人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

(クーラのコメント編その2) ホセ・クーラ テアトロ・コロンのアンドレア・シェニエに出演 / Jose Cura's Andrea Chénier of Teatro Colón

2017-09-30 | テアトロコロンのアンドレア・シェニエ2017



少し前の記事で、今年12月に出演予定のテアトロコロンのアンドレア・シェニエに関する、事実無根の噂に対するクーラの反論を紹介しました。 → (クーラのコメント編

今回は、少しだけですがその後の情報をまとめました。






噂を否定する短いコメントをフェイスブックにアップしてから、数日後、クーラは上↑の画像をフェイスブックに投稿しました。

画像の男性はグルーチョ・マルクス(Groucho Marx 1890~1977)。アメリカの著名なコメディアン、マルクス兄弟の三男で、ウィットとユーモアあふれる言葉をたくさん残している方だそうです。添えられているのはグルーチョさんの言葉で、たぶん元は英語、クーラがスペイン語にしたのだと思います。


"Es mejor estar callado y parecer tonto que hablar y despejar las dudas definitivamente."

「沈黙し、愚かに見られる方が良い。話して疑いを明確にするよりも。」



不確かな和訳のため、ニュアンスが違うかもしれず、その点はご了解ください。
もしかすると、クーラに対して、さらなる説明やコメントを求める声があったのかもしれません。しかし、事実無根の噂に対しては、クーラ自身がきちんと否定したうえで、これ以上は取り合わないという態度を明らかにしたということだと思います。

またこの画像には、クーラの以下のようなコメントが添えられていました。





「私が短い声明よりも多くの説明を与えていない理由を不思議に思う人のために...。
世界は狂っている――憎しみ、戦争、悪徳、テロ、経済的、政治的不安定、今までないほどの腐敗・・等々。
私たちのエネルギーをそれに集中させよう!」
 




これらについてのフォロワーのコメントに、クーラ自身が書き込んだ言葉の一部も紹介したいと思います。


「私は兵士でも政治家でもない。私は芸術を創る。芸術とは平和と愛だ。」



これまでいっかんして、アーティストとしての社会的役割を自覚し、知的誠実さを、金銭的利益や社会的名声よりも大切にする姿勢を貫いてきたクーラ。今回も、喜びであるはずの祖国での公演を前に、背景はわかりませんが、悪意を感じられる噂が流されたことについても、毅然と対応しつつ、争いごとはやめてもっと広く社会に視野を向けよう、と諭すかのような、誠実で寛容な姿勢をつらぬいているところが、やはりクーラらしいと思います。
この問題は、以上で終わることを願っています。


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2018年 ホセ・クーラ カレンダー José Cura CALENDAR 2018

2017-09-28 | 出演予定・スケジュール



9月26日、ホセ・クーラの2018年の公式カレンダーが発表されました。(順次追加しています)

今年5月にドイツのボンで演出・主演に初挑戦したピーター・グライムズが、来年2月、共同制作のモンテカルロ歌劇場に場所を移し、再びクーラが主演します。そして3月には、中東オマーンの王立オペラ劇場マスカットに初出演で、道化師のカニオを歌うようです。

オペラ出演は今のところその2つだけですが、演出が2つ。ヴェルディのナブッコとプッチーニの西部の娘です。西部の娘は指揮も担当する予定です。
 → サンクトペテルブルクでのコンサート形式カルメンが追加
あとは3年間のレジデントアーティスト契約の最終年を迎えたプラハ交響楽団とのコンサートに、指揮者として意欲的なプログラムをとりあげています。そして来年後半で目立つのは、アルゼンチン音楽のコンサートがドイツやスイスの地方都市で計画されていることです。

ワーグナー挑戦やピーターグライムズ初演出初主演など、目玉のプロダクションが多くて非常に盛りだくさんだった2016/17シーズンと比べると、オペラ出演も少なく、少し寂しいような気もしますが、あまりにハードワークだった1年の後に、じっくりと演出にとりくみ、またライフワークの作曲などもすすめられる期間にしようと考えているのかもしれません。また今後、随時、追加されるかもしれませんので、その際は更新していきたいと思います。


ホセ・クーラ公式HP カレンダー


☆ニューイヤーコンサート(歌)  1/1
ポーランド・ワルシャワ フィルハーモニー国立劇場        *追加
ワルシャワ国立フィルハーモニー
WARSAW New year concert
FILHARMONIA NARODOWA

