人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

2021年 ホセ・クーラ、プッチーニのトスカに出演 プロヴィディフ野外劇場

2021-08-08 | オペラの舞台ートスカ

 

 

 

7月17日、ホセ・クーラは、ブルガリアの第2の都市プロヴディフの古代野外劇場で、プッチーニのオペラ「トスカ」に出演しました。主人公トスカの恋人役で、画家のカヴァラドッシ役です。

クーラがオペラに出演するのは、2020年3月にハンブルクでオテロを歌って以来1年4カ月ぶりです。コロナ禍で多くの公演がキャンセルになり、今年に入ってアルゼンチン歌曲のコンサート(無観客・ストリーミング)やアブダビフェスティバルへのビデオ出演、オペラの指揮(プロヴディフでのマノン・レスコー)などで再び舞台に立つことができたものの、オペラ歌手としては本当に久しぶりの出演でした。

幾度ものパンデミックの波によって、舞台公演は困難が続いていますが、今回は、野外劇場で観客数を減らしての上演が実現しました。早々にチケットはソールドアウトしたそうです。

公演の様子やリハーサル動画などを、プロヴディフ国立歌劇場や観客のSNSなどから紹介したいと思います。

 

 

 


 

 

International production of "Tosca" OPERA OPEN

Conductor - Jacopo Sipari Di Pescaseroli
Directed by Ursula Horner
Scenography - Maria Veteroska
Costume designer - Maria Ppuchevska
Conductor of choirs - Dragomir Yosifov
Lighting artist - Vasko Lisichov

Tosca - Tanya Ivanova
Kavaradosi - Jose Cura 
Scarpia - Carlos Alamger
Andzheloti - Aleksandar Nosikov
Spoleto - Georgi Devedzhiev Boris Kuchkov
Klisar - Evgeny Arabadzhiev
Sharon - Nikolay Bachev
Tamnichar - Vasil Igov

Choir and Orchestra at the Opera Plovdiv

 

 


 

 

≪ プロヴィディフ野外劇場でのトスカーー舞台写真より ≫

 

 

 

 

 

●劇場のフェイスブックに掲載された舞台写真

とても美しい舞台、迫力ある写真がたくさん掲載されています。拷問を受けても屈せず立ち上がるクーラのカヴァラドッシ、迫真の表情をとらえた写真も。

 

 

 

こちらはドレスリハーサルの時の写真のようです。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

≪ いくつかの場面の動画も ≫

 

ネット上にはいくつかの場面の動画がアップされていました。

 

 

●第1幕、トスカとカヴァラドッシのデュエット

Tanya Ivanova & Jose Cura  ''Tosca'' Act,1

 

 

●第2幕、拷問にかけられるカヴァラドッシ、勝利の叫び

 

 

 

●第3幕、死を前にしたカヴァラドッシのアリア「星は光りぬ」

 

こちらは指揮者の方がアップしてくれました。感情をぶつける激しい歌唱です。

E lucevan le stelle (Tosca) - José Cura, Jacopo Sipari di Pescasseroli, State Opéra Plovdiv

 

 

 


 

 

≪ バックステージ写真 ≫

 

大きく成功した公演の後、リラックスした雰囲気で、同僚の皆さんたちと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪ リハーサルの様子、出演者インタビューを放映したニュース動画 ≫

 

 

 

 

 


 

 

クーラ久々の出演のオペラの舞台、プロヴディフのトスカは大盛況、大成功でした。コロナ禍によるブランクを感じさせない、それどころか、これまでのパワーを一気に解き放つかのような情熱的で激しい歌唱・演技だったようです。

観客の熱狂ぶりは、さまざまなSNS投稿からも伝わってきました。ある男性はFBに、「トスカは非常に特別だった…しかしそれだけでは十分とはいえない。妥協なく良質で影響力があった!場所、音、光、演奏、歌、指揮、演出、舞台美術、衣装デザイン、観客の面で妥協はなかった。プロブディフオペラの魔法のパフォーマンス……すでに翌日になったが、昨夜のことを考えるのをやめられない。それが私にどれほど深い影響を与えたかを示している。トスカは私がブルガリアと海外の両方で最も頻繁に見たオペラだが、昨夜は違っていた。よりダイナミックで、より情熱的だった」と興奮気味に書き、様々な写真や動画を公開でシェアしていました。

