揮のもと、MPOは最近、世界的に有名なソプラノ歌手、ダイアナ・ダムラウを起用した豪華なオーディオ・ビジュアル・オンライン作品「グランド・フィナーレ」に出演し、オンラインで100万人以上の人々を魅了した。

このマスタークラスには、あらゆる分野の音楽家や、興味を持って見学する一般の方々が、オブザーバーとして参加できる。

参加者の募集は、9月17日(金)まで。詳細については、オンラインのMastering the Voice Information Packを参照。”

 

 

 

 


 

 

≪ 参考動画 ≫

 

クーラのマスタークラスがどんな様子なのか、そのユニークさ、魅力がとてもよくわかる動画があります。2019年、イギリスのBBCカーディフ国際声楽コンクールで開催された様子、動画リンクです。

 

 

 

 

もうひとつは、前回の記事でも紹介した、ホセ・クーラが指揮したマルタフィルとディアナ・ダムラウ夫妻らとのコンサート動画です。

 

Grand Finale – Malta Philharmonic Orchestra

 

 

 

 

 

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2019年 ホセ・クーラ、BBCカーディフ国際声楽コンクールでマスタークラス

2019-06-24 | マスタークラス

 

ホセ・クーラは、今年のBBCカーディフ国際声楽コンクール(BBC Cardiff Singer of the World2019)で、初めて審査員を務めました。そしてコンクールの一環の行事として、マスタークラスを実施しました。

素晴らしいことに、その1時間半弱のすべての様子を、BBCウエールズが録画して、オンデマンドでアップしてくれています。

私も早速、視聴しました。舞台上の配置からして一般的なマスタークラスとは様相が違っているうえ、とにかくクーラの型破りの”先生ぶり”!爆笑につぐ爆笑で、あっという間の1時間半でした。もちろん英語でのやり取りなので、理解できない部分が多かったのですが、クーラの身振り手振り、声色を様々に変え、擬音まで使って語る様子、生徒や観客の反応、笑い声を聞いているだけで、こちらも楽しくなってきます。

とにかく、お時間のある時にでも、さわりだけでもぜひご覧になっていただきたいと思います。クーラに対しては、いろんな印象、評価をお持ちの方がいらっしゃると思います。この動画からは、クーラのユーモア、知性、オペラに対する知識と解釈、生徒に対する姿勢など、この間、積み重ねてきた、歌手として、また指揮者、演出家、作曲家として、多面的に発展させてきたキャリア、経験を生かして、全力で若いアーティストのために伝えようとする姿勢、そのユニークさと情熱は伝わるのではないでしょうか。もちろん「もっと真面目に」と眉をひそめる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは若いアーティストたちの緊張をほぐすためのクーラの配慮であるようにも思われます。

とにかく、ご覧になってみていただけると幸いです。

なお、このコンクールは、バリトンの故ディミトリ―・ホロストフスキーやブリン・ターフェル、ソプラノのアニャ・ハルテロスなどの国際的キャリアで成功する歌手を多く輩出しています。クーラ自身は、このコンクールに出場したことはありません。

 

●告知画像 コンクールのサイトのトップページにリンクをはっています。

 

 

≪クーラのマスタークラス動画リンク≫


●こちらの画像がクーラのマスタークラスの動画へのリンクです↓

 

 

≪マスタークラスの様子≫


もちろん動画を見ていただければ、それだけで何の説明もいらないのですが、一応、どんな風だったのか、少々、ご紹介を。

まずクーラが紹介されて登場、そして参加者を1人ずつクーラが呼び出して紹介。その後の舞台には、ピアノとピアニスト、そしてクーラと3人の出場者。通常、マスタークラスの場合、審査員を前にして、1人ずつ受講者が登場して歌う形が多いみたいですが、今回は、3人の生徒が舞台上にクーラとともにテーブルを囲んで座り、ずっとクーラの話を聞いています。テーブルの上には、楽譜のようなファイルと、水の入ったコップが4つ。クーラはコーヒーらしきカップも持って登場。