☆ピーター・グライムズ / ブリテン タイトル・ロール 2/20,23,25,28
*共同制作のボン劇場で2017年5月初演、クーラは主演と演出・舞台デザインを担当
モンテカルロ歌劇場 / モナコ → 劇場HP
MONACO - PETER GRIMES 20, 23, 25 Y 28 FEBRUARY (Title Role, Set Design, Stage direction)
Opera de Montecarlo

☆オテロ / ヴェルディ タイトルロール 3/3  → 劇場告知 *追加 (代役)
ゼンパーオーパー・ドレスデン / ドイツ
Otello Verdi (Title Role) 3 March
Semperoper Dresden


☆道化師 / レオンカヴァッロ タイトルロール(カニオ) 3/15,17
王立オペラ劇場マスカット / オマーン → 劇場HP
MUSCAT - IL PAGLIACCI 15 AND 17 MARCH (Title role)
Royal Opera House Muscat

☆コンサート(指揮)3/21,22
ドビュッシーとラヴェル
プラハ交響楽団/スメタナホール/プラハ  → プラハ響HP
DEBUSSY AND RAVEL SYMPHONIC CONCERTS
21 AND 22 MARCH (Conductor)
PRAGUE Smetana Hall Municipal House 

☆コンサート「ホセ・クーラの音楽的世界」(作曲作品の指揮、歌)3/29  *追加 ただしクーラの公式カレンダーには未掲載 掲載済
ホセ・クーラ作曲 「Modus(モデュス)」、「マニフィカト」、「この人を見よ」
バルトーク国立コンサートホール ハンガリー・ブダペスト
"The Musical Universe of José Cura"
José Cura: "Modus" "Magnificat" "Ecce homo"
Béla Bartók National Concert Hall

☆カルメン / ビゼー ドン・ジョゼ(ホセ)役 5/5  *追加  *演目変更 サンサーンスのサムソンとデリラ サムソン役
マリインスキー劇場 / ロシア・サンクトペテルブルク
CARMEN IN CONCERT (Don José)  → Samson et Dalila
5 MAY
State Academic Mariinsky Theater
ST. PETERSBURG

☆コンサート アルゼンチンの歌(歌手) 5/13
ドレスデン音楽祭 ゼンパーオーパー / ドレスデン → 音楽祭HP 
DRESDEN ARGENTINEAN SONGS 13 MAY (Singer)
Semperoper Dresden

☆コンサート(指揮者、歌手)6/13,14
前半=アルゼンチンの歌
後半=ミェチスワフ・カルウォーヴィチ(ポーランドの作曲家)「交響曲ホ短調『復活』」
プラハ交響楽団/スメタナホール/プラハ  → プラハ響HP
ARGENTINEAN SONGS (FIRST HALF) , KARLOWICZ 7º SYMPHONY
13 AND 14 JUNE (Singer, Conductor) PRAGUE Smetana Hall Municipal House

☆ヴェルディ/ナブッコ 演出・舞台デザイン 6/28,29
プラハ国民劇場 / カーリンミュージックシアター → 劇場HP
PRAGUE NABUCCO/Verdi 28 AND 29 JUNE (Set Design, Stage direction)
Prague National Theater

☆オープンエア・コンサート(指揮者、歌手) 7/7
リーヘンベルク・パーク / スイス・ヴィンタートゥール  → HP
WINTERTHUR OPEN AIR CONCERT 7 JULY (Conductor, Singer)
Rychenbergpark 

☆オープンエア・コンサート(歌手) 7/10
ザグレブ / クロアチア
クーラの写真展も開催
ZAGREB CONCERT 10 JULY (Singer)
King Tomislav Square


☆コンサート(歌手)7/13 *追加
ヴェスプレームフェス ハンガリー 
VESZPRÉM CONCERT 13 JULY (Singer)
História Kert

☆コンサート(歌手)7/28 *追加
トカイ ハンガリー 
TOKAJ CONCERT 13 JULY (Singer)
Festival Katlony

☆プッチーニ / 西部の娘 演出・舞台デザイン、指揮 9/21,23
タリン エストニア国立歌劇場
TALLINN FANCIULLA DEL WEST 21 AND 23 SEPTEMBER (Set Design, Stage direction, Conductor)
Tallinn Opera House