クーラについても、「情熱的、魅力的、カリスマ的で神のようなボーカル」と表現。そして私のコメントに対しても、「ホセ・クーラは素晴らしかった! 火山のようにエモーショナル、クリーンでパワフルな声、ステージ上でのパワフルな人間性と芸術的な存在感!」と返信してくれました。そういう素晴らしい舞台を見ることができたプロヴディフの観客がうらやましいです。

今後のスケジュールについては、前回の投稿で年内の新しいカレンダーを紹介していますが、パンデミックの動向によってどうなるかは予断を許さない状況が続きます。引き続き健康を維持し、作曲、指揮、歌…、この12月には50代最後の59歳を迎えるクーラの円熟の実りを存分に示してくれることを願っています。

 

 

 

*画像はプロヴディフ国立歌劇場のFBや報道、SNSなどからお借りしました。

 

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(告知編)2019年 ホセ・クーラ、ケルンでトスカに出演 / Tosca in Köln (Cologne)

2018-07-05 | オペラの舞台ートスカ




ホセ・クーラは、演出・舞台デザイン、照明を手がけたプラハでのナブッコの初日(6/28)を成功させ、現在は、7月7日から始まる夏のコンサート・ツアーに向けた準備中だと思われます。
→ プラハのナブッコについては、いくつかの記事にまとめています。

現在、公表されているクーラの公式カレンダーによれば、夏以降、年内の公演はコンサートだけで、オペラの日程は入っていません。また、来年2019年の予定はまだ掲載されていません。 → 掲載されました 2019カレンダー

しかしケルン歌劇場の2018/19シーズンプログラムに嬉しい発表がありました。
2019年6~7月に、プッチーニのトスカのカヴァラドッシ役で、クーラが5ステージ出演するということです。今回はこのトスカの公演について、劇場HPから日程などを紹介したいと思います。

クーラは近年、歌手以外の分野の活動が大きく発展し、今年は現在プラハで上演中のナブッコに加えて、9月にはバルト三国のエストニアのタリンでプッチーニの西部の娘の演出・舞台デザイン、そして指揮も行います。また同じ9月には、クーラのカヴァレリア・ルスティカーナと道化師のプロダクション(2012年リエージュで初演)がサンフランシスコオペラでシーズンの開幕を飾ります。このように演出家として、また指揮者や作曲家としての活動の比重が、近年とても高まり、オペラ出演は以前に比べるとかなり少なくなっています。

クーラの数少ないオペラ公演、しかも似合いのカヴァラドッシ役・・おすすめです。興味と条件のおありの方は、来年の初夏のケルン、ぜひご検討されてみてはいかがでしょうか。
*なお、ケルン歌劇場の建物は長期に改修工事中で、まだ仮会場で上演されているようです。上演会場については確認が必要です。














●クーラもガラ出演した2012年初演のプロダクション

このケルンのトスカのプロダクションは、2012年5月が初演です。実はこの初演の際、5月31日の1公演だけにクーラがカヴァラドッシで出演していたのでした。なのでクーラにとっては縁のあるプロダクションです。
舞台の様子は、劇場がアップした紹介動画で見ることができます。この動画ではクーラは登場していません。

Oper Köln - Tosca




●クーラとケルン

ケルンは現在ドイツ第4の都市であり、長い歴史、文化と産業の中心地のひとつとして繁栄してきた街だそうです。このケルンの街、そしてケルン歌劇場には、クーラはこれまでも何度か出演してきています。

1997年にクーラが初めて、ドイツで5か所のコンサートツアーを行った際にも、ケルンで公演しています。またその後も、2001年、2005年とコンサートで訪れているようです。
2005年のコンサートは、アンナ・ネトレプコとの共演だったようです。




オペラ出演では、2007年10、11月の、カヴァレリア・ルスティカーナと道化師のダブルビルでケルン歌劇場に出演したのが初めてのようです。






2008年には、クーラの初の本格的なオペラ演出となるヴェルディの仮面舞踏会を、このケルンで行っています。




2012年には、今回出演するプロダクションの初演にガラ出演。
そして一番最近の出演は、2015年5~6月のヴェルディのオテロのタイトルロールでの出演です。







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こうしてみると、ケルンでは、クーラの魅力が発揮されるとても興味深い公演が行われてきたように思います。
ケルン歌劇場のスタッフとの連携もとても良いのではないかと期待されます。公演が大きな成功を収めることを願っています。