 

 

 

●1番目は、本選にも出場した南アフリカ出身のオーウェン君。ドニゼッティの「ランメルモールのルチア」から、エドガルドのアリア “わが祖先の墓よ”を歌いました。ベルカントの音楽の美しさとキャラクターの感情についてなど、興味深い指摘をしていました。クーラの”挑発的”な指摘によって、彼が見事に歌で怒りの感情を表現して、会場は大喝采でした。

最後の時間を使って、クーラは彼を再度、歌わせました。曲はクーラの18番、ヴェルディのオテロ第3幕の独白"Dio! mi potevi scagliar"。時間がなくてさわりだけ、そしてクーラのアドバイスもとても早口でしたが、彼に対する期待の大きさがわかりました。この時のヴェルディが書いた音楽の意味、オテロの解釈に関し、ヴェルディの手紙などについて語っていました。

クーラは、バリトンからテノールに移行した彼の声を、自分のような声だと言い、「君のようなテノールを求めている」「将来のオテロが見えてくる」、そして一番最後には、「いつか、あなたの初めてのオテロを指揮できるなら大変嬉しい」とまで述べて激励しました。 

 

 

おまけですが、こちらはクーラのオテロの同じ場面。2013年。クーラがマスタークラスで語っていた、オテロの心理、肉体の状態を示すオーケストラの音楽が最初に聞こえてきます。

Jose Cura "Dio! mi potevi scagliar" Otello

 

 

●2人目の受講者、27歳のヒュー君(?名前がよく聞き取れずすみません)。ベルリオーズ「トロイ人」から「おお、金髪のセレス」を選びました。

クーラ自身はこのオペラを歌ったことはないようで、「非常に長く複雑なオペラ」「自分はあなたたちのようにこの曲をマスターしているわけではない」と率直に言いつつ、「かつて、英国の指揮者サー・コリン・デイヴィスの依頼でバービカンからこの曲のスコアが送られてきたことがあったが、送り返した(笑)。自分はあなたのような勇気とl声を持っていなかった」というエピソードを告白していました。

クーラのアドバイスは、長いオペラを歌いきるうえでのペース配分の重要性、オーケストラの音をよく聞くことなど、歌手とオケとの関係、音楽が示しているムードや感情のつかみ方などを指摘していたように思います。また、彼のジャケットを脱がせてリラックスさせ、「あなたの美しい声で観客を愛撫するように」と、一緒になってゆらゆら手を動かしたり舞台上を歩いたり・・。

 

 

 

●3番目の登場、32歳、トリスタン君。ドニゼッティの「愛の妙薬」からネモリーノの”人知れぬ涙”を歌いました。

クーラはますます調子があがってきたようで、爆笑につぐ爆笑。たとえ話が意表を突くものばかりで、またネモリーノのキャラクターとこの曲に込められた思いをどうとらえ、どう表現するのか、エロティックな表現もまじえ、面白くて興味深い話の連続でした。とはいえ単なるジョークや軽口ではなく、ドラマとキャラクターの本質をどう分かりやすく、リアルに伝えるのか、現代のオペラとはどうあるべきか、クーラならではの知的な分析があってのうえでのことです。ぜひご覧になってお楽しみください(笑)

 

 

 

≪カーディフ国際声楽コンクールの審査員として≫


今回、コンクールには全部で20人が出場、4つのラウンドに分かれて5人ずつで歌い、各ラウンドから選ばれた最優秀者4人と、それ以外で次点と考えられる1人の計5人が決勝で歌いました。

全ての審査の様子は、コンクールのHPに公開されています。 → 2019年BBCカーディフ国際声楽コンクール

 

こちらは、審査員としてのクーラの紹介動画。クーラ自身がFBに掲載したものです。「カリスマを探す」と語っています。

 