☆コンサート アルゼンチンの歌、ドヴォルザーク交響曲第9番(指揮者、歌手、編曲)10/7
キュンツェルザウ・ドイツ 
KÜNZELSAU
ARGENTINEAN SONGS , DVORAK 9TH SYMPHONY 7 OCTOBER (Singer, Conductor, arranger)
Stadthaus

☆コンサート アルゼンチンの歌(歌手、指揮、作曲、編曲)10/13
スイス・チューリッヒ トーンハレ・マーグ
ARGENTINEAN SONGS 13 OCTOBER (Singer, conductor, composer, arranger)
Tonhalle Maag, Zurich



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(告知編)2017年 ホセ・クーラとミサ・クリオージャ、プラハ交響楽団とともに / Jose Cura & Misa Criolla in Prague

2017-09-22 | プラハ交響楽団と指揮・作曲・歌 ~2017




ホセ・クーラ、2017/18シーズン最初の公演は、レジデントアーティストを務めるプラハ交響楽団のコンサートです。
今季で3年目、最終年を迎えるプラハ交響楽団でのレジデント契約ですが、今季も3回(各回2公演)のコンサートに取り組みます。

今季最初となる10月のコンサートは、テーマが「ホセ・クーラとミサ・クリオージャ」。
メインは、アルゼンチンの作曲家アリエル・ラミレスの南米のミサ曲として有名な「ミサ・クリオージャ」です。もともと打楽器、鍵盤楽器とアンデスの民族楽器によって演奏されるよう作られたこの曲を、クーラが特別に許可を得てシンフォニック版として編曲し、プラハ交響楽団によって世界初演されます。
そのほかにも、クーラが作曲した曲、Modusの世界初演もあり、プラハ響の他、ギターのソリスト、合唱団なども参加します。

クーラはテノールと指揮として出演。作曲家として、編曲家として、そして指揮者とテノール・・今回も、クーラの多面的な魅力が存分に示される機会になりそうです。





JOSÉ CURA & MISA CRIOLLA
Smetana Hall, Municipal House

4.10.2017 19:30
5.10.2017 19:30

JOSÉ CURA / Modus (world premiere)
JOAQUÍN RODRIGO / Concierto de Aranjuez for guitar and orchestra
ARIEL RAMÍREZ / Misa Criolla (world premiere of the symphonic version)
ARIEL RAMÍREZ / Navidad Nuestra (world premiere of the symphonic version)

José CURA | tenor
Aniello DESIDERIO | guitar

PRAGUE PHILHARMONIC CHOIR
Mario DE ROSE, José CURA | conductor

Ariel Ramírez (1921–2010) is one of the most significant Argentinean composers. Misa Criolla and Navidad Nuestra are the two best known compositions from his vast legacy...Both compositions are originally scored for a chamber ensemble, however by the hand of fate it was none other than José Cura who received the unique permission to orchestrate the work. Hence, we can look forward to the world-premiere of Ramirez’s gems in a new symphonic form with José Cura as soloist. The FOK artist in residence is adding his own new piece made to the evening’s line-up whilst the phenomenal Italian guitarist Aniello Desiderio will make Smetana Hall glow.


●ホセ・クーラとミサ・クリオージャ
スメタナホール,プラハ 市民会館
2017年10月4日 19:30~
2017年10月5日 19:30~

≪プログラム≫
ホセ・クーラ作曲「Modus」(世界初演)
ホアキン・ロドリーゴ作曲 「ギターとオーケストラのためのアランフェス協奏曲」
アリエル・ラミレス作曲 「ミサ・クリオージャ」(シンフォニック・ヴァージョン世界初演)
アリエル・ラミレス作曲 「アルゼンチンのクリスマス」(シンフォニック・ヴァージョン世界初演)

ホセ・クーラ=テノール
アニエッロ・デジデリオ=ギター
プラハ・フィルハーモニー合唱団
マリオ・デ・ローズ、ホセ・クーラ=指揮

≪解説≫
アリエル・ラミレス(1921-2010)は、最も重要なアルゼンチンの作曲家の一人。ミサ・クリオージャ(Misa Criolla 1964年)とアルゼンチンのクリスマス(Navidad Nuestra 1964年)は、彼の広大な遺産の中で最も知られている2つの作品。・・・