最近クーラは、自分の歌手としてのキャリアがいずれ終わるということについて、たびたび言及しています。実際、徐々に、指揮や演出、作曲に比重を移しつつありますし、オペラも出演する演目をかなり限定しているように思われます。

クーラも55歳、確かにテノールとしてはキャリアの後半にいるのはあきらかです。しかし最近のライブ放送などを聞いた範囲では、声、歌唱、存在感と演技力、表現力の総合的なレベルにおいて、黄金期といえるのではないかと思います。
ファンとして私が、クーラの生の公演で、これだけはどうしても見ておきたいと願っているのが、このトスカのカヴァラドッシであり、オテロであり、アンドレア・シェニエ・・です。このケルンは時期的に難しそうですが、ぜひその機会が近いうちに得られることをつよく願っています。



こちらは改修中の本来の歌劇場のようです。


*写真は劇場HP、報道などからお借りしました。
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2016年 ホセ・クーラ ドレスデンのゼンパー・オーパーにデビュー / Jose Cura debut at Semper Oper Dresden

2016-11-20 | オペラの舞台ートスカ



ホセ・クーラは今年(2016年)10月に、ドイツ・ドレスデンのゼンパー・オーパー(ドレスデン歌劇場)にハウスデビューしました。

すでに3月のザルツブルク復活祭音楽祭2016のオテロに、キャンセルしたヨハン・ボータ(当時、病気闘病中でその後、残念ながら死去)の代役として出演して、指揮者のクリスティアン・ティーレマンと、ティーレマンと率いるシュターツカペレ・ドレスデンとは共演しています。 → 紹介したブログの記事

ただし今回の指揮者は、ティーレマンではなく、パトリック・ランゲ。
演目はプッチーニのトスカで、クーラが長年歌い続けているカヴァラドッシでした。
 → クーラのカヴァラドッシへの思い、作品解釈については、「ホセ・クーラの“ヴィットリア!”と通行証の謎」で紹介しています。

クーラのFBに掲載された告知。


Tosca (Giacomo Puccini)
2016/10/23, 26, 30
MUSICAL DIRECTOR= Patrick Lange , STAGING= Johannes Schaaf
FLORIA TOSCA= Amanda Echalaz
MARIO CAVARADOSSI= José Cura
BARON SCARPIA= Andrzej Dobber
Staatskapelle Dresden




10/23の初日を前に、クーラはフェイスブックに窓から見える景色を紹介し(上の写真)、こんなコメントを寄せていました。

「ドレスデンはひどい天候だ。雨が降り、寒く(5℃)、湿度は90%。この美しい街を楽しむために出かけることはできない。 この1週間のために借りたアパートメントの部屋に座って、窓からフラウエン教会(聖母教会)の鐘楼を見ることができる――鐘が鳴るたびに、私の部屋の窓が震える。それぐらい近い。」

ドイツの秋の寒さがちょっとこたえたのか、少し寂しそうな印象の投稿ですが、外国へのツアーには、ほとんど必ず妻のシルヴィアさんが同行されているようなので、別に、1人侘びしく仮住まい(笑)・・というわけではないと思われます。またいつもパワフルなクーラ、この日はパソコンのファイルの整理をしたといって、ブタペストのコンサートの動画をフェイスブックにアップしてくれました。

その時にアップされた動画 2015年、ブダペストでのコンサートで、様々なジャンルのアーティストと共演して歌ったジョン・レノンのイマジン。
クーラの動画ページにリンクします。



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さて、ドレスデンでのトスカですが、動画や録音などは残念ながらネットにもアップされていませんが、劇場のHPやクーラのFBで舞台の写真が掲載されていましたので、紹介します。

●第1幕
貴族で画家のカヴァラドッシ、教会で依頼された聖母マリアの絵を描きながら、恋人トスカの美しさを歌う。アリア「妙なる調和」のシーン。


逃亡してきた共和主義者のアンジェロッティが、カヴァラドッシのいる教会に現れる。アンジェロッティの理想に共鳴しているカヴァラドッシは彼を匿うことにする。


そこに現れたカヴァラドッシの恋人、歌姫トスカ。トスカが、信心深く、嫉妬しがちな女性であるため、アンジェロッティのことを隠して、トスカをなだめ、できるだけ早く帰そうとする。トスカへの愛をささやく二重唱。