ともに審査員を務めたうちの3人の女性と。ソプラノ歌手、キリ・テ・カナワ、フェリシティ・ロット、メゾのフレデリカ・フォン・シューターデ、ベテランぞろいです。

 

 


 

 

今回のコンクールでは、各ラウンド、決勝ふくめ、全部の審査の様子が公開、放送されただけでなく、関連行事の、このクーラをはじめとする全部のマスタークラス、出場者のリサイタルなど、全編がオンデマンドで公開されています。世界中の声楽を学ぶ若い人たち、オペラファン、関係者にこうした様子が共有されていることは、本当に素晴らしいと思います。おかげで、私もはじめてクーラのマスタークラスの全編を見ることができました。BBCに感謝です。

録画を見ていただければと伝わると思いますが、クーラの若いアーティストたちへの愛と期待、同僚として先輩としての後輩たちをリスペクトし、自分の経験をできる限り伝えたいという思いがつよく感じられました。率直でユーモアたっぷりの話しぶり、参加者を笑いでリラックスさせながら、でも指摘の鋭さ、分析の深さには、やはり長年の歌手としての経験とクーラが歩んできた自立したアーティストとしての生き方、そして指揮者、作曲家、演出家として活動してきたクーラの、音楽・スコアとリブレット、オペラのドラマへの理解の深さ、高い知性が示されていると思います。

最後に、途中でクーラが触れたことには、少しドキッとさせられました。クーラは、今回のコンテストで、イタリアオペラのレパートリーの参加者がもっとも良くなかったと、審査員としての感想を述べ、その理由には、パヴァロッティなどの大歌手が亡くなった後の、イタリアの音楽学校、業界の衰退があることを指摘していました。そしてイタリアはオペラ発祥の地であり、自分が生きているうちは、そういうことは許さない、それは自分の責任だ、と話していました。なるほど、クーラはそういう見方をしていて、そういう覚悟と思いで活動しているのだと、とても印象に残りました。

私自身は、全く素人で、音楽について無知であり、おこがましいことではありますが、ぜひ1人でも多くの方に、このクーラのマスタークラス、視聴していただきたいと思います。とにかく、面白いです(笑)。ふざけているようで、本気、クーラの深い、つよいメッセージと愛が込められています。

 

 

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2016年 ホセ・クーラ、マスタークラスの生徒たちとプラハ響のコンサート / Jose Cura Opera aria concert with Prague Symphony Orchestra

2016-12-23 | マスタークラス



ホセ・クーラは、プラハ交響楽団のレジデント・アーティストとして、2015/16シーズンからの3年間、活動することになっています。現在、2シーズン目で、歌手として、指揮者として、作曲家として、多彩なプログラムに取り組んでいます。

今回は、2016年10月19、20日の、オペラ・アリアコンサートを紹介したいと思います。

プラハ響のシーズンプログラムの紹介画像


クーラのフェイスブックの告知


これは、クーラがマスタークラスの教師として、2016年2月に教えた生徒たちから、選抜された若いアーティストと共演したガラコンサートでした。クーラは指揮をせず、歌手として出演しました。
 
 → マスタークラスの様子を紹介した記事はこちらを 「2016年 ホセ・クーラ、プラハ交響楽団とマスター・クラス」

出演したマスタークラスの生徒たちは、以下の7名。
Barbora POLÁŠKOVÁ
Ester PAVLŮ
Barbora ŘEŘICHOVÁ PERNÁ
Dana ŠŤASTNÁ
Alžběta VOMÁČKOVÁ
Ján KOSTELANSKÝ
Lukáš HYNEK-KRÄMER

… and José CURA | singing

SYMFONICKÝ ORCHESTR HL. M. PRAHY FOK / PRAGUE SYMPHONY ORCHESTRA
Marco COMIN = conductor 

終演後に、7名の生徒たちをはさんで、左がクーラ、右は指揮者。


こちらは、2月のマスタークラスで選抜発表された際の写真です。これと比べても、コンサートの写真は、皆さんドレスアップして、華やかで、いっそう素敵ですね。



演目は、プッチーニやビゼー、カルメンなどから有名なアリアやデュエットが取り上げられ、生徒単独、またはクーラとのデュエットで歌われたようです。クーラも、冒頭の道化師のプロローグを含め、5曲を歌っています。