両方の作品はもともと室内楽アンサンブルのために作曲されているが、運命の手によって、この作品をオーケストレーションするユニークな許可を受けたのは、ホセ・クーラだけだった。
したがって我々は、ソリストとしてのホセ・クーラとともに、新しいシンフォニックヴァージョンによるラミレスの宝石の世界初演を楽しみにしている。
プラハ交響楽団のレジデント・アーティストであるホセ・クーラは、その夕べのラインナップに自らの新しい作品を加えている。一方、驚異的なイタリアのギタリスト、アニエッロ・デジデリオ=Aniello Desiderioがスメタナホールを輝かせるだろう。


プラハ交響楽団のHP → 詳細やチケット購入はこちらから





いよいよホセ・クーラの新シーズンが始動です。長い夏の休暇でしたが、その間に、リフレッシュや体力づくりにつとめるとともに、こうした編曲や作曲作品に手を入れたり、また来年2作品にとりくむ演出のための作業など、さまざまな準備作業に取り組んでいたようです。
このコンサートの成功と、そして今季がまたクーラにとって実りあるシーズンになることを願っています。







*写真はプラハ交響楽団のFBや合唱団のHPなどからお借りしました。
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(クーラのコメント編) ホセ・クーラ テアトロ・コロンのアンドレア・シェニエに出演 / Jose Cura's Andrea Chénier of Teatro Colón

2017-09-17 | テアトロコロンのアンドレア・シェニエ2017


 (写真は2006年ボローニャ歌劇場でのアンドレアシェニエ)


ホセ・クーラは、今年(2017年)の12月、母国アルゼンチンのテアトロ・コロンでアンドレア・シェニエに出演することが発表されています。 → (告知編)
ここへきて、少し気になる出来事がありました。

クーラが9月13日付のフェイスブック上で、このアンドレア・シェニエに関する「噂への反論」(DESMENTIDA DE RUMORES)というような意味のコメント(声明文?)をアップしたことです。下の画像からクーラのフェイスブックの元記事にリンクしています。

あまり楽しいニュースではないのでブログでとりあげるのは迷いましたが、クーラ自身が広めてほしいと言っているので、紹介することにしました。





以下、おおまか訳してみました。スペイン語のため、誤りやニュアンスの違いがあるかもしれません。お許しください。




≪ 噂への反論 ≫

ブエノスアイレスでは、アンドレア・シェニエの最後の二重唱を半音下げて歌うことを私が契約書で要求している、という大きな懸念があることが、様々な手段で私に伝えられてきた。

私は、このような噂は真実ではなく、作品は元のトーンで歌われることを、この場を通して伝えたい。

どうか広めてほしい。

   ホセ・クーラ







2015年のカヴァレリア・ルスティカーナと道化師での演出・出演以来、2年ぶりの母国での公演を前に、なぜこのような根拠のない噂が母国で流され、クーラが公式に反論しなければならないような事態になっているのか、私にはまったくその背景は理解できません。

今回の公演は、同じアルゼンチン出身のマルセロ・アルバレスのキャンセルを受けて、クーラの出演が決まった経過があります。アルバレスのキャンセルも、今回の「噂」とは内容が違いますが、契約をめぐるトラブルがあったように書いた記事もありました。

これまでに何度かクーラは、国際的に高い評価を受けても母国ではなかなか同様の評価がされない時期があったこと、また、オテロなどテアトロ・コロンでのクーラの公演が聴衆から大きな喝采を受けたにもかかわらず、レビューでは厳しく批判されたことなどにふれたことがあります。同じアルゼンチン出身のサッカーのスーパー・スター、メッシでさえ、母国から栄誉を受けるまでには長くかかったことを例にあげながら、母国への愛と複雑な思いをインタビューで語ったこともありました。  → 「母国アルゼンチンから名誉表彰を受けて」

今回の「噂」にどういう意図や背景があるのかまったくわかりませんが、いずれにしても、クーラの歌手としての資質や能力、公演への姿勢を貶めるような「噂」が、その母国で広められるというのは、とても悲しいことです。クーラ自身も残念な気持ちでいることでしょう。
たまたま何らかの勘違いか何かが原因であって、国外で成功したクーラへの妬みや嫌がらせなどではないと信じたいものです。