●第2幕 
警察長官に捕まり、拷問にかけられるカヴァラドッシ。しかし彼は黙秘をつらぬき、激しく痛めつけられる。


トスカは彼の姿にいたたまれず隠れ家の場所を白状してしまう。


そこにナポレオン軍勝利の一報が入り、カヴァラドッシは力をふりしぼって立ち上がり「勝利を!」と叫ぶ。


憲兵を振り切り、スカルピアにつめよるカヴァラドッシ。


●第3幕
スカルピアと取引して逃亡のための通行証を手に入れ、さらにスカルピアを刺殺したトスカ。自由への逃亡を夢見るが、約束ではカヴァラドッシの処刑は空砲のはずが、それはスカルピアの罠で、彼は銃殺される。トスカも絶望し、高い城壁のうえから身を投げる。




●カーテンコール
クーラの熱演に、たいへん観客の反応も熱く、好評だったとのことです。


現地で観賞した方がツイッターで流してくださったカーテンコールの様子を。観客の大きな歓声、ブラボーの声が聞えます。
shochiさんのツイートにリンクしています。↓


●レビュー

プロダクション自体が初演ではなかったため、レビューは多くありませんでしたが、非常に良評価でした。

「プッチーニの音楽と歌手の説得力のある演奏によって、明らかにドラマティックに増強された。」
「ホセ・クーラはエモーショナルに有名な星は光りぬを歌った。」
「音楽的に、パフォーマンスは非常に良好で、ホセ・クーラがりードする2人の主役は、深い経験をもたらした。長く熱狂的な拍手は、観客の大満足を証明した。」
(「OperaPlus」)

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クーラは今年12月5日で54歳になります。白髪も増え、体型も中年らしく体重も増えましたが、歌唱と演技、ドラマの解釈を深め、若い時よりもますます役柄の表現力を高めていると思います。
カヴァラドッシは、クーラにとって、心から共感でき、感情移入できる役柄のひとつだそうです。理想のためにたたかい、死ぬ――理想主義者で、社会に対する関心の高いクーラにとっては、オペラのテノールの役柄のなかでは、数少ない説得力のある魅力的な人物なのだと思います。
クーラのカヴァラドッシは、2000年の舞台がDVDにもなっていますが、私としてはぜひ生の舞台で観賞したいと強く願っている役柄のひとつです。

最後におまけで、最近のクーラのカヴァラドッシの歌を。
何度もこのブログで紹介していますが、2014年ハノーファーでの野外オペラより。どれも魅力的な歌唱です。
「妙なる調和」
Jose Cura "Recondita armonia" Tosca


第1幕の二重唱
Jose Cura 2014 Tosca Act 1 duo


「星は光りぬ」
Jose Cura "E lucevan le stelle"



クーラのファンページに掲載されたカーテンコールの時の写真。サンドラ・オットさん撮影。by Sandra Ott




*画像は、劇場のHP、クーラのFB、ファンサイトなどからお借りしました。
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2014年ハノーファーのトスカ Tosca / Puccini

2016-02-14 | オペラの舞台ートスカ
2014年ドイツ・ハノーファーでの野外オペラ、プッチーニのトスカ(2014/7/19)に出演。
広大な公園のなかの市庁舎前に舞台をつくり、公園全体が劇場になった魅力的な野外公演。初夏の夕暮れ時、思いおもいにワインや食事を囲んだり、寝転んだり、恋人と抱き合ったりしながら、オペラに耳を傾ける様子が本当に素敵でした。
ネット中継され、日本でも見ることができました。
ホセ・クーラ、この時51歳。まだまだ声も舞台姿も魅力的です。YouTubeにあがっている動画を。
from NDR Klassik Open Air "Tosca" 2014 HANNOVER
José Cura (Mario Cavaradossi)
Catherine Naglestad (Floria Tosca)



Jose Cura "Recondita armonia" Tosca 第1幕 カヴァラドッシの“妙なる調和”


   

Jose Cura 2014 Tosca Act 1 duo 第1幕のトスカとカヴァラドッシの二重唱




Jose Cura 2014 "Vittoria! Vittoria!" 第2幕 "Vittoria! Vittoria!"


Jose Cura "E lucevan le stelle" 第3幕 カヴァラドッシ“星は光りぬ”


Jose Cura "O Dolci Mani" Tosca 第3幕 カヴァラドッシの“おお、優しい手よ”


José Cura Last duo 第3幕 トスカとカヴァラドッシ、最後の二重唱





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