人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(初日編)2019年 ホセ・クーラ、オテロ、サムソン、カニオ、ピーター・グライムズを歌う

2019-03-29 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 2018~
 
 
 
 
ホセ・クーラは3月26、28日、プラハ交響楽団と、クーラが演じてきた主要なオペラのタイトルロールを歌うコンサートを行いました。
会場はいつものように、プラハ響の本拠地、スメタナホールです。
 
クーラは、2015年の秋から2018年春まで、プラハ響のレジデント・アーティストとなり、各シーズン3回、指揮、歌、クーラの作曲した曲の初演など、多彩なプログラムのコンサートを行ってきました。
 昨年春でレジデント契約は終わりましたが、その後も双方が引き続き関係を維持することを望み、今回のコンサートが企画されたそうです。
 
この記事では、告知記事やリハーサルの様子、初日の写真などを紹介したいと思います。
初日を終えた段階で、すでに素晴らしいレビューが出て、観客からもSNS上に感動の声がアップされています。レビューについては、のちほど紹介できればと思います。
 
 
→ これまでのプラハ響関係の記事まとめ  (2018年以降)    (2015~2017年)
 
 

 
JOSÉ CURA IN HIS FAMOUS ROLES 
                                                         
GIUSEPPE VERDI Otello
RUGGIERO LEONCAVALLO I Pagliacci
CAMILLE SAINT-SAËNS Samson et Dalila
BENJAMIN BRITTEN Peter Grimes

José CURA | tenor
PRAGUE PHILHARMONIC CHOIR
Jakub ZICHA | choirmaster
PRAGUE SYMPHONY ORCHESTRA
Jacques LACOMBE | conductor
 
 
 
 
≪プログラム≫
 
●ヴェルディ オテロ
●レオンカヴァッロ 道化師
●サン=サーンス サムソンとデリラ 
●ブリテン ピーター・グライムズ
 
 
ソリストはクーラ1人。単にオペラアリアを歌うというのでなく、プラハ響、約60人のプラハフィルハーモニー合唱団とともに、クーラが選んだオペラのいくつかのシーンを歌うというプログラムのようです。
非常にぜいたくなコンサートですね。
 
 
 
 
 
≪コンサートにむけたクーラのコメントより≫
 
このコンサートにむけたクーラのコメントが、メディアの告知やプラハ響のHPに掲載されていました。いくつか紹介します。
 
 
 ――ここでのすべての素晴らしい出来事はプラハ響とともに
 
プラハ響は私にとってたくさんのことを意味する。私がプラハとの強い関係を築いたのは、このオーケストラを通してであった。 私がここでやった素晴らしいことは、すべてこの彼らのおかげだ。
 昨年、私はプラハ国立歌劇場でナブッコの演出・舞台デザインを行ったが、それまでの何年もの間、プラハ響が私の後ろに立っていた。そして彼らが、私をチェコの聴衆に紹介してくれた。
 
――自分の家にゲストを迎えるみたいな
私達は長年、ジャック(指揮者のジャック・ラコンブ氏)と良い友達だ。 私たちがプラハで一緒に仕事をするのは今回が初めて。 私は、彼が私のオーケストラを指揮することを非常に誇りに思うし、この会場は私の家のようなものだから、自分の家にゲストを迎えるみたいなものだ。
 
(「Prahatv」)
 
 
――長すぎるリスト
 
私の最も重要なキャラクターから抜粋してコンサートプログラムを作成するよう依頼されたとき、私が最初にしたことは、最も愛する役柄をリストアップすることだった。そうすることで、それがいくつのキャラクターなのかを実感した。そのリストは、一晩で聞くには長すぎた...。
それで私は、キャリアの中で画期的な出来事を選んで、歴史の順に並べることにした。
 
(「Prazskypatriot」)