気にするまでもないことかもしれませんが、こういうトラブルを乗り越えて、母国での公演が大きく成功することをつよく願います。



2006年ボローニャ歌劇場アンドレアシェニエ、ラストの2重唱、マリア・グレギーナとホセ・クーラ。
Umberto Giordano Andrea Chenier 'La nostra morte e il trionfo dell'amor!' Cura Guleghina







*画像は、2006年ボローニャ歌劇場のアンドレア・シェニエからお借りしました。
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(告知編) ホセ・クーラ、ドレスデン音楽祭2018で、アルゼンチンの歌コンサート / Jose Cura , Dresden Music Festival 2018

2017-09-12 | アルゼンチンや南米の音楽



クーラのフェイスブックやインスタグラムは、9月に入っても依然として夏休みモードのままですが、新しい公演のニュースが入ってきました。
来年2018年のドレスデン音楽祭への出演です。

*ただし現時点では(2017年9月10日現在)、クーラの公式カレンダーにはまだ掲載されていませんので、最終的に出演するのかどうか、まだわかりません。 → 掲載されました

音楽祭のHPやネット上の情報から、現時点でわかっている内容についてまとめてみました。





The 41st Dresden Music Festival
10 May to 10 June 2018
With 67 events at 24 venues
Intendant Jan Vogler

第41回ドレスデン音楽祭 → フェスティバル公式HP
2018年5月10日~6月10日
24会場、67のイベント


JOSÉ CURA & DRESDNER KAPELLSOLISTEN

Dresdner Kapellsolisten
Helmut Branny, Conductor
José Cura, Tenor

»ARGENTINEAN SONGS«
Works by Felipe Boero, Carlos López Buchardo, José Cura, Alberto Ginastera
Carlos Guastavino, Hilda Herrera, Héctor Panizza und María Elena Walsh

SUN 13.05.18 11:00
Semperoper

  

ホセ・クーラとドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団

ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団
ヘルムート・ブラニー(指揮)
ホセ・クーラ(テノール)

アルゼンチンの歌

2018年5月13日(日) 午前11時~
ゼンパーオーパー(ザクセン州立歌劇場)




クーラの出演予定のコンサートは、2018年5月13日(日)で、テーマはクーラの母国アルゼンチン音楽のようです。
会場は、ドレスデンのゼンパーオーパー。そしてヘルムート・ブラニー指揮、シュターツカペレ・ドレスデンの主要メンバーで構成されているドレスデン・カペルゾリステンとの共演です。

内容は、フェリペ・ボエロ、カルロス・ロペス・ブチャルド、アルベルト・ヒナステラ、カルロス・グアスタビーノ、イルダ・エレーラ、エットレ・パニッツァ、マリア・エレナ・ワルシュなど、アルゼンチンの作曲家の作品、そしてクーラ自身が作曲した楽曲などがとりあげられるようです。

昨年、ドイツとルクセンブルクでもクーラはアルゼンチン・南米音楽のコンサートを行っていますが、同じような感じになるのでしょうか。
その時の様子は、以前の投稿で紹介しています。 → ドイツとルクセンブルクでラテンアメリカの曲コンサート


約1か月間にわたり、ドレスデンの市内各所の24会場で、67のイベントが開催される音楽祭です。
クーラの他に、歌手では、イアン・ボストリッジ、ジョイス・ディ・ドナート、ブリン・ターフェルなど。またバレンボイム、ティーレマンをはじめとする指揮者、マルタ・アルゲリッチ、アンネ=ゾフィー・ムター、ヨーヨー・マをはじめとする楽器のソリストなど、数多くの世界的に活動するアーティストが出演するようです。

ラジオ放送や録画放送など、何らかの形で鑑賞できることを願っています。


音楽祭HPに、来年のパンフレットが掲載されています。画像をクリックするとPDFファイルにリンクしています。



こちらはクーラのコンサートの紹介ページ



PDFパンフから、ドレスデン市内の会場配置図





クーラが出演予定のゼンパーオーパー







*画像は音楽祭HPやクーラのHPなどからお借りしました。
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ホセ・クーラとロベルト・アラーニャ / Jose Cura and Roberto Alagna

2017-09-08 | 同僚とともに



今年(2017年)7月に、ロンドンのロイヤルオペラでトゥーランドットのカラフに出演したロベルト・アラーニャ。実はこのプロダクションは大変な長寿で、ホセ・クーラも2008、9年に出演しています。