●道化師(レオンカヴァッロ)から、プロローグ・・・ホセ・クーラ 
Pagliacci(RUGGERO LEONCAVALLO) Prologo (Si può?, si può?) – Aria of Tonio José Cura
● 同  間奏曲 Intermezzo
●ラ・ボエーム(プッチーニ) ミミのアリア・・・Barbora Řeřichová Perná
La bohème(GIACOMO PUCCINI)Sì, mi chiamano Mimi – Aria of Mimi from Act I Barbora Řeřichová Perná
● 同  ミミとロドルフォの二重唱「愛らしい乙女よ」・・・ホセ・クーラ、Barbora Řeřichová Perná
O soave fanciulla – Duet of Mimi and Rodolfo from Act I Barbora Řeřichová Perná, José Cura
●セビリアの理髪師(ロッシーニ)  序曲
Il Barbiere di Siviglia(GIOACCHINO ROSSINI)Ouverture
● 同  「今の歌声は」・・・ Dana Šťastná
Una voce poco fa – Aria of Rosina from Act I  Dana Šťastná
●カルメン(ビゼー) 「ハバネラ」・・・Barbora Polášková
Carmen(GEORGES BIZET)Habanera (L’amour est un oiseau rebelle) – Aria of Carmen from Act I Barbora Polášková
● 同  第4幕 カルメンとドン・ジョゼの二重唱・・・ホセ・クーラ、Barbora Polášková
C’est toi, C’est moi – Duet of Carmen and Don José from Act IV  Barbora Polášková, José Cura
●マクベス(ヴェルディ) 「天から影が落ちて」 ・・・Lukáš Hynek-Krämer
Macbeth(GIUSEPPE VERDI) Come dal ciel precipita – Aria of Banco from Act II Lukáš Hynek-Krämer
●イル・トロヴァトーレ(ヴェルディ) マンリーコとアズチェーナ二重唱「母さん……眠らないの?」・・・ホセ・クーラ、 Ester Pavlů
Il Trovatore(GIUSEPPE VERDI) Madre, non dormi – Duet of Azucena and Manrico from Act IV Ester Pavlů, José Cura
●リゴレット(ヴェルディ) 「女心の歌(風の中の羽根のように)」・・・Ján Kostelanský
Rigoletto(GIUSEPPE VERDI) La donna è mobile – Aria of the Duke of Mantua from Act III Ján Kostelanský
●運命の力 (ヴェルディ) 序曲
La forza del destino(GIUSEPPE VERDI) Ouverture
●ドンカルロ(ヴェルディ) エボリのアリア・・・Ester Pavlů
Don Carlo(GIUSEPPE VERDI) O don fatale – Aria of Eboli from Act IV Ester Pavlů
●アイーダ(ヴェルディ) アムネリスとラダメスの二重唱・・・ホセ・クーラ、Alžběta Vomáčková
Aida(GIUSEPPE VERDI) L’abboirita rivale a me sfuggia – Scena and duet of Amneris and Radames from Act IV Alžběta Vomáčková, José Cura

プラハ交響楽団のHPに、当日の様子の写真が掲載されましたので、紹介したいと思います。

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道化師のプロローグを歌うホセ・クーラ


ラ・ボエームのロドルフォとミミの二重唱でしょうか?




腕をつかみ、厳しい表情をしているところをみると、カルメンのラストシーンのようですが。




実は、インスタグラムに、この公演をご覧になった方が、カルメンのラストのデュエットでのクーラの歌声をほんの少しですがアップしています。
 → リンク 下の画像をクリックしてください。音量が大きいのでご注意を。


たぶん、トロヴァトーレのラストシーン、マンリーコとアズッチェーナの二重唱。若いメゾに対し、実年齢は父親のようなクーラが息子役です。




アイーダの、アムネリスとラダメスの二重唱のようです。クーラが日本デビューしたのがこのラダメス。もう20年近く前ですね。



●マスタークラスの若手アーティストについて、インタビューから抜粋

Q、あなたのマスタークラスの今年の卒業生の中に、とても才能があり、メトロポリタンオペラの未来のスターかもしれない人は?

A、私は名前を言うつもりはないし、誰も傷つけたくない。なぜなら、もちろん、どのグループでも、そこにはより才能をもつ人、より良いテクニックを持つ人がいて、また別の人はより良い声を持っている。
ここにも、才能のある若い若者がいて、彼らは世界クラスであり、この先に大きな未来をもっている。
しかし、それらのうちのだれがメトロポリタンオペラ(MET)のスターになるかどうかを評価することを、あえてするつもりはない。主としてMETはビジネスに関するものであり、そしてショービジネスの世界においては、ただ芸術についてではなく、それが必ずしも最高の才能を規定するわけではない。
これはまったく別の話であり、それはまったく別の会話になる。
時には、一部の人々が、声は衰退していてもまだそれでも歌うキャリアを続けたと聞く。ビジネスはビジネスだ。


指揮者とハグして、健闘をたたえあうクーラ。


終演後のサイン会で。






プラハ響がアップしたクーラのインタビュー動画。マスタークラスの生徒たちなどについて語っています(英語)。
José Cura - Prague Symphony Orchestra


José Cura - Prague Symphony Orchestra


同じくクーラのインタビュー動画、言語と歌、ラテン系の言語の特徴についてなど(英語)。
José Cura + Prague Symphony Orchestra



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コンサートは大成功で、終演後はスタンディングオベーションだったとのことです。レビューでは、マスタークラスの生徒たちも、歌にパッションがあったと絶賛されていました。動画や録音がないのがたいへん残念です。

いつもクーラがマスタークラスをするにあたってのスタンスは、声楽の技術的なことは自分には教える権限がない、それは生徒自身が先生とともに開発するべきことであり、自分が教えるのは、これまでの経験をふまえ、オペラの歌の解釈とドラマの表現について重点をおく、というものです。だからこそ、生徒の歌にパッションが感じられたということは、先生であるクーラへの大きな賛辞でもあると思います。

こうしたマスタークラスをやるのは、クーラ自身も大好きで、アーティストの責任としても積極的に取り組みたいと考えているようです。今後も、世界各地でこうした機会が増えてゆくことと思います。日本でも実現したら素晴らしいと思うのですが・・・日本のオーケストラのなかで、クーラにレジデントのオファーをしてくれるところがないものでしょうか?





*画像は主にプラハ交響楽団のHPからお借りしました。
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2016年 ホセ・クーラ、プラハ交響楽団とマスター・クラス / Jose Cura in Master Class / Prague Symphony Orchestra

2016-10-12 | マスタークラス



9月から10月初めにかけてのワロン王立歌劇場のトゥーランドットを終えて、ホセ・クーラの次の公演予定は、10月19、20日の、プラハ交響楽団とのコンサートです。
2016年2月にクーラが実施した、マスター・クラスで選抜された若手アーティストと共演する、オペラ・ガラ・コンサートのようです。

クーラは2015/16シーズンより、ピエタリ・インキネン氏が常任指揮者を務めるプラハ響のレジデント・アーティストとして、毎年3回のコンサートを行う契約をしています。内容は、歌、指揮、作曲家としての作品上演、そしてマスター・クラスなど、多彩です。
レジデントとなってから、初回の2015年10月2回目の今年2月に続いて、今回が、3回目です。





José Cura
19 and 20 October 19:30 Smetana Hall, Municipal Building
Giacomo Puccini, Gioacchino Rossini, Giuseppe Verdi, Georges Bizet, Ruggero Leoncavallo
Barbora Polášková, Esther Pavlů, Barbora Řeřichová Perna, Dana ŠŤASTNÁ, Alžběta VOMÁČKOVÁ, Ján Kostelanský, Lukas Hynek-Krämer
... And José Cura = singing
Prague Symphony Orchestra. m. Prague Symphony Orchestra
Marco Comin = conductor


この10月のコンサートは、プッチーニ、ヴェルディ、ビゼーなどのオペラ・アリアを主なプログラムとする、ガラ・コンサートです。クーラは歌手として、そしてマスター・クラスの講師として、教え子たちと共演します。
コンサートに先立って、プラハ交響楽団がHPに、2016年2月に開催されたクーラのマスター・クラスの様子の画像をたくさん掲載しています。いくつか紹介したいと思います。他にも写真やコンサート情報、チケット情報などがありますので、直接、HPを見ていただければと思います。
 → プラハ交響楽団のホームページ

こちらは、クーラのマスター・クラスの様子を放送した、チェコのニュース番組から。
Jose Cura Masterclasses


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●2016年2月、マスター・クラスを前に インタビューより

私は陰鬱な顔の人々と一緒に仕事をするのは好きじゃない。子どもたちは私たちの未来だ。問題があるなら彼らにエネルギーを与えよう。
マスタークラスではヴェルディ、プッチーニのオペラ中心。初心者のためではなく、歌うことを学ぶ場ではない。次のレベルだ。
私は学生たちに、ただ歌うだけではなく、プロフェッショナルな歌手であり俳優としてのツールに目覚めてもらいたいと願っている。








●マスター・クラスを終えて――2016年10月10日付記事より

チェコ共和国は、エミー・デスティンの時代以来、多くの偉大な声を輩出している。
私のプラハのコースの間、講堂にいっぱいの学生が非常に積極的に参加しただけでなく、誰もが熱心に、私たちの仕事を見た。教育への私の夢が、ひとつ、真に成就した。








●ともに課題を克服し、励ましあう

私にとって一番大事なのは、コースの間、私が彼らに提示した課題を障害に対して、彼らがいかに結束して、たち向かっていくかだ。
彼らが、利己的な競争ではなく、ともに励ましあい、課題を克服するために、一緒に仕事をするのを見た時、私は非常に誇らしく感じた。
私はもっと、こういう劇場の仕事を頻繁にやれることを願う。







ワインクーラーを抱えて、いったい何の役を演じているの?
*10/13追記 クーラがFBでこの写真について説明。ハイノートの前に怖がって緊張する生徒に、氷をかけるふりをしてビックリさせ、気をそらしてやった結果、スムーズに高音がだせたということらしいです。


プラハ響のピアニストか、ピアノ教師の方でしょうか。


マスター・クラスを通じて、最終日に選抜された7人が、10月のガラ・コンサートで、クーラと共演するようです。


選抜された人たちとの記念撮影




マスター・クラスの出席者は、若手の歌手、指揮者などから公募され、選考の結果、世界各国から若手アーティストが参加しました。


10/19、20のコンサートでは、ラ・ボエームやリゴレット、アイーダ、カルメンなどから、ソロ、デュエットなどの曲が演奏されるようです。機会があるごとに、熱心にマスター・クラスにとりくんできたクーラ。今回のコンサートも、若いアーティストたちとの共同の力で、大きく成功することを願っています。

*10/13追記 多くの写真でクーラがタオルを持っていますが、クーラのFBによると、実はこの日、39℃の発熱があり、タオルで首筋や顔を冷やしながらマスター・クラスをやりとげたらしいです。生徒たちを失望させないためにキャンセルしなかったと。情熱的でタフなクーラらしい話ですが、生徒を風邪をうつさなかったのか、ちょっと心配ですね^^;



写真はプラハ交響楽団のHPなどよりお借りしました。
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