――4つのタイトルロール

コンサートのプログラムの中で、サムソンとデリラは、私が演出・舞台デザインをし、最初に非常に大きく成功した演目だった。
オテローーそれは、歌手、演出家、そして指揮者として、常に、私にとって重要な芸術的パフォーマンスを生み出す機会を与えてくれる素晴らしい作品だ。
ショービジネスの世界における栄光と悲惨の関連を明らかにする道化師のカニオ。
そしてついにピーター・グライムズ。長い間、私はこの苦悩する漁師を演じたかった。自分でパフォーマンスをしたとき、初めて、演技のパレットの上で、自分がこれまでやったことのない広い範囲のカラーを発見した。

(プラハ響FBより) 
 
 
 

 
 
  
 初日の様子を伝える写真(プラハ響FB)  
  
 
リンク先に、クーラのミニインタビュー、リハーサルの様子を伝えるニュース動画があります。
 
  
プラハ響FBより、コンサートのプログラムを紹介する指揮者のジャック・ラコンブ氏
 
 
ラコンブ氏がFBにアップした告知ポスター
 
 
 
プラハ響FBに掲載されたコンサート告知のミニ動画
 
 

 
 
3年間のレジデントアーティストとしての協力関係、様々なチャレンジを経て、今回は、歌手としてのクーラの真骨頂を発揮するオペラのコンサートでした。
この4つの役柄は、クーラも説明しているように、長年歌い続けてきた役柄であり、またグライムズのように長年歌いたいと願い続けてきてようやく実現した役柄です。最近では、クーラのオペラ出演は、主にこの4演目がメインになっているとも言えます。円熟の表現者、解釈者として、オケと合唱をバックに、クーラの到達点を示す舞台だったのではないでしょうか。
 
録音や動画はまだ見つかりませんが、レビューや観客の反応からも、クーラの存在感、歌唱と表現力、キャラクターのドラマ・・クーラがキャリアの画期となった役柄として選んだだけあって、それぞれが素晴らしい舞台だったようです。現地に行けないのは本当に残念です。
ぜひ、DVDや録画の配信などをお願いしたいです。
 
 
 
 
*画像はプラハ響のFBやHPなどからお借りしました。
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2018年6月 ホセ・クーラ プラハ響レジデントアーティスト、最後のコンサート

2018-12-07 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 2018~



ホセ・クーラは、2015年秋から、ピエタリ・インキネンが率いるプラハ交響楽団のレジデント・アーティストに就任しました。
これまで3期(2015/16、16/17、17/18)にわたって、各シーズン3回(各2公演)のコンサートをおこない、クーラの歌手、指揮者、作曲家、編曲家としての手面的な才能を発展させ、披露する場となりました。

→ 紹介してきたブログ記事  プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017  、   プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 2018~
  


2018年前半でいったん、レジデントの契約は終了しましたが、以前の投稿でも紹介したとおり、クーラとプラハ響との協力関係はこれで終わりではなく、引き続き、年1回のコンサートを行うことになっています。
次回は2019年3月、クーラの得意とするオテロやサムソンなどからの、オペラ・アリアコンサートです。 

今回は、レジデント・アーティストとしては最後となった、2018年6月のコンサートの様子を紹介します。
レジデントの最後のコンサートは、最後を締めくくるのにふさわしく、クーラの母国アルゼンチンの音楽と、ポーランドの作曲家カルウォーヴィチによる交響曲「復活」をプログラムにとりあげました。今後も続く関係を示唆するテーマになっているようです。




13.6.2018 19:30
14.6.2018 19:30
Latin-American songs
JOSÉ CURA, CARLOS GUASTAVINO, CARLOS LÓPEZ
BUCHARDO, ALBERTO GINASTERA
MIECZYSŁAW KARŁOWICZ Symphony in Op. 7 "Rebirth" (Czech premiere)
SYMPHONY ORCHESTRA HL. M. PRAHY FOK
José CURA | Tenor, conductor

≪プログラム≫

ホセ・クーラ、カルロス・グアスタビーノ、カルロス・ロペス・ブチャルド、アルベルト・ヒナステラ(アルゼンチンの作曲家)
ラテンアメリカの歌

ミェチスワフ・カルウォーヴィチ(ポーランドの作曲家) 
「交響曲ホ短調『復活』」(クーラ指揮)