アラーニャ夫妻がカラフとリューで出演したこの舞台は、ネットで公式に公開されたので、ご覧になった方も多いかと思います。
一方のクーラの舞台は、残念ながら録画も録音も見当たりません。写真もごくわずかです。

今回は、このプロダクションに出演した際のクーラの写真を紹介しつつ、クーラとアラーニャについてとりあげてみたいと思います。

これまでのクーラと同僚についてとりあげた投稿(ホロストフスキー、マルセロ・アルバレス)もお読みいただければうれしいです。





《 2人の歩み 》

――シチリア移民の家庭、フランス生まれのアラーニャ

ロベルト・アラーニャは、1963年6月生まれ。
イタリア・シチリアからの移民の両親のもと、フランスのパリ郊外の出身だそうです。




――レバノン、イタリア・フランス移民のルーツ、アルゼンチン生まれのクーラ

クーラは1962年12月生まれですから、半年ほどクーラの方が早いですが、現時点(2017年9月)では同じ54歳です。
祖父母がレバノン、イタリア・スペインからの移民のルーツをもつ両親、アルゼンチンのロサリオの出身です。
アラーニャもクーラも、どちらもラテンの血を引く、イタリアのルーツをもつ移民の一家という点で、共通していますね。




――若くから歌ってきたアラーニャ、指揮者・作曲家志望のクーラ

2人とも、家族が音楽好きで、幼いころから音楽に囲まれ、親しみながら育ったことでも同じようです。
アラーニャは、フランス版ウィキペディアによると、何人かの音楽の教師との重要な出会いがあったようですが、ほぼ独学で歌を学び、22歳まで実際にパリのキャバレーで歌っていたそうです。家族を支えるということもあったのでしょうか。

クーラは、指揮者・作曲家が幼いころからの夢で、12歳から作曲、15歳から合唱団の指揮者として活動し、大学でも指揮と作曲を専攻しました。しかし当時のアルゼンチンは軍事独裁政権下で、民主化後も経済的な混乱が続いたために、指揮者や作曲家として食べていくことは難しく、25、6歳から、歌手として本格的な活動をはじめました。ストリート・ミュージシャンとしてお金を稼いだ経験もあるそうです。1991年にイタリアに移住しています。

音楽への歩みは対照的ですが、それぞれ様々な人生経験と苦労を経たのちに、歌手としての国際的なキャリアに踏み出しました。
重要な契機となったのは、アラーニャは1988年のルチアーノ・パヴァロッティ国際声楽コンクールの優勝、クーラは1994年のプラシド・ドミンゴ主宰のオペラリア優勝だったようです。


《 異なる個性、近年は同じ役柄も 》

その後、世界各国の歌劇場にデビューし、現在まで活動してきた2人ですが、2人は声質も歌唱スタイルや個性も大きく異なっています。
もともとリリックな声、ロマンティックな歌唱のアラーニャ、そして強く暗い声、ドラマティックな歌唱スタイルのクーラ。当初はレパートリーもかなり違いましたが、近年ではアラーニャが、次々に重い役柄に挑戦しているので、カラフをはじめ、オテロ、カニオ、サムソンなど、長年クーラが歌ってきた役柄のほとんどをアラーニャもレパートリーにしているようです。

2009年にはニューヨークのメトロポリタン歌劇場で、カヴァレリア・ルスティカーナと道化師の同じプロダクションを、それぞれ月替わりで演じたこともありました。残念ながら両方とも動画を見ることができません。同じ2009年に2人が歌った「衣装をつけろ」を、アラーニャはオランジュの舞台の動画を、クーラはメトロポリタンですが音声だけのものを。

Roberto Alagna | Ext. I PAGLIACCI (Orange 2009)


Jose Cura 2009 "Recitar! ... Vesti la Giubba" Pagliacci


声も歌い方もかなり違いますね。私の印象としては、暗い声で、より演劇的なクーラ、明るい声で、より歌唱的な(こういう言葉があるのかわかりませんが)アラーニャ、という感じがします。


《 ロンドンのカラフ 》

ロンドンのトゥーランドット、今年のアラーニャの舞台は録画がネットで放送されたので、ご覧になったかたも多いかと思いますが、クーラ出演の舞台は、残念ながら録音も録画もありません。いくつかネット上から写真をお借りして紹介します。

