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金子武蔵『ヘーゲルの精神現象学』I 序論(六)「精神現象学の方法」2「『精神現象学』の方法」(その2):「意識」が新しい「経験」を獲得することは、「新しい対象」が出てくることだ!

2024-04-22 15:51:04 | 日記
※金子武蔵(カネコタケゾウ)『ヘーゲルの精神現象学』ちくま学芸文庫(1996)(Cf. 初刊1973)
I 序論(六)「精神現象学の方法」2「『精神現象学』の方法」(続)
(12)-2「『精神現象学』の方法」(その2):「意識」が新しい「経験」を獲得することは、「新しい対象」が出てくることだ!(82-84頁)
★「意識」は、自分の「知識」が「対象」に合うかどうかをつねに注意し、「対象」に合わない「知識」を捨て、「対象」に合うように新たな「知識」を得ていく。これが「意識」の「態度」の変化だ。(82頁)
☆「意識」は、「態度」を変えることによって、つまり「対象」に合うように新たな「知識」を得ていくが、これは「意識」が新しい「経験」を獲得するということだ。だから『精神現象学』は「意識経験の学」であると言われる。(82頁)
★この場合、「意識」が「態度」を変えること(すなわち「意識」が「対象」に合うような新たな「知識」を得ること、すなわち「意識」が新しい「経験」を獲得すること)は、「新しい対象」が出てくることでもある。(82頁)
☆これを具体的に言うと、「感覚」は「この」特別の「このもの」を認識するつもりでいる。しかし単なる「このもの」はなく、なにかある「普遍者」(※言葉によって名づけられた一般者)における「このもの」だ。このことに気づけば「意識」はおのずから「感覚」の段階から「知覚」の段階へと移行する。(82頁)
・このように「意識」段階が変わってゆくことによって、「対象」の方でも「このもの」から「物」Ding に変わる。(82頁)

★ところで「知覚」は、「物」を知覚すると考えているが、「物」の真相は「力」であり、「力」はさらに「生命」であり、さらには「自己」である。(82頁)
☆このように考えてゆくと、悟性の「対象意識」(※対象に向かう意識)はなくなって、「自己意識」(※自己についての意識)へと変ってゆく。(82-83頁)
☆「自己意識」という意識の態度になると、意識される相手ももはや「物」ではなく、「生命あるもの」あるいは「他の自己意識」となる。(83頁)

★このように「意識の態度」が変わってゆくにしたがって、「対象」そのものも変わってゆき、つねに「対象」の新しい側面が出てくる。こうして「意識」は自分の「経験」を次第に増してゆく。その意味で『精神現象学』は「意識経験の学」である。(83頁)

(12)-3「『精神現象学』の方法」(その3):「意識の態度」が変わると「対象」も変わってゆくこと(「対象の生成」)は、「意識」自身は自覚せず、観察している「現象学者」だけが自覚している!
★『精神現象学』の「方法」に関する問題③(Cf. ①②、81-82頁):「対象の生成」は観察している「現象学者」だけが自覚する!
「意識の態度」が変わるとともに「対象」も変わってゆくこと、つまり「対象の生成」は、(「感覚」あるいは「知覚」というような)「意識」自身は自覚せず、これらを観察している「現象学者」だけがはっきりと自覚している。一つの「意識」段階はその前の「意識」段階から発生してくるが、これがいかにして発生してきたかは、「現象学者」だけが知っている。(83頁)
☆両「意識」段階、両「対象」の必然的連関(「意識段階間の発生的連関」)は、「哲学的観察者」(「現象学者」)がそとから与えてやらなければならない。これが「『精神現象学』の方法」として、ヘーゲルが第③に強調していることだ。(83頁)

★しかし「意識段階間の発生的連関」以外のことは、すべて「意識」自身が行ってゆく。(83頁)
☆ヘーゲルの方法は「弁証法」であるが、これは「正・反・合というような形式」を内容にそとから押しはめるのではない。「弁証法」は内容そのものに即して考えてゆけば、内容がおのずからそういうプロセスを取らざるをえないような、そういう形式だ。「弁証法」は決して内容から離れたものでもないし、内容に外から押しつける雛型のようなものでもない。(83-84頁)
Cf.  この点について「意識段階間の発生的連関」に関しては疑惑がないわけでないが、これは著者が後述する。(84頁)
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