●コンサートを紹介するクーラの動画

プラハ響が掲載した、コンサートの内容を紹介するクーラの動画です。前半はアルゼンチン音楽のリサイタル、後半は交響曲「復活l、その魅力を語っています。また今後もプラハ響との関係を続けていくことなど述べています。

José Cura - Latinsko-americké písně



●関係者のFBに投稿された劇場の様子





―― 前半 アルゼンチン歌曲


●リハーサルの様子

同じくプラハ響の動画。前半、オケを室内楽の編成にして、クーラが中央に位置し、指揮をとりながら、アルゼンチンの歌曲を歌っています。





●コンサートで歌うクーラとプラハ響

本番の様子。小人数のオケのメンバーに囲まれ、親密にコンタクトをとりながら、動作を抑えて指揮をしつつ、歌っています。

José Cura Latin-american songs










―― 後半 交響曲「復活」を指揮


後半は、指揮者として、ポーランドの作曲家による交響曲「復活」を指揮しました。


●フル編成のオケと指揮者としてのクーラ







スコアを高く掲げて




●喝采を受けるクーラとプラハ響








●ソリストとして参加したチェコの若い女性ギタリストとクーラ、終演後のリラックスした雰囲気で




大きな実りをもたらしたレジデントアーティストとしての3年間。クーラにとっては、本来の志望であった指揮と作曲、とりわけ若い頃に書きためてきた作品の世界初演や新作の初演、オーケストレーションなどの編曲の発表の場として、そして歌手としても、さまざまなユニークなコンサートが実現しました。クーラ自身のキャリアのうえでも、大きな意味のあった3年間だったと思います。またプラハ響とプラハ市民にとっても、とても有意義で楽しい関係だったのではないでしょうか。プラハの市民がうらやましいです。

来年は3月に、オペラアリアコンサートが計画されています。もしかすると、録画や中継があるかもしれません。楽しみに待ちたいと思います。



*画像はプラハ響のFBなどからお借りしました。
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2018 ホセ・クーラと展覧会の絵 with プラハ交響楽団 / Jose Cura & PICTURES AT AN EXHIBITION

2018-06-10 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 2018~




紹介がたいへん遅くなってしまいましたが、今回は、今年の春、2018年3月13、14日に開催された、プラハ交響楽団とのコンサートを紹介したいと思います。

2015年秋から、プラハ交響楽団のレジデント・アーティストとして、毎シーズン3回の公演に取り組んできたホセ・クーラ。
ある時は歌手として、または作曲家として、指揮者として、それぞれの公演ごとにクーラの多面的な魅力を発揮するユニークなプログラムが組まれてきました。

→ これまでの公演について紹介した記事

そしてこの3年間のレジデント契約は、今季2017/18シーズンでひとまず終了します。
現在(2018年6月)、クーラはプラハに滞在中で、6月28日に初日を迎えるヴェルディのナブッコの演出に取り組んでいるところです。
そして、その最中の6月13、14日、同じプラハで、プラハ響レジデント・アーティストとしての最後のコンサートに臨みます。

その様子もまとめたいと思っていますが、今回は、まだ記事にしていなかった、その前の3月のコンサートの様子を紹介します。

3月21、22日のコンサートでは、クーラは指揮者として登場しました。
公演の表題は「ホセ・クーラと展覧会の絵」。ムソログスキーの「展覧会の絵」や、ビュッシーの作品を指揮しました。
ちょうどこの2018年3月が、ドビュッシーの没後100周年なのだそうです。ドビュッシーと印象主義音楽の流れで、ラヴェルの編曲による「展覧会の絵」がとりあげられたようです。











≪ホセ・クーラと展覧会の絵≫

ドビュッシー 
「プレリュード 第1集『沈める寺』」 編曲レオポルド・ストコフスキー
「管弦楽のための映像」

ムソログスキー
「展覧会の絵」(編曲:モーリス・ラヴェル) 

指揮 ホセ・クーラ
プラハ交響楽団



●クーラによるこのコンサートへのお誘い動画

コンサートの紹介をするとともに、レジデント契約終了後も、プラハ響との関係が続くことが決まったと伝えています。
英語です。

José Cura - Obrázky z výstavy




●公演翌日、クーラがSNSにアップした写真とメッセージ

“昨日のコンサートは大成功だった!
 音楽の美しいひと時をありがとう、プラハ交響楽団!”