●アラーニャのカラフ











現在ではロンドンの舞台動画は見ることができないようですので、2012年これもオランジュの舞台からアラーニャの「誰も寝てはならぬ」を。
"Nessun dorma" Roberto Alagna HD720



●クーラのカラフ











クーラのロンドンでの録音は見当たりませんので、2014年、同じオランジュの野外劇場ですがコンサートでのクーラの「誰も寝てはならぬ」を。
Jose Cura 2014 "Nessun dorma" Turandot


ロンドンのアラーニャのカラフと、他の舞台でのクーラのカラフを聞いて比べた感想としては――リューへのきめ細かな愛情表現(相手が奥さんだからなおさら?)、丁寧でやさしい印象、トゥーランドットへの愛を表現しているアラーニャのカラフに対して、クーラの方は、傲慢で権力志向、父やリューへの思いも浅薄で、トゥーランドットを力で組み伏せようとするカラフ。ある意味で正反対、オペラのドラマの解釈の違いにもとづいているのでしょう。歌唱スタイルや声も違い、好みも分かれるところと思いますが、それぞれに魅力があります。
クーラのカラフも、同じロンドンの舞台の録画で観てみたかったと思いました。
 

《 アラーニャの温かい人柄――クーラの紹介したエピソードより 》

同じテノールというと、ライバル関係のように考えられるかもしれませんが、実際は、忙しく世界を飛び回るオペラ歌手同士、劇場で顔を合わせれば、終演後に一緒に食事に行ったりする、と以前クーラはインタビューで語っていました。テノールはそれぞれ主役のことが多いので、共演機会はあまりないと思いますが、公演期間中に同じ劇場で会うこともあるのでしょう。

次の画像は、以前クーラが自分のFBに、アラーニャの温かい人柄を示すエピソードを紹介したものです。

2013年9月、ウィーン国立歌劇場でオテロに出演したクーラ。イアーゴはロールデビューのホロストフスキー、デズデモーナはアニヤ・ハルテロスという豪華メンバーでした。この公演時、クーラは持病の腰痛・背中痛が発症して、非常に苦しみながらキャンセルせずに舞台をつとめていたようです。そしてその楽屋を訪問したアラーニャ。以下、クーラのコメントを紹介します。





――クーラのFBのコメントより

「あなたたちの多くはすでに、私がウィーンのオテロの最初の公演中に、ひどい背中の痛みに苦しんでいたことを知っている。
私のいつもの、ばかばかしい脊椎のトラブルは、ショーの2時間前に私を襲った。私は文字通り、2つに壊れるようにして歌った。
ロベルト・アラーニャは公演中で、彼は舞台の前と後、両方にあいさつを言いに来た。彼は本当にナイスガイで、私たちはそれぞれのキャリアの初期から、良き同僚だった。

14日(2013年9月)、ロベルトは私に、その日を思い出させた―― 2006年に私たちが一緒に日本に行って、プロモーション写真の撮影のためにポーズをとり、彼が私を地面から持ち上げたときのことを。そしてオテロの終演後、彼は、私を家に運んであげると申し出た・・。"なんて優しい"、私は言った。 "でも、あなたはずっと若かったし、私ももっとずっと軽かった... !!!"。

実際あったこととして、この有名な写真を見つけたので、それを共有したいと思った!」


*********************************************************************************************************************************************************

2006年にボローニャ歌劇場の来日公演で、アラーニャ、ファン・ディエゴ・フローレスとともに来日した時の写真ですね。
クーラの来日は、今のところ、この時が最後となっています。
この3人で雑誌の表紙も飾っていますね。




アラーニャとクーラ、50代半ばとなり、それぞれ円熟の時を迎えています。精力的にオペラ、コンサートに出演し、レパートリーを広げ、世界各地の歌劇場で活躍し続けているアラーニャ。ワーグナーのローエングリンにデビュー予定という情報も入ってきました。一方、本来の志望である指揮、作曲活動や演出に軸足を移しつつ、ワーグナーのタンホイザーや英語オペラピーター・グライムズなどの新しい挑戦を続けるクーラ。2人とも自分のルーツ、母国の音楽の紹介にも熱心に取り組んでいます。
個性やキャリアの方向は違いますが、それぞれユニークで尊敬すべきアーティストとして、それぞれのめざす道をつきすすんでいってほしいと思います。




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