●レビューより(抜粋)

「カラフルな夜」

プラハ交響楽団のレジデントアーティスト、ホセ・クーラは、オーケストラが幅広い印象派のキャンバスを描くのを手助けした。
この夜の演劇的なライン・・それはカラフルな夜だった。

クーラは、指揮台の上で非常にリラックスしていた。しばしば、踊り、感情を確かめながら、音楽を解釈した。彼は、オーケストラとともに、今年没後100年のドビュッシーを思い起こさせる本当に良いプログラムを立ち上げた。
・・
壮大な音楽は幅広い管弦楽法で爆発し、スメタナホール全体を完全に埋めつくす。その大きさにもかかわらず、ゆっくりと変化する個々のラインを明確に調和させる感覚の演奏だった。
2番目のパートでの強烈な低音は振動効果があり、すべてが倍増した。コンサートの初めに、本当に広大で壮観な作品だった。
・・
すべてがキエフの大門のラストのシーンで終わった。ファンファーレの響き、上昇する感情、言い表せないほどの音楽エネルギー。オーケストラは細部まで洗練され、すべての色とその色合いを使って、音楽が成長し、感情が与えられる。彼が何1つ見逃さなかったと確信している。

(「OPERA PLUS」)








「クーラはドビュッシーを称えるコンサートをリード」

プラハ交響楽団のレジデントであるテノールのホセ・クーラは、プラハの市民会館で行われた本日のコンサートで、指揮者の地位を確立した。

混雑したスメタナホールで、彼は3月末の没後百年になるドビュッシーを称えるコンサートを演奏した。ドビュッシーと相まって、ムソルグスキーの展覧会の絵が展示された。
勇敢なクーラとオーケストラは大きな喝采を受けた。

"数分間、目を閉じて、そして美しい音楽がどのようにあなたをとらえているのか、感じてほしい"
コンサートの前のスメタナホールでの懇談会で、クーラは参加者にアドバイスした。

クーラは前回のプラハでの公演で、彼のオラトリオ「この人を見よ」を初演し、指揮者の役割を果たした。
世界的に有名なミュージシャンであるクーラは、作曲、歌手、指揮者としての3つの役割を果たしている。
クーラは55歳、アルゼンチン出身。チェコ共和国へ戻ってきた。

(「Blesk.cz」)







●恒例のクーラとの懇談会

コンサートの初日の前に、クーラを囲んでの交流・懇談の会が開かれました。恒例になっています。
いくつかの写真をプラハ響がHPで公開してくれています。


とても楽しそうに説明しているクーラ。


毎回、間近で、アーティストの話が直接聞けるというのは、本当にうらやましいことです。


プラハ響のFBに掲載されたスライドショー。音声はありません。









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プラハ交響楽団レジデントアーティストとしての契約終了後も、年に1回のコンサートを行うなど、クーラとプラハ響は、継続的な関係をもつことを確認したそうです。

すでに来年2019年3月、クーラのオペラアリア・コンサートが、プラハ響の2018/19のシーズンプログラムに明記されています。とても楽しみです。

クーラの指揮者として作曲家としての新しい側面、というより、もともと持っていた才能と経験、作品を発表するユニークな場を提供してくれたプラハ交響楽団。この関係は、本当に素晴らしい実りをもたらしたと思います。
私もぜひ一度、プラハ響のコンサートに行きたいと願っています。またDVDなど何らかの形でレジデントとしての成果がまとめてリリースされることをお願いしたいと思います。






*写真はプラハ交響楽団のHPからお借りしました